この夏一番ホットなMac mini

デベロッパたるもの、Appleが次に出してくる製品に腰を抜かすようなことがあってはなりません。次をだいたい予想しておくのがデベロッパの「お作法」です。OSでも、ハードウェアでも(アプリケーションは無理)。そして、その「先を行く」ソリューションを提供できないか、考えるわけです。

そんな予想にうつつを抜かすわれわれの間で、もっともホットな製品が「Mac mini」です。最新製品でも2014年に発売されたものであり、あと1年か2年で最新OSアップデートから外れてしまうため、もはやハードウェアのアップデートは「待った無し」の状態?(希望的観測)

今回は、「Appleに先を越されると全部無駄」な記事なので、前倒しで投稿しています。

4年ぶりのアップデートはわからないことだらけ

いくらIntel CPUの性能向上が足踏み状態だったとはいえ、4年もの間アップデートされなかったMac miniという製品が、どのような進化を遂げるのか? あまりに選択肢の幅が広いため正確な予測は困難です。

たとえば、Mac Proであれば筐体サイズを大きくして、円筒筐体をやめ、少し角にRがついたような箱型筐体になることでしょう。前の筐体は塗装コストをかけすぎていたので、iMac Proと同様の色(ダークグレイ)にすることでしょう。

その一方で、Mac miniは本当にわかりません。

採用しているCPUのTDP(熱設計電力)も、2014年製品ではローエンドが15W、ほかが28W。2012年製品ではTDPが45Wの製品を採用していました。Intel CPU移行後のMac miniのTDPをすべて調べてみましたが、だいたい28Wです。

後継機種でTDPを超薄型ノート並みに抑えるのか、デスクトップ並みにあげるのか、変えないのか……? とりあえずは、28Wを上限に設定してみます(下限は後述)。

ディスクリートGPUの搭載はないと見ています。Intelの内蔵GPUだけです。

とにかく、「安く」仕上げなければならないので、何かの製品のマザーボードをそのまま採用できると楽そうです。となれば、MacBook(TDP=約5W)あたりのマザーボードをいまのMac miniの筐体に突っ込むのが一番手っ取り早いでしょう。

中にUSBハブを内蔵し、かなりお手軽に新型Mac miniをでっち上げられそうです。放熱ファンを搭載するので、MacBookのような「サーマルスロットリング」の発生を緩和できそうです。

ただし、ハードな業務に使っているような現場では、「そこそこパワーのある省スペース・デスクトップ/サーバー」としてMac miniを扱っており、eGPUが使えないと不満を言われるかもしれません。

本来、Mac miniのMac製品ラインナップにおける役割は「Macに割安感を感じてもらう」ことと、「もう少しお金を足すと上位機種が買える」という足がかりにすることです。そのために、Mac miniの中身をローエンド製品とハイエンド製品で「まるっきりの別物」にすることを予想しています。

ローエンド製品はMacBookのマザーボードを流用した「価格重視」の設計で、CPUはIntel Core M。HDDを搭載。しかし、eGPUが利用できないという制限があります(搭載ポートが単なるUSB-Cであって、Thunderbolt 3にあらず)。DVI端子が2つにHDMI端子が1つ。ただし、CPU内蔵GPUの制限により接続できるディスプレイは2つです。USB-C端子が2つにUSB3.1端子が4つ。電源はUSB-C端子経由でACアダプターを利用します。短時間であれば外部バッテリーからの給電で稼働します。筐体のほとんどがからっぽです。

ハイエンド製品は、MacBook Pro 13インチ(Touch Barなし)のマザーボードを流用した「性能重視」の設計で、SSDを搭載。eGPUが利用できます。DVI端子が2つにHDMI端子が1つ。こちらも、CPU内蔵GPUの制限により接続できるディスプレイは2つですが、eGPUを接続すれば多くのディスプレイを駆動できます。Thunderbolt 3端子が2つにUSB3.1端子が4つ。電源は本体内蔵で、強力な放熱ファンを装備しています。

低価格を実現することが第一なので、筐体デザインは変えません(色ぐらいは変えるかも?)。

……と、ここまでは「従来までのやりかた」「これまでの考え方」で導くことができるのですが、さすがに4年ぶりのアップデート(?)なだけあって、コンセプト自体を変えてくる可能性もあります。筐体デザインはそのままでTDPを28W帯から少し上げてみると、また違う性格のマシンになることでしょう。

Mac mini(TDP=5W、低価格帯、アルミカラー、静音ファン搭載)と、Mac mini Pro(高TDP、高価格帯、ダークグレーカラー、強力ファン搭載)に分け、「見た目が同じで処理能力が天と地ほども違う製品を購入した消費者が文句を言う」ことを防ごうとするかもしれません。

「そもそも」論でいえば、Mac miniはWindowsユーザーの乗り換えを促すための戦略的な低価格商品でありつつ、コンピュータのリビング(TV画面)進出をねらう尖兵でした。赤外線リモコンを搭載し、TVでのメディア視聴をねらった「FrontRow」アプリケーション(廃止)の搭載など、そのキャラクターは明確です。

その後、TVにつなげるリビング向け端末としてはApple TVがその任を担うようになったので、Mac miniが「薄い」必要はないでしょう。そのあたりをAppleが見直して「画面のないiMac」ぐらいに(やや)高パフォーマンス機に仕立ててきたら、この予測はすべて外れます。

また、HDDの搭載をやめればもっと小さくできるわけですが、低価格を実現するためのマシンなので、それはないでしょう。

ただし、このところ全般的にAppleの製品開発が「浮き足立って」いるように見えます。明らかに、「えらい人」から言われた内容を現場が咀嚼し切れていません。

Core i9を搭載したMacBook Proは明らかに放熱能力が足りておらず、サーマルスロットリングで「つねに全力を出せない」状況。

現場:MacBook ProはCore i7までの設計っすよ。このスリム筐体に上位CPUなんて載るわけが……
中ボス:ティムが「最近プロ軽視とか文句言われてるから、ハイパワーなCore i9でも載せとけ!」ってさ
現場:知りませんよ? 私の責任じゃないですからね?
中ボス:ティムの命令なんだから、つべこべ言わずにやれ!

上層部に反対意見を言えない無能な管理職がすべてを破壊していく、まるでどこかの日本企業みたいな光景が見られているのでしょうか?

アップデートされた(?)Mac miniも、上位モデルも筐体はそのままで放熱能力が足りずにサーマルスロットリングに陥るのかもしれません。

いまからMac miniの放熱グッズを調べておくと売れるかも?

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