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左手デバイスの決定版がない

いわゆる「左手デバイス」と呼ばれる、ちょっとまとまった操作を指示する、タイパ向上デバイス。設計思想が「ちょっとした操作を行う」レベルにとどまっているので、決定版になっていないことが残念です。


左手デバイス

数個から二十個ぐらいの物理キーを持ち、そのキートップの表示内容を切り替えたり、機能を切り替えることで、アプリのメニューの奥にある機能などをキー操作一発で呼び出せるというパソコン用の周辺機器です。

キー入力内容を登録してちょっとした定型文をワンキーで入力するとか、いくつかのコマンドを連続して実行する程度です。

たとえば宅配ピザ屋に決まりきった注文を行いたいような場合には、

  ・ピザ屋のWebサイトをオープンする コマンドを実行
  (人間が目で見て目的の商品を探す)
  
・ピザ屋の特定の商品にチェックする コマンドを実行
  ・ピザの注文を確定する コマンドを実行
  (人間が目で見て注文完了を確認する)

といったように(あくまで例なのでこの通りに実行されるわけではありません)、左手デバイスのコマンドキーを押して、目で見てコマンド終了を確認して、次のキーを押す必要があるわけです。

……全然自動化されていませんよね? この注文を100回実行して、とかいったら過労で倒れてしまいます。

まとまった処理を一括で行いたい場合には?

もっとまとまった内容を実行したい場合にはどうするでしょうか? 

一応、解決策は用意されています。

Macだと「AppleScriptを呼び出す機能」が用意されている製品があるので、それを用いれば、条件分岐(実行時の日付とか曜日とか時刻とかに応じて動作を変える)を行ったり、ループ処理で指定の複数の書類を処理することも、一応できるようになっています。一応

ところが、左手デバイスのソフトウェア側の問題なのですが、長時間処理を行うようなコマンドを呼び出すのに適した構造になっていません。

少なくとも、処理実行中は同じキーを押しても応答してほしくないですし、場合によっては他の(左手デバイス上の)キーによるコマンド実行も「受付停止」させてほしいところです。

後続のコマンド実行を止めて、他のキーも無効化してほしい。ただ、実行中のScriptでエラーが発生したら強制停止する仕組みも必要かも?

実際には、せっかくのAppleScriptを呼び出しても、すぐに処理が終わる程度の内容しか呼び出せません(同じキーを連続して押すと、連続して同じScriptを呼び出せてしまって危ないので自粛)。

解決策があるにはあるものの

左手キーボードのメーカーによっては、SDKを公開しているところもあるため、左手デバイスのキーに割り当てるコマンドを自分で作ることも可能です。

そのため、自分の好みの仕様のAppleScript実行コマンドを作ることも不可能ではありません。実際に仕様を読んでみたら(Stream Deck)、そんなに難しくはありませんでした。

しかし、既存のキーコマンドに対して「実行中ロック」(無効化)をするとか、キーを押されて呼び出されたらScriptの実行が終了するまで該当するボタンの無効化を行う必要がある場合には、SDKではどうしようもありません。

 結局、「用途が違う」としか

市場に出ている左手デバイスは「なんちゃって自動化」には対応できるものの、ガチの自動化には対応できません。

そういうチューニングをしてもユーザーに訴求できないというか、相手をしていないというべきなのか。


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