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シャニマス季節コミュ(幽谷霧子)思い出振り返りダイマ+霧子の『お祈り』について

毎年季節ごとに開催しているenza版シャニマスのプレゼントコミュが良いという話、今まではその年の購入期間を逃すと閲覧手段が無いものがあったため未読の人もいる可能性を考えると中々語りづらかったのが、最近ようやく復刻販売されるようになったので担当の霧子のぶんだけではありますがダイマ記事を書きました。

興味を引く上で必要な最低限のネタバレに留めつつまとめたので、購入を迷っている方などは参考にしていただければと思います。

また付随して、一部のプレゼントコミュも含め霧子の台詞に頻出する『お祈り』という概念についてもこれまでの情報を整理した上で少しだけ考察してあります。


クリスマス編

記事投稿現在復刻中です。有償アイテム以外で開放出来ないコミュが実装されたのもクリスマスからでした。

余談として、ゲーム外ではありますが初年度辺りの一番古いクリスマス企画で各アイドルからこうした画像が届くデジタルはがきサービスなんてのもありました

ミッション達成で無料獲得出来るものも含め一人につき3つ(+お返し1つ)コミュがあるので季節イベントの中でも一番内容が充実しています。

2019年

初回の2019年は、有償プレゼントのコミュが特に【菜・菜・輪・舞】のTrue Endが好きだったような人へおすすめしたい内容となっています。

絵柄が気に入ったお菓子の包み紙を綺麗に取っておいたり、親しい人と過ごしている時に渡された何気ない品物をずっと大事に持っていたり、そういう経験がある人にはとても刺さる話じゃないかと思います。

ちなみに有償プレゼントをあげた後に開放されるお返しコミュはどんなものかというと、クリスマス当日の夜に明かりを消した部屋で霧子と二人きりで過ごす話です。

嘘だと思う方はぜひ購入してご自身の目で確かめてみて下さい。

2020年

翌年のプレゼントはどれもシンプルな物ばかりですが、真っ先に目を引くのが有償の『まつぼっくり』です。

実装当時ユニット毎1000ジュエルで販売されていたのを見た際はリアルマネー1000円の高級まつぼっくりやべぇなとか思いましたが、今年の再販では全ユニセット売りにされたため3800円の超高級まつぼっくりにグレードアップしています

霧子からのお返し品も含めて金銭的な価値より大事なものがあることを感じさせてくれるような暖かい話が揃っているので、この年のもすごくおすすめです。

2021年

クリスマスは毎年何かしら他のコミュと繋がりを感じさせる要素がありますが、2021年のものは特にGRAD編(及び【琴・禽・空・華】)を意識したような内容になっています。

補完として感慨深くなるような話が揃っている他、霧子がクリスマスという概念をどう捉えているかについてもこの年のコミュの中で聞くことが出来ます。

2021年には公式ツイッターからDMでクリスマスカードを送ってもらえる企画もやっていました

お返しで霧子からもらえるアイテムが予想外に壮大で、おそらくこれまでの各アイドルからのプレゼント全体で見ても上位に入るくらい印象に残ります。

2022年(お祈り)

記事のテーマに挙げた『お祈り』があることからも分かる通り、2022年は色んな意味で内容が濃いです。

しれっと担当アイドルとクリスマスディナーを予約してるPが一番の突っ込みどころ

お返しコミュとアイテムの説明が抽象的ですが、この年の初めに『はねむしちり』の【午・燦・娘・娘】が実装されていたことを思い出すと一年の締めくくりとして腑に落ちると思います。

最初のコミュの『お祈り』についてですが、ここで出てくる霧子の台詞は4thライブの演出で各アイドルが書いた手紙の一節と共通しているので、当時メモした全文を引用しておきます。

誰かがちぎるパンが 誰かをあたためてくれますように
誰かが歌ううたが 誰かをゆるしてくれますように
誰かが誰かと ほほえみあう場所で
あなたに見えるものが わたしの形をしていますように
聞こえてますか
お祈りをつづけてね
わたしは今、わたしのお祈りが とてもよく響く場所にいるから

『パンが誰かをあたためる』というのがGRAD編のパンの喩えに通じていると考えるなら、Pが『医者になってもアイドルでいても霧子が誰かに生きる希望(パン)を与えられることには変わりない』という旨の話をしていたように、人それぞれがその人なりの仕方で誰かに希望や暖かな感情を分け与えることが出来るようにという願いであると読み取れます。

『うたが誰かをゆるす』というのも、怪我で自身のGRAD出場が叶わず霧子に八つ当たりしていたアイドルが霧子のパフォーマンスを見て感動し声援を送る立場になったことで双方が赦されたような状況に当て嵌めれば、すんなりと理解出来る気がします。

シャニソンの方でもアンティーカシナリオ二章に最新版のお祈りとも言えるようなシーンがありますが、こっちはより平易な表現のため主旨が分かりやすくなっています。

全てに共通している要素として、『あなた(とわたし)に見えるもの』や『みんな(の存在自体)』といった観念的なものへの認識が同一に重なるよう希求している点が特徴的です。

たとえば【夕・音・鳴・鳴】のTrueで、『知らないうちに人を別の場所へ移してしまう妖怪』の話に対して居場所が変わったとしても自分が今大事にしているもののことは覚えていたいと答えていたり、【我・思・君・思】で今知覚している世界が夢でも現実でも目の前にいる対象が自分の知っている存在と変わらないのならそれでいいと言っていたり、霧子は物理的な次元ではなく人格や関係性など精神的な領域での不変性(専門的な単語に当て嵌めるならウパニシャッド思想の『アートマン』概念や、平たく言えば魂みたいなものでしょうか)こそが本質だと意識しているように見受けられます。

自分と他者は同じものを見られるかというテーマに関してはLanding Point編でも顕著に描かれていましたが、あちらのシナリオの結末を要約すると

・人は誰しも他者(霧子)に対して自分が見たい姿を投影してしまうから何が本当の姿と言えるかは本人も含め誰も画一的に定義出来ない
・その上で霧子自身は自らと相手の望む先にあるものが同じ形であることを祈っている

という内容であったかと思います。

LP編のこの命題のどこに意義を見出すかも人それぞれなので正解や結論は無いですが、どちらかというと読者の間では前者の部分が解釈議論などの場で免罪符的に持ち出されることが多く、後半の霧子自身の祈りが向かう先にあるものについてはそもそも具体的に顧みられること自体少ないように感じられます。

霧子が本当に何を考えているかは霧子にしか分からないことで他人はどこまでいってもそれを外から推し量るしか出来ませんが、それでもこれまでの歩みを振り返れば、霧子が少なくとも他者の人格を蔑ろにして利己的な充足を得る類の望みを持っているような人物ではないということだけは確かと言えるんじゃないでしょうか。

普段ごみ同然に気にも留められず捨てられてしまうようなものに美しさや愛おしさを見出したり、自分たちが贅沢をすることよりも些細な人助けのための時間を優先することを良しとしたり、そうした優しさを一緒に共有して同じ方向を向いていられることが霧子にとっては幸せであり、霧子本人もこの先ずっとそれを幸せと感じられる人間のままでいたいという願いが、このお祈りには込められているように思います。

あるいは『誰かが誰かとほほえみあう場所』を広い意味で捉えるなら、霧子たちがアイドルとしてステージに立ちパフォーマンスで観客と同じ感動を共有出来る状況なども、同じ形のものを見るということに含まれていると言えるかもしれません。

いずれにせよ、お互いが同じものに対し同じ思いを抱ける心を持った自分のままでいられるのなら、たとえ居場所が変わっても記憶を忘れてもまた何度でも同じように関係を築いてほほえみあうことが出来るはずだという人間観が、霧子の根底にあるように思えます。

CANVASシリーズ『とある英雄たちの物語』収録楽曲の世界観も、互いに結束しながらも悲運に見舞われて殺し合いの結末になったアンティーカ騎士団が時空を超えて再び仲間として巡り合いハッピーエンドに向かって行く一連のストーリーのようになっていました

霧子の気持ちや望みを理解出来ると他人が勝手に考えてしまうのはおこがましいことですが、こうした季節コミュが『霧子は何を喜んでくれるのか』を主題にした場面だと捉えるなら、彼女が同じ形で見ていたいと祈ってきた時間がどんなものなのか、多少なりとも感じ取れるのではないでしょうか。

2023年

今年2023年のクリスマスはというと、これまでにも増してプレゼントをあげたときの霧子からの反応や言葉が嬉しいものが揃っています。

『あつまるところ』は帰る場所をテーマにした【窓・送・巡・歌】を思い出しますし、『となり』は秋頃実装された恒常サポの【楓・風・娘・娘】を読むとより意味が沁みるので、今年一年の振り返りとしてもとても良いものになっています。

ついでに余談になりますが現在アイマスの年末配信『ゆくM@SくるM@S』の企画でシャニマスから霧子が選出されており、ポータルサイトでメッセージや壁紙なども配布されているので、そちらも併せて今年は色々と霧子Pにとって嬉しいクリスマスシーズンになりそうです。

バレンタイン・ホワイトデー編

バレンタインとホワイトデーは短いながらも霧子の温良な価値観がよく表れている話が多く、毎年そういう気遣いの視点があったかと関心させられるような内容になっています。

個人的に一番好きなのは2021年のもので、単に美味しいチョコを送るだけではない思い遣りの示し方やコミュ全体の穏やかな空気感が特に秀逸です。

もう一つ特にインパクトが強いもので、今年度の『処分品』があります。

これを贈るに至った経緯は【犬・猿・雉・霧】の話などにも通じるような霧子の深い人間性が表れているので、こちらもぜひ読んでもらいたいです。

ハロウィン編

アイテムを使うとホーム画面から見られるようになるハロウィンのイタズラコミュはどれもアイドルのリアクションが可愛いですが、中でも2021年の『イタズラケーキ』は他より比較的文量が多めで選択肢分岐もあるため特におすすめです。

霧子の場合はいきなりGRAD編のねずみさんととりさんの話にも通じる重たい寓話が始まり、その着地点もいかにも霧子らしい優しさに満ちているので、イタズラ機能としてだけでなくコミュとして満足出来るものになっています。

おわりに

こういうシーズン毎のちょっとしたイベントはガシャやメインシナリオなどコンテンツの目玉ではないファンサービス的なものだと思うんですが、そのぶん客側からするとキャラへの愛着を深めて長くログインを続けてく上では結構なモチベになります。

同時に主力商品ではない故にコストカットなどで真っ先に切られる可能性がある(実際自分が過去にやっていたデレマスのモバゲー版ではサ終までの過程で季節毎のキャラコメントが年々削減されたり流用になったりしていた)上に、時節と結び付いているのでもしかすると『次』は無いかもしれないという有限性を特に意識させられる要素でもあります。

冬優子の【三文ノワール】で本人の有限な人生の時間を世間に消費されてゆくアイドルという職業の残酷な側面とシャニマス自体がいずれサ終する商業作品であるというメタ的な側面双方から相当踏み込んだ話をしていたのも記憶に新しいですが、シナリオを作る側も読む側もどこかしらでこのコンテンツが刹那性に裏打ちされた娯楽であることを常に自覚しながら関わっているんじゃないかと思います。

その手の深読みに関するものだとシャニソンのアンティーカシナリオ2章で見られる霧子の地方営業コミュも短いながら考えさせられます

季節が巡って一年も経つ頃にはゲームのサービス形態も変わっているかもしれませんし、客の方も生活環境の変化でコンテンツを追えなくなったり愛想を尽かして去っている人がいてもおかしくありません。

このnoteのようなブログサービスも永続的に残るものではないですが、そういう意味においても良かったと感じたものには良かったと、記録に残る形で言えるうちに言っておくのがせめてものお返しではないかと思うので、この機会に記事を書いておくことにしました。

物が残らず実用性が低い部分のソシャゲ課金には普段あまり手を出さないという主義の方もいるかもしれませんが、今だけの思い出を買うものとして、こうした有償コミュで担当アイドルにプレゼントを渡す時間を楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。

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