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【台本公開】人類の希望「エルヴィン・スミス」と懐刀「アッカーマン」の宿命

先日YouTubeに投稿した動画の台本を公開します。

YouTube LIVEをしながら下記に転記していきます(2024/6/12)

遡れば「カール・フリッツとケニーの祖先」から
現代においては「ウーリとケニー」「エレンとミカサ」「エルヴィンとリヴァイ」

「主君の側近」という関係性だと思われていたアッカーマンもこれら4人のアッカーマンは単なる「主従関係」では言い表すことができない選択を取ることになります。

「アッカーマンの力の目覚め」についてエレンは
『 エルディアの王を守る意図で設計されたアッカーマン一族は" 護衛すべき宿主 " だと認識したタイミングで(力に)目覚めることがある 』

この(一連の)発言も「エレンの嘘」であったことを裏付ける出来事が「35巻」で起きました。

エレンの発言が正しければ、リヴァイは「エルヴィンを護衛すべき」だと認識した時にアッカーマンの力に目覚めていたはずですが

実際には「リヴァイの力の目覚め」にエルヴィンは関係ありませんでした。

「歴史的なアッカーマンの役割(王家の側近)」と「ミカサの力の目覚めにエレンがきっかけとなった事実」を織り交ぜて

「ミカサのエレンに対する感情はアッカーマンの習性によるもの」「上手い嘘」をエレンはつきました。

しかしエレンの言うようにアッカーマンには「主君的存在に従う一面」を持っていることも確かです。

今回は「アッカーマンの宿命」を「エルヴィンの人生」と共に紐解きます。

薄暗い地下街で「自分たちの生活」だけを考えて生きていたリヴァイにとって「人類の未来」のために命をかけるエルヴィンは「想像を超える存在」でした。

単純な力ではなく「想像を超える思想 = 理念」に魅せられた時

「その相手に仕えることでアッカーマンは力を発揮する本能」を持っていることもまた事実なのでしょう(『進撃の巨人 ANSWERS』より)

地下街で「利己的」に生きていたケニーやリヴァイにとってウーリの「世界平和」と エルヴィンの「人類の発展」を目的とした「利他的な思想」は得体の知れないものであり

その時に湧き上がる感情は「畏敬の念」

しかし最終的にエルヴィンはこれまで忠義を尽くしていたリヴァイと「自分自身」すらも騙していたこと

「エルヴィンの持つ夢」を諦めさせようとするリヴァイに対してエルヴィンは感謝を伝えることになります。

なぜエルヴィンは感謝を伝え、なぜリヴァイはエルヴィンを選ばなかったのか。

エルヴィンが自分の夢を「使命」として燃やして辿り着いた「屍の頂きまでの道のり」を振り返っていきます。

調査兵団第13代団長「エルヴィン・スミス」の功績なくしてエルディアの発展は存在しえません。

「エルヴィンの功績」は大きく分けると以下の4つです。

1. 長距離索敵陣形の導入とリヴァイの入団
2. マーレの諜報員の捕獲(アニ)と撃墜(ライナーら)
3. 王政の打倒と新体制の設立
4. ウォール・マリア奪還作戦の成功

どれを欠いてもエルディアの発展は実現しないほどの功績ですがやはり全ての始まりである「1. 長距離索敵陣形の導入とリヴァイの入団」が後の功績を支える礎になっているでしょう。

エルヴィンは団長になる前から『長距離索敵陣形』を当時の団長であるシャーディスに提案していました。

それまでの壁外調査は「巨人との戦闘」を前提に行われていましたがエルヴィンはその固定観念を覆す案を提示しました。

それを『長距離索敵陣形』といい「巨人と遭遇しないため」に考案された陣形でした。

それを『長距離索敵陣形』といい「巨人と遭遇しないため」に考案された陣形でした。

陣形の「初列隊が巨人を検知するセンサーの役割」を果たしており
巨人を発見したら「赤色の信煙弾」で団長のいる中心部まで順に伝えていき
団長が巨人のいない方向へ「緑色の信煙弾」を放つことで巨人との遭遇を避けながら壁外調査を行うことができます。

ただし目の前の人間を無視して「大勢の方に向かう奇行種巨人」に対してのみ「黒色の信煙弾」を放って戦闘を行います。

この陣形と3種類の信煙弾によって調査兵団はまるで「ひとつの生き物」のように意思伝達を行うことができ壁外調査での死亡者を劇的に減らすことになりました

エレンの時代には『長距離索敵陣形』は、調査兵が最初に学ぶ基礎になっていましたが、初めて実戦で導入するまでには様々な「政治的な障壁」があり
初めて実戦で導入するまでには様々な「政治的な障壁」があり、その鍵を握っていたのが「リヴァイの存在」でした。

シガンシナが超大型巨人によって陥落するおよそ一年前(844年)リヴァイはまだ地下街に住む単なるゴロツキのひとりでした。

「(ゴロツキの)リヴァイを調査兵団に勧誘したのがエルヴィン」であることは、原作でも公言されています。

エルヴィンがリヴァイを勧誘したのはリヴァイが「即戦力」である他に当時の調査兵団を渦巻く環境が原因であったことが、スピンオフ作品『進撃の巨人 悔いなき選択 ※2 』の中で描かれています。

壁外調査を廃止することで壁外調査の資金を横領しようとする貴族の存在により「エルヴィンが考案した長距離索敵陣形を試すことすらできない」

しかしエルヴィンは「資金を横領している貴族の情報」を入手し貴族側を脅すことで「次回の壁外調査のチャンス」を手に入れましたが
そこで成果を上げなければ「壁外調査自体が廃止される」ところまで追い込まれていました。

一方でリヴァイたちは資金を横領している「貴族側に雇われた諜報員」としてエルヴィンの持つ横領の証拠となる書類と命を狙うという「敵対関係」=「リヴァイとエルヴィンの最初の関係性」でした。

しかしエルヴィンは「(リヴァイたちを)貴族側の諜報員」であることも看過した上で、あえてリヴァイたちを調査兵団に勧誘していました。

エルヴィンはそれほどまでにリヴァイの才能を買っておりリヴァイが「変革の一翼」を担う と信じていました。

しかし一方でリヴァイたちは貴族側と交わした「王都で暮らす権利」という報酬をより確実なものにするために、エルヴィンの持つ書類を「貴族を脅す道具」として手に入れようとしていました。

ここで「貴族」「エルヴィン」「リヴァイ」の三者の思惑を図で示します。

❶エルヴィンは「貴族が資金を横領していること」を突き止めその情報で貴族に圧力をかけることでまずは壁外調査を存続させることに成功する

❷貴族はリヴァイたちに接近し「王都での暮らし」を報酬としてエルヴィンが持っていると思われる物的証拠とエルヴィンの始末を依頼する

❸その貴族の行動を追跡していたエルヴィンたちは逆に「真の物的証拠となる書類」を手に入れる

❹リヴァイたちはその書類をエルヴィンから奪って逆に「貴族を脅す道具」にすることで報酬である王都で暮らす権利を確実なものに

❺エルヴィンは壁外調査を成功させるための戦力としてリヴァイたちを調査兵団に勧誘するが貴族側は「諜報員(リヴァイたち)の潜入」としてリヴァイ側は「雇い主(貴族)を脅す書類の奪取」として「リヴァイたちの入団」は、三者の思惑が一致していた

❻エルヴィンはリヴァイたちが書類を狙っていることも分かっていたため書類のありかの可能性を散りばめることで、リヴァイたちを『長距離索敵陣形』を試験的に運用する壁外調査まで参加させることに成功した

❼リヴァイたちは「エルヴィン本人が書類を保持していること」を突き止めるがそれもエルヴィンの思惑通りことが進んでおり
リヴァイが壁外調査中にエルヴィンの元に辿り着いた頃にはその(本物の)書類は総統のザックレーの元に渡っていた

以上が「貴族」「エルヴィン」「リヴァイたち」の複雑に絡み合った思惑を整理した内容になりますが
結局リヴァイたちも雇い主の貴族も「エルヴィンの手のひら」で踊らされた上でエルヴィンは無事 壁外調査を実行に移すことができました。

そしてリヴァイが壁外調査に参加していなかったら「大雨による巨人の奇襲」というアクシデントにより
『長距離索敵陣形』の成果を議会に提出できない可能性もありましたが
エルヴィンには「長距離索敵陣形の提案と導入」というだけでなく「調査兵団という組織を存続可能にしたこと」もエルヴィンの知略による功績

そしてエルヴィンの「さらなる功績」として「調査兵団という組織を存続可能にしたこと」もエルヴィンの知略による功績

「後に世界を救う英雄となるリヴァイを調査兵団に本当の意味で入団させたこと」

リヴァイの兄妹分であるイザベルは調査兵団で活動する中で調査兵が自分たちの暮らしのためではなく 人類の未来のために命をかけていること

そしてその動機が「地下から地上」に出ようとしている自分たちのように調査兵たちも「壁内から壁外」に出ようとしてる

「根本的な願望が一致していること」に気づきイザベルは調査兵に敬意を表すようになっていました。

リヴァイの中でもその「イザベルの気づき(自分たちと調査兵が似た境遇)」が頭の中を巡っていたこともありましたが

「自分たちの暮らし」という私欲のためにエルヴィンの命を狙ったことによってイザベルとファーランは命を落とすことになりました

「自分が選択を間違えたことで仲間たちを死なせてしまった」と思っていたリヴァイに、エルヴィンは次の言葉を投げかけます。

『私の部下を、お前の仲間を殺したのは誰だ? 私か? お前か?』

『 違う 巨人だ 』

エルヴィンは「人間同士の争い」に縛られていたリヴァイの思考 を「壁の外(世界)」に向けさせます。

そしてリヴァイたちを雇った貴族を揶揄しながら壁内にいるだけでは私欲に縛られて目が曇ってしまうこと

「(雇い主の貴族のような)目が曇ってしまった人間と同じでいいのか」リヴァイに「生き方」を問いかけます。

続けて「リヴァイの力は人類に必要であること」と私欲に縛られて「暗い地下」に戻るのではなく自分たちと共に「壁の外」を目指すように伝え「本当の意味」で調査兵団に入るように檄を飛ばします。

調査兵団で過ごす中でイザベルも含めてリヴァイの中にも「自分の力 = 他者から求められる能力」であることに、自尊心が芽生えた瞬間がありました。

そして自分たちが「地下から地上」に出るために必死なように

調査兵団も「壁内から壁外」に出るために必死であるという「境遇の一致」と「自分の力(利己)が人類の未来のため(利他)になる」

リヴァイはエルヴィンに忠義を示す関係になりました。

しかしエルヴィンはウォール・マリア奪還作戦にてその時のリヴァイとのやりとりをその時のリヴァイとのやりとりを「仲間を騙し」と回想の中で独白

「エルヴィンの夢 = 真実を知ること」になった要因は
「自分の知的好奇心によって父親を死なせてしまった過去」にあるでしょう。

幼少期のエルヴィンは授業で壁の外の歴史を学んでいるときに「ある疑問」が浮かびました。

『 壁の外に人類がいないって どうやって調べたんですか 』

エルヴィンの父親はその場では答えず家に帰った後に
王政の配布する歴史書には数多くの矛盾が存在すること
「壁内の人類は王によって記憶を改竄された」という仮説 をエルヴィンに話しました。

その父親との話を街で話していたところを憲兵に見つかり
父親は王政に殺されることになりました。

その時からエルヴィンの使命は「父親の仮説を証明すること」になり
調査兵団の団長となったエルヴィンは「個人的な使命」を時には「全体的な理念」にすり替えて仲間たちを地獄に導いてきました。

リヴァイは「巨人の正体が人間」だと分かった時のエルヴィンの表情や合理的な理由もなくウォール・マリア奪還作戦に参加しようとするエルヴィンの判断からエルヴィンが「非合理かつ個人的な欲望」で突き動かされていることに気づいていました ※3 。

片腕を失っているエルヴィンがウォール・マリア奪還作戦に参加する理由として
『この世の真実が明らかになる瞬間には、私が立ち会わなければならない』
あまりにも「非合理な言い分」に対して
『お前の判断を信じよう』とリヴァイは従いましたがそのエルヴィンの判断に対する「怒りの感情」が「必要以上の暴力」でエレンとジャンの喧嘩を止めたシーンで現れています ※3 。

そのウォール・マリア奪還作戦にエルヴィンを参加させないようにしていた「リヴァイの不安」が実現してしまうことになります。

前方からは岩のつぶてを投げ続ける獣の巨人と
後方からは超大型巨人が攻めてくる「地獄のような窮地」に

前方からは岩のつぶてを投げ続ける獣の巨人と後方からは超大型巨人が攻めてくる「地獄のような窮地」にリヴァイは「調査兵団の全滅」を覚悟することになりました。

しかしエルヴィンは「その場を打開する策」を思いついていましたリヴァイに話すことを躊躇していました。

なぜならその策は「自分(と新兵)の命を囮」にしてリヴァイが獣の巨人を叩くという作戦だったからです。

「エルヴィンの本心 = すぐ近くにある地下室に向かって真実を知ること自分の欲望と団長としての責任の狭間で葛藤していました。

ここからエルヴィンの一人称が「私」ではなく「俺」に変わりますが団長としての自分(私)ではなく、エルヴィン・スミスという「一人の人間としての自分(俺)」の本音が表れていきます。

今まであらゆる困難に対して「合理的かつ非情な決断」を下してきたエルヴィンが「子どもの頃からの夢」も「死んでいった仲間たちへの想い」も
『すべては子供じみた妄想に過ぎないのか』と「自分のこれまでの人生の意味」をリヴァイに問いかける様子からは

信頼する仲間に全てを曝け出して救いを求めているようにも感じます。

しかしリヴァイに『夢を諦めて死んでくれ』と言われた後に『リヴァイ、ありがとう』と感謝を伝えたことから「リヴァイに作戦を話した時点」で本心では自分の夢を諦めようとしていたのではないか

「リヴァイならきっと諦めさせてくれる」とエルヴィンは信じていたのではないでしょうか。

エルヴィンは自分の夢のために「仲間を騙してきたこと」も理解しており
その罪悪感が責任感となって地下室に行くことを躊躇させていた

しかしリヴァイから『夢を諦めて死んでくれ』と言われ
エルヴィンが『ありがとう』と感謝を伝えることができたのはエルヴィンが「夢の奴隷から(自らの意志で)解放された瞬間」を描写しているのではないでしょうか。

それまでのエルヴィンは「自分の仮説が真実に近づいた時」に笑みを浮かべておりエルヴィンの笑顔は夢に執着している「奴隷としての側面」

最後の朗らかな笑顔は それらの執着から解き放たれた「自由の側面」

そして決死の特攻作戦の末、「瀕死の状態となったエルヴィンとアルミンのどちらに脊髄液を注射するのか」

究極の選択をリヴァイは迫られることになります。

数々の功績を持つ「団長のエルヴィン」と
才覚を発揮している段階の「一兵士のアルミン」では経験の差を考えてもエルヴィンを蘇らせることが合理的な判断でしょう。

経験の差を考えてもエルヴィンを蘇らせることが合理的な判断でしょう。

リヴァイはエレンやミカサの必死の抵抗を振り払いながらエルヴィンに注射器を使おうとします

「人類の未来のため」というエルヴィンから影響を受けた理念を「使命」としていたリヴァイは人類のために感情を捨てて「合理的な判断」を下そうとしていました。

しかしその時「3人の姿」が頭の中を巡ります。

アルミンには地下室の先にある海を見ることに夢を抱いていること

エルヴィンは地下室で真実を知った後にどうするかは分からないと言っていたこと

そしてケニーの『みんな何かの奴隷だった、あいつでさえも』
偶然にも夢を見ているエルヴィンがリヴァイの注射器を持つ手を振り払います。

アルミンもエルヴィンもケニーの言葉を借りれば「夢の奴隷」アルミンの方が「より先の未来の夢」を見ていることは事実としてありました。

「注射器を自分に打って生き延びようとしない判断」に疑問を持っていました。

そしてケニーは自分自身を「力の奴隷」だと言っていましたが、リヴァイは瀕死の状態のケニーを発見した時「力に執着していたケニー」が注射器を自分に打って生き延びようとしない判断に疑問を持っていました。

ケニーはリヴァイと話す中で、忠義を誓っていたウーリでさえも「得体の知れない崇高な存在」から「平和の奴隷」に過ぎないことを理解して笑みを浮かべました。

そして自分に注射を打つのではなく
「リヴァイに託す選択」を取ったケニーは自分自身の力で「力の奴隷 = 執着」から抜け出し「ひとつの自由意志」を達成したように感じます。

リヴァイにとってエルヴィンも「得体の知れない存在」 =「畏敬の念」を抱いていましたが
世界の真実が明らかになるごとに「エルヴィンは子供のような夢を追い求めていただけの存在(夢の奴隷)」

しかし最後には「エルヴィンの夢を諦めさせる代償」として獣の巨人を仕留めることを「エルヴィンの最後の命令」として受け入れる選択をリヴァイはしていました。

その選択をしたリヴァイにエルヴィンは『リヴァイ、ありがとう』と笑みを浮かべて感謝を伝えますが

その記憶と同時に「ケニーが自分に注射器を託した記憶」もリヴァイの中で蘇ります。

ケニーが自分の意志で「力の奴隷」から抜け出して「注射器を託すという自由意志」を達成したように
エルヴィンも自分の意志で「夢の奴隷」から抜け出して「獣の巨人を仕留めることを託した自由意志」を最期に伝えられた「エルヴィンの感謝」から(エルヴィンの自由意志を)リヴァイは感じ取ったのではないでしょうか。

「自分の意志で奴隷から抜け出したエルヴィン」を同じように「奴隷から抜け出したケニーに託された注射器」で「再び奴隷(地獄)に戻すこと」はリヴァイにはできなかったのだと思います。

結果として人類にとっての「合理的な判断」ではなくケニーやエルヴィンに対する「個人的な情」に流されてしまったと取られても仕方がない決断でしたが
天と地の戦いでリヴァイは「エルヴィンではなくアルミンに未来を託したことに悔いはない」と言っていました。

リヴァイが言っていた「結果は誰にも分からない」という言葉は合理的な判断が必ずしも正解とは限らないこと

そして一見すると「非合理な判断」だったとしても、「他者への愛情という非合理な感情」が「最後までリヴァイやミカサの戦い続ける原動力」になっていたことも確かです。

選択の結果は誰にも分かりませんが、エルヴィンは「地下室で真実を知るという夢が叶った後のことはどうするか分からない」と言っていたことや

何より「その夢を一度諦める判断」を下したエルヴィンが蘇った時に今まで通りのパフォーマンスが出せるのか?

もしリヴァイの言うようにエルヴィンが「地獄から解放された」と思っていたのなら尚更でしょう。

リヴァイは「獣を仕留める約束」とエルヴィンたちと夢見た「理想の世界」を胸に最後まで戦い続け、エルヴィンたちが捧げてきた心臓に意味を与えることができました。

時に「非合理とも思える感情(愛や自由)」によって「合理を超える結果をもたらす可能性 = 進撃の巨人のテーマ性」

そしてエレンがついた嘘のように「アッカーマンが宿主の命令に従うだけの奴隷」でないことは、王の思想に異を唱えた過去のアッカーマンやケニーやリヴァイ、ミカサの選択が証明しています。

主従の関係ではなく、対等な関係であることをウーリは「友人」と表現しましたが
エルヴィンとリヴァイは「仲間」、エレンとミカサは「家族」のようなそれぞれの「対等な関係」を築いていた。

そして過去のアッカーマンは王家の「懐刀」と言われていましたが「対等な刃」が向かうのは必ずしも敵だけではなかったのです。

奴隷という名の「執着」から解き放たれること

つまり「自由」が進撃の巨人のテーマのひとつであるなら
ユミルもエレンもエルヴィンも「愛や自由や夢の執着」と戦いながらも、それらに終止符を打ってくれる「懐刀」を待ち続けていたとも考えられます。

「主君的存在の理念」に忠義を示しながらも時には彼らの執着に終止符を打つアッカーマンは、進撃の巨人の物語において「最も自由な存在」だったのかもしれません。

追記)ケニーやエルヴィンの「他者に託す」という選択が「個人的な執着」からの解放を意味しているのではないでしょうか。

追記)「白夜」というタイトルは死の淵を彷徨いながら夢を見続けているエルヴィンの心情を情景化した(日が沈まない夜)のではないか(夜:地獄、日:夢)
その夜(白夜)に終止符をリヴァイは打ったのではないか

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