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”re”ってなんだろう

2年位前だろうか。妻に送ったショートメールの返信が「り」のみであったことを覚えている。たしかその日の朝、テレビでなんでも省略する若者文化に関するちょっとした特集を放送していて「り」は「了解!」の略であることをレポーターが伝えていた。たしかに意味は通じた。だけどなんだか味気なさすぎる気がした。妻は男っぽい性格で付き合いやすい反面、もう少し優しく接してほしいと感じることが頻繁にある。

日本語は同じ発音でも複数の意味となる単語がいくつもある「ハイコンテキスト」な言語であり、日本の「デフォルメする」「簡略化する」行為は一種の文化であることは認めよう。
だが英語圏はどうなのか。簡略化する行為はそれほど頻繁には行われていないのではないだろうか。

どうでもいいことだけど、今回は”re”について深く考えてみる。

接頭語としての”re”を漢字で表すのであれば「再」である。モノづくりとか開発行為に関係する単語で”re”が付くものをいくつか挙げてみる。

reframe:再定義する、再構築する
redevelop:再開発する (名詞)renewal
reset:初期化する、規定値に戻す

「常識を疑え」というフレーズがそこらじゅうでささやかれている今日この頃。言葉というものは絶え間なく変化し続けるものなので、古い常識はさっさと捨ててしまうか「再定義」した方が良い。

僕の仕事の本分は、開発の進捗管理をしたり、企画書や仕様書を書くこと、様々な書類の”review(見直す、確認する)”することだ。機器の"renual(再開発)"を任された場合、捨ててしまった方が良い機能はないか、直しておいた方が良い弱点はないか、市場はどう変化したのかなどを考え、その機器の存在意義を再定義することを心がけている。再開発と聞くと余り面白くないように捉えられがちではあるが(僕がそうでした)、個々人が持つクリエイティビティを発揮する要素は必ずあるのだ。どうせなら再開発を楽しもう。

reform:改革する、改善する
rework:修正する、手直しする
review:見直す、確認する

エンジニアにとって「手直し」はやや屈辱的な行為だ。社会人になって最初に入った会社で、僕は何度となく手直し作業をやらされた。もちろん自分のミスで手直しが必要になったこともあるのだが、他人のミスを手直しするのはやはり面倒だし、してもらう方も申し訳なさそうにしていてやや気まずい。
手直しを発生させないために、次の開発が始まる前にやらなければならないことはルールの見直しや反省であり、失敗の原因を人ではなく組織の問題として捉えることである。

restart:再出発する
relearn:学び直す

この春、僕は新しい部署に配属された。上司を含め、わずか4名しか居ない部署ではあるけれど、フラットな組織でスタートライン に再び立つのはなかなか悪くない。中途入社して12年、イノベーションを起こすためにいろいろなことに挑戦し、いろいろなスキルを磨いてきた。ようやく得た自由は誰にも渡さない。

話しは変わるが以前子供と一緒に結構ストイックなスイミングスクールに通っていたことがある。きつい練習メニューのひとつに「ゼロスタート」があった。通常、水泳は飛び込んだり壁を蹴ってスタートするのだが、「ゼロスタート」は水上に浮かび、推進力が全くない状態から手足を動かし推進力を自分で作り出すメニューであった。

どんな企業でも業務の推進力はモチベーションだ。4月から新しい部署の一員になった訳だが、他のメンバーは何をモチベーションに仕事をしているのだろうか。彼らは胸襟を開いて話をしてくれるだろうか。何はともあれ僕に出来ることをやろうと思う。


2019年はフリーターとしてスタートしました。 サポートしていただけたら、急いで起業します。