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暖かくなるのはなぜか、前半〜ダウンウェア③〜

では具体的に暖かくなる仕組みについてです。

夏に接触冷感素材についてやりました。
その時に秋冬の防寒系の素材や洋服は同じような原理を利用して逆のことをやってると書きました。

余裕ある方はもう一度どうぞ>

要約すると、冷感(涼感)は主に下記の3つの現象を利用してるという内容でした。

《冷感現象①②③》
①熱伝導率のいい素材を使って実際に肌に触れると熱が奪われひんやり感じられる。
②吸水(吸湿)速乾系素材で毛細管現象、気化熱などの現象を利用して表面体温を下げる(熱を外部にどんどん逃す、クールマックス、エアリズムなど、、)
③糸、生地の工夫で肌との接触時間・面積を少なくして空気の通り道をつくってベタつかせない、こもらせない


防寒はこの①②③の現象の逆のようなことをやってます。
順番に説明していきます。


《冷感現象①》
●熱伝導率のいい素材を使って実際に肌に触れると熱が奪われひんやり感じられる。

鉄とかコンクリートを触ると冷たいのは熱伝導率がいいのですぐ体温を奪われるからです。衣類としては冷感素材として麻、キュプラ、レーヨン、など熱伝導率のいい繊維が使われます。

逆をやるにはどうするか?

《防寒》❶

◉熱伝導率の悪い『空気の壁』で断熱して外気温を内部に伝えない、体温の熱(放射熱)も外に伝えない(逃さない)。

夏は基本薄着なので接触冷感も実際に肌に触れるものとして熱伝導のいい冷感素材を使いますが、逆に暖かくしようと思ったらどうすべきか?

人は体内でつくられた熱を放熱することで体温をコントロールしてます。が、常に放熱状態なので周りが寒いとガンガン熱を持ってかれます。

熱伝導率の悪い素材で服をつくるのか?

実は防寒の場合は、肌に触れる素材が一瞬暖かいとかではなく、一歩進んで冷たい外気を遮断するために身近な熱伝導率の悪いモノを利用してます。 

“空気“です。断熱するため空気を利用してます。

https://ameblo.jp/uni-con/entry-10350353429.html

(熱伝導率を比較しているサイトです。数値基準とか全然わかりませんが、とにかく空気の伝導率が飛び抜けて悪いのをご確認ください。)

冬の防寒は、冷たい外気の温度を伝えない空気の壁を体の周りにつくります。
同時に熱源としての人体を空気の壁で包み込んでしまいます。

ただ、仮に空気だけの層をつくっても断熱効果はそれほど得られないらしいです。空気の壁の中で空気が対流してしまうと熱は逃げたり、偏ったりしてしまうようでできるだけ“動かない、対流しない空気の層(デッドエア)“をつくらないといけないそうです。
布団に空気だけ入れてもダメということらしいです。

そのために空気をたくさん含んで対流させない構造のものが必要になります。

「ダウン」は細かな羽枝、小羽枝が絡み合い、それがたくさん空気を含んで膨らんで対流させません。(フィルパワー、かさ高度はこの基準)

効率よく動かない空気の壁(デッドエア)をつくってくれる「断熱材」として「ダウン」はかなり優秀な素材のようです。


《冷感現象②》
●吸水(吸湿)速乾系素材で毛細管現象、気化熱などの現象を利用して表面体温を下げる

水分(蒸気発汗含め)をガンガン吸収し、どんどん外部に放出すると熱も持っていかれて常にサラッと涼しい(=寒い)環境が維持できます。

逆をやるにはどうするか?

《防寒》❷

◉まさに逆の現象、吸湿発熱を利用する。(ダウンやウールは吸湿発熱素材と言われている)

【吸湿発熱(吸着熱)】

ダウンの防寒性の要因の一つ。
代謝にともなって体からでる水蒸気を吸収して熱変換する仕組みです。
(気化熱の逆の現象のようです。気体から液体に変化する際、熱をともなう)

といってもこの現象は特別なことではなく常におきていることです。
綿のカットソーでもウールのセーターでも起きてます。

ウールのセーターきたらやっぱり暑いとか裸よりはTシャツ一枚着てた方が意外とあったかいというのもこの現象が要因の一つです。
日常的にあらゆる素材の衣類でもおきてます。

ダウンはこの現象の効率がよいですがそれも小羽枝の繊維としての細かさがよりたくさんの蒸気を含んで熱変換するからのようです。

人工防寒素材、防寒中綿はほぼこれ使ってます。
吸湿発熱現象を効率アップするよう、繊維を加工してます。
シンサレート、プリマロフト、ブレスサーモ、ヒートテックなどなど、、
(ダウンの代替品としてダウンでおきてる現象を研究してつくられたケースが多いようです。)

ただ、素材ごとに吸湿できる水分量は決まってるみたいで飽和したら発熱は終了です。(だいたいほのかに暖かいくらい)
それ以上の水分はできれば外に逃した方がいいようです。

なので冷感では「吸水(吸湿)速乾」は主役でしたが、防寒では「吸水発熱」にそこまでの効果は期待できず、基本“デッドエアによる断熱“の方が主役のようです。

必要なことは保湿性と透湿性の両立です。

=マジ物理現象として知りたい方はこちら(すごくわかりやすいですが内容は難しいです)=

冷感・防寒同じ現象を利用するの意味わかりましたでしょうか?

長くなりましので続きは次回に!!


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