ジャケット袖口、「アキミセ額縁仕上げ」 (洋服の修理をうける際に気をつけること❻)
1〜4、の項目がどういうことか具体例をあげて順番に説明しています。
2、もとのデザイン、形状が再現できるか
の「ジャケット袖丈のツメ、ダシについて」続きです。
既製服の修理はどこを調整したとしても、「もとのデザイン、形状を再現する」ことが必要になります。(仕様変更は別です)
メンズドレススーツのジャケットの袖なら(見た目ではわかりませんが)大抵「ツメダシ可能」・「再現可能」です。
というのも『丈調整するかもしれない』の前提でつくってあるからです。
前回、再現可能なものとして参考までに私物ジャケットの袖口をバラしにかかってる途中でした。(で、ついでにジャケットの袖口形状の主な種類を紹介したところで終了。)続きです。
このジャケットの袖口「アキミセ、額縁仕上げ」をばらすと
こんな感じになってます。実はこのジャケットは一度袖丈詰めやってるので生地が表地、裏地ともに多めに残ってるようです。
「額縁仕上げ」です。絵を入れる額装の角みたいな仕上げ形状なので「額縁」とよばれてます。
裏地が邪魔なのでちょっと内側にしまいます。
アキの部分はちゃんとあるのでボタンホールつくって「本切羽」にしようと思えばできるようになってます。
既製品のジャケットの「アキミセ」はこの形状が多いです。
額縁部分とアキの部分開くとこんな感じ。たたんでうまく縫ってあります。
(しかも以前に詰めた分、丸々内側に折って生地を残してくれてるようです。青い線が詰める前の最初の袖口の位置)
全開です。(なんか接着芯かなり使ってます。接着芯の残り方を見ると袖丈け詰めの作業時にやはり生地をカットしてないっぽいです。)
ジャケット袖の「額縁」はこうしてたたんでうまく処理してることが多く
な場合が多いです。
袖詰め動画です。ちょうど『アキミセ 額縁』です。
ほどいて、詰めて、たたんで、縫製してるのがだいたいわかると思います。
短めなのでどうぞ。
(裏地のつけ方だけちょっと違いますがほぼ同様です)
* * * *
今回のジャケットみたいに丸々生地が残っているのは珍しいかもしれません。
この袖の状態なら内側に残ってる生地(裏地も残ってる)を利用して、詰めた分の袖丈をまただすこともできます。
本当は「額縁仕上げ」も“詰める分をカットしてからたたんで、縫いしろ以外の生地を処理してから縫製する“方がキレイに仕上がるようなんですが、このジャケットは“さらに再調整するかも“で全部たたんで残してありました。
(一度、2cmほど詰めてますが、修理屋さんがカットせずにたたんで額縁をつくってくれてました。珍しいです。生地が薄いからかも。)
せっかくの機会なのでバラして、あけて、「アキミセの袖のつくり」をみていただきました。袖丈調整できるつくりなのもなんとなくわかったと思います。
が、実際の接客時にこうして開いて確認するわけにはいきません。
では「再現可能かどうか?」がなぜわかるのか、ですが、結局のところ
“「サイズ調整できて、再現できる仕様かどうか」を事前に把握してる“
というだけです。
が、オリジナルのジャケットであれば、ほぼ支障なく承れる範囲(構造上も再現も)として事前に把握しています。
(それ以上の調整も受けてますがそういう時は修理屋さんが何かしら工夫してくれてる場合が多いです。そのことも知ってるので結局は受けてます。)
またすでに話が長くなってますので次回に続きます。
結果的にジャケット袖丈修理の説明になってしまいました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?