3月から私は所属が変わり,新しい研究を始めたところです.
去年学振PDも出していて,せっかく運よく通ったのですが,結局別の研究室を選んでしまいました.申請書を書く時間があまりなくて,正直なことをいうと,通るとはあまり思っておらず,別の研究室のポストも探していたら,より興味の一致するところを見つけてしまったのです.それでいて,学振PD通りましたと報告して喜ばせてしまったため,受け入れ先の先生には申し訳ないことをしました.
申請書もせっかく書いたので,目指す研究者像として書いたポエムを一部伏せて公開し,供養にします.なかなかそれっぽいことを書いていますね.計測工学の分野に出したので,少し分野に寄せたつもりです.(ところで,学振側の「身に付けるべき資質」という表現に違和感があります.資質とは生まれつき備わった性質のことではないのでしょうか?)
こうして職探しをしていると,私の興味はどこにあるのか,改めて考えさせられます.私は理学部の人間なので,自然のありのままの声を聞きたいと,そう思ってきました.自然をコントロールしたり,欲しい機能を持たせたりするのは工学部のすることだと思ってきました.しかし,自然の声を聞くためには,自然をコントロールし,機能をうまく利用しなくてはできないということが,恥ずかしながら研究して初めてわかりました.
私は,自分の体験しているこの世界が不思議でなりません.なぜ猫は重ね合わせ状態にならないのでしょうか,なぜ死んだ猫は生き返らないのでしょうか……線形で可逆な「あたりまえの」量子力学がどのようにこの「ふしぎな」古典力学と結びつくのかといった問題に実は関心があります.さて,古典と量子,どっちが不思議なんでしょうね.