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勝ってる人が勝つ様になってるゲームを勝ってる人が作ってる

昨日ご紹介した『腐るお金』の実話をご紹介します。

腐るお金を提唱したシルビオ・ゲゼルさんはこんな事を考えました。

あらゆるものは、時間が経てば価値が下がるのに、お金だけは価値が下がらない。
それはおかしい、そうするとお金の立場が強くなってしまう。

なぜなら、お金を貸す時に金利を請求することができるからです。

これが問題であると考えたシルビオ・ゲゼルは、『減価する貨幣』という、『腐るお金』を作るのはどうか?という提案をします。

そして1932年の世界恐慌で失業者が死ぬほど多いオーストリアの【ヴェルグル】という町で、実証実験が行われました。
この『腐るお金』というのは、一定期間で減価していくもので、時間がたつとスタンプが押されて、押された分だけ価値がどんどん下がっていく仕組みです。実際にヴェルグルの地域通貨として使われました。

そうすると、ヴェルグルでどんどん失業率が減っていきます。
なぜなら昨日言ったように、お金は時間が経てば経つほど腐ってしまうので、みんなが積極的にお金を使うようになったからです。

その結果、町の経済がどんどん回りました。

そしてなんと、ヴェルグルは、世界恐慌後に、完全雇用を果たしました。おそらく、世界恐慌後に完全雇用を達成した初めての自治体です。
要するに、『腐るお金』がむちゃくちゃうまくいったということです。

しかし、オーストリア政府は、この『腐るお金』を廃止にしてしまいます。
理由としては、法定通貨(中央銀行で国が管理しているお金)への影響を恐れたから…という風になっていますが…

本当は『腐るお金』で困る人がいたのです。

銀行とお金持ちです。

まず銀行です。
みんながどんどんお金を使うせいで、みんなが銀行にお金を預けなくなり、銀行が回らなくなってしまいました。中央銀行からすると、『腐るお金』というのは都合が悪いんです。銀行というのは、人からお金を預けてもらわないと商売にならないわけですから。それゆえに、排除しようとする力が働きました。

そしてお金持ちです。
これまではお金を貯め込んでおく事で金利で勝手にお金が増えていっていたものが逆に減っていく。放っておいてもお金持ちになっていく仕組みが構築されていたのに、それが出来ない。
そりゃあ困ります。そしてお金を持っている人間は当然権力が大きい場合が多いので、声を上げて自分の不都合な事は潰してしまいます。(今もそうだよね)

その結果、せっかく町を盛り上げた『腐るお金』は廃止され、なくなってしまいました。

もちろんヴェルグルは元の失業者の町に戻ってしまった。

実際は『腐るお金』には他にも問題があったのかもしれませんが、めちゃくちゃ上手くいったのに、権力者に潰されてしまうという非常に残念な結末となりました。

そして現在もほぼ同じ理由で『腐るお金』は流通していません。

いい様に見える『腐るお金』も、ある人達からすると非常に都合が悪く、それが権力者で排除されてしまった。という事ですね。

これは他のあらゆる政策や法律(世の中のルール)にもあるあるで『勝ってる人が勝つゲーム』になりがちなんですよね。

まあこれをどうすれば解決出来るのか、というのは僕の中には特に答えはないんですけどね。

選挙に行くとかなのかなぁ。
富山知事選はみんな行きましょうね、僕も(珍しく)行きまーす。笑

おしまい。


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