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山田悠介『アバター』『僕はロボットごしの君に恋をする』感想

タイトルが長え!

学校の友人に好きな作家を聞いたところ、山田悠介さんの名前を出したので、会話のきっかけ作りのために読んだ。

読んだ感想だが、山田悠介さんは弱者のエゴイズムを書くのが上手いと思った。普通、主人公をいじめられっ子の女子高生や冴えない男のような弱い者として書く場合、気は弱いが優しい心を持っている。とか、いじめられっ子だがある分野では人一倍才能がある。といった長所を持たせるものだろう。
しかし、この作者は弱い人間のことを知り尽くしている。アバターの主人公はアメーバピグみたいなゲームの為に父親の形見を売り払おうとするし、僕ロボの主人公は国家機密のロボットで友人の妹と仕事中にデートをする。弱者だからといって、善人であるとは限らないのだ。
いや、むしろ弱者こそが悪人であるというのが正しいのかも知れない。現状に満たされない者は、幸せを掴もうともがき、足掻く。時には周りの者を蹴落としさえするその様は、はたから見れば悪人そのものであろう。本人は幸せになろうとしているだけなのに。

もう一つ、山田悠介さんの作品に共通して書かれているものがある。それは、主人公が自らをより良いものに投影するということだ。アバターでは文字通りゲームのアバターを、僕ロボでは身長180センチのイケメンロボットを操り、着飾り、自分自身が美しくなったと勘違いする。そして、そんな彼らに訪れる結末は総じてバッドエンドだ。アバターでは新しいゲームの流行で、主人公の地位は過去のものとなり、僕ロボでは結局恋は叶わなかった。弱者が目先の幸せを掴もうと、安易な手段に出ても失敗するものだ。という教訓が伝わってくる。

2作品読んだ感想としてはこんな感じだ。一冊2時間もあれば読めてしまうので、息抜きに読むにはぴったりの作品だった。ただ、まだ『リアル鬼ごっこ』は読んでない(中学生の時に読んだが内容を忘れた)デビュー作を読まずにこんなに語っていいんだろうか。もし山田悠介さんのファンの方がいたら、おススメ作品を教えてほしい。

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