振り返る。双極性障害からの脱出⑤
④から続く。
わたしが入院する病室は4人部屋。
精神科病棟の病室は、個々を仕切るカーテンは一切ない。
看護師が患者の様子全て見渡せる事、何らかの事故を防ぐ為だ。プライベートは一切無い。
病室の方々は皆良い人だった。
日々軽い雑談をする程度だ。
互いにある程度の月日を共に過ごす為、なんとなく結束感もありつつ、互いの距離を置く。
病棟での決まりは、
互いの連絡先の交換はしない事。
何故ならば、精神科病棟の患者同士が退院後のトラブルを避ける為だ。
それと、互いに患者であるので、互いに負担にならない為。
精神疾患を互いに持っている以上、各々が治療の為に入院しているので、それ以上の精神的な負担を避ける為である。
入院期間の目安は約3ヶ月の方が多いが、長い方々もいる。
病院自体は2階建だが、フロア毎に鍵が掛かっている。
その病院は、急性期患者で比較的軽く、3ヶ月での退院になる方と、それ以上長い方々のフロアが分かれており、OT(作業療法)以外では接する事がない様になっている。
入院中に問題があった場合、閉鎖病棟に移される。
閉鎖病棟は、1番奥に鍵が掛かっている先に独居房の様に数部屋あった。部屋毎に鍵が掛かっており、ひとりで部屋を出る事は出来ない。
まるで刑務所だ。
もちろん服薬時は、ナースセンターに行き看護師の管理下で服用し、確認される。
色々ルールはあったし、他の病室の出入り禁止で病棟からは出られないが、それ以外は自由だった。
自分が希望したのもあり、入院先はそこまで閉塞感はなく、重度の患者とは病棟が分かれているので、少しホッとした。
みんな見た目からは病気が分からなかったが、
人それぞれの病状で雰囲気は一変する。
ずっと看護師を大声で呼び出す者、叫ぶ者、何故か人の世話をしたがる人、話しかけても反応しない人、常に廊下を歩き続ける人、既に何の話をしているのか分からない人、廊下で倒れ込んでる人、
色んな方がいた。
わたしの病室の方は正直、皆まともだった。
ただ日々を過ごしていると、互いの病気について触れる様になっていった。
1人は統合失調症で一時的な入院だった様だ。普段は全く普通だった。
もう1人も同じく統合失調症、この方も普通だったが、後に2人きりになった時、ギャンブル依存症だと言っており、カウンセリングも受けていた。
彼女は嫁いだ先で多大な家事を1人でこなし、聴覚障害の娘さんの育児をしていた。そんな日々の中でギャンブルに依存してしまった様だった。
あともう1人の方は適応障害だった。
すごく普通、むしろ病気にさえ見えなかった。
彼女は、適応障害と診断される前まで、実際にきちんとした家庭の主婦として生活していた。
ところが、ご主人の不倫が発覚し、家を追い出され、上京していた娘さんを頼りに上京したが、あまりの度重なる変化にキャパオーバーになり、娘さんとの関係も悪化し、行く場所すらなくなってしまったとの事だった。
これだけでも、皆それぞれ様々な背景があり、追い詰められ、精神疾患にならざるおえないとこまで来て入院しているのだと知った。
世の中には、自分達だけではなく、重い背景を背負いながら生きてる人は少なくないと思う。
精神科病棟に入院している人も、それと変わらない。
わたしは改めて、様々な背景が人それぞれある事を知り、考えさせられた。
続く。
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