染まっていく女

スターバックスで注文するのは
“ホワイトモカ・トール・ホット”
トールがショートになるかグランデになるかの違いだけで必ずホワイトモカのホット。それしか頼まない。

どうしてそうなったかというと、当時付き合っていた人から言われた一言
「自分はコレってもんがないのかよ」
スタバのレジであれこれ悩んでいた私に彼はそう言った。確かに彼はソイラテしか飲まなかった。
色々吟味した末にホワイトモカ、しかもホットがいちばん自分に合っていると思ってそれ以来ずっとこの注文になった。

このことから見ても私は結構付き合った相手に染まりやすいと思う。
彼氏の好きな服や音楽の趣味に合わせるのは苦痛じゃないし、新しいことを教えてくれる事を新鮮に嬉しいと思う。

夫はあまりこだわりがなく私に自分の好きなものを勧めることはほとんどない。
唯一食べ物は自分が好きな“納豆オムライス”を自分で作って出してくれた。薄焼き卵を被せたご飯に納豆としょうゆ味のあんかけをのせるのだけど、実は私あんかけがとても苦手でして…作ってくれた手前一生懸命食べていたのだけどいつの間にか普通に食べられるようになった。今は夫にお願いするくらい好きな食べ物だ。

染まるのは案外簡単だけど夫とのようにある意味縛らない関係は相手のしている事を認めて見守ることが求められるので何となく難しいと思った。
「自分のできる範囲で好きなようにすればいい」が口癖で仕事も趣味もお互い別々。一緒に買い物をするのは通常日曜日だけで食材がメイン。洋服を買いに行っても選び合って買うことは滅多にない。だから夫好みの服を多分持っていない。

物足りなさを感じたこともあったけど、きっと私達は何か決まり事でお互いを縛り合わなくても家庭や子供という共通点を持ったことで充分何だと思う。
好きなものは違っても自分に合わせて欲しいとも夫に合わせたいとも思わない。一緒にいて毎日を過ごす中で必要以上の決まり事は我が家の場合お互いを苦しめてしまうのかもしれない。
その心地よさでここまできたのだからこれからも大きく変わることはないのだろう。

母の健康診断の送り迎えをして近くのスタバのドライブスルーで久しぶりにホワイトモカを注文した。
結婚ギリギリで破局した相手だったけど、幸せであってくれたらいいなと思う。

散々色を変えて染まってきた私だけど、夫との時間の中で染まらない透明な自分になれた。

ちなみに、夫はスタバに滅多に来ないけど来るとレジでずっと悩んでいる。

#スタバ #コーヒー #夫婦 #恋愛

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