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2024ドラフト展望~高校生投手編~

豊作の年と言われており、大型の投手が目立つ今年の高校生投手。
その中でも最高評価を得ているのが藤田琉生(東海大相模)、今朝丸裕喜(報徳学園)です。
藤田は春までは無名の存在でしたが、夏までに急成長。150キロ近いストレートに加え、鋭いナックルカーブ、チェンジアップで三振を奪えるレベルまで成長し、一気に上位候補に躍り出ました。身長も2m近くありながら、大型投手にありがちな制球難やフォームのぎこちなさが全くなく、総合力の高さを感じさせます。
藤田とは異なり、今朝丸は下級生時から名前が知られていた投手。昨春、今春の選抜でチームを準優勝に導いていて、実績は十分。150キロを超えるストレートに加えて、スプリット、スライダーと変化球のレベルの高さに加え、制球力も纏まっている所が能力の高さを感じさせます。藤田も今朝丸も総合力が高い事に加えて、伸びしろも感じさせるのが最高評価を得ている所以なのかなぁと。
2人に次ぐ評価を受けているのが柴田獅子(福岡大大濠)。
150キロを超えるストレートに加えて、鋭い縦のスライダーで三振を奪う速球派投手という側面に加え、打撃にも優れているという高いセンスの持ち主。8月の中日のスカウト会議でも名前が挙がっており、三瀬スカウトからは二刀流の可能性もあると評価をされている程の逸材。実際に二刀流をさせるかは脇に置いておくとしてもスカウト会議の記事で名前が挙がるという事は球団内ではそれなりに高い評価を受けているという事とみて間違いないかと。
上位で指名される確率が高いのはこの3名でしょうか。高校生投手を1回目の入札で指名する事は中日の投手事情を考慮すると難しそうですが、2回目の入札であれば可能性はあります。
どうしても3名の内の誰かが欲しいという考えであれば、2位で残っていそうな柴田の指名が現実的になります。
逆に今朝丸か藤田を狙い撃ちするのであれば、2回目の入札で指名する必要がありますが、競合する可能性も高いのが悩ましい所。

中位候補の右投手だと山口廉王(仙台育英)、清水大暉(前橋商業)、小川哲平(作新学院)、坂井遼(関東一)、村上泰斗(神戸弘陵)、高尾響(広陵)、狩生聖真(佐伯鶴城)あたり左投手では高橋幸佑(北照)が挙がります。
この中だとフォームやボールを見ると村上が好みなのですが、8月のスカウト会議では清水と狩生の名前も挙がっていました。清水も狩生も180cmを大きく超える長身に加えて清水は馬力、狩生はしなやかさがウリの大型投手。過去の中日スカウトの指名傾向を考えると狩生は特に欲しがりそうですね。プロ好みの選手である事は間違いないのですが、フィジカルの強化が必要な選手ですし、指名出来た場合は明確な育成計画を作って、慎重に育てて欲しいですね。
例年中位候補以降の高校生投手は何かしらの粗が目立つ傾向にあるのですが、今年は大きく粗が目立たないだけでなく、ポテンシャルの高さが上位候補と大きく変わらない所が層の厚さを感じさせます。球団によっては上位に推している選手もいるでしょうし、中日の3位までに指名されているケースは十分あり得ますが、全員が既に指名されていて残っていないという事態は考えにくい程充実しているのが幸いでしょうか。

下位候補は兄以上のポテンシャルを評価されている茨木佑太(帝京長岡)、完成度の高さがウリの昆野太晴(白鴎大足利)、恵まれた体格から三振を奪う堀江正太郎(文星芸大付)、縦のスライダーのキレが抜群な上原堆我(花咲徳栄)、育成に成功したリターンは今年の候補で一番大きそうな小船翼(知徳)、体格や投球スタイルが西武の平良を彷彿とさせる川勝空人(生光学園)、ピッチングの上手さが光る吉岡暖(阿南光)、馬力の大きさとフォークのキレが光る井上剣也(鹿児島実)が挙がります。左投手だと奪三振マシンの澁谷純希(帯広農業)、高身長に綺麗なフォームと如何にもプロ好みの河野伸一朗(宮崎学園)、低めを意識したまとまりのある投球が持ち味の金渕光希(八戸工大一)、プロだと救援起用になると思われるが、変則フォームが特徴的な冨士大和(大宮東)が挙がります。
下位候補をここまで挙げてきましたが、中日が彼らを指名するチャンスがあるとしたら下位に差し掛かるまでにある程度補強ポイントを埋められるかどうかがポイントになります。昨年一昨年に福田、森山を指名しているだけに左投手よりは右投手の方がより指名しやすいでしょうか。
下位候補の高校生投手はスカウトの琴線に触れるかが指名の決め手になる傾向がありますが、将来のポテンシャルを重視するなら小船、川勝、井上。早い段階で実戦で使いたいなら昆野、吉岡が候補になるでしょうか。

先程挙げなかった投手達で育成で拾えたらと見ているのが沼井伶穏(横浜隼人)、有馬惠叶(聖カタリナ)、槙野遥斗(須磨翔風)の3名。
沼井はナイジェリア人とのハーフですが、身体能力の高さを感じる投手。荒っぽさも感じさせながら投球フォームは綺麗な形をしていて伸びしろの大きさを感じる所が魅力的に思えました。有馬も長身瘦躯の投手ですが、高校から投手を始めたばかりで経験の浅さを考えると、トレーニングを積めば素直に伸びてきそうな所がプロ受けしそうだなぁと。
槙野は先に挙げた2人と比べると、纏まってはいますが、変化球のレベルは一定の物がありますので、育成で拾えたら良い買い物になりそうだなと思い、選出しました。

今年も高校生投手を無理に指名する必要はありません。
しかし、上位から下位までバランスよく人材が揃っている事を考えるとどうにか誰かは確保したいと考えるくらい魅力的な投手が多いのが今年の市場。
中日は高校生投手の育成は下手な方なのですが、高橋宏が覚醒。1年目の福田が順調に段階を踏めている事を考えると、多少なりとも2軍の育成環境は良くなってきているのかなと。
過去3年間支配下で高校生右腕を指名していない事を考慮すると、誰かは指名したいと考えているはず。一番やってほしくないのは「若い右腕がいないから」という理由だけで中途半端な実力の選手を指名してしまう事。
ここに関しては2020ドラフトで痛い目を見ていますし、流石にそのような事はない事を信じたいですね。

次回はショートの候補が目立つ高校生野手について書いていきます。