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【エッセイ】ぼけの連続

わたしは基本、ボケている。
ボケているが、それで人を笑わそうとか思ったことはない。

例えば、わたしがよくわからなくなるのが、東海道五十三次で、これが、五十六次とか、下手したら、五十八次になる日もある。

わたしの彼は、本当に優しいから、
「大丈夫だよ。作者の人(この場合は、歌川広重)の家を探したら、3つか4つ出てきて、いつか幻の名作、加わるとかになるよ。
3でも、6でも、8でもたいして変わりないよ。」
などと言ってくれる。

その点、わたしの母は厳しいので、東海道五十六次などと言った日には、
「あんた、本当に大丈夫?仮にも、四大出たんでしょ?」
などと言ってくれる。

そう言われると、わたしの記憶もひどくあいまいで、大学の卒業式の日に浮かれて、はかま姿で写真を撮ったような気がするのだが、すべて幻、幻想みたいな気もしてくる。

ボケと言えば、会社で私が話すことで、他の人がバカウケすることが多いので、お昼休みに誰かが薬を飲む間は、わたしは黙っているように、気をつけている。
薬が口から吹き出したら、大変だ。
「薬を飲んでいるときは、綾子さんは黙っていて。」
とも、会社の人に言われている。

昔、テレビドラマの「となりのマエストロ」の芦田愛菜ちゃんのセリフに答えて
「あらあら、それは大変でしたね。」
とか、
「それは知らなかったです。」
とか、わたしが会話してたら、母が
「綾ちゃんって面白い!」
と、母が大笑いしてたが、
NHKのニュースの終わりに、アナウンサーが挨拶したあとに、わたしも時々、
「ありがとうございました。」
などと、彼らに返答しているのを、母は知らないのだろうか?

とにかく、私はボケながらも、がんばって生きている。

ボケと社会人との両立は、効率化ばかり求められるこの現代社会において、非常に難しいのだ。

【いいじゃないか、ボケていても、人間だもの】
  相田ブー子



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