城戸崎綾子

小説、詩、エッセイ、短歌、俳句、替え歌などを書いています(^-^)

城戸崎綾子

小説、詩、エッセイ、短歌、俳句、替え歌などを書いています(^-^)

最近の記事

【エッセイ】母性本能があふれるときはろくなもんじゃない

わたしは、女性にしたら、恋人にぐちゃぐちゃ言うほうではない。 いわゆる世話焼き女房タイプではない。 彼もそう思っている。 そのわたしが最近珍しく、彼の気持ちを勝手に考えて先回りしてしまった。 彼は内心、思ったらしい。 「うるさいな。ほっといてくれよ。」 彼とわたしが出した結論は、わたしの「母性本能がありあまっている状態」ということだ。 こういうとき、人は子供を生んだり、仔犬や仔猫を育てたりするのだろう。 彼が女性にたいして、基本思っていることは、 「頼むから

    • 【エッセイ】わたしと彼女と遠心分離機

      何十年も、昔のことだ。 大学の同級生に卒業してから、随分と経ってから会った。 彼女は、お父様が大手の会社勤めをしているような人だった。 要するに、お嬢さまだった。 お嬢さまだから、わたしと根本的に教養みたいなのが違っていた。 「綾子、クラシックバレエを見るなら、ジゼルが良いよ。ジゼルなら面白いから。」 と彼女は言った。 わたしは、 「なるほど。こういうときに、教養の差がでるんだな。」 とひどく感激し、そしてちょっとショックだった。 わたしは、その頃、クラシックバ

      • 外環道鵜飼利用割引(ETC車)

        割引概要 ・都心環状線内の出入り口等を発着し放射高速道路をご利用される際に、外環道を1JCT間のみ鵜飼した場合、原則として直行とした経路と同じ通行料金となるよう、首都高と外環道の通行料金を割引します。 #創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

        • 「深い河」 遠藤周作

          人々の悲しみや苦しみ、その全てを包み込んで、ガンジス川は滔々と流れる。 多くの人にとって人生は不平等なものだが、死だけは誰にでも平等に訪れるということを指し示すかのように。 小さき弱き者のたった1人の苦しみすら、救えないなら、その人は愛を持って人々を救うことにはならない。 神父の大津は、貧しき見ず知らずのインド人のために生き、そしてゴミ溜めの中で、何の栄誉もなく、死んでいく。 他人から誤解され、憎しみを受けて死んでいく。 しかし、大津は最期に呟く。 「これでいい。

        【エッセイ】母性本能があふれるときはろくなもんじゃない

          「沈黙」遠藤周作「人がこんなに哀しいのに主よ海があまりに碧いのです」(新潮文庫)

          拝啓 遠藤周作様 あなたの事が余りに好きすぎて、そしてその気持ちを表すにはあなたに対して手紙を書くという形が1番良い気がしますので、こういう形をとらせて頂きます。 あなたがいつも目指したのは、心弱く哀しい存在である人達をあなたの文学で慰めるというものでした。 敬虔なカソリック教徒であるあなたはそれをイエスキリストからの愛という形で表現しました。 例えばあなたの代表作である「沈黙」。 長崎の隠れキリシタン達の命が幕府によって奪われる中、もし神というものが存在していな

          「沈黙」遠藤周作「人がこんなに哀しいのに主よ海があまりに碧いのです」(新潮文庫)