今日会いに行きたい!気になる土偶#019山梨県立考古博物館
朝早くから、ミンミン蝉の鳴き声と共に、今日から夏休みを迎えた子どもたちの声が聞こえてきます。
小学校高学年と思しき数名の男子が、自転車で連なってどこかへ出かけるようです。
あ~前見て、前見て、車が来る…と、老婆心を知る由もなく、わいわい声を掛け合いながら軽快に過ぎ去りました。
おおきどくん!
私がつい呼びかけたくなるのは、僅か5㎝ほどの小さな土偶。愛称・おおきどくん。
山梨県甲州市の大木戸遺跡から出土した、縄文時代中期の土偶です。キノコのような形に2本の脚、目と口だけが施された、ちょっと珍しい土偶です。
おおきどくんが出土した大木戸遺跡は、縄文時代前期から中期(約6,000から4,500年前)の遺跡で、一時期に2~3軒ずつ、時には1軒しか所在していなかったと思われる、集落とも呼べない小さな住居跡です。
そんな家族だけの生活で作られたと思われる土偶は、どこかの土偶を真似して作られた様子はなく、オリジナルの土偶のように独特の形をしています。
手のひらにちょこんとのせて、あるいは竪穴住居の祭壇に飾って、家族みんなで眺めたり、願い事を託したりしたのでしょうか。
スター選手の多い山梨県立考古博物館の中で、埋もれてしまいそうになりながらも、しっかり2本の脚で立っています。
おおきどくん、 大木戸くん、 オオキドくん、
どれが似合うかな?なんて思いながら、なんでもない一日に会いたくなる土偶です。
「三十三番土偶札所巡り」の二番手のんさんは、こちら▽で紹介しています。
お読みいただき有難うございました。