インパクトあり過ぎです
特撮ドラマでウルトラ○○と戦っていた怪獣のような、奇妙と一言では言い表せないこの土偶。
祈りの道具であったとされる土偶が、こんな感じでもいいでしょうか?と聞いてみたくなってしまいます。
縄文時代中期に秋田県湯沢市で畑地を耕作中に発見された東福寺村上出土土偶は、高さ19.6cm、 幅8.0cm、 厚さ2.4cmのうすっぺたい板状の土偶です。
眉間にしわが寄ったような顔が特に印象的ですが、その顔の左右に大きく広がった耳のようなものは、なんと腕なのです。
この腕が付いている顔と頭が十字形に見えることから、十字形土偶とも言われています。
十字型土偶は、この土偶が作られた縄文時代中期に東北地方北部で多く出土しています。縄文時代早期から一般的であった、平たく手のひらサイズの顔や手足が表現されていない土偶が、徐々に十字形へ変化していったようです。
では、どうして十字形なのでしょうか。
十字形土偶の中には、吊り下げるためではないかと思われる穴が、頭や両腕の下に施されたものがあります。
うすっぺたい板状の土偶は自立することができないので、皆が見えるように吊り下げていたのではないかと考えられています。
家の祭壇に吊り下げたり、祭礼の際に吊り下げていたのかもしれません。
見た目ではわかりにくいですが、この土偶には口から足の間にかけて貫通している小さな穴があります。吊り下げるための穴とは違うようですが、なにか関係があるのかもしれません。
身体を見てみると、顔の下から細い2筋の文様だけのシンプルなお腹に、粘土を貼り付けたデベソが目立っています。
土偶は女性がモデルのものが多いですが、胸の表現や妊婦のようなお腹の膨らみがないので女性ではないようです。
後ろ姿はと言うと、文様も何もないのっぺりした感じで、益々性別はおろか何であるかわからない姿です。
また他の一般的な十字型土偶とは違い、足が作られています。足の指は3本の刻みで表されていますが、まるで熊の足のように大きくガッチリとしている珍しい表現となっています。この地方に住む熊がモデルでしょうか?
手がかりも何もない、いったい何であるか、まるでわかりません。
ここは謎の妖怪土偶として記憶しておくとしましょう。
この縄文人の卓越した想像力が見られるのは、秋田県湯沢市郷土学習資料展示施設です。
最後まで読んでいただき有難うございました☆彡