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いつだって憧れの女性たち|モノトーンのスタイル画と大正ロマン

多くの人がどこかで一度は目にしたことがあるのでは⁉
墨で描かれたファッショナブルな女の子

雑誌の表紙、CDジャケット、デパートのショーウィンドーや紙袋、映像や小説…いろいろな場所で小粋にポーズを決めています。
その墨で描かれたスタイル画の企画展が開催されています。

伝説のファッション・イラストレーター
「森本美由紀展」


墨で一気に描き上げられたスタイル画は
『森本美由紀』さん独自の表現。
だれもが憧れをいだくキュートでカッコイイ女の子は、墨と筆だけで作り上げた世界にいます。


『森本美由紀』さんは1959年生まれ、
日本におけるファッションイラストレーターの草分けである長沢節に師事し、20歳でイラストレーターとしてデビュー。
優れた感性と確かなデザイン力で、新たなファッションイラストレーションを展開していきました。

そのイラストの最大の特徴は墨と筆で描くというもの。
墨の濃淡、筆使いだけで表現、言わば日本古来からの墨絵の1つと言ってもよいのかもしれません。



彼女が実際に使っていた墨・筆。
スケッチブックに描かれた様々なイラスト。


墨の艶感や濃淡、筆のかすれを自由に操り、
生き生きとしたスタイリッシュな女性を表現

白い滑らかな肌、細くやわらかな髪、
軽やかな上質の布地…その質感までもを感じます。


まるでモデルを目の前にして描いたように思えますが、実際に目にしたのではなく画集を見て描いたものが多かったようです。

墨×筆の世界の女性は生き生きと美しく
ひょっとすると本物より、よりリアルに可愛らしさが感じられるかもしれません。


無駄のないシンプルな線は、
モデルの表情や服に隠された体の線までも描きあげています。さらにその表情やポーズからは、内面までが見えてくるようにも思えます。




初期の頃・1980年代の作品はペン画が中心。
カラフルな色彩がプラスされた60年代のアメリカ風


ミュージックシーンや映像で活躍するアーティストとのコラボ作品も多く、多方面で活躍されました。


活躍の場を広げても、ずっと墨の表現を追求していたそうです。
残念ながら病気のために、僅か54歳でその生涯を閉じました。

もっともっと見たかった
キュートでファッショナブルな女の子。
唯一無二のスタイル画…は永遠です。




この企画展が行われている「弥生美術館」は、「竹久夢二美術館」も併設されている昭和感あふれる建物
弁護士であった初代館長が自宅敷地に設立した美術館です。

だれかのおうちに遊びに行ったかのような手作り感で溢れています。


ファッショナブルなスタイル画を鑑賞した後は、
大正ロマンあふれる「竹久夢二」の世界へ


夢二の女性」
着物の襟もとから覗く細い首筋、
ともすれば、
よよと泣き崩れそうな市井の女性たち。
今では存在しない?か弱い女性…どこか心惹かれます。


美術館の脇にある喫茶「夢二カフェ 港や」では、「夢二」の絵のモチーフのカフェオレがいただけます。


「弥生美術館」「竹久夢二美術館」東京都文京区〝弥生〟にあります。
ここ〝弥生〟は弥生式土器の発祥地です

1884年にここにあった貝塚から、縄文式土器とは違う赤焼きのつぼが発見され、発見地の地名を取って「弥生式土器」と名付けられました。


およそ2000年前から人々が住んでいた街で、
ファッショナブルな女の子に感嘆し、
大正の和服美人に魅了され、
弥生時代の女性たちを想像する…。

さまざまな女性を思い描けきながら、
弥生を跡にします。


最後までお読みくださり有難うございました。


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