75期二回試験出題内容等

76期以降の修習生の参考として、75期の二回試験の出題内容等をまとめておきます。

スケジュール等 

⑴ 日程

    2022/11/9(水)  :刑事裁判
 11/10(木):検察
 11/11(金):民事弁護
 11/14(月):民事裁判
 11/15(火):刑事弁護

⑵ 1日のスケジュール

 ~9:45   着席
 10:20  開始
 12:00~13:00 昼食時間(この時間も起案可能、お菓子等は昼食時間以外でも飲食可)
 13:30~17:30 途中退出可能時間
 17:45 終了
 筆記用具等を鞄にしまった後、5分間の紐綴り込み時間。

⑶ 備考

・起案はもちろん問題や記録、起案草稿用紙、余った起案用紙や書き損じ起案用紙等は全て回収される。
・自前の付箋は使用不可、配られたものを使う(草稿用紙等と同様、補充は可能)
・デイリー六法が貸与される。

刑事裁判

⑴ 出題内容

 事実認定問(殺意の有無・急迫不正の侵害の有無。16枚程度)
 手続問等の小問はなし。

⑵ 雑感

・とにかく小問がないことに焦りましたね… 問題用紙が表面1枚のみだったので、落丁がないか本気で心配しました。例年は「保釈請求の当否」「証拠調べ請求と異議を踏まえての証拠決定」といった小問が出題されており、集合修習の即日起案でも毎回小問はあったため、事実認定問のみという構成には驚きました。
・「16枚程度」という枚数の指示をやや少なく感じた方が多かったようです。ただ、刑裁における枚数指示は目安であり、大きく超過しても問題ない(一方、刑弁等での大幅超過は減点対象らしい。by刑弁教官)ので、気にする必要は薄いかと。

検察

⑴ 出題内容

 送致罪名は(事後)強盗致傷・住居侵入。
 設問1:終局処分
 設問2:犯人性・犯罪の成否 ※採った見解に関わらず、暴行の目的について言及すること。求刑意見・情状関係は不要。
 設問3:被害者が証人尋問出廷等を拒絶したときの対応(検察演習問題13設問⑶の類似問。2枚程度)

⑵ 雑感

・例年の出題傾向が財産犯や強行犯中心であったこと、及び集合修習の起案でA班・B班共に強盗致傷の事案が出題されていたことから、論点としては想定の範囲内だったと思います。
・ただし、事後強盗とされる被疑事実のうち窃盗部分と暴行部分で被害者や証拠構造、被疑者の認否が異なっており、両者をどのようにして関連付けて論じるか(あるいは関連付けずに論じるか)が難しかったです。
第2分冊として検察講義案の抜粋が配布される(起訴状記載例・不起訴裁定書記載例・略語表が抜粋。便利なのでこれまでの即日起案でも配って欲しかった)ことを知らず、起案中焦りながら第2分冊に目を通した方がいたそうです。76期以降の皆さんは頭の片隅に置いておきましょう。

民事弁護

⑴ 出題内容

 設問1 原告側最終準備書面起案 ※検討したが準備書面に記載しなかった事項があれば2枚以内で述べること。
 設問2 保全・証拠収集小問(穴埋め、計15問)
 設問3 和解条項(穴埋め、計10問)
 設問4 弁護士倫理(2枚以内)

⑵ 雑感

・「最終準備書面までの書面における両当事者の主張の大半が省略されている」「被告側に補助参加人がついており、主張構造が複雑になっている(加えて、補助参加人の代理人が尋問で原告代表者をボコボコにしてくる)」といった要素ゆえか、集合修習までの即日起案の内容と比べて特に難しく感じました。起案で拾い切れない証拠や尋問事項も多かったです…
・例年二回試験の即死パターンとして「起案すべき当事者の側を間違える」(今回でいうと、被告側の最終準備書面を起案してしまう)ことがあるそうですが、本番になって自分がそれをやらかさないか非常に不安になりましたね… 76期以降の皆さんも、試験開始直後にどちらの側で起案すべきかをよく確認することをお勧めします。

民事裁判

⑴ 出題内容

 設問1 小問⑴ 本訴請求の訴訟物、個数、併合態様
     小問⑵ 反訴請求の訴訟物、個数、併合態様
 設問2 本訴請求の主張整理 ※検討したが失当とした主張があれば、2枚以内で記載すること。
 設問3 反訴請求の主張整理(一部主張を除く) ※検討したが失当とした主張があれば、2枚以内で記載すること。
 設問4 主張整理の理由(反訴請求のうち明渡請求との関係で、反訴被告による一部主張につきその攻撃防御方法上の位置付けを2枚以内で論じる。実質撤回問?)
 設問5 撤回問(留置権の主張の撤回理由、3枚以内)
 設問6 小問⑴ 本訴請求の争点について事実認定 
     小問⑵ 上記争点の判断枠組み(3型)
     小問⑶ 上記争点の結論に至った理由
 設問7 手続問(両代理人が遠隔地にいる場合に採るべき争点整理手続、1枚以内)

⑵ 雑感

反訴請求があったため、民弁ほどではないですが主張が複雑になっていました。事実認定問(設問6)は本訴請求の争点(売買契約の成否)についてでしたが、反訴請求における争点(賃貸借契約の成否)の検討も絡んでくるなど、やや書きにくかったです。
・訴訟物や主張整理については、直前に白表紙の「事実摘示記載例集」を読み返していたので概ね対応できたと思いますが、主張整理の理由や撤回問についてはよく分からないまま解答していました。実体法の知識を確認しておく必要があったようです…

刑事弁護

⑴ 出題内容

 設問1 想定弁論(窃盗の犯人性、15枚程度)
 設問2 証人尋問に対する異議(1枚程度)
 設問3 反対尋問問(1枚程度)
 設問4(小問⑴⑵合わせて2枚程度)
  小問⑴   情状弁護(①犯情事実、②一般情状事実、③新たに作成すべき事実とその理由の要旨)
  小問⑵   被害者との和解条項案を踏まえ、被告人の意向を確認しておくべき事項とその理由

⑵ 雑感

・想定弁論については、検察官が主張する犯人性認定のための間接事実が3つと比較的少なく、またその根拠となる供述・証言も弾劾のポイントがはっきりしていたため、かなり書きやすかったです(正直、集合修習の起案の方が大変だったような気がします)。
・設問2以降の小問も、集合修習の即日起案で出題されていた形式と一致していたため悩まずに済みました。そのためか、途中退出者の人数や途中退出の時間は他科目と比べてもかなり多かった・早かったようです。

過去の二回試験の出題内容・試験対策

74期

73期

72期

71期

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