分野別実務修習で役立つ書籍【刑事編】

民事編もご覧ください。なお,刑事系の修習においては民事系と比べて白表紙 ―検察修習における「終局処分起案の考え方」,刑裁修習における「プラクティス刑事裁判」「プロシーディングス刑事裁判」「刑事事実認定ガイド」など― の重要性が高い気がします。

岡慎一=神山啓史「刑事弁護の基礎知識 第2版」(有斐閣,2018)

刑事弁護実務の解説本であり,理念面・手続面の双方から刑事弁護に携わる上での基礎知識をまとめています。刑事弁護関係の白表紙には読んでいてもいまいちピンとこない部分が少なからずあった(個人の感想です)ので,導入修習ではこちらの本を読んで理解を深める機会が多かったです。

・解説部分と設例の検討・具体例の提示のバランスが良いので,「ケース・セオリーを踏まえ,どの段階でどのような主張をすべきか」「どのような尋問をすべきか」等について,具体的なイメージを持ちたい方には参考になると思います。

「刑事弁護ビギナーズver2.1」(季刊刑事弁護増刊)(現代人文社,2019)

・上記と同様刑事弁護実務の解説書です。どの時点においてどのような刑事弁護活動をなし得るかを詳しく解説しており,これから実務修習で参考にする本を探している方にはこちらの購入をお勧めします。

・民事編で解説した「企業法務のための民事訴訟の実務解説」の刑事版という感じで,保釈請求書や証拠意見書等,実務上重要な書式・資料や模擬接見動画を収録したDVDも付いています。また,季刊刑事弁護による類似の書籍として「情状弁護アドバンス」「少年事件ビギナーズver.2」等もあるので,携わる事件の性質に応じ参考にしてください。

植村立郎編「刑事事実認定重要判決50選 第3版 上下」(立花書房,2020)

刑事事実認定の解説書です。「統合失調症の場合の責任能力」「殺意の認定」「『被害者』の供述の信用性」等,刑法総論・各論,刑事訴訟法に関連する事実認定の重要問題を多数取り上げ,関連する判例や判断の指針を分析検討しています。刑裁修習の起案の際には特に有用です。

・上下巻合わせて1.3万・1500頁と,自分で買って読み進めるには色々と負担が大きいです。裁判所の図書室や執務室で借り,必要な部分だけ参照するのが良いと思います。

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