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HIP HOPの曲から得られる人生の学び~「羨望/嫉妬 / ACE COOL」

こんにちは。
あっという間に春が終わり、もう6月。
6月と言えば梅雨。
梅雨が開けると夏本番。
個人的には夏が四季の中で1番好き。
どんなに猛暑だろうと、高気圧を1番感じられるところが好きだ。
太陽が照っていると気分が高揚する。
暑いからビールが美味い。
アイスコーヒーも美味い。
服装が軽装で良い。すごく楽。
夏が1番友人との交流機会が増える。
私にとって夏は最高のシーズンだ。

前置きはこれくらいにして、今日も曲を紹介する。
そして、その曲から得られる学びも紹介する。

今回紹介する曲は、ACE COOL「羨望/嫉妬」という曲だ。



1、アーティスト「ACE COOL」について

今回紹介する曲を歌っているアーティストは「ACE COOL」というラッパー。


ACE COOL

以下、簡単であるが、ACE COOL氏を紹介する。

・広島県の呉市出身。1992年生まれ、32歳。本名:山本翔太。
・ラッパー兼映像クリエイターのSKOLORと「ASIEN」というユニットでも活動。
・2009年からアーティスト活動開始。2012年にMIXTAPE「THE RATS」をリリース。2013年に2作目のMIXTAPE「YOU OUGHT LOOK OUT」をリリース。
・2015年にKEN THE 390主催レーベルの「DREAM BOY」へ加入。その後もMIXTAPEをリリース。以降もコンスタントに楽曲を配信。
・2020年に、1stアルバム「GUNJO」をリリース。

かなりざっくりした紹介となっているため、より深く知りたい方は、自身で調べてほしい。


ACE COOL氏は、スキルフルかつ、リリックの内容が非常に哲学的である。
その哲学的な部分が非常に魅力的である。
ACE COOL氏の楽曲は、根拠なき自信によるセルフボーストではない。
ACE COOL氏の楽曲からは、自信を持てなかった自分自身と向き合い、闘い、その闘いから得られた、本物の”自信”を感じられる。

今回紹介する曲はまさしくそれを強く感じられる曲である。


2、曲紹介:「羨望/嫉妬」

今回紹介する曲「羨望/嫉妬」は先月発売したばかりのアルバム「明暗」
3曲目に収録されている。

「明暗」/ ACE COOL




ACE COOL氏曰く、“幸せとは何か”という普遍的なテーマをコンセプトにしたアルバムとのことである。


そして、今回紹介する曲の「羨望/嫉妬」は、タイトルの通り、自身の経験をもとに「羨望」や「嫉妬」について唄っている。

「羨望」や「嫉妬」は誰もが持つ感情だと思う。
ただ、この感情を強く持つ人もいれば、そうではない人もいる。
最近はそうでもないが、以前の私は、この2つの感情を強く持っていた。
それもあってか、この曲を初めて聴いた時、過去の自分を重ね合わせてしまった。最初はやや重たい気持ちになったが、その後何度もリピートしてしまった。次第に、首を振るというより、リリックの内容に頷きながら聴いてしまっていた。

そのリリックを紹介したい。

[Verse 1]
初めてそれを意識したのは確か小学4年の頃さ
ウィンドブレーカー織ってまた今日も
ベンチに座って見てるコートを
ゴール決めてる同い歳の奴
羨ましくてずっと眺めた
毎回見に来てる両親のこと
思ってまた辛くなってたんだ
他の奴らはあんなに輝いてるのに
俺は何もできないまま
ミスをしないように怯えて
何が正解からない ただ
ボールを追っかけ日が暮れていく
そんな日曜の午後
また月曜が来る
学校向かってる時や正門を通る時
また授業受けてる時
常に人の目が気になって
四六時中落ち着かなかった
言動や服も目立たないように
周りから絶対ズレないように
してたけれど憧れていた人気者 足速い彼奴に
勉強やスポーツ 全部碌にできず
絵を描くのも好きだったが何故か自信が持てず
そしていつの間にか 自分が無くなってた
周りの人々皆輝いて見えたけど俺は

[Hook]
人が羨ましい 彼奴腹立たしい
沸いてく感情 抑えられない
自分という人間を認められない
そう愛せない そう愛せない

[Verse 2]
お前との出会いは確か18 まだ地元いた頃の話
最初はクラブでたまに話すだけだったけど
二人で会う仲に
毎回俺のライブ見に来たり
録ったばかりの音源を聴いたり
何度も同じ夜を過ごして
わかった気になってたけれども
ある日お前はある男からDM来たと言ってはiPhoneの画面
見せてきたんだ いきなり胸に
じわっと沸いてた違和感
話は流したけどその後もそれは居座ってた
消えることはなかった
ある時いつものように
そう俺のライブを隅で見てたお前
今日も良い出来ではなかったと
自分に失望してた俺
暫く外の風にあたって
フロアへ戻ってみたんだ
するとバーカンであの男と酒を飲んで笑ってるお前が見えた
胸の中の違和感が巨大になっていくのが
わかったんだ 次第にそれは体全体へ広がってた
何処にも逃げられない 感情押し殺せない
その時自分という人間が少しわかった気がしたんだ

[Hook]
人が羨ましい 彼奴腹立たしい
沸いてく感情 抑えられない
自分という人間を認められない
そう愛せない そう愛せない

[Verse 3]
あのでっかいショックなら25
味わう途轍もない絶望
圧倒的な力の差感じ
嫉妬の目で見たあの才能
18から磨いてきたスキル
その自負一瞬で砕ける
俺には持ち得なかった物も
彼奴のとこに全部揃ってる
自分のラップが粗末なものに見えて仕方なかった
朝が遠く感じたあの夜
努力じゃ敵わないと
自分の可能性を疑ってすべて投げ出した夜
無自覚な羨望
あと強烈な妬み嫉みを
胸に湧くまま感じていたら
トンネルから抜け出せなくなってた
追いかけたそのでかい背中
タメだけど業界の中
トップのスキル持ってる
お前を遠くでただひたすら見ているだけでは終われない
有限不実行で口だけの輩
みたく嘆くならやるべきことを
自分の弱さを認めることを
日々の努力怠らぬこと 結局すべて自分だろ
人が持ってるものを羨ましがったり
他者との比較で自分貶めたり
誰かの失敗を願ってみたりとか うんざりだった
そんな自分から抜け出す日々
ラップをしてくその意味
書いては消すように生き
戻らない前進してる地道に

「羨望/嫉妬」/ ACE COOL


あまりにも自分の過去に重なることが多くて驚いた。

聴く人が聴いたら、単純に”暗い”と感じるだけかもしれない。

ただ、私からすると、この曲は非常に”前向き”である。


ここから少し私の過去の話をさせていただく。

今もそうなのだが、私は幼い頃からかなりの”運動音痴”だ。
小学生~中学生の頃は運動ができないことへの強い羞恥心があった。
運動ができる人は異性からモテるし、運動ができる人は学生時代活躍していた。そんな人達と自分を比較していつも負い目を感じていた。
体育の授業や部活をしている時、自分はダメな人間だと感じることが多かった。サッカーやバスケットボールをしていると、”自分にパスが回ってきたらどうしよう”と怯えていた。パスが回ってこないように端の方に立ち、ガチガチになっていた。そんな自分が惨めで仕方がなかったが、運動が少しでもできるようになる努力をするわけでもなかった。
ACE COOL氏と同じく、幼い頃は絵を書くことが好きだったけれど、それが自信につながることはなかった。むしろ、“絵を書くことが好き”という、どちらかというとインドアな嗜好に対し、”恥ずかしいこと“と思っていた。
絵を書くことが好きで家で絵を書いていることを誰にも話せなかった。

ただただ、活躍している人達を見て、羨ましがっていた。妬ましくも思っていた。

成人になってからも同じような感覚で生きていた。
22~24歳頃まで、友人とHIP HOPグループを組んでいた。その時も周囲のグループやラッパーの人達が人気であることや、自分たちよりスキルが上であることを羨んでいた。最初は羨ましさを感じながらも、“打倒”という気持ちで活動や楽曲制作に打ち込んでいた。
そんな中、同じグループの友人Aが他のラッパーから客演依頼を受けたりするようになった。その友人は自宅に録音機材があったことから、同イベントに出ていたラッパー達が、その友人A宅に音源制作のために集まるようになっていった。そんな縁から友人Aは他のラッパー達との交友関係が広がっていった。私は強い嫉妬心を感じた。
その頃から、私の“打倒”という気持ちは自分のグループ以外のラッパー達ではなく、友人Aに向かい始めた。
私のこの状況に賛同する同グループの友人Bがいた。友人Bも私と同じように、周囲との交流が盛んな友人Aに嫉妬心を抱いていた。
友人Bと私は“妬み”をテーマにしたような曲ばかり作るようになった。
(今になると反吐が出そうな内容である。)
そんな友人Bも、次第に周囲のラッパー達と仲良くなっていった。
友人Bは画像編集が得意だった。自分たちのグループのデモCDのジャケットの編集をいつも担ってくれていた。次第に、デモCDのジャケットを見た周囲のラッパーから、“オレのも作ってほしい”と依頼を受けたり、イベントのフライヤーデザインを頼まれるようになった。
これがきっかけで友人Bは周囲のラッパー達やイベントのオーガナイザーと交流する機会が増えていった。決して社交的ではない友人Bが周囲に頼られている状況に、またもや私は嫉妬していた。
最終的に活動する自信を失い、一時期はHIPHOPを聴くことすら避けていた。
勝手に活動を始めて、勝手に落ち込んでいった。
自分も周囲に認められたいと思いながら、いつも二の足を踏んで何もできなかった。
“自分には何もない”そんな意識が強烈になっていった。

強烈な意識は自分自身をどんどんマイナスな方向へ導き、いよいよ、クサイ物に手を出そうとしていた。
その時にようやく”これではまずい”と気付いた。
今までの自分の考えや行動を改めたいと思った。
このタイミングで長女が誕生したこともあり、自分を変えたいという意識が更に強くなった。親として自分の子供に自身のある姿を見せたいと思った。

それから少しずつ、自分を改めるため努力している。今も続いている。

見る人から見れば、私は非常に未熟者かもしれない。
ただ、もしそう思う人がいたって別に良い。私は私と闘っている。
過去の私なら”そんな風に思われたくない”とか思っていただろう。


ズラズラと書いてしまったが、こんな私だから、この曲に非常に共感し気に入ってしまった。

ACE COOL氏の過去の経験語られた曲だが、曲の終盤の、

「有限不実行で口だけの輩みたく嘆くならやるべきことを
自分の弱さを認めることを 日々の努力怠らぬこと 結局すべて自分だろ
人が持ってるものを羨ましがったり 他者との比較で自分貶めたり
誰かの失敗を願ってみたりとか うんざりだった
そんな自分から抜け出す日々ラップをしてくその意味
書いては消すように生き 戻らない前進してる地道に」

このリリックは最高である。
ACE COOL氏のような人気アーティストが、自分と同じような経験をしていて、現在も精進のための努力をしていることは非常に励みになる。


3、「羨望/嫉妬」から得られる人生の学び:「自分の弱さを認めることで強く変われる」


なんともうまく表現できないが、ACE COOL氏のリリックにもあるように、「自分の弱さを認める」ことは非常に重要なことだと思う。

他者に羨望、嫉妬しているということは自分に満足できていないということだ。これは言うまでもなく誰もがわかることだと思う。
自分に満足できていれば、わざわざそんな感情を抱くことはないはずだ。

但し、このわかりきったことに気付けないことがある。
自分の周囲の人や他者の喜ばしいことや成功に対し、「あの人がうまくいったのは偶然だ」とか、「それは成功とは言えない」などと思ったり言ったりしている時、まるで”正論”だと当人は考えていると思う。
この場合、本当は、自分にできないことを成し遂げた人を単に羨んだり嫉んだりしているだけなんだと自覚できていない。
”現状の自分に満足できていない”ことを受け入れられていないとも言える。

そして、いつも人に羨望、嫉妬している人は、いつも他者と自分を比較しているということである。
他者とは向き合うが自分とは向き合えていない。

苦手なことがあったら、どう克服するのか?
苦手なことがあるが、他に自分が得意なことないか?
苦手ながらも自分ではどこまでできるのか?
自分の好きなことは何か?
自分の好きなことを何故自信をもって好きと言えないのか?
自分らしくいれない、自分に自信がもてない原因は何か?
いつ頃から、何がきっかけで自信をもてなくなったのか?

こんな風に自分と向き合い、自分自身と対話することは苦しい作業かもしれないが、周囲に否定的で、結果諸刃の剣となっている人や、羨望、嫉妬で苦しんでいる自覚がある人は、絶対的に自分と向き合った方が良い。

このような自分との対話を経て、見て見ぬふりをしてきた自我を受け入れることができれば、そこからスタートできる。
いつからだって遅くない。
ずっと羨望、嫉妬に狂わされて生きるか、
自分を受け入れて過去の自分を越えることで少しずつ自分を成長させようと生きるか。
どちらが良いか答えは明確だと思う。

もし自分に足りないことがあれば、自分が満足いく到達点にいくまで努力したらいいと思う。
自分の弱さを受け入れられることができれば、次第に他者の弱さを受け入れる度量もできる。
誰でも弱い部分がある。自分の弱さを知ることはそんな当たり前のこと知るきっかけにもなる。

私は今もACE COOL氏と同じように過去の嫌だった自分を抜け出す道の途中である。最近はそれを楽しいとも思える。


過去一で生意気な記事になってしまったけれど、容赦いただきたい。

最後まで読んでいただいた方には感謝です。
そして、苦い過去すら人を勇気づける曲に昇華してくれるACE COOL氏やHip Hopアーティストにも感謝。

今後も随時不定期更新。それでは。

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