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10年前、曇りなき目で世界を見ていた幼き日の自分へ

今もまだ覚えている。

9歳。近所のスイミングスクールの帰り道、夕日で空がオレンジ色に染まっていた。わたしは、母親と手を繋いで歩いていた。

その時、ちょうど同じスイミングスクールの友だちがいじめにあっていて相談を受けていた。

「ママ。なんで、人は人を傷付けるの?」

友だちのことや、幼い頃からテレビのニュースでたくさんの事件を見ていたので純粋に疑問だったのだ。幼き日の自分は人が人を何故傷付けるのか本気で分からなかった。

いじめ、窃盗、殺人、暴行ーー…。

疑問であった幼き日の“わたし”

そうしたら母親は、

「今はまだ分からなくていいの、大人になったらイヤでも分かるようになってしまうからね。あなたはそのままでいてね」

そう答えた。

大人はつらい

大人はわたしたち子どもに何か隠している。

そう思っていた。

しかし実際は守られていたのだと分かった、知らなくていいこともあったのだと知った。

確かにあの頃、このむせ返るような憎悪や皮膚を掻き毟りたくなるような衝動に駆られていたら相当に歪んだ子どもであっただろう。

しかし、わたしはその後その思考ゆえに武器を手に取ることも出来ず中学3年間ただただ虐げられる弱者になってしまうのはまた別の話だ。

今でも、幼き日の自分が恋しい。

曇りなき瞳でありのままの世界を見ていたあの子が。

恋しいし、羨ましいし、憎い。

泣きたくなる、とてつもなく泣きたくなる。

ごめんね、こんな大人になってしまって。

ごめんね

いつかあなたのように胸を張って生きれるように頑張るね


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