スピッツ カラオケオフ会の怪

20歳の頃の話なので、今から13年ほど前の話です。当時流行っていたSNSに「mixi」というものがありました。Twitterとフェイスブックの間くらいに位置する感じのSNSで、匿名性はかなり低いSNSです。僕は当時「パークモダン」(仮の名前。本当の名前を書くと身バレしてしまうので。ただこれにかなり近い名前)という名前でmixiをやっていた。初めは実際の友人や知り合いとのみ繋がっていたのですが、後にTwitterのように同じ音楽が好きな人と繋がるようになった。

そこである日に一人の女性と会うことになった。二人ともスピッツが好きということで、実際に会って話も盛り上がって、しかもその人は洋楽も好きだったので終始和やかな雰囲気だった。

その人に「スピッツのカラオケオフ会があるので行きましょうよ」と誘われたのが、参加するキッカケだった。特に断る理由もないし、オフ会には行ったことがないけどこじんまりした感じのオフ会だろうと、軽い気持ちで参加をオッケーしたのを覚えている。

当日。集合場所に行って驚いた。軽く50人はいるのである。めちゃくちゃ大規模なオフ会じゃん‥オフ会への参加の諸々は全て先程の女性(ここからこの女性のことは「ルシファーサムさん」と書きます)に任せていたため、どのくらいの規模か把握していなかった。これはやってしまった。しかもルシファーサムさんはまだ来ていない。完全に人見知りを発揮した僕は誰とも話さず呆然とその場に立ち尽くすこととなった。

僕が到着してから10分ほど経った頃に(なんせ10年以上前なので正確な時間は曖昧)、ルシファーサムさんが到着した。少し遠くから手を振りながら


「あっ!パーク!!モダン!さーーーん!」

と割と大きな声で呼びかけてくる。みんながルシファーサムさんのことを見る。僕は手を振り返すことなく、下を向くことにする。

「パーク!!!モダン!!!さーーん!!」

仕方なく笑顔で手を振る。新宿のコマ劇前でで、まちのよれた笑顔。こんなこともあり、僕とルシファーサムさんはオフ会が始まる前から目立ってしまった。しかしこれが「話しやすい」という印象を与えたからなのか、僕とルシファーサムさんに話しかけてくれる一人参加者の方が割りといて、気付いたら6人ほどのグループになっていた。

そしてカラオケが始まる。部屋数は10はあった。部屋の移動は自由で、1部屋だけ「スピッツ以外も歌える部屋」がある。僕らはまず最初に出来た6人のグループで部屋に入った。

歌う前に改めて自己紹介タイム。やはり外で話すより落ち着いて話すことが出来る。好きな音楽の話などをしたんだけど、この時に僕とルシファーサムさんは衝撃を受けることとなる。

スピッツって自分らが思っているより背権ではJ-POPなんだな‥ということである。他の4人から出てきたミュージシャンは、ヒットチャートを賑わしているような方々で、当時の僕にはおよそ縁がない人たちばかりだった(おそらく他の人達が挙げた音楽で僕が聴いていたのは椎名林檎くらいだったろう)

この流れで「僕は〜〜〜そうっすね〜〜〜〜フジファブリック(※若者のすべて が出る前なので一般的な知名度は皆無だった)とか好きっすね〜〜。あとは洋楽すかね〜〜〜」

などと言えるわけがない。ルシファーサムさんも何かを察したようだった。

僕「僕はアジカンが好きですね」

ルシファーサムさん「私はDragon Ashですね」


これは答えとして100点満点である。スピッツが好きな人達も知っているバンドだし、「この人、音楽好きなのかな‥?」という腹の探り合いをする時にも有効である。みんなもためして、アラモード(by クッキンおじさん アイ!マイ!まちん!)

僕はこのとき調子に乗ってクラッシュのロンドン・コーリングのTシャツを着ていったのだが、当然誰にも触れられなかったし、「これ〜〜、クラッシュってバンドの〜〜Tシャツなんすよ〜〜」などという愚かな事を言わなくて良かったと思う。

カラオケ自体は盛り上がりました。他に聴いている音楽が違うとはいえ、皆スピッツが好きなのは同じ。普段は歌えないようなアルバム曲も歌えて楽しかった。このオフ会は、さざなみCDが出た頃に開催されたと思うので、さざなみCDからの曲を歌う人が多かったような気がする。

そして僕は思い切って部屋を移動してみることにする。そう「スピッツ以外も歌える部屋」への潜入である。

「スピッツ以外も歌える部屋」は、他の部屋より一回り大きかった。パーティとかで使うやつですね。他の部屋は7〜8人だけど、ここは15人は入るであろう。部屋には10人ほど人が居た。入ったときは他の人が歌っていたので、軽く会釈して、席に座る。

歌が終わり、改めて「スピッツ以外も歌える部屋」にいた人達に自己紹介をする。やはり聞かれる「スピッツの他に好きなミュージシャンは?」という質問。他の人達はおそらくもうそういった話を済ませていただろうに、律儀に好きなミュージシャンを教えてくれた。他の人が挙げたミュージシャンは大体さっきと一緒である。しかし一人だけハイロウズとフィッシュマンズ(すごくハッキリ覚えている)が好きと答えた人が居た。ここで先程「アジカン」と答え安全圏に走った自分にはもう戻りたくない、という気持ちが強くなった。僕は思い切ることにした。

僕「僕は、じゃがたら が好きですね」

部屋にいたリーダーらしき人「じゃがりこ?」


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その後の空気は察して欲しい。僕は「夜空ノムコウ」を歌い、その部屋をそそくさと後にしたのである。

カラオケの後は飲み会があった。ここではカラオケの時より多少は深い話ができるとはいえ、「じゃがたら」で時間を止めてしまった僕はスピッツ以外の話をしないように用心しながら、その場を切り抜けた。ただ中には少しロック系の音楽を聴いている人も居たけどね。

どっと疲れて終わったスピッツのカラオケオフ会。そして終わってから気付いた、途中でルシファーサムさんが帰っていたという事実(先に帰るね〜というメールが入っていたけど「じゃがたら」ショックから立ち直れていない僕は終わるまでメールに気付かなかった)

このオフ会でスピッツが一般層(この言い方、自分が玄人みたいな感じで好きじゃないけど他に思いつかないので😅)やJ-POP好きにもちゃんと聴かれていることを改めて知った気がする。ちなみにこれだけ疲れたにも関わらず、次のスピッツカラオケオフ会にも参加したのは内緒である。そしてこの回の反省を踏まえ、しっかり楽しんだ。あとルシファーサムさんとは、今でもTwitterの相互フォローくらいの繋がりがあります。

この日記で何が言いたいかというと、スピッツすげえなあってことです(落としどころがわからなかったのでこのような終わり方になりました。)

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