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赤いスポーツカー

noteの皆様に刺激されて今日はヒレカツを作る事にしたきこぺんアロハです。誰かさんのカツラが飛ぶくらい強風の中、豚野郎じゃなかった豚肉も買ってきたし、もうキャベツも刻んであるのです。楽しみ。

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テキサス在住の友達とはアメリカで私にとって3個目の仕事場で出会った。サンフランシスコの大きなビルの34階にあった世界中の電話を受けるカスタマーサービスのコールセンターで出会った。一緒に夜勤もした。彼女は私の母と同じ愛媛県松山市出身で最初から話が合い、もう知り合って25年くらいになる。お互い色々あって連絡を取らない時期もあったり、彼女が転勤でヨーロッパで忙しくしていた時期もあったが去年2月に久しぶりに再会してからまた電話で良く話すようになった。

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ちょうど先週、彼女のお誕生日だった。サイフォンも持っているコーヒーが大好きな彼女にマグカップを贈った。去年会った時に誕生日とかクリスマスのギフトは辞めにしてお互い会った時に一緒に美味しいものを食べたりお酒をいっぱい飲もうと話し合っていたがその直後から続いている自粛生活。お互い時間があっても飛行機のマイルがあっても簡単に会えない。3時間飛行機に乗れば会いに行けるのに去年2月に会いに行って本当に良かったと思う。去年、彼女も夏頃にこちらに来る計画があったのだが全てキャンセルになった。そんな訳で今回のお誕生日祝いは快く受け取ってくれた。

彼女はあと7年、今の会社で働くと前から言っている。アメリカの会社で出世もして社員のトレーニングなども行う。苦労して働きながら大学に行っている時に知り合っているのでとても尊敬している。アジア人の女性にはなかなか厳しい道を頑張って進んでいる。仕事の事情で日本国籍は除籍してアメリカ国籍になった。その彼女が「もう出世はいいんだ。」とある時から言うようになった。いくら仕事が出来てもストレスもあればオフィスの中での力関係の煩わしさもある。そんな彼女が誕生日を前に車のテストドライブに行った。昔からいつか買うと言っていたスポーツタイプの高級車。確か退職したら買うと聞いていた。人生で最後に買う車だからって言っていた。数日して彼女と電話で話している時に「あのねー車買ったから。」と言われた。お目当ての車の欲しい色のがディーラーにあったがオプションを妥協したくなくてドイツから届くまで待つらしい。

話を聞いて彼女らしいと思った。「7年後なんてどうなってるかわからないし、今買って楽しもうと思った。」と電話の向こうで笑っていた。去年、単身赴任していた旦那さんが外国から戻り今はずっと家にいる。最近、時々旦那さんがずっと家にいて自分は家で仕事しててきついと言っていた。私だってもし夫が家にずっといたら愚痴っていると思う。我が家は、平日は外でお仕事をしてくれているので昼間おひとりさま手巻き寿司だパフェ活だと息抜きができる。私の友達は結構煮詰まって週に1回オフィスに通い始めた。まだリモートワークで良いのだが週に1回家から出るだけでもリフレッシュできるらしい。そして今回、自分が欲しいと思っていた車を急に買った。電話で「もうローンだから今飲んでる高いお水とか買えないけどね」と笑う彼女。でもとっても生き生きしていて楽しそうだ。息子さんも去年から旦那さんと同じ海軍に入隊して家を離れ、やっと彼女は自分のために時間やお金を使えるようになったようだ。

老後にはあれをしてこれをしてと良く聞くが確かに今しか出来ないことの方が多いんじゃないかと思う。彼女はちょうど1年前に友人である12歳年下の日本人女性が病気で危篤と聞くとサンディエゴまですぐに駆けつけて最後を看取り、まだ若い息子さんや日本から駆けつけた友人のお母様のケアまでしていた。その時も言っていた。人生何が起こるかわからない。彼女自身、高校生時代に家族をなくしたり色々苦労をしてきた。私は彼女が赤いスポーツカーで好きな音楽をかけながらドライブしている姿がすぐ思い浮かんだ。「車が届いたら見せてね。」「もちろん」という会話をしながら今度テキサスに遊びに行ったら新車でお迎えに来てくれると思うと私までワクワクだ。

私自身は世の中が落ち着いたらもう一回仕事があればフルタイムで働きたいと思っているが今やりたいことで出来ることはどんどんやっていきたい。いつかとかまた今度ではなく会いたい人には会いに行きたいし、見たいものは見にいこう。食べたいものは食べる。今ですら視力や記憶力が落ちて体力も30代40代の頃とは明らかに違う。70代まで待っていたらその頃には、もう何もできないのではと思う。

私には到底真似できないけど56歳のお誕生日に自分のために赤いスポーツカーを買った友達が私はとても誇らしいしなんだか元気をもらった。私が買えるのは赤いパンツくらいだけど(笑)。

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