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8月25日

写真は甥っ子と野生の鹿。互いに恐る恐る近寄っている感じ。甥っ子は日本で生まれ、爺であるうちの父がもうそれはそれは可愛がっていた5歳の時に父親の仕事の都合でシカゴに飼い猫と一緒に引っ越して行った。今年11歳。私の父が今一番逢いたい人はこの甥っ子だろう。私の娘も孫なのでもちろんいつも心配してくれているがこの甥っ子と父は強い絆で結ばれている気がする。甥っ子が保育園に行き始め、父が長年働いた仕事を退職してからは父は爺ライフを楽しんだ。甥っ子のためならクワガタ、カブトムシを知り合いに捕まえて来てもらった。魚釣り、近所の散歩。家の裏庭の桜の木のそばで甥っ子と一緒にセミの幼虫が土から出て来てセミになっていく様子を二人で息をひそめて見たこともあったらしい。

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当分、父と甥っ子は会えないと思っていたが2017年9月にその少し前に病気で亡くなった叔母が私たちにチャンスをくれた。法事などの用事で私と妹は1週間帰国する日が重なった。父と甥っ子は3年ぶりの再会だった。忙しい妹に代わって私と父で1泊2日で出かけることになった。父は私たちが日本へ着く前から計画をしたり本当に嬉しそうだった。短い滞在だったので四国へ行きたがった父を説得し、甥っ子が好きな恐竜博物館に泊まりがけで出かけた。最初は恥ずかしそうだった甥っ子も慣れてくると日本語を話し、二人で電車に乗ってるだけでも父はとにかく嬉しそうだった。時差ぼけで夕食中に力尽きて寝てしまった甥っ子を見ながら幸せそうにビールを飲んだ。あれからまたあっという間に3年以上経ってしまい、甥っ子もすっかり大きくなったようだが妹によるとたまにGoogleアースで父の家を眺めているらしい。山の中で自然に恵まれた場所。そして甥っ子が産まれ育った場所でもあるので彼にとっても特別な場所なんだろう。筆まめな父は定期的に私と妹に手紙をくれるのだが先週届いた手紙には裏庭の桜の木にとまっているセミの写真が入っていた。手紙にこの裏庭だけは除草剤も使わないようにして毎年セミが出てこれるようにずっと守っていきますと父の元気な決意表明が書いてあった。来年は甥っ子と父をまた再会させるという私のミッションが出来た。



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