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夢日記#7 行き場のない街

こんな夢を見た。

たくさんの人が歩いている。繁華街のようで、ごみごみとして見通しが悪く、埃っぽい。
ふいにざわついた雰囲気になったかと思うと、パトカーのサイレンが右側から近づいてきた。
人々が走って逃げてくる後ろから、長い刀を振りかざした男が駆けてくる。何人かのグループが、通行人を襲っているようだ。
パトカーは、紺色の〈ハイエース〉に赤いランプを乗せた作りで、スピードも緩めずそのまま通り過ぎてしまった。

大きな体育館の、コンクリートの軒下に身をかがめて隠れる人たち。
体育館の玄関ホールは狭い。そこからさらに体育館の中に入るためには紙幣を一枚支払い、カード型のチケットをもらわなければならない。
慌ただしく、扉の前にいる男に金を渡し、中に入っていく人々。
チケットは一人に一枚しか売れないらしく、あとから来る人の分を買おうとして断られている男もいる。

中に入れば安全ということらしいが、本当にそうかどうかはわからない。中からは誰も出てこない。

わたしは、腰から上の高さに鏡が張られた狭い玄関ホールで、数人とともに身を潜めている。皆、立ったままだ。
わたしの隣の男が柔らかいフリースの上着を着ているので、夜はもたれかかって眠っている。

鏡越しに、玄関ホールに一人の男が現れたのが見えた。彼は自分で持ってきたらしい、白いポリタンクの透明な液体を頭からかぶる。においはしない。弱々しい、泣き笑いのような表情。
火を付けるつもりだ、と思い、とっさに、男とすれ違うように外に飛び出した。

外には、体調を崩したらしいパートナーを、抱きかかえるようにして歩いている女性。アパートの一階ベランダに立ち、庭木の手入れをしている男性の姿も見える。パートナーの男性は遠くへ逃げてしまった。小さすぎる、白いプラスチックのじょうろでベランダの手摺り越しに水を遣りながら、仕方ないですねえとつぶやいている。




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