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お姉さんのライトニングケーブル

 この間、JR荻窪駅の改札から駅前ロータリーにつながる階段を上がっていました。そしたら、目の前を歩いている女性のコートのポケットから白〜いモノが出てるのに気づいたんですね。iPhoneのライトニングケーブルが、腰あたりから膝のあたりまでプラーンとしてたんです。

 声かけるべきか迷いました。大阪だったら間違いなくかけている。そんなお節介ばかりだもの、大阪。しかしここは東京。コンクリートジャングル。人間砂漠。人みなATフィールドを張る相互不可侵エリア。浮いてまう…。

 いや、しかしついこないだまで大阪に住んでいた人間としてヘタレてはいかん。ここでお姉さんのライトニングケーブルを無視しては己の中の大阪人が死んでしまう!東京人になってしまう!元々千葉だけど。

 なので声かけました。「お姉さん、お姉さん」。無視された。そう、夜中の駅前。ナンパと間違えられるのは当然。そりゃ知らん野郎にいきなり「お姉さん」とか言われたら怖いに決まっている。

 そこで追い抜きざま、顔も見ず一息に言いました。「お姉さん、コード出てます!」。「お姉さん」という呼びかけに不審を抱くより早く「コード出てます!」に注意が向くように。「ありがとうございます」とお姉さん。さらに怖がらせてはいけないので少し会釈し、足早に歩き去ることにしました。

 これでよかったのかどうなのか、正解分からん。確かにライトニングケーブルが出てたとは言え、踏んでコケるか壊すかするような長さでもなかったし、怖がらせるよりは無視してもよかったかもしれない、とも思う。しかしなぁ…。

 とりあえず、夜の道で女性に付きまとうクソ野郎共みんな滅べ。

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