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懺悔とナイフ

別れもないまま
会えなくなりました。
列車が通った後の風に溺れた日たちを
まだ覚えています。

明日になれば、と呟くだけで
何なかった事になる様に。

夜に迷った野良猫に
夜に捨てられた子供の眼を見た。
夜に震える野良犬に
夜に泣く子供の眼を見た。

なぞる指先にある鉄条網。
鉄条網が仕切る記憶。

私は覚えている。
あなたが弱っていく様を。
私は覚えている。
泣きながら食べていた食卓を。

寝たふりして過ごした暗闇に
あなたは何を見ていたの。




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