熱を出す時はいつもひとりだ。
書き溜めてた(掃き溜めとも言う)過去の日記より。
熱を出す時はいつもひとりだ。
ふとそう思ってから、なにかに響きが似てるなとよぎった。
咳をしても一人
かの有名な自由律俳句があるが、毎度のこと感心してしまう。
たった9文字で孤独が伝わる日本語がわたしは好きだ。
なんて、尾崎放哉の代表句を思い浮かべながら天井を睨みつける程度には、わたしの精神はやられていた。
わたしは至って健康体なのが強みで、
発熱は数年に一度あるかないかくらい。
いまの職場も5年半病欠がない。
インフルエンザにも新型コロナウィルスにも結局一度もかかったことがないと言うと大体驚かれる。
「馬鹿は風邪ひかないんすよ」
と笑って過ごしている。
ここ数年は、コロナの予防接種で二度ほど熱を出したが、あとは二年前の扁桃炎がいちばん最近の発熱になる。
あの時も辛かった。
あの時も精神からやられてたし。
あの時、も?
いや、こんなことで負けてたまるか。
数日前、おいせさんのお浄めスプレーを買ってみた。
ジブンスプレーってやつ。
セルフラブって書いてあった。
“自分を愛してあげたいときに”
この文言に釣られた。
その4日後のことだった。
付き合っていた人に振られた。
あれ、わたし縁切りスプレーの方買ったっけ???
そう思うほどのスピード感だった。
振られたというと正確ではない。
別れたいとも、距離を置きたいとも言われてなくて、
活動休止させて欲しい。
と送られてきた。
活動休止?????
え?????
バンドですか??????
え、あの、付き合ってる人に活動休止したいって言われたことある人いますか?
たぶんいないと思うのだけれども。
その文面を目にした時、鬼ダサいな……と思った。
そのあとでようやく、どういうこと??と思考が回り出した。
方向性の違いってこと??(バンドに引っ張られすぎ)
休止っていうか
そもそもわたし、あなたと活動してたっけ?(混乱)
いやなんかダサすぎてびっくりしちゃった。
アラサーの、いい歳した男が活動休止とか言うなよ。
しかも、こんなところで明かすのも良くないけどさ、
「カレカノとしての活動休止?させて欲しい」
って文面だったの。(ほんとにまんま)
カレカノというカタカナの響きも、
活動休止というワードも、
はてなをつけてるところも、
全部が全部、
なんていうか、
気持ち悪い、というか。
おぞましい、というか。
いやあ、やっぱり一言で言うと、
ダサい。
に尽きるな。
こんなメッセージが高熱出してる日に送られてきたわたし、どんまい。
まさに必要なのはセルフラブだね。
わたしの白血球が頑張ってる時に、お前は邪魔すんじゃないよ!!!って気持ちだった。
わたしはいっつも熱を出す時はひとりで、
愛する人に看病されることもない。
というか、その、むしろ恋人とかいう存在に苦しめられてるタイミングだったりするし。
(カレカノとか死んでも言わないぞ!)
ひとりで熱を出して、ひとりで生きていく。
その日も、必要なものを淡々と買って、淡々と栄養補給して寝た。
次の日のシフトにも穴をあけなかった。
長々と送られてきていた彼からの長文のメッセージにはひとこと、
別れたいってことだよね?
とだけ送信した。
数時間後、
「なんでも話せる飲み仲間ポジションでいたい」
と返ってきていた。
そんなポジションは要りません。
活動休止?
あなたとは解散です。
self love.