見出し画像

4/12実装【思い出にもならない】福丸小糸を読む

 ご機嫌よう。まろはいれぶんであるぞよ。こちらは4/12に実装された【思い出にもならない】福丸小糸の感想文兼怪文書となる記事です。以下注意点です。

・記事というよりかはただの自分用の感想まとめなのでいろいろ話が飛躍してる気がします。
・コミュ内容のネタバレを含みます。さらに今までのノクチル全体のコミュの内容を前提としつつ絡めるのでさらにネタバレと妄想が飛躍します。お気を付けください。
・私個人の好意的・拡大解釈および誇大妄想を含みますが、それらを押し付ける意図のものでありません。むしろ自分の考えとの違いを発見してより幅の広い解釈を見せてくれ…。
・ゲーム内プロデューサーのことは名前が分からんので「シャニP」と呼称します。

では以下本文となります。

【思い出にもならない】福丸小糸のイラスト

画像1

 エッッッッモ。もうエモい。イラストだけでいろいろな感情が掻き立てられます。そして何より美しい。相も変わらずキャラゲーのカードイラストであるはずなのに当のアイドルたちのイラストの中に占める割合が低いです。ただ日常のワンシーンを切り取っただけの写真のようですが、そんなイラストでも、むしろそうだからこそ、いろいろな物語性を感じてしまいます。やはりシャニマスくんは絵が上手いです。単純なイラストの出来栄えというよりかは、そういう物語性をイラストの中に落とし込むのが上手いのがシャニマスですよね。
 春に実装されたカードだけあって桜の咲く様子が美しいイラストなのですが、それはこのカードのシチュエーションが春であるということを意味し、小糸はまだ高校一年生であるということを考えると、このカードのコミュは小糸や雛菜が透と円香と同じ高校に入学してすぐのコミュになるのではないかということが考えられます。もしかしたらまだアイドルになっていない時点での彼女たちのコミュとなるのだろうと思えますが、ノクチル実装から一年経ってそれを実装するというのもなかなかシャニらしいといったところです。果たしてそんなコミュの内容とは…。

1つ目のコミュ「ありふれた約束」

画像2

 1つ目のコミュではどうやら登校途中の円香に偶然小糸が出くわしたようで、走り寄って声をかけています。可愛い。どうやら透はコンビニに寄っているようですが円香は普通に透を置いて行くんだね…独特の距離感ですがある意味では幼馴染らしいのかもしれません。
 円香としては別段透と一緒に学校に行こうとしているわけでは無く「家が隣同士で出る時間も大体一緒になるだけ」ということらしいですが、小糸はそれを「いいな…」と少し羨ましそうです。そうして自分も一緒に行きたいと思っているということを円香に伝えました。やはりこのカードコミュは小糸が高校に入学してすぐのお話になるのでしょう。

画像3

 それを受けた円香は「…何、許可が欲しいの?」と言います。言い方が冷てえ…!なんでそんな言い方しかできないの円香?こっちはこの一年で円香がめちゃくちゃ優しい子だと知っているものの、やはり口調は冷たく感じてしまいます。
 とはいえ「小糸の好きにしたら」と言い、それを受けた小糸は嬉しそうです。しかし円香は「いつも小糸はもっと早く家を出ているはず、自分たちに合わせなくてもいい」と言います。こいつ…ナチュラルに小糸の家を出る時間の大体を把握している…???樋口?????
 そう言われた小糸は少し苦し気に「中学生の時は学校が遠くて早く家を出てたからその癖で早く家を出てしまう」「だからもうちょっと遅く家を出よう思っている」と言い訳をしますが、その後に「透や円香のように約束とかじゃなくて一緒に行きたい」と言い辛そうに付け加えます。どう考えても後者の方が本音ですよね。しかしこの小糸の思いはそんなにも言い辛いことなのでしょうか…小糸…。

画像4

 「割と近い場所に住んでいる幼い頃からの仲のいい友達と一緒の高校になったから、これから一緒に登校しようとする」、実に普通の事です。どこにでもある話でしょう。つまりコミュタイトルの「ありふれた約束」です。しかしそんな仲の良い幼馴染ならごくごく普通のことをしたいと円香に伝えるのになぜ小糸は苦しげなんでしょう?
 そう考えると、それはきっと小糸にとってその「ありふれた」ことは「ありふれたものではなくなっていた」からだろうと思えます。小糸だけが中学校が違っていたというのは一年前からわかっていましたが、今回のコミュで遠い場所にあったということも分かりました。少なくとも中学生である3年の間、小糸は3人と一緒に登下校するなんてことはできるはずも無く、ひとり寂しく3人のいない学校に通っていたのでしょう。今までのノクチルのコミュの中での小糸の4人の関係性への入れ込み方を考えると、小糸にとってその3年間がどれほどに暗いものであったのかと感じてしまい胸が苦しくなってきます。泣きそう。
 とはいえ、きっとそれは小糸が悪いわけでは無いはずです。なぜ小糸だけが違う中学校になってしまったのかという部分については今はまだ情報が無いので何も分かりませんが、今までの小糸の言動からしてもあの小糸が自分から望んでそうしたということだけは無いだろうという風には言えますよね。違う中学校に行ったことについて小糸自身が原因ではないと思います。というかそう思いたいんです!もし小糸自身に何か原因があったとしたらそれは絶対つらいものにしかならないから…小糸だけが中学受験失敗したとかさ…想像しただけで涙出そう…助けて…。

画像18

 しかし、小糸は今までも散々見てきたように、とにかく自己肯定感が低く、自分を責めてしまう部分があります。そしてそんな風に自分のことを下げているうちに自己主張ができなくなります。例えば感謝祭編でトレーナーさんに「そんなんじゃ感謝は伝わらない」と言われたことで「ファンレターへの返事をステージで読み上げたい」というアイデアを言えなくなったことや、先日実装の【はれのひ喫茶店】でお洒落な喫茶店にシャニPと一緒に行ったものの「特別な日じゃない」と言って注文を遠慮しようとしたことなどが挙げられます。
 小糸は「自分が何かを望むためにはそれ相応の状況に自分を置かなければならない」というスタンスを取ってしまいがちなので、結果として「自分が望んだことができないのは自分のせいだ」という風に思ってしまうんだと思います。なので、きっとどこかで小糸は「自分がみんなと同じ中学校に行けなかったのは自分のせいだ」という風に思ってしまっていて、波及的にそれは「みんなと一緒に登校できないのも自分のせい」という風にしてしまっているのかもしれません。そのため、このコミュでもただ「仲のいい幼馴染と一緒に学校に登校したい」なんて何でもないことを言い出すことにすら後ろめたさを感じてしまい、ゴニョゴニョと言い訳をしてしまったのでしょう。小糸…………(クソデカ感情)。

画像5

 長々と書いてしまいましたが、ここでコミュに戻ります。その小糸の様子を見た円香は何かを察したか、「じゃ、良いんじゃない?このくらいの時間で」と言います。
 これもまた円香らしい適当で冷たい返しに思えますが、ものすごく優しい返事だと私は思います。先述の通り、小糸はみんなと一緒に登校することを「約束とかじゃなくて、2人みたいにしたい」という風に言っています。コミュタイトル的には「ありふれた約束」という風になっていますが、この小糸の「約束とかじゃなくて」というのはつまり幼馴染同士一緒に登校するということをわざわざ約束なんかしなくてもできる「ありふれたものにしたい」ということだと思います。
  そんな小糸の思いを円香はしっかりと汲んだかのように、「このくらいの時間」という適当な時間を指定し、好きにしろと突き放してあげたのです。つまり円香は、一緒に登校することに関し「何時にどこどこで待ち合わせ」みたいな明確な形での約束をしませんでした。具体的な約束なんかしなくても自然と合流して一緒に行く、そんな形に落とし込んであげたのです。いや優しいなお前樋口お前。こうして小糸の想いは円香の手によって「仲のいい幼馴染同士なら当然のようにありふれた、約束だなんて呼んでいいかどうかも分からないほどの約束」として形になりました。

画像6

 ここで「約束」という単語について、すこし思い出すことがある方もいるかもしれません。去年のハロウィンの時に実装された小糸のカードのタイトル覚えてますでしょうか?【パーティーのやくそく】でしたよね。
 このコミュの内容は小糸がハロウィンパーティーに向けてやる気を出していて、みんなでお菓子やらなんやら持ち寄って盛り上げようという「約束」をしていたのに、透や雛菜が約束を破ってなんの準備もしていない!おい!!と思っていたら特に小糸に相談も無くピザやらスイーツやらを注文していて、結果として賑やかなパーティーになったというコミュでした。
 これはある意味において、「約束とかじゃなくて」パーティーを成功させたという風に言い換えられます。やっぱりこういう在り方こそがノクチル的であるし、きっと何より小糸が望んだものです。何かを示し合わせなくたって、4人なら何でも楽しく上手くいくというのがきっとノクチルの「ありふれた約束」なんです。

画像7

 さてコミュに戻ります。長ぇ。まだ1つ目のコミュだぞ。それくらい語ることがあるのです。
 そうして一緒に円香と登校することになった小糸ですが、会話が続きません。気まずい雰囲気です。円香お前…もう少しなんかこう…ない?とはいえ小糸は同じ高校に入学してすぐで、円香との距離感を若干測りかねている感じがします。
 ここで対照的なのが、【Feb.】でのコミュで円香と小糸が一緒のバスに乗っていたシーンです。当該コミュの中でも円香と小糸が二人きりになるのですが、その時も円香は特段小糸に話しかけません。円香はあまり余計な会話をしないタイプなんですが、この時の小糸はそんな円香に対して全く気まずそうではありません。小糸は、円香が自分と会話したくないとかそういう風に思っているとかではなく、そういう性格であるということを理解して隣に立っていることを意味します。
 一方でこのカードコミュの段階ではまだそうなれていないということを感じさせ、順序を逆に見せることで二人の関係の深まりを示してきたと言えます。やっぱシャニマス君は凄いな。

画像8

 そんなちょっとギクシャクしているところ、小糸は「桜が満開、昨日よりよく咲いてる気がする」と切り出します。当然これは実際に桜が昨日より綺麗に咲いているかどうかはあまり関係が無くて、みんなと一緒に高校に行けるという明るい気分が小糸の視界にある桜を美しく彩っているということだと思います。
 それを受けた円香は「ちゃんと見てないしよくわからない」と言い、小糸はちょっとしょげます。円香お前さあ…と思っていたところ、「けど小糸がそう言うならそうかもね」と言いました。小糸はそれを聞いてぱっと明るくなって「絶対そうだよ!」と嬉しそうです。
 この円香も本当に優しいと思います。小糸が自己肯定感が低く自己主張ができないというのは何度も言っていますが、そのために「自分が間違ってそう」と思うとすぐに凹んで縮こまります。なのでここで円香に「よくわからない」と言われたことで少ししょげかえっていますが、円香の「小糸がそう言うならそうかもね」というのは「自分と小糸は違う、でも小糸の感じてることも正しいんだよ」という風に言ってあげたと言えます。すぐ他者と自分を並べて凹んでしまう小糸に対し、小糸自身の感性、主体性を認めてあげたのです。いややっぱ優しいよ円香。メタクソに優しい。
 こうして小糸はいつもより綺麗に咲いた桜とともに3人と一緒の新生活が始まったのでしょう。春らしく、心が暖かくなるコミュです。

2つ目のコミュ「いつか忘れる本の題名」

画像9

 2番目のコミュではどうやら新学期早々に小糸が学校の図書室の視察をしに来ており、自分が勉強する環境を確かめているようです。…偉い、小糸。金あげる(福丸小糸持続化給付金)。
 そんな偉すぎる小糸ですが、どうやらかつて読みかけだった本が目に入ったようで、それを手に取りどこまで読んだかと本を開いて読み始めます。すると風が吹いてきて、散った桜の花びらが本に挟まります。その状況に小糸は「花びらをキャッチできたらいいことがあるって」「キャッチしたのは自分じゃなくて本だけど」と少し嬉しそうに言いつつも、桜が散り始めていることに少し寂し気です。
 そうしていると突然透と円香の声がして、驚いた小糸は大きな声を出してしまいますが、とても嬉しそうです。どうやら透は今日までの課題をやっていなかったらしく、それを終わらせに図書室に来たようで、円香も付き合ってあげるようです。透はいつも通りだなあ。コンビニには置いて行くけどこれには付き合ってあげるんですねえ円香。
 そこで小糸は受験の話になって少し思うところがありそうにしつつも、透が課題が終わるまで一緒に居るから一緒に帰ってもいいかと言います。1つ目のコミュと同じように今度は一緒に帰ることも望んでいますが、透は別になんてことはなく受け入れます。やはりこれは軽くOKできるくらいの普通の事なんですが、小糸はそのことがとても嬉しいようで、「桜の花びらすごい、もういいことが起きた」と言います。良かったねえ…。

画像10

 さて、このコミュもいろいろと思わせるところのあるコミュです。まず小糸が手に取った読みかけの本、これは4人の関係そのものを表します。この本がいつから読みかけなのかはわかりませんが、読みかけということは言い換えれば「途中で止まってしまっていた」と言えます。
 小糸にとって「途中で止まってしまっていた」ものというのは、「4人みんなで一緒に居ること」、つまり「4人の物語」です。前のコミュでも触れられている通り小糸だけが違う中学校に行ってしまったことで、少なくとも小糸にとってはですが、「4人の物語」は完全に断絶してしまっていました。
 しかし小糸は受験を頑張り、3人と同じ高校に通うことになりました。そこで読みかけの物語のページをこの春にまた開いたということ、それは「4人の物語」がここからまた始まるんだということを意味するでしょう。そしてその瞬間、ずっとその背中を追いかけてきた円香と透が現れたんですね。エモい。とても美しい表現です。

画像11

 また、「風が吹いて」「桜の花びらを本がキャッチした」という部分も意味深いです。
 「風が吹く」ということは、「海へ出るつもりじゃなかったし」で特に触れられている通り、彼女たちの何かの始まりを意味するものです。このカードコミュは時系列的には「海へ出るつもりじゃなかったし」よりずいぶん前でしょうが、この時からもう彼女たちには風が吹いていました。そして、このコミュの内容から見るともしかしたらその風を一番最初に受けていたのは小糸だったのかなとも思えます。いやもうエモい。
 さらに「桜の花びらを本がキャッチした」というのは、小糸が言う通り小糸自身ではなく、「4人の物語」そのものが桜の花びらをキャッチしたということになり、これから彼女たち4人に待ち受ける未来にはきっといいことが待っているという暗示に取れます。は~~~~エモい(限界嘆息)。これから結構大変な未来が待ち受けていることは我々も知っていますが、それでも彼女たちの明るい未来を信じたい私としては本当に心が暖かくなります。

画像12

 小糸はこの桜の花びらをキャッチしたことで透や円香と一緒に下校できることになったことを喜んでいますが、「みんなで一緒に居られるようになること」を実現したのは桜の花びらなんかじゃなくて小糸自身の努力や強い想いのはずです。そしてそのことがこれからノクチルというアイドルになることで始まる大きなストーリーの1ページ目、始まりのきっかけのひとつだったのでしょう。
 もし小糸が3人と一緒に居ようとしていなかったら全く違う未来が待っていたかもしれません。というか小糸がいないノクチルなんて即空中分解してそうだし…。「みんな私がいないとだめなんですよ!」という言葉、それはきっと強がりなんかじゃなかったんだって、今はそう思えます。きっとこうして小糸がみんなと一緒にいようと思っていた時から、みんなを繋ぐ小さな糸としてノクチルとしての物語を始めていたんですね。本人はそう思ってはいないんでしょうけど…。

3つ目のコミュ「それでもまた春は」

画像13

 さて最後のコミュではとうとう雛菜が出てきました。春は過ぎ去ってしまったようで、少し暑くなってきたようです。初夏ですね。
 小糸と雛菜はどうやら下校中のようで、早く夏服になればいいねなんて世間話をしているようですが、その中で小糸は桜が散ってしまったことが少し悲しそうです。前のコミュでもそのことを悲しそうにしていましたね。小糸にとってこの春は体感のスピードが速かったようですが、みんなと同じ高校に入れた嬉しさがそうさせたのかななんて思います。
 そのことを小糸は「色々あったから」と言い、雛菜もその感覚に同調しつつ「例えばどういうことがあったの?」と問います。それに対して小糸は高校に入学したことと共に「アイドルになった」ということも言っています。どうやらこのコミュはアイドルになった後みたいですね。ここで雛菜は小糸が入学式の時に「何か読んでた」と言っていますが、小糸は新入生総代だったので新入生代表のあいさつをしたのでしょう。凄いことなんですがこの様子だと雛菜はあまりその内容を真面目には聞いていなかったのでしょう。まあらしいと言えばらしいです。

画像14

 こういった何かしらの要因によって「時間経過の感覚が加速する」というのは我々としてもよくある感覚なのではないかと思いますが、小糸にとっては「この春に自身を取り巻く環境が激変したこと」で春が早く過ぎ去ったということになります。やはり小糸にとってみんなと一緒に居られない中学生時代は何も楽しいことのない停滞した時間であったのだろうと思えますし、その反動もあってか、同じ高校に通えるようになったことに加えてみんなでアイドルやることになったことにより目まぐるしく春は過ぎ去っていったのでしょう。そしてそれはきっと楽しく嬉しいことでもあったのでしょう。
 一方でその「春」が終わったということは、思うように物事がうまくいった時間が終わってしまったという風に小糸は感じてしまっていてるのだと思います。いろんなことがうまくいった春が早々と終わってしまったこと、そして高校生、更にはアイドルになってしまったことでこれからどうなるのか、ちゃんとうまくやっていけるだろうかという未来への不安もあって悲しげなんだろうと思えます。

画像15

 そんな感覚を小糸は「雛菜にもそういうことがある?」と問いますが、雛菜は「自分はいつも変わらない」「毎日楽しいから毎日過ぎるのが早い」という風に言って、それを聞いた小糸は「凄いな」と少し羨ましげです。きっと小糸はこの言葉に、雛菜が持ち前の才覚でこれからも毎日上手いこと楽しくやっていくのだろう、自分にはそれは難しいけど、なんていう風に感じているのかなと思います。
 それを受けた雛菜は「そんな風に春がすぐ終わるなら、きっと夏も秋も冬もすぐ過ぎて、また春が来るよ」と言いました。それを聞いた小糸はどこか得心がいったのか、元気を取り戻しています。

画像16

 ここでの雛菜の対応もとても良いなあと思います。おそらくですが、この会話の中で雛菜は小糸がどこか漠然とした不安感に囚われて、「春」が終わってしまったことを悲しんでいるという事をすぐに察しました。
 そうして雛菜はまず小糸にとってこの「春」に起きたいろんなことがどういったものであったかをゆっくりと紐解いています。そして小糸が雛菜の言う「毎日楽しいから毎日過ぎるのが早い」という言葉に対する羨望の眼差しから、小糸とってもその「春」は楽しいものであったということを確認したんだと思います。
 そして、雛菜は「きっと夏も秋も冬もすぐ過ぎる、そしてまた春が来る」と言っていますが、これは「きっと小糸にとってもこの先楽しいことがいっぱいあって、うまくいくよ」と言ってあげていると思えます。
 何故なら雛菜が小糸から聞き出したこの「春」に起きた「いろんなこと」というのは、「受験を頑張ってみんなと同じ高校に行けたこと」「みんなと一緒にアイドルを始めることにしたこと」であり、これは前のコミュの部分でも述べたように、これらは小糸の「そうしたい」という意志により形になったものだからです。雛菜は小糸が自分の意志と努力によってその楽しい「春」を訪れさせたのだということをわかっていてあげてるんだと思います。本人はなぜかそう思えていないんですけどね。
 つまり雛菜は「これからも小糸がそういう風にあろうとして頑張るなら毎日は楽しく過ぎていくし、その思いの結果としてまた桜が綺麗だって思える春が来るよ」と言って小糸の姿勢を認めてやりながら勇気付けて見せたんじゃないかなと思います。雛菜優しい〜やは〜〜!

画像19

 こういう雛菜の小糸に対する接し方は感謝祭編の時も見られていましたね。感謝祭編で自分のアイデアを言い出せなくなった小糸に対し「自分はやりたいことは好き勝手にやりたい」という態度を取り、小糸の反論を呼び起こすことで「自分はこうしたい」という小糸の奥にあった思いをいち早く引き出したのは雛菜でした。
 こういう部分を見ると、雛菜は敢えて小糸の行動や感情を惹起させるような態度を取り、それを汲み上げてやるという方法で小糸をフォローしてあげてるのかなと思います。
 小糸は自分の抱える思いを外に出すのがとても苦手で、そうしているうちにいろいろなものを抱え込んでしまうのですが、雛菜はきっと小糸のそんなところを分かっていてこうして思いを吐き出させているのだと思います。そしてそれは本当に小糸のことを分かっていると思います。
 雛菜は「その人のことはその人にしか分からない」なんて言いますが、きっと雛菜自身が思っているよりも雛菜は人のことを分かってあげようとしているし、分かってあげていると思います。そう思うけどなぁ〜俺は。ちょっと好意的過ぎるかもですけどね。

画像17

 そんな会話もそこそこに、雛菜は「レッスン室がエアコンで涼しくなってると良いな」「そうなってるようにシャニPに頼もう」と言います。そんな雛菜に小糸は若干動揺気味ですが、雛菜は「その方がレッスンうまくいくでしょ?」と言います。小糸としては「シャニPにそんなことさせちゃダメ」という風に反応します。
 これはある意味で自分の勉強する環境を確かめるために学校の図書室をあらかじめ視察していた小糸とは対照的な雛菜の態度なんですが、実際自分がシャニPだとしてこの雛菜の申し出をどう思うでしょう?小糸の言うようなシャニPに対する失礼な行いでしょうか?
 自身の抱えるアイドルたちのレッスンする環境を良くするために頼まれてエアコンを付けとこうなんて何もおかしなことでは無いと思いますが、小糸はやはり必要以上に恐縮し遠慮してしまいます。雛菜はそれを分かっていてでしょうが、こうして無理矢理にも小糸を引っ張って見せることもできます。そしてそれが悪い方に作用することは少なくとも今までありませんでした。それはきっと雛菜は小糸がしっかりと歯止めを効かせてくれると分かっていて加減を考えて振る舞うからです。これも好意的すぎるかな?でもそうであって欲しいな。
 このことは今の小糸には少し難しい、我儘とも言えそうな強引さもまた物事をうまくいかせるやり方のひとつであることを示すと共に、小糸がそういう雛菜の強引な振る舞いにしっかりブレーキを効かせる役目であることまでも示すように思います。雛菜凄いなあ。雛菜はやっぱり人のこと、小糸のことを思っていますよ、絶対。そんな2人の深い関係を思わせるコミュでした。

まとめ

 さて、今回のカードコミュはやはり小糸が高校に入学してすぐの頃のお話となっていましたが、ノクチルが現れてから一年経ってこれを見せてきたことで、より彼女たちのノクチル的な在り方を感じることができたと思います。
 ノクチルのテーマのひとつとして「日常からの脱却」みたいな部分があるかと思いますが、今回のコミュの内容では今の自身の状況を良しとせずに、それを一番最初に変えて見せたのは小糸だったんだいうことが分かります。
 透も結構早い段階からそういった脱却を渇望していたのかもしれないとは思いますが、小糸はひとりきりの中学生時代というあまりにも暗い時代が訪れてしまったことで、そこからの脱却を余儀なくされました。そしてそのために努力してみんなと同じ高校に行き、さらには透や円香を追いかけてアイドルまで始めることにしました。その上で学業もアイドル活動も積極的に取り組んで頑張っていますよね。「行動を起こして自分自身及び自身を取り巻く環境を積極的に変えようとする」というのは誰よりも小糸が一番良くできていると思います。まあそれでも書類偽造はちょっとやりすぎだけど…。

 とはいえこうして自分の環境を変えて「春」を訪れさせた小糸が、この先のアイドルとしての活動の上でなかなか大変な目に合うし、結局また周りの3人や色んな人、物事と自分のことを比較してしまってプレッシャーに苛まれる日々になるというのを我々は知っているのですが、それを円香や雛菜が認めて支えてあげられるんだという部分が見えたのも良かったなと思います。
 小糸自身は追いつくために必死ですが、周りの3人は決して小糸の事を置いて行こうとはしていません。小糸がひたむきに努力してついて来ようとしているのをきっと分かっているし、なんなら小糸がここで追いついてきてくれたのは3人としても結構嬉しいんじゃないですかね?まあ他の3人は感情の出し方が独特過ぎるのでちょっと分かりませんが…なんやかんやで嬉しいんじゃないかな。
 実際にここで小糸が3人に追いつくことができて、結果として小糸はこの「春」に「4人の物語」を再開することができました。それはやはりノクチルというアイドルの物語の始まりそのものでもあるので、このカードのコミュはノクチルそのもののプロローグであるし、そのページを一番最初に開いていたのは小糸だったっていうのがもういろいろとエモくなってしまいます。泣いた。小糸は頑張ってるよ本当に。

 しかし、きっとこれからのノクチルの物語の大きなうねりの中で、この「春」のことは少しずつ薄れゆくんだと思います。
 桜の咲いた学校への道の中、円香とした小さな約束はどこにでも「ありふれた約束」になって彼女たちの日常の中に溶け込んでいきます。
 春の図書室でかつて途中まで読んだ本を開いたら透と円香が現れて嬉しかったこと、そんな小さな偶然の物語は「いつか忘れる本の題名」でしかありません。
 小糸にとってこの春がどれほど暖かくて、優しくて、嬉しいものであったかなんて、これからの波瀾万丈なノクチルの物語の中できっとそれは「思い出にもならない」ような掠れた1ページになっていってしまいます。
 「それでもまた春は」必ず訪れます。小糸だけにじゃなくて、みんなに。みんなが頑張って、桜がとても綺麗に咲いているように思えたこんな「春」がまたいつか来るんだという希望。こんな「春」が小糸の、彼女たちの中にあったということこそが何よりもその希望を美しく輝かせます。

 ここいらでイラストの方を見返してみると、先の印象の通り桜の美しいイラストなんですが、そこにはまだ咲いていない蕾の桜、今まさに咲き誇る桜の花、そして散りゆく桜の花びらすべてが美しく描かれているのが分かります。これは未だ咲いていない彼女たち、そしてこれからノクチルとして咲き誇ろうとすること、そして彼女たちのそんな日常や青春もいつか変わっていってしまったり終わっていってしまうのだろうと思わせます。
 そんなすべての美しさがこの「春」の中にあって、それはやっぱりこの4人の持つ輝きは、ある意味で彼女たちがノクチルとしてちゃんとスタートを切れた「天塵」、つまりあの「夏」よりも前に全部あったんだって思いますし、だからこそまたいつか「春」が来るんだって思えます。
 このカードのコミュやイラストからは、そんな青春が過ぎ去っていく切ない胸の痛みと、それでもこの先の未来はきっと明るいと思わせ、最後には絶対に春が巡ってくると感じられる、そういうじんわりとした暖かさを感じました。こういうの大好き。これだからノクチル好きなんだよな~再確認!

あとがき

 さてさて皆さんPカップお疲れ様です。死ぬ。Pカップのせいでだいぶこれ書くのに時間かかりました(責任甜花)。しかもすぐにノクチルG.R.A.D.編が来ます。さらには雛菜の新規sSRも来ます。死ぬ。忙しすぎるだろ。
 ところでお気づきかどうかわかりませんが、この【思い出にもならない】福丸小糸の実装日はなんの日だと思いますか?確かにシャイニーの日でもあるので特別な日ではあるんですが、実はちょうど1年前に雛菜が実装された日でもあります。つまりノクチルがゲーム内に全員揃った日でもあるんですね~。そういえばこの前の【はれのひ喫茶店】福丸小糸はノクチル発表からちょうど一年たった日に実装されましたね。おや?
 さらにさらにこじつけていくと、「天塵」の生配信番組で誰よりも頑張ったのは小糸、感謝祭編での実質的な主人公も小糸、「明るい部屋」誰よりも先にノクチルを飛び出してキャロル隊に参加したのも小糸、「海へ出るつもりじゃなかったし」で騎馬戦の騎手として戦ったのも小糸、公式4コマ漫画でノクチル内で一番最初にユニット越境したのも小糸、3rdツアーでノクチル内で一番最初にソロを披露したのも小糸です。そしてノクチル的な記念日に2回連続で新規カード実装。
 こいつノクチルの主人公じゃね???やっぱいざとなると一番最初に前へ飛び出してくるのは小糸なんだよなあ…そういところが好きです。

 そんな余談でした。なんにしてもここまで読んでくれた方、もしいらっしゃるなら人生の貴重なお時間を頂きありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。それでは~。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?