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7/10実装【おかえり、ギター】浅倉透を読む

 アロハ―。いれぶんなりよ。こちらは7/10に実装された【おかえり、ギター】浅倉透の感想文兼怪文書となる記事です。以下注意点です。

・記事というよりかはただの自分用の感想まとめなのでいろいろ話が飛躍してる気がします。
・コミュ内容のネタバレを含みます。さらに今までのノクチル全体のコミュの内容を前提としつつ絡めるのでさらにネタバレと妄想が飛躍します。お気を付けください。
・私個人の好意的・拡大解釈および誇大妄想を含みますが、それらを押し付ける意図のものでありません。むしろ自分の考えとの違いを発見してより幅の広い解釈を見せてくれ…。
・ゲーム内プロデューサーのことは名前が分からんので「シャニP」と呼称します。

では以下本文となります。

【おかえり、ギター】浅倉透のイラスト

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 顔が良いけどなんだこの…なんだ?何?何も分からん。助けてお洒落有識者!何がどうなっている衣装なんですこれは?最初見た時フェスイラストの方かと思ったんですけどこれ。
 なんかもう半分水着みたいな状態で、しかもその上に透明なビニール?的な何かを着ています。まず間違いなく透のいつものファッションセンス的にこんな服を普段着にするわけないので、何かの撮影がシチュエーションなのかなというところです。そうじゃなきゃクレイジーすぎる。
 イラスト全体の雰囲気も、ストレイライトみたいなんて言われてるのも目にしましたが、それはつまりサイバーパンク的だという感じですよね。それは確かにそうで、このネオン煌めく夜の街のような色彩感、レーザー鋭く降るダンスフロア的空間、治安の悪そうなポスターまみれの壁、寄りかかる訳の分からん謎の服を身に纏った少女というのはどこまでもサイバーパンク的です。そしてサイバーパンク的であるということはつまり「未来的」であると言ってもいいでしょう。そうこちらに思わせた時点で、また透のコミュが「時間」みたいなものをテーマに盛り込んだコミュをぶつけてくるだろうということを俺の中のゴーストが囁きます(攻殻機動隊)。しかし私の義体は中古ショップで投げ売りされていた低スぺの義体なのでまた負荷がかかって壊れてしまうでしょう。だれかたすけて。

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 お次はフェスイラストの方です。ぎゃーーー!顔が良い!!そしてマジでイラストが綺麗!!やっぱシャニマス君は絵が上手い!!
 しかしまたこれはさっきのイラストと比べると余りにも雰囲気が違いますよね。サイバーパンク風でどこか機械的で硬質的な雰囲気を感じさせるものと打って変わり、その衣装やアクセサリー、背景にある花々やその色遣いが感じさせる印象はとても柔らかく爽やかで有機的です。ボタニカルでフローラル。相葉夕美も助走付けて抱き着くレベル。
 しかしながら透は、自身の持つその外見や言動の雰囲気によって自分が素晴らしいものに勘違いされているというように感じている部分があるように思うんですが、そういう部分を一つ乗り越えられたのがG.R.A.D編でのストーリーでした。そのことを踏まえると、こうした真反対といってもいいような2つのイラストを用意してきたことにはそういう意味が込められているのではないかなと思います。なんかよくわかんない服着たバキバキにカッコいい透にも、野に咲く花のように穏やかな笑みを浮かべた透にも、その中にはしっかり「浅倉透」がいるんだ…。
 あと、SRなのでアニメーションとしてはシンプルなものになってはいますが、思い出アピールの際の演出もとても美しいですね。イラストを見ての通り全体的に水彩画調の塗りと、それを表すかのように絵筆と鉛筆が描かれているのですが、アニメーションの方では最初色の無い透が色付いて行くものになっています。これって…「透明だった僕たち」…ってコト!?しかもその美しい黄色と水色の色遣いは「GR@DATION」になっているし、キャンバスに色を重ねるという事はきっと「L@YERED」ですよね。今春にG.R.A.D編が実装され、これからLandingPoint編が実装されるその狭間にこのイラストがあるんですね~!エモ。

1つ目のコミュ「おまえのおと」

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 コミュの方ではいきなり透が「これ生きてる?」などと聞いています。いきなりこれ。なんかまた導入から色々ややこしくなる感じを出してきます。なんだお前ホントに。
 場面は切り替わり、透は事務所の倉庫の奥に長い事眠っていたギターについて「これ捨てるの?」とシャニPに聞いていますが、シャニPによるとどうやら「ゴミじゃないか」ということらしいです。この様子から見るとシャニPもそのギターに認識が無い、まさかはづきさんのものとも考え難い…ということは社長の物…それともただの備品?いったい誰のギターなんでしょうね?

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 というところでまた場面は切り替わり、透とシャニPは道端を歩いている際に羽化してすぐのセミを発見しています。出たよ透のコミュにありがちな時系列ぐちゃぐちゃ形式。助けてくれ。どうやら最初の「生きてる?」という質問はこのセミを見た際の物のようですが、「…白い。めっちゃ」と言っています。浅倉構文。
 そこですぐにまた場面は切り替わり、シャニPは「(そのギターは)もう壊れ気味だからちゃんとした音が出ない」と言っていますが、透は「古い。めっちゃ」と言っていいながらそのギターを触ろうとします。浅倉構文(2度目)。

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 またまたすぐ場面は切り替わります。そこでは透が羽化したばかりのセミを触ろうとしていますが、シャニPに「まだ弱そうだから」と言われて「指紋つきそう」「羽とか腹とか柔らかそう、めっちゃ」と言って取りやめています。浅倉構文(3度目)。乱発すな。
 としてると、今度はギターの方に戻り、ギターは半分壊れているような状態のようですが一応の音は鳴ったようです。ただ透は「でも、ごみ?」と反応しています。まあまだせっかく音が出るのにね…という感じですよね。わかる。

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 またセミの話に戻ります。助けて!このコミュ場面切り替え多すぎ!!シャニPはそのセミについて「まだしっかりした体じゃないしまだ飛べない」「鳥とかに狙われてしまうかもしれないから安全な所に置いておきたいところだけど」なんて言っていますが、透は「生きられないかもしれないんだ」と言っています。
 そこからギターの話の方でシャニPが「楽器なのにごみなんて言うのは確かに気が引ける」と透の気持ちに寄り添いを見せていますが、そこからすぐにセミの方に戻り、透はそれを「動かないし鳴かないね」と言っています。そしてまたすぐにギターの方に戻り、シャニPは「捨てないで弦張りなおしてみるか?」と提案しています。

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 次のセミの場面では、「鳴かなくてもこいつはセミかな」「こいつだけが黙ってるし」という問いを発し、ギターの方に関してはシャニPの提案を「いいや」「もう鳴り終わっただろうから」と却下しています。浅倉節が全開過ぎる。
 それに問いにシャニPは「鳴かなくてもセミはセミだし、これから鳴くやつになろうとしている」とし、ギターについては「寿命かな」と言っています。浅倉節も慣れたもんだなお前な。
 しかしここで透はその羽化したばかりのセミが「鳴けなくて飛べないけど今きれいなのに」と言い、そのごみになってしまったギターを「鳴ってた時があると思うときれい」と言いました。なんかいいですね~透のこの感じ。

 ここで状況を整理します!しないと訳分らん!さて、ここで大切な描写は当然、「セミ」と「ギター」の対比です。入れ代わり立ち代わり描写されているように、この2つは並べて考えられるものになっています。
 まずこの2つの共通点として、「本来音が鳴るものであるはずなのにどちらもまともに音が鳴らない」という点があります。羽化したばかりのセミと壊れてしまったギターはどちらも上手く音を発せません。
 しかしながら双方には決定的な相違点もあります。それは片方が「始まり」であり、もう片方が「終わり」であるということです。つまり、これから音が鳴るようになるかもしれない命の「セミ」と、もう音を鳴らすという楽器という命を終えた「ギター」の2つという事になりますね。このコミュはこの2つの共通点と相違点を並べて描写しながら、透はその2つを「きれい」と表現しています。相変わらずややこしい描写するなあ透のコミュ。けどそんなところが好き~♡

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 話をコミュに戻します。ここでようやく話が繋がる感じの発言が出ますが、透はそのセミを「ギターって呼ぼう」という風に言います。ここで選択肢が出ますが、シャニPは相変わらずイケメンなので、透のその発言の裏に倉庫で出会った古いギターの事が思い起こされていることを瞬間的に察し、そのセミについて「また会えるかどうかわからないけど無事に生きて鳴ってくれる」というようなことを言います。
 しかし透はそのセミが無事に生きて鳴ってくれることを願ってそういう名前を付けたわけではないようです。透は「あの壊れたギターとこのセミは似ている」と言い、「あの時のギターの時間がここに続いていると良いなって思った」「鳴いても、鳴かずに終わっても、いつか鳴けなくなっても、こいつがいい音出してたってことを覚えておく」と言いました。泣いた(情緒不安定)。ホントに透の感性素晴らしいです。
 透がここで行ったのは、もしかしたら鳥に食べられて鳴くことなく死ぬかもしれないセミの生を願う祈りではなく、これから「未来」に向けて鳴こうとしているものの事(=セミ)、そしてそこに連綿と続いてきたかつて「過去」に鳴っていたものの事(=ギター)の双方に目を見やって肯定してやり、その「終わり」と「始まり」の接続地点となる小さく弱弱しいセミの「今」を肯定しようとしていたのです。美し過ぎる。死んだ。感情死。
 そしてその肯定は、当然ながら透自身への肯定でもあります。これまでのノクチルの物語の中で散々見えているように、透含めノクチルはまだまだ駆け出しの知名度の低いアイドルですし、なんだかあまりこれから人気になっていく感じもまだ見えません。それはやはり羽化したばかりのセミで、これから先上手く生きてくことが出来ないかもしれない弱く小さな存在です。しかもそのセミはもし生きられて鳴くことが出来たとしても、せいぜい1週間そこらの短い命で死ぬでしょう。
 そんなほんの少しの時間の間にも鳴こうとした、鳴いている、鳴いていた命は「きれい」に輝いていて、そんなセミの「今」を透が見ていたように、我々も今そんな透の「今」を見ています。そしてその透の「今」、「きれい」です。めっちゃ。セミにもギターにも負けないくらいのいい音出てるぞ、透。

2つ目のコミュ「捕」

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 2つ目のコミュです。続くのか…(驚愕)ってなりました。いや当たり前なんですけどそうなりません?1つ目のコミュの時点でかなりの完成度だったせいでそんな風に感じてしまった…恐ろしいカード。SRだぞこれ。
 例によって2つ目のコミュも導入から訳分らな気味のもので、「どこに居てもカメラのレンズが見ているのが、息してこっちを狙っているのが分かる」「それで時々食べられてやる」という浅倉ポエムから始まります。もう慣れた。とはいえ、カメラのレンズに食べられてやるという部分から考えれば透が被写体になっているという事なのかな?という気もしますね。

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 という考え通り、透は写真撮影の仕事をしているようでそこにはシャニPも同席しています。
 そこでは謎のスポンサーが透に「もっと加速して欲しい!」「すべてを終わらせるために、いくところまでいって全て壊すイメージ!」とか言っています。は?なに言うてんねん。写真撮影だぞこの仕事。わけわかりません。しかもめっちゃ口出してるけどこいつディレクターじゃなくて「スポンサー」だからな。クセが凄いんじゃ!(ノブ)
 そんな謎のスポンサーの様子をシャニPと本当のディレクターさんが遠巻きに眺めていますが、その人の事を「ユニークだ」なんて言葉を選ぶシャニPに、ディレクターさんは「正直に『意味わかんない』って言っていいですよ」なんてうんざり気味に言っています。常習犯なようですね。まあでもいそうだなこういう人。

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 スポンサーはごちゃごちゃと透に謎のディレクションを出したようで、そのまま撮影に戻るようです。シャニPも透に「ちゃんと聞いてたか?」なんて心配をかけていますが、シャニPもそのスポンサーの意味不明な言葉がよく分ってないのでちょっと弱気な感じです。仕方ないね。
 しかし透は「聴こえてないよ」「聴こえなくなる」「そいつの息しか」と急に浅倉節パートに入ります。これはシャニPに対する心の内での返答の意味も持ちますが、冒頭での「レンズに狙われている」というくだりの続きとなっていますね。
 例のスポンサーはまだごちゃごちゃと意味不明なことを言い続けていますが、透は「そいつの気配しか感じられなくなる」「空からまっすぐ狙われる」と描写を続けます。そんな状況を見かねたディレクターさんは透を休憩に入れてやろうとしていますが、シャニPは「浅倉なら大丈夫」「カメラが生きてる限り」と言いました。多分。もしかしたら後者は実際には言ってないかも。だってこれほとんど浅倉節じゃんね。お前も脳がやられたかシャニP…。

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 透は「生まれ変わる時ってどんな感じ?ねぇ、ギター」と語り掛けています。これで1つ目のコミュとも繋がり、ここでの浅倉節の意味が分かりますね。
 透は今、カメラに食べられる「被食者」なんです。それは1つ目のコミュでセミが「鳥に食べられてしまうかもしれない」と言ったシャニPの危惧と繋がるものでありますが、つまり透はこの撮影の被写体となり、そのスポンサーやこの仕事の先にいるその透の写真を見た人々によって消費される商品へと変えられてしまうのです。それが「食べられる」という事です。
 透は自分自身のその状況をあの時「ギター」と名付けたセミに重ねています。実際そうなったかは分からないですが、ここで「ギター」は鳥に食べられてしまっています。それは当然そのセミの命の「終わり」を意味するものですが、透はそれを「生まれ変わる」と表現しています。これは透があの古いギターがごみになってしまうまでの時間を羽化したセミに繋げようとしたことと重なりますが、今度はそのセミが鳴くことも無く鳥に食べられてしまうことをも「生まれ変わる」と表現したのです。
 そのことを考えると、シャニPの「カメラが生きてる限り」という透に脳やられてそうな発言も理解できます。ここでの「カメラ」は「鳥」です。「撮り」をするものだけにね!ワハハ!え?気を取り直して、「カメラ」というのは透は被写体として写し、その姿を消費者側に届けます。つまり「透を食べる者」としての存在です。そう考えると、透はカメラに食べられて死んだのか?という事になりますが、そこでシャニPの言葉です。「カメラが生きてる限り」、透も「生まれ変わって」生きているのです。
 古いギターは生まれ変わってセミになり、「ギター」という名前を受け、そして「ギター」は食べられて死にました。しかしその「ギター」の命は次に、「鳥」に繋がっています。たとえその形が今までと違っていたとしても。透は今「カメラ」に食べられそうな自分を、その食べられてしまった「ギター」に重ね、形を変えてその先に繋がる命を感じています。きれい。

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 そして透は「こいつ、これ。こいつ生きてる?」という問いを発します。1つ目のコミュ冒頭で生じていた問いを再度自分自身を通して問い直します。そしてシャニPは微笑みながら「生きてるよ」と返してあげます。泣いた。生きてるよ透。カメラが映した透はもしかしたら今までの透の形と違うかもしれないけど、その中には透が確かに生きてるんだよ。
 ここ凄いのは、この透の「こいつ生きてる?」という問いと共にこのカードのイラストが表示されるということですね。この問いかけは我々オタクに向けたものですらあります。透が生きてるこの「今」を直に見ているのは透自身とシャニPと、そして俺たちオタクです。この生きてる透のいい音、きっとこのコミュを見たみんながしっかり感じてます。たとえ透の言葉が「意味わかんない」でもさ。

Trueコミュ「おまえのなまえ」

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 最後はTrueコミュです。まだあんのかよ。もうだいぶ感情になって環状二八三号線だよ俺はよ。盛り沢山過ぎるこのカード。
 透はいつもの自分の部屋に居て、シャニPに電話をかけてルッコラの味を聞いています。いやお前そんなことでわざわざ電話かけるのか…。透は休みで暇らしく、シャニPは相も変わらず仕事がある感じですが、シャニPは笑って話に付き合うみたいです。いい男だなあ。好き。

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 透が尋ねている通り、シャニPは外に居ながら電話をしているようです。透は「セミの声が聞こえる」から外に居ると判断したようです。「忙しい?」と尋ねる透に「まぁまぁかな」と答えるシャニPですが、「じゃあルッコラの味教えて」と言います。まぁまぁ忙しいって言っただろシャニP今!!透コラ!!そうして透は「冷蔵庫にルッコラあるから、家に来る?」「宿題手伝って」などと言ってシャニPを家に招き入れようとしています。かーっ!!卑しかねー!!
 そこは流石俺たちのシャニP、冷静に「ダメ」と返していますが、透はその折にシャニPの後ろからの音に気付きます。シャニPはどうやら今そこそこ騒がしい場所にいるようで、後でかけなおそうかと言っていますが、透はこのままでいいという事でした。しかしこんな中身の無さそうな質問から始まった会話を忙しい中でも付き合ってやって、しかも周りがうるさいから後でかけなおそうかなんて言うのはイケメン度合いが高過ぎるだろ…ってな所ですが、もしかしたらシャニPはそういう口下手な透の何でもないような言葉の中にいろんな透の思いが見え隠れしているという事を理解していてこうしているのかもしれませんね。それでこそ俺たちのシャニPって感じ!

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 さてシャニPへの愛が溢れかえってしまったところで話を戻します。透はその電話の後ろで聞こえる音楽が聞こえたようで、シャニPはその曲を「ちょっと古いやつだ」「ギターの音がもの悲しくてさ」と言いましたが、透はそれに少し驚いています。透は聞こえていたその音がギターの音だという風には思えていなかったようで、「この前ひいてたじゃないか」というシャニPに対して「全然違うじゃん」と答えています。まあこれは分からんでもないですね。ひとつギターと言っても、曲やジャンルによってとかエフェクターなりなんなりで全然変わるものでしょう。しかし透にとってのギターの音はあの時の古いギターのへたった弦に触れた時に出た音だったんでしょうね。

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 透はその気づきを「音が増えた」と表現しました。そして「今まで音楽ってかたまりだったけど、これがギターの音だと分かった」と言います。良すぎ。表現の神かこいつ?音楽に限った話じゃなく、そういう風に知識や意識がひとつの「かたまり」の中にあるものに気づかせてくれるっていう事はよくありますよね。我々オタクはそういうことを「解像度が上がる」みたいに言ったりします。
 そんな素晴らし過ぎる透の表現にシャニPも思わず言葉を止めてしまっていますが、透は「まだルッコラの味教えてもらってない」と会話を再開します。シャニPは笑いながら「そんな大したもんじゃない、ただの野菜だよ」と言っていますが、透は「本当にそうかわかんない」と言い、「味も増えたらいいじゃん」と加えてコミュは終わりました。
 このルッコラの「味が増える」のくだりは当然「音が増えた」という話と繋がります。透はここまでの物語で、ギターやセミ、カメラと繋がっていく命の流れに自分自身を投影し、そして仕事を終えた今はまたいつもの部屋でよくわからないことをシャニPに語り掛けるいつもの浅倉透に戻っています。そういう意味で透は、2つ目のコミュでのように、そういった命の循環の中にいるという意味でまだ「生きてる」と言ってよく、そしてそれは今後も同じような形で続いていくものであると言えます。
 しかし大切なのは、透がここで音楽というひとつのかたまりの中から「ギターはこういう音が出る」という新たな気付きを切り出して得ることが出来ているという点です。羽化したばかりのセミが鳥に食べられて続いて行くような食物連鎖は世界中のどこでも同じように起こっていて、それらはずっと同じようなものかもしれません。しかし透は今回の物語の中でその流れに自分自身を置いた結果、ギターの「音を増やす」ことが出来ていて、それはこれからまた同じような循環の中に身を置くことになろうとも失われません。
 透そういう事が理解できているからこそ、ここでルッコラの「味を増やしていけばいいじゃん」と言ったのでしょう。物事や自分について考えてみたり体験してみたことが新たな「音」や「味」をもたらしてくれて、それこそが透の見る世界を彩ってくれるものであると理解し、そういうものをこれからもどんどん「増やしていきたい」という意思の表れです。最高ですね。だってこれ色んな物事を体験してみたい、つまり「いっぱい生きたい」ってことじゃないですか!「海へ出るつもりじゃなかったし」の時から語られていたシャニPの思い、間違いなく透に届いています。良かったなあ…(感涙)。
 まあここではルッコラとかいうよくわからん馴染みのない野菜についての事ですけど、そういう小さな興味なんかもきっと透にとって何か意味をもたらしうるものであるかもしれません。かつて透が一緒にジャングルジムを登ったかもしれないよく分からん男に興味を抱いてしまったら何故かアイドルになってしまったように、もしかしたらここで興味を抱いたルッコラを食べたことで透は世界的なルッコラ料理人になるかもしれません。なんじゃそら。そんなことある?でもそういう風に世界は広がっていくんだから、やっぱり透、「いっぱい生きろ」!それだけでいいんだ。

まとめ

 良い。このカード、マジで内容が良い。これSRってマジ?とんでもない濃さの内容です。ここまで歩んできた透の現在地と、これから先へ進んでいく意思までもが垣間見えるような、とても大切な内容になっているように思えます。この言葉は余りに過激すぎるのでこういうところで使いたい言葉ではないのですが、限りなく「必修」だなという感じです。実際必修コミュなんてものは無いですよ!安心して好きなもの読んでね。しかしながらそう言ってしまいそうになるほどの内容をガシャ産SRとして実装してくれたというのはきっと優しさでしょうね!ありがとうシャイニーカラーズ…ありがとう高山…誕生日おめでとう高山…(7/5みたいです)(激遅)。

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 さてそんな所ですが、おそらくこのコミュを読んだ大半のオタクは「これG.R.A.D編の続きやんけ!」と感じただろうと思います。それは私も同じで、「必修」という言葉を使いたくなったのもそういう部分が大きいです。内容としてG.R.A.D編と結びつけられそうな部分がめちゃくちゃ多いんですよね。
 G.R.A.D編においても、こういう「命の循環」みたいなものが大きなテーマとして扱われていました。そこで透がぶち当たっていた悩みが、「自分は息をしているだけで周りを食らい尽くしてしまう『捕食者』である」「だから自分はこの命の循環から疎外されてしまっている、自分には心臓が無い」「自分にも心臓があると証明したい」という思いから自分を追い詰め続けて壊れる寸前まで行きました。
 なんとかすんでのところでシャニPが透の抱える思いに気づき、2人は一緒に湿地に行きましたね。そこで2人は命の始まりとなるミジンコのような矮小なものでもなく、息をしてるだけで全てを飲み込んでしまうクジラのように大きなものでもなく、「チゴガニ」という小さな踊る蟹に出会いました。透は思い悩み過ぎてミジンコかクジラかという極端な考え方になってしまっていたのですが、目を向けられていなかったそういう命もまた同じく生きていることを確認し、最終的には「自分の心臓のありかは自分で決めていい」「自分の事がどんな形に思われていてもいい」と思えるようになったことで透は前に進みます。なんのことはない、透には最初から心臓があったんですよね。泣いた。透のG.R.A.D編大好き(突然の告白)。

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 そういう流れを踏まえていると今回のカードのコミュは、透が自分自身を「被食者」の立場に置いている部分が見える通り、このG.R.A.D編の後の透であるように思えます。
 まず1つ目のコミュの内容に関しては、これはどちらかというと【つづく、】で見えた透の姿勢が深く感じられます。【つづく、】で透が示したのは「過去と未来の接続」であるという風に私は読み取っていますが、G.R.A.D編以降の透からはそういう物事や時間の流れを繋いで見せて循環させる、つまり「まわるもの」を見出そうとしているように感じられます。最近全てのノクチルの話でこのワード出しちゃう。拡大解釈病です、誰か助けて。
 その透の姿勢は今回、「終わってしまったギター」と「これから飛び立つであろうセミ」を接続し、ギターとセミの命をそういう循環の中に組み込みました。まあどう考えても有機物と無機物とで繋がらないものなはずなんですが、透はそう思った、というか願ったんですよね。透は古いギターが重ねてきた時間を「ごみ」と唾棄して欲しくなかったんでしょうね。これはただ今絶賛復刻開催中!!「アジェンダ283」でイルミネーションスターズの3人が最後に話した内容とも重なっています。ただでさえ登場時から若干荒れて、「天塵」でやらかしてあっちの世界でもこっちの世界でまた荒れて、挙句の果てには283プロの周りの子たちともろくに関係性を築かず、更には事務所総出のゴミ拾いをサボり散らかしていた「ごみ」であるノクチルを真乃が拾い上げたように、今度は透が「ごみ」のギターに慈しみの眼差しを向けています。泣いた。1年越しにこういうことするんだよねシャニマス君は。
 話が逸れました。ともかく透はこうしてセミとギターを「まわるもの」の流れに組み込みましたが、ここで大事なのはやはり透がそのギターと名付けられたセミが食べられて死ぬかもしれないという話になった時に、「別にこいつが食べられてしまってもいい」という風に言ったことです。これは透が「もしここでこのセミが鳥に食べられてもこいつの命はここで終わるわけではないんだ」という事を理解できているように感じられます。

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 そしてその話はそのまま2つ目のコミュの話に繋がります。まず、透は撮影の仕事にあたり、自分自身を「被食者」である「セミ」に、カメラを「鳥」という風に置き換え、「時々食べられてやる」と語りました。これはG.R.A.D編で透が見出した「自分がどんな形をしてるって思われてもいい」という決意に関連付けられるでしょう。命の始まりのミジンコだとか命の終わりのクジラという形だけが命じゃなくて、いろんな形の命があって、それがたくさん繋がって命の循環を作り出しているのだから、自分はどんな形をしていてもその中に居られるという気付きが透を救っています。そういう気付きあってこそ、透はここで「セミ」という「被食者」に己を置いて「食べられてやる」と言えてるのだろうと思います。
 そういう流れがあるとすればやはり透が1つ目のコミュで「セミが鳥に食べられてもいい」と言った意味も理解できますし、シャニPが「カメラが生きてる限り透は大丈夫」という風に言ったのも理解できるでしょう。終わった命は次に繋がるんです。しかも透的に考えるなら、ギターとセミという普通に考えたら繋がらなさそうなものでさえも繋げます。そういう可能性すら透は示しました。すごい。透が撮影に臨む自分自身を指して「こいつ生きてる?」と聞いた時も、シャニPが笑って「生きてるよ」と返し、透も安心したかのように微笑むのまさにG.R.A.D編を乗り越えた2人って感じですよね。いいですねぇ。

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 そして何より大事なのが、3つ目のコミュの項で書いた通り、そういう命の循環の中で食べられた透が何かしらの新たな知見を得ているという事です。
 「まわるもの」としての世界はある意味でその不変性を示します。それは透にとって100%良い意味ばかりを見せてきたわけではありませんでした。G.R.A.D編では「命の循環」という部分で「まわるもの」を見せてきましたが、【ハウ・アー・UFO】なんかで示された「人工衛星」のモチーフなんかは透がずっと同じところをぐるぐる回っているだけの日常を感じさせ、透がそういう日常に飽き飽きしているという部分を見せてきた事もあります。
 しかし今回のコミュで見えたのは、そういうずっと同じように回り続ける「まわるもの」の中で、自分なりに居場所を見出し、そこで命を始めたり終えたりした時に手元に残る何かがあるという事です。透はギターの出す音を増やしましたし、次はルッコラの味を増やそうとしています。
 「まわるもの」の世界は決して退屈なものではなかったのです。透はG.R.A.D編で自分はその「まわるもの」の中にいつでもどんな形でもいることが出来ると気付き、【つづく、】では過去や未来の事物は意味を持って繋げられるという事を学び、そして【おかえり、ギター】ではその「まわるもの」の中で新たに自分の日常を彩り得る輝きをひとつ手に入れました。巨大成長ですよこれ。G.R.A.D編以降凄いことになってますこの子。そんな自分の海を広げようとする透の総決算みたいな内容なんですね~このカード!凄いです。

 透が愛着を持って繋げてあげた古いギターの時間はセミに生まれ変わり、きっと鳥に食べられました。しかしそれは透やシャニPの言う通り、決してそこでギターの命もセミの命も終わったことを意味しません。その命を食らって羽ばたいた鳥も何かしらの要因でいつか死に、また次の命に繋がるはずです。
 そういう命の循環の中で、透が繋げてあげたギターの時間は生まれ変わり続け、最後には今まで知らなかった形の「音」に生まれ変わって、透に新たな色を見出させてくれました。【おかえり、ギター】。
 きっと透もこれからミジンコだったりカニだったり鳥だったりして、食べたり食べられたりしながらどんどん生まれ変わっていくのでしょう。そうして色や形を変えるからこそ、たくさんの輝きを見出すことが出来るのです。
 世界は「まわるもの」になっていて、あのギターがそうであったように、透がこれから沢山生まれ変わってどんな形になってもシャニPや幼馴染のみんなが最後には「おかえり、いい音だったよ」と言ってあげられるはずです。
 そう言ってやるためには、やっぱり透の生きている沢山の「生きてる」って言える「今」をちゃんと覚えていてあげなくちゃ!つまりは俺たちが「カメラ」なんだ!!そうなってくると俺たちが「生きてる限り」じゃなきゃな!おいオタク!!「いっぱい生きる」ぞ!シャニPも、俺たちも!!

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感情置き場

 ブラボー!良い内容だった、本当に!そしてほんとSRでよかった!!石破壊されまくる羽目にならなくて!!
 なんかもうここまでの透の歩みを完璧に載せてるようなコミュで、正直あと数ヶ月でLPが来るって信じられないんですけど…正直このコミュがLPだと言われても違和感ないです。そうなるとこれから来るLPが楽しみやら怖いやら…面白い奴ですほんと。
 ところで余談なんですけど2つ目のコミュで出てきた意味わかんないスポンサーの男面白いですよね。まとめの所で書きましたが、当コミュで出てくる「鳥」と重ねられた「カメラ」の存在は我々の事でもあります。我々はこのゲーム内において切り取られた浅倉透及びアイドルというコンテンツを捕食する存在なのでそう言えるのですが、そのカメラに食べられようとする透にやれ「加速しろ」だの「常識と違った奇妙な時間感覚」がどうこうだのと訳の分からんことを喋っていたのがその男です。
 なんか透に謎の神秘性を見出してよくわからん意味づけを押し付けたり、よくわからん小難しい言葉を持ち出して透を謎に解釈したつもりになるヤツってなんかいますよね~!ん~~?誰だ誰だ~?俺だ~~!!そう!あの男は俺みたいにこういう解釈怪文書垂れ流すオタクそのものじゃないですか!とうとう俺もコミュデビューしちまったかよ…(ご満悦)。
 しかし素晴らしいことに、透はあの男の話は話半分でしか聞いてなくて、透はただ自分を狙う「カメラ」の気配だけを鋭敏に捉えながら食べられ、そして生まれ変わろうとしていました。そんなんでいいんですよね。実際どうなったのか分からんけど、どうせあの男も勝手に解釈して勝手に落としどころ見つけて撮影は終わったでしょうしね!まるでこの私の怪文書のように!
 この男の存在はそういう私のようなオタクを皮肉りつつ、それに動じない透を見せてくれていて、そういう意味ではとても安心しますね。訳分らん解釈垂れ流している側の人間が言うのもアレなんですが、そういう解釈で透のキャラクター像が歪んで欲しくないんで…(ワガママ)。そういう風に思うと、より透の「自分がどんな形をしてるって思われていい」という言葉が重みを増しますね!でもその言葉にあんまり甘えずに、なるだけきれいな形で見てあげたいとは思うけど!自信ないぜ!!難し過ぎるんだもん透お前!お助け~!

 また頭ぐちゃぐちゃしてきたので終わり!なんにしてもここまで読んでくれた方、もしいらっしゃるなら人生の貴重なお時間を頂きありがとうございました。またどこかでセミに生まれ変わって夏のクソ暑い森で会いましょう。それでは~。

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