見出し画像

Chillout_Noctiluca_v1.0

 こんにちは、いれぶんと申すものです。こちらは我がアイマス人生が10年にもなろうというときに彗星の如くアイドルマスターシャイニーカラーズに現れ私の脳を完全に破壊してしまったアイドルユニット「noctchill」について振り返ろうとして書いた年表のようなクソデカ怪文書です。
 本日3/22はノクチルが公式に発表されてちょうど1年になります。そのタイミングに合わせて公開しようと思い、せこせこと書いていたものがこの怪文書です。以下わざわざそんな怪文書を読もうとする狂人のための注意事項です。

・複数記事に分けろボケってくらいクソ長いです。
・コミュの内容のネタバレや個人的な願望交じりの好意的拡大解釈、誇大妄想を含みますがそれを押し付ける意図のものではありません。
・日頃からまとめておけばよかったものを思い付きで少し前に書き始め、しかも独断と偏見でまとめているものなので内容的な抜けや間違いがあるかと思いますが許して。
・ノクチルにより脳を破壊されているため限界オタクを爆発させていますが、これがノクチルに脳を破壊された男の壮絶なドキュメンタリーだと思って我慢してください。
・私はただの283プロの観葉植物なのでゲーム内のプロデューサーを自身とは別人格として扱いますが名前がわからないので「シャニP」と表記します。

 重ね重ね申しますが本当に長いです。15万字以上ありますよ。原稿用紙で言ったら375枚以上です。そこに画像やらツイートの引用もあるので、なんならページが重すぎるくらいになっているかもしれません。
 なぜそんなに長くなるのかと言うと、年表作るだけなら概要まとめて軽く感想書いときゃ良いものを当然のように私の読み取ったコミュの概要、考察、解釈、感想までを思うままに書き散らかしているからです。人にちゃんと読ませるように書けていません。実質落書きです。
 しかしながら、アイドルマスターは重ねた物語や時間によってそのキャラの見え方が変わったりする部分があるので、一年を通してノクチルがどう言う物語を紡いできたか、それを私がこの一年でどう読み解いたのかというのを整理して自分で横断的に見返せる一本にまとめたかったという思いがあります。だから、一本にまとめたかったんですね。(小泉構文)

 引き返すなら今です!それでもなお読みたいと思うならば読んでください。きっと疲れますよ!なんせ自分で読み返しても疲れるので!それでは、以下本文となります。

※2021.3.23追記
地獄のように見づらい目次を無理やり修正

2020.3.22
 2nd Anniversary前夜祭!生配信にて「noctchill」発表!

 記念すべき一年前の今日、シャニマス3年目の追加ユニットとして「noctchill」(以下ノクチル)の存在が明らかにされました。この時私はシャニマスに関してはちょろちょろとやっている程度でしたが、この時はたまたまこの配信をリアルタイムで見ており、周年だしなんとなく新ユニットの追加もありえるだろうなー、くらいの感じで見ていました。しかし...。

画像1

は???????????????????
顔良過ぎか??????????????

 もともと中性的な雰囲気のキャラクターが好きな私はいきなり秒速283kmで飛び出してきたこの浅倉透とかいう女に完全に轢き殺されてしまいました。そして瞬間的にその佇まいから「こいつ...只者じゃないな?」と感じました。アイマスのプロデューサー的に言うなら「ティンときた!」というやつです。
 他の3人についても気になりはしたものの、

・初期の如月千早みたいに尖り散らかしたやつ
・ちんちくりんでヘタレなのに妙に尊大なやつ
・マイペースで周りを振り回すが妙に才能のあるやつ

くらいの認識でした。この後待ち受ける深すぎる沼への呼び水だとも気づかずに...。
 発表があった後、まだ何もノクチルについてまだ誰も分からないのに旧来の友人と飲んでいる時に「浅倉透は絶対にヤバい!」と熱弁したことを覚えています。バカか?
 ともあれここから私のノクチル沼及びシャニマス沼は始まるのです。

2020.3.23
 復刻イベント「PiCNiC BASKET!」にてノクチルのexコミュ実装

 ノクチルメンバーの実装に先駆け、当時復刻した「PiCNiC BASKET!」のコミュ内にノクチルのexコミュが実装されました。この段階では正直何もわからなかったので、概ね思った通りの連中だな、という感想でした。しかしこの記事を書くにあたって見返してみたのですが、かなり早い段階でノクチルがどういうスタンスであるかを示した内容であったと今は思える内容なので見返してみるとなかなか面白いですよ。

画像2

2020.3.25
 4コマ漫画「いつもどおり」、公開

 シャニマス4コマ漫画にて初めてノクチルの回がやってきました。まあ見た感じの四人組だなといった感じです。やっぱりこのちんちくりんヘッポコ枠じゃないか~とか雛菜はやっぱマイペースなんだなあと、月並みな感想をもっていました。
シャニマスの全アイドルに言えますが実際は全然そんな安易な奴らじゃないんですけどね!!!

2020.3.27
 4コマ漫画「日常の風景」、公開

なんでこの女朝っぱらから
後輩におにぎり恵まれてるの????

 早くも2回目のノクチルの4コマ漫画が公開されましたが、なんだかこの時点で浅倉透が顔は良いけどヤバいやつなのではないかという雰囲気が漂い始めます。小糸はそのおにぎり自分のお昼ご飯とかなんじゃないの…?大丈夫?

2020.3.28
 4コマ漫画「お隣さん」、公開

 さらに続いて4コマ漫画公開となりました。タイトルからわかるように、浅倉樋口はお隣さん同士の幼馴染ということがわかります。まだ部屋の主が帰ってきてないのに普通に部屋に居てくつろいでいる円香を見るに殆ど出入り自由な状況であるとみられ、家族ぐるみで相当に気心の知れた関係であるのでしょう。「とおまど尊い」…このころはまだそんな感情を抱いていました。

2020.3.29
 4コマ漫画「真面目とマイペース」、公開

 さらにさらに4コマ漫画公開です。小っちゃくてちゃきちゃきした子と、少し大柄でのんびりした子という黄金比のようなコンビであることがわかります。これもまた「この二人はこういう感じだろうな」というところをど真ん中で来たので、噛み合ってないながらもノクチルは幼馴染同士の仲の良さを感じられるような、一種の安心感すらあるユニットなのだろうといった感じです。このころはまだ。

2020.3.31
 4コマ漫画「例えるなら」

 これで最後となるノクチル実装に先駆けた4コマ漫画が公開されました。雛菜が透のことがすき~だったり円香とちょっといがみあったりしてるとことが見て取れるのですが…

3コマ目の小糸めっっっっっっっっっちゃ
可愛くないですか?????????

 ペット扱いされてるのはかわいそうですが、この小糸があまりにも可愛すぎて、今にして思えばこのころから若干小糸がぶっ刺さり始めた感覚があります。ギミー先生ありがとうございます!

2020.4.3
 R浅倉透、実装

 来ました、この時が。
 やはりというべきか、ノクチル内でもリーダー格の浅倉透がまず最初に実装されました。果たしてW.I.N.G編の内容や如何に...。

画像223

 シャニPはどうやらバスに乗り遅れてしまったようです。そうしていると横から謎の美少女、浅倉透が声をかけてきて「歩いた方が早い」という風に言ってきます。
 そこはやはりアイマス世界のプロデューサーの職業病、シャニPはさっそくその子をスカウトしようとします。これ俺がやったら一発通報からのブタ箱行き確定ですが、あの高身長爽やかイケメンのシャニP相手でも透はスカウトを拒否します。
 しかし、立ち去ろうとした透にシャニPがかけた「俺が、行くからさ!」という言葉に何かを思い出し、名刺を受け取りました。後日、透は事務所に現れ、アイドルになることにしたようです。うーん?なんだこいつ?

画像224

 さてさっそく透とシャニPは仕事で放送局に行きますが、透のあまりにどっしりとした振る舞いにシャニPも若干動揺しています。知らない芸能人相手でも全くビビりません。色んな意味で恐ろしい子です。
 それ何とかなっているように感じた透は「案外アイドルやるの簡単だな」という風なことを言いますが、シャニPは「そんなに甘くない」と返します。それを受けた透は「人生は長過ぎる」と言いました。何?
 この冒頭では透が「いつまでも登りきることのできないへんなジャングルジムの夢」のことが語られており、それと重ね合わせて「人生が長い」という風に言ったようです。うーんよくわかりません。高2とは思えない人生観です。

画像18

 次のコミュでは何やら透はオーディションを受けているようですが、周りのキメ台詞みたいなのを受けた透は「浅倉透、参上」などと言います。そんなよくわからんことを言ってしまったのでおそらく透は不合格です。しかし透は自分の何がダメだったかわからないようで、シャニPと公園近くのベンチで反省会です。
 そこでシャニPは「昔そこの公園で男の子とジャングルジムに登ったことがある」という話をしますが、それに透は珍しくかなり動揺を見せます。おっと…?これはまさか?ここでなんとなく察した方も多いでしょうが…。

まさか過去に出会ってた系ヒロインか・・・!?

 これはとんでもない、反則技だろ!と思った方も多いでしょう。ノクチルは「幼馴染アイドルユニット」という情報は先んじて出されていましたが、まさか「プロデューサーと幼馴染である」だなんてことを予測できていた人間はほとんどいなかったでしょう。
 アイドルマスターという作品におけるプロデューサーという存在は我々プレイヤーのアバターとしての役割を果たすので、過去にアイドルと出会っていたなどという設定はあまりに今までに類を見ないほど鮮烈で、そして危ういものでした。
 実際危惧した通り実装時はかなり評判が荒れた印象があります。そこそこにプロデューサーやってきた身としてはこの設定では荒れても仕方ない部分はあるなと思いつつも、より一層「浅倉透…おもしれー女」という感覚が増しました。バカなので。
 ただし、補足しておきますが浅倉透が過去に出会った「ジャングルジムを一緒に上った青年=シャニP」であるということを100%確定させる情報はこの記事の公開時点でもありません。あくまでその可能性があるということだけです。ここ大事。
 しかし透の方はどうやら「あの時一緒にジャングルジムを登った人だ」と確信してしまっているようで、まさか一緒にジャングルジムを一緒に登った男の子?が透だなんて思ってもいないシャニPとはどうにも噛み合いません。

画像18

 さて、続くコミュでは何やらシャニPは透と交換日誌みたいなことをするようです。透の言うことやることを理解しようというシャニPの計らいです。
 しかし透の書いて来る内容は薄過ぎて簡便極まりありません。とうとう書くのをサボり始めます。シャニPが必死に返答を書いていますが、そうこうしているうちに「旅に出ます」なんて透は書いて失踪します。なんだその雑な失踪の仕方は。しかしシャニPは真面目で誠実な人間なので透を心配して探しに走り出します。
 透はジャングルジムのある公園で佇んでいました。透によると「日記になんでもいいから書けって言われたから書いた」「適当に書いたりしても誰もそんなの気にしないでしょ」とのことですがシャニPは違います。シャニPは珍しく怒ってるかのように声を上げてしまいますが、その気持ちを察した透は謝ります。
 シャニPは「透のことを知りたいんだ」という風に言いますが、透は「なんか全部伝わってる気がしてた」と少し残念そうです。やはり透としては過去に出会った青年がシャニPだと思い込んでいて、なんとなく分かり合えているという風に感じていたようですが、ここで何とか再出発することができました。

画像32

 そこから、シャニPが透の理解を深めるために提案した交換日記上でのやり取りでの文面上の振る舞いは変わらないものの、透はシャニPに渡された映像での他のアイドルのパフォーマンスを見た感想を日記ではなく直接伝えに来ます。これは透のことを理解しようと尽力していたシャニPに対し、透側からもシャニPのことを理解しようと歩み寄ってきたのだろうという風に見えます。ここのシャニPとても嬉しそうです。良かったねえ…。
 そして、長々と続く退屈な人生の中で「てっぺん」という辿り着きたい目的地が自身の中にあったことを自覚し、「人生は思いの外短い」という風に考えるようになっています。やりたいことに手を付け始めるといきなり時間の進みが速く感じることってありますよね。今この記事を書いている私も同じような感覚です。浅倉透、罪な女。

画像33

 W.I.N.G.を勝ち抜いた透は、自身がシャニPと幼いころに出会っていた(かもしれない)ということを伝えます。
 このコミュの過程で幼き頃の透が見た青年とのやり取りが回想されますが、実はバス停で「歩いた方が早い」という風にその男の子(とおぼしき透)から青年が言われており、時間が余った青年が、暇そうなその子を見て「来たくなったらおいでよ」「俺が、いくからさ!」とジャングルジムへと走り出す様が描かれます。その子は自分を気遣って先に走り出した青年を見てジャングルジムを上って一緒に遊んだようです。
 このことはやはり現在の透とシャニPの出会いとアイドルを始めるまでの過程と完全に重なるものです。実際にこの過去の出来事の青年がシャニPであるという風には断定できないのですが、透にとってはこの思い出と現在の重なりが大きく今の行動に影響を及ぼしているという風に見えます。
 そして彼女はそういう過去があったということをシャニPにはゆっくり思い出して欲しいと言って、一緒にジャングルジムを登ろうと今度は透が動きます。自分も気持ちを伝えるのは時間がかかりそうだからと言って。
 バス停での「歩いた方が早いよ」という言葉はこの部分と重なります。透もシャニPもお互いの距離感を詰めることを急ぎ過ぎていたんですね。まだまだ二人は進み始めたばかりなのです。ゆっくりいきましょう。こうして浅倉透のアイドルとしての物語は始まりました。

ノクチルの一番手として実装されたこの浅倉透のコミュ、一言でいうなら「強烈」としか言いようがありません。完全に想像以上の存在でした。設定が強烈過ぎる上に単純に透という人格を読み解く難易度も高いと感じさせますが、それゆえにこいつがこれから先どうなるのかという部分での期待は非常に高まります。本当におもしれー女。

2020.4.6
 R樋口円香、実装

 アイマス史上類を見ない設定を引っ提げて現れた浅倉透実装により度肝を412回ほど抜かれた後から3日後、2番目のノクチルメンバーである樋口円香は実装されました。

画像15

んなこと言ってどうせその内アイドルやる
楽しさに目覚めていくんでしょ(嘲笑)

 なんて思いつつさすがに浅倉透に比べたら分かりやすいキャラだろうと高を括っていたプレイヤーたちのいったい何人がこの女に殺されたかと思うと恐ろしいです(自分も含め)。「浅倉透を求めてノクチル秘境を探索に行ったら全員樋口沼で溺死した」という逸話は今後寓話として後世まで語り継がれる予定です。はたしてそんな円香のコミュは…。

画像242

 冒頭では仕事を終えたシャニPに謎の美少女が声をかけてきます。どうやらアイドル志望の子のようで、近くの喫茶店で話を聞きます。
 しかし話を聞いてみるとシャニPの言う言葉にやたらと嚙みついてきます。流石のシャニPも困惑していますが、自身がプロデューサーだということを告げると「最近幼馴染が283プロに所属することになったから騙されてないか嘘をついて確かめにきた」という風に言います。加えていかにも芸能界に信頼感が無いのが読み取れるような皮肉を言いまくりです。うおぉ…これはまた強烈な奴が来たな…と思います。これが樋口円香との出会いです。
 しかしここはシャニP。スカウトしようとします。は?この流れで?こいつのメンタルはオリハルコンかなにかで出来てんのか?完全に病気です。
 当然円香は拒否しますが、「透と一緒に」と言われた瞬間、心変わりしたのかアイドルを始めることになりました。え?何???この流れでなんでそうなるの???こいつもやばい奴だぞ…そう感じずにはいられません。

画像243

 さて、アイドルとしての活動が始まったようで、写真撮影のお仕事をしています。そこではシャニPが円香に助言をしていますがめちゃくちゃキツイ皮肉を飛ばしてきます。円香は全く心を開いていません。うーん…。
 仕事自体は上手くいったようで、そのことをシャニPは褒めちぎりますが、円香の反応は冷たいものです。偶然近くで他のアイドルのミニライブがあるようで、それを勉強として見ようとシャニPは言って円香に見せています。それを見た円香はというと…。

画像4

なんだァ?てめェ...…

画像24

 このゲームアイドルマスターだぞ!?許されるかこの言葉?たった一言でアイドルという存在を真っ向から否定する発言が飛び出します。やべぇよやべぇよ…また荒れるぞこれ…そういう不安が拭えません。
 シャニPとしては「それは違う、気持ちが重要なんだ」ということを力説し、円香にとっての「アイドル」というものを一緒に見つけようと言いますが全く響いていません。こいつ…!

画像244

 今度ははづきさんに用事があって事務所に向かう円香と偶然にも街で出くわしたようですが、相も変わらず円香は皮肉を飛ばしてきます。シャニPも慣れ始めているのか皮肉で返します。強い。
 会話もそこそこにしていると、円香のファンを名乗る女子高生が現れ、円香は驚きどうしようかと逡巡しつつもファン対応をしました。そのことについて「嬉しくなかったか?」というシャニPの問いに対し「疑問が先立ちました」と円香は言います。
 「一体自分に何を期待しているんだ、その気持ちがわからない」ということらしいのですが、シャニPはそんな円香の気持ちや在り方にに寄り添い気遣いを見せています。しかし円香はそれを受け入れずに冷たい態度です。そんな円香は事務所につくなりすぐにレッスン場に向かいました。そんな予定はなかったはずなのに。さあ、見え始めました。
 実は、シャニPとの会話の中で円香は「自分に何が期待されてるのかわからない」と言った後に「よくわからないけど取り敢えず必要そうなことくらいはしてやる」という風に言っていました。その発言は皮肉でもなんでもなく、「自分に期待する人間に応えるためならそれ相応のことをする」という意味だったのです。その「相応のこと」がこの予定にない自主レッスンです。あのファンに会わなければきっと円香はすぐに家に帰っていただろうに、彼女は頼まれてもいないレッスンをし始めたのです。
 アイドルのことを「楽な商売」なんて言っておきながらこの円香の行動。樋口円香というアイドルの人となりが見え始めています。

画像5

 続くコミュではどうやら円香はオーディションを受けたようです。円香はどこかボーっとしているようですが、その時の感想をシャニPに求められます。
 円香は「もっと居心地のいい控室が良かった」「プレッシャーに押しつぶされそうな人たちだらけで空気が悪い、まだ結果も出ていないのに泣き出す人もいた」という話をします。その泣いていたアイドルというのは円香が「楽な商売」と言い放った時のアイドルだったようです。
 このシャニPの質問はきっとこういう感想が聞きたかったのではなかったと思いますが、この円香の感想は円香のパーソナリティを考えるうえで非常に重要だと思えます。円香はこのオーディションに際して、最も印象に残ったのは「周りのアイドルたちが強い思いでオーディションに臨んでいること」「それゆえに凄まじいプレッシャーに苛まれていて苦しんでいること」だったのです。
 円香はそういう周りの人間の「苦しさ」みたいなものに敏感で、それに同情してあげることができる人間だったのだと思えます。初見時から続く円香の他者に冷たいように見える立ち振る舞いはは完全なる偽りです。そしてこれがコミュタイトルの「二酸化炭素濃度の話」というものの意味するところです。彼女にとってのアイドルとしての活動は「息苦しい」ものなのです。
 そんな控室での周りのアイドルを見た彼女は「このオーディションは不合格だろう」という風に言いますが、これは「周りが頑張っていたから自分みたいなのは勝てない」という意味合いであるというよりかは、「もしここで自分が受かっていたら他のアイドルたちの思いを踏みにじってしまう」ということへの恐怖を感じさせます。先述の通り円香は周りの苦しみへの共感性が高いので、自分がその周りの苦しみの上に立って前に進むことに拒絶感があるのではないかなと感じます。
 しかし円香は合格してしまいます。それを聞いた円香は何かを強く噛み締めています。この時の円香の脳裏にはきっと不合格になってしまったアイドルたちのことがあったのではないかと思います。円香…お前は…。

画像6

 次のコミュではレッスン終了後の円香とシャニPが会話していますが、ここで円香はとうとう「なんで自分をアイドルにしたんだ、自分みたいのをアイドルにすべきじゃなかった」ということを言ってしまいます。これはいつもの皮肉ではなく、円香が自分にかかるプレッシャーに耐え切れなくなり始めていることを意味します。
 それを受けたシャニPはいつものように円香を励ましますが、円香はいつもの冷静な感じではいられずに「この先アイドルを続けても身の程を知るだけだ」と発言します。アイドルという世界で大きな期待をかけられ、何度も自分が試される、そんなのは「怖い」とまで言います。結局のところ、円香の刺々しい立ち振る舞いは己に降りかかるプレッシャーから逃げ回るためのものでした。
 シャニPもこのことを受けて、円香が物事を背負い込み過ぎるということに気づいたようでそのことを謝罪しますが、それでも「一緒に上を目指していこう」という姿勢を変えません。なんとか円香はそのシャニPのまっすぐな姿勢に己を取り戻します。
 シャニPは円香がその弱い部分を乗り切って羽ばたくことができるという確信があるのか、なんとか円香を勇気づけて立ち直らせていますが、実際のところこの時のシャニPのやり方では根本的な問題は解決したとは言えません。これは円香の性格を考えるなかなか残酷なやり方ではありますよね…結局のところこれは円香に「更なる期待をかけている」わけですから。円香…。

画像245

 しかしそれでも円香はその期待に応えようとして頑張ったのでしょう。W.I.N.Gを勝ち抜きます。
 事務所に帰ると相も変わらず円香は強めの皮肉を言いますが、「自分が勝てたのはプロデューサーのおかげだ」とお礼を言い、そして「自分だって嬉しくないわけじゃないんだ」ということも言います。泣いた。大きなプレッシャーを跳ね除け、円香は確かに飛び立つことができて、その先には「嬉しい」と思える未来がありました。アイドルはただただ息苦しいだけのものではなかったと円香にも伝わったはずです。
 シャニPは「自分のことをちゃんと褒めてやって欲しい」ということも言います。円香が周囲からの期待を恐れてきたのは結局のところ「自己肯定感の低さ」が根底にあると思われますが、このW.I.N.G編を通して少なからずその気持ちは拭える形になっただろうと思えます。こうして円香はアイドルという世界を歩み始めました。

 ノクチルの2番手に出てきたこの樋口円香とかいうやつも本当に強烈です。最初のイメージからはかけ離れた人間的な弱さがあるということをしっかりと丁寧にぶつけられてしまい、きっと私のみならず色んな人がこの樋口円香というアイドルにぶちのめされる結果となりました。シャニマスのキャラクターと物語の作り方はヤバい、このあたりでその感覚はかなり強くなりました。その結果がこのクソデカ怪文書です。助けてくれ…。

2020.4.8
 GR@DATE WING 01、発売

画像16

かねてより告知されていた新たなシャニマスの楽曲シリーズの第一号GR@DATE WING 01が発売されました。ノクチルも参加していることも分かっていたのですが、そうでなくても「シャイノグラフィ」「Dye the sky.」両曲ともに最高の名曲だったためにより沼に足を引きずり込まれる一つの要因となりました。「シャイノグラフィ」の作詞をした古谷真さんによると、作詞段階ではノクチルの存在を知らなかったという話をいつかのTwitterか何かで見たような気がするのですが、「これノクチルのことでは?」と思って聴いていた節があるのでその話で結構驚いた記憶があります。

2020.4.9
 R福丸小糸、実装

 浅倉透に強烈なジャングルジムハイキックを喰らい、樋口円香に重過ぎる二酸化炭素ローキックを貰い大ダメージを受けたこの俺も流石にこのちんちくりんには負けまいと思いながら迎えた福丸小糸の実装日となりました。しかし現実は非情である。

画像7

 小糸に関しては発表時トレーラーの「みんな、わたしがいないとだめなんですよ!」の印象が強く、いわゆる輿水幸子のような自信過剰でありながらまあまあなヘタレ、だけどやるときにはやるタイプのアイドルマスターではよくいるタイプの子だろうと思っていました。前回樋口円香を見くびってボコボコにされたことから何も学んでいません。ボケがよ。

画像8

へぇ……そうなんだ……そうだといいねぇ(嘲笑)

画像225

 なんて思っていたのにしかしこれはどうだ、冒頭でオーディションに来た小糸の言動は全く自信のかけらも感じられないほどに小さく縮こまり、アイドルをやるということより透や円香と一緒に居たかっただけなのが明白ではないですか。
 これはある意味円香よりも厄介じゃないだろうか、碌な動機も何もあったもんではないのにアイドルをやりたがっているぞ?こいつ大丈夫かよといった感じです。
 就職面接なんかで「で?君はこの会社で何がしたいの?」と聞かれて爆発四散するタイプの人間です。実際そんなことを聞かれて小糸は上手く答えられませんがシャニPは小糸を採用します。俺も283プロでアイドルやろうかな...。

画像226

 さて、小糸は正式に283プロのアイドルとなり、それなりに意気込んでいるようですがあまり慣れていないのか、今となっては音MADなど良く楽器にされている鳴き声を発したりします。ぴゃ!
 ですが、シャニPの「親御さんに挨拶したい」という発言を受けると、小糸は何か物凄い焦りを見せます。なんだか嫌な予感がします。こいつ何か隠しているぞ?
 とはいえ特に疑うこともなくシャニPは小糸の頑張りを褒めます。それになんだか小糸は満足そうですね。しかしながら発言の端々から自己肯定感がかなり低い事が見え隠れします。「自分だけがうまくいかない」「みんなうまくやってる」という風に感じているのが分かり、「みんな私がいないとダメなんですよ」なんてのがただの強がりだという事は明白です。

画像9

 しかし次のコミュでとうとう小糸の隠し事がバレてしまいます。いつまで経っても親御さんに挨拶できないシャニPが直接福丸家に電話をかけたようなのですが、なんと小糸はアイドルになるにあたって必要な書類を偽造して提出していました。うおお…こいつ…。お前までそんな無茶苦茶してくるのか…?小糸は親に隠れてアイドルを始めてしまっていたわけです。どうやら福丸家は母親が厳しい人らしく、アイドルをやるなんて事を絶対に許可してもらえないと思っていたようです。
 どうしてそんな事を…と問い詰めてしまいたくなるところですがここのシャニPは驚くほど優しくゆっくりと小糸の心情を聞きだします。このシチュエーションで「嘘をつかせてすまない」って切り出し方できる?流石はシャニPだぜ。
 小糸によると、「またひとりぼっちになる」という事が怖くてアイドルを始めることにしたようです。実はノクチル4人の内で小糸だけが中学校が違っていたようで、そのことが小糸にかなりの孤独感や劣等感を植え付けてしまっていたのだと思えます。
 その事を確認した上で、シャニPは「小糸はとても頑張っていた、小糸はアイドルに向いてるって思う」と小糸の姿勢を評価し、まだアイドルを続けるかどうかの意思を確認します。小糸は「最初は一緒にみんなといたかっただけだったし、これから自分がどうなりたいかもわからないけど続けたい」という気持ちを示し、シャニPはその気持ちを快く受け入れました。

画像226

 どうやら小糸とシャニPはちゃんと親御さんに確認し、門限付きとはいえアイドルを続ける許可が出たようです。あまりにも小糸の縮こまり方が凄すぎたせいで福丸家毒親説みたいなのもあったりしたのですが、なんやかんやアイドルやる事を許可してくれてるのでそんな酷い環境では無い…と思う…(願望)。
 シャニPの送迎の車の中で、小糸は「自分だけが劣っている」「だから強がってないと」という気持ちを述べます。やはり小糸は相当に根深い劣等感に基づいて努力を重ねているようですが、それを隠そうとします。「劣等感を埋めるために努力している」という事自体が更に小糸の劣等感を加速させてしまっているのだと思えます。
 しかしここでもシャニP、「努力が出来るってことも小糸の才能のひとつなんだ」として小糸の努力を認めます。超が付くほどに王道な励まし方ではありますが、実際諦めないで努力できるというだけで偉いんです。そうでしょ?(自戒)
 そして自分自身も小糸のサポートに尽力すると言って小糸の背中を押してあげます。小糸はもう一人ではありません。シャニPも隣で小糸のために頑張ってくれます。頑張れ…小糸!あとシャニP!

画像227

 そうしたシャニPのおかげか、小糸は少しずつ自身の努力を認められるようになっています。「小さい頃どうして自分だけって思いながら勉強ばかりしてきた、でももしかしたらそれは今こうして頑張るための練習だったのかもしれない」「きっと無駄なことなんてなかった」と言いました。
 いや泣いた。泣くわこんなの。王道アイドル過ぎるだろ。ただがむしゃらに積み重ねてきた努力こそが小糸の最大にして最強の武器です。逆にひねりがないと思えてしまうほどの真っ直ぐ過ぎる小糸のアイドル像ですが、何故こんなにも心が震えるのだ…。これが…アイドルか…。
 そうして小糸は自主レッスンに門限いっぱいまで頑張ります。きっとその姿勢はもう己の劣等感を埋めるためではなく、己の最大の武器をより磨くためにあります。頑張れ小糸!!!マジ頑張れ!!!

画像10

 小糸は自己肯定感の低さゆえにしていた今までの全部が「努力」という絶対的な強みであることを理解した小糸はW.I.N.G.を勝ち抜きます。死ぬほど泣いた。この時はW.I.N.G.勝ったってだけで泣きました。
 そして小糸はアイドルになった事、その中で自分のことを認められるようになったということを通して、「かつての自分のように居場所が見つけられない者たちの居場所のようなアイドルになりたい」と願うようになります。また泣きましたね。お涙ジョバジョバです。最高のサクセスストーリーだし、これからの小糸の未来が明るいということをこれでもかと見せつけてくる発言です。やっぱり小糸はアイドルに向いてるよ。

 さて、まさかあの透と円香の後に出てきたアイドルのW.I.N.G.編がこんなド王道なアイドルサクセスストーリーであるだなんて私は全く予想できていなかったんですが、結局こういうのに弱いんですね。W.I.N.G.編だけで感情が完全にクソデカになり過ぎてボッコボコでした。俺はもうダメだ…小糸…お前の勝ちだ…。

画像228

2020.4.12
 R市川雛菜、実装

 透、円香、小糸の青い三連星によるジェットストリームアタックによって立ち上がれないほどに満身創痍になっていた最中、最後のノクチルメンバーである市川雛菜が現れます。結論から言うとこいつにもボコボコにされます。クソザコプロデューサーです。はーめっちゃやむ!(夢見りあむ)

画像11

そうだけどさぁ…世の中そんな甘くないよ?(老害)

 何も学ばない無能Pである私は雛菜を見て、マイペースでわがままな性格だけどやればなんでもできちゃうような、アイマス的に言えば星井美希タイプの人間だろう、とまたもステレオタイプに当てはめて考えていました。学べ。

画像229

 さて、雛菜は自分でオーディションを受けにきたようです。大体最初の印象そのまんまといった感じで、シャニPの質問に対してかなりフワッとしたことしか答えませんが取り敢えずアイドルをやってみることには意欲的なようです。
 雛菜は自分は「なんでもそれなりにできる」と言い、とりあえず「楽しいこと」がしたいようであんまり大変なことはしたくないと言っています。ちょっとワガママキャラな感じが匂います。こういう部分ではやはり星井美希系だなあ〜という印象が強いです。
 また、「自分はアイドルに向いてる」というような事も言っており、自己肯定感が低くて自信を失いがちな小糸と対照的に見えますが、発言の端々からはなんとも底知れないものを感じさせます。一体何者なんだろうこの子は?こうして雛菜はアイドルになりました。

画像230

 さて、雛菜とシャニPは街でレッスン前に出くわしています。雛菜もシャニPもお互いの事を考えていたようですが、シャニPは雛菜のレッスンを見ていきたいと言い、雛菜もそれが嬉しいようです。
 そこではやはり雛菜はダンスをそつなくこなしており、その天才性みたいなものが伺えます。シャニPはそんな雛菜の姿を見てアイドルに対する適性を感じつつも、その気分屋で掴み所のない雛菜の立ち振る舞いにシャニPは少し悩んでいるように見えます。
 そのことでシャニPは雛菜から声をかけられていることに気づいていません。今にして思えばこの時点で擦れ違いが発生してしまっているように思います。シャニPは雛菜について悩んでいるのに目の前の雛菜のことが見えていなかったということを示しているように思えますね。

画像246

 次のコミュでは特に用事もなく事務所に来た雛菜とシャニPが雛菜と会話しています。相も変わらず雛菜はマイペースな振る舞いで、事務所のソファで寝転がったりしていますが「ちゃんと周りを見て使ってくれ」と注意なんかされています。
 どうやら雛菜はノクチルのみんなとのレッスンを終えてからきたようですが、残りのみんなは自主レッスンをするために残っているようです。そのことにシャニPは少し不満げというか、「なんで雛菜はやらないんだ」という態度を表に出してしまいます。
 雛菜はそのことで結構な失望があったような感じを見せつつ「レッスンはちゃんとこなしたから問題ないでしょ」という態度で、シャニPのコーヒーが苦かったから甘いもの食べなきゃと、かなり無理やりな理由をつけて事務所を去ります。そんな雛菜のある種で横暴とも取れそうな立ち振る舞いにシャニPはかなり悩んでいるようです。
 このコミュあたりからだいぶ二人の擦れ違いが見えます。あの温厚で優しいシャニPからピリついてるのが感じられるというのは相当です。大丈夫でしょうか…一抹の不安がよぎります。

画像12

 さて、またもシャニPはレッスン前の雛菜と事務所で出くわしますが、とうとうシャニPも我慢ならなくなったのか、雛菜に「みんなが頑張ってるの見て何も思わないのか、もっと周りを見て動け」という説教をしてしまいます。あのシャニPがここまでの厳しい態度を、ましてや一番最初の基本的なコミュであるW.I.N.G編で見せるというのはなかなかのことです。
 しかし雛菜は「辛くて大変じゃないと頑張ったことにならないのか」という鋭過ぎる言葉を返します。ぐおお…こいつ…。シャニPも何とか反論しようとしますが雛菜は「自分と一緒に居て楽しいか?」という問いを残しつつ、「今日のプロデューサーきらい」と言って去ります。
 うおお…W.I.N.G編の共通コミュでプロデューサーのこと「きらい」だと…?円香もそうだけど初手からプロデューサーという立場に厳し過ぎないか…?なんなんだこの連中は…?
 プレイヤーとしての私はこの時点でかなり脳に負荷がかかっていますが、シャニPは雛菜のことを諦めてはいません。どこまでも真面目で優しい男です。頑張ってくれシャニP…!

画像13

 後日、シャニPと雛菜は街で出会います。ここでの雛菜は前回のコミュとは打って変わりいつも通りの雛菜なのですがそれがまた底知れなさを感じさせます。実際雛菜は前回のコミュで「今日の」プロデューサーはきらいという風に言っているので、日が変わって切り替えたのでしょう。15歳の切り替え方ではないだろ。
 雛菜はいつもの調子ですが、シャニPは前回のコミュで雛菜に自分の考え方を押し付けてしまったことを謝罪します。雛菜も実はシャニPのことを考えてたと言い、「雛菜は雛菜だから他の人のことはわからない」と言います。この考え方が雛菜の立ち振る舞いの根本にあります。
 つまり雛菜は「ポジティブに他者への理解を諦めている」という風に言えます。どうせ他人の事なんかわからないから自分も含め各人が自身の幸福のみを追求したほうがいいということなのでしょうが、15歳でこの価値観に至り行動に移しているのはもはや恐ろしさすら感じます。そのため、雛菜実装時はかなり「雛菜こわい」という評価が為されました。アイマス史上、初手から「こわい」と評価されるアイドルがどれほどいたでしょうか。圧倒的な異質さです。

画像247

 しかしながらシャニPはどこでその気づきを得たか、「雛菜はどこかで妥協ラインを引いてしまっている」「雛菜の『楽しい』は『楽をする』とは違うだろ?」ということを伝えます。シャニPは雛菜にもっと前を見据えて欲しいし、そのために自分も協力するというスタンスです。
 それを受けた雛菜は得心が行ったようで、「プロデューサーのことを勘違いしてた」と言います。雛菜はシャニPが自分に中身や目的の見えない努力、社会規範といったものを強いてくる人間だと思ってしまっていたようですが、そうではなく「雛菜と一緒にしあわせを求めて歩んでくれる存在」であることを確認しなんとか和解できました。パーフェクトコミュニケーション!凄い。

画像14

 そしてW.I.N.G.を勝ち抜いた雛菜は公園にいます。そこで雛菜は褒めて欲しいと言ったりもしますが、逆にシャニPのことを「わがままな自分のプロデュースをよく頑張りました」と言って褒めます。
 この発言だけでも分かりますが、雛菜は自信が横暴な振る舞いをしている自覚があります。この時点ではまだまだ判断できないですが、今となっては雛菜がただ我儘な人間でないことは何となくわかります。
 そして、「もし戻れるなら過去の自分にはアイドルやらないほうが良いって言う」「でも今の雛菜が楽しい方がいいから前に進む」と考え、「その『楽しい』のためなら多少の辛さならあってもいい」と言います。雛菜はシャニPという強い味方の存在により、目の前の「しあわせ」だけで妥協せずに、その先にある更なる「しあわせ」のために苦難を乗り越え進むことを決めました。雛菜の立ち振る舞いはあんまり変わらないように見えますが、きっとこれは大きな一歩です。なんやかんやありましたが、雛菜の物語はこうして始まりました。

 さあ、これがノクチル最後のアイドル市川雛菜のW.I.N.G編でしたが、これも相当なものでした。いきなり容貌とかの問題でもなく性格上の問題でいきなり「こわい」なんて言う風に評価されるアイドルはなかなかいません。
 正直私も当初はかなり困惑しました。初見の「ワガマママイペース天才キャラ」みたいなものとは違ってあまりにドライな価値観で動いているように感じられたからです。
 しかしながら今このW.I.N.G編を見返してみるとだいぶ印象が異なります。1年たった今になって見返してみると面白い発見があるかもしれませんよ。おすすめです。

 ともあれこうして4人は実装されましたが、全員が全員違う角度で殴りつけてきたためこの時の私はもうかなりグロッキー状態です。「一体どういうアイドルなんだこいつらは?」という思いが大きくなり、気づけば沼に嵌っていました。完全にシャニマスくんの手の内ですね。助けてくれ。

画像232

2020.4.12
 ゲーム内にノクチルの楽曲「いつだって僕らは」実装

 怒涛のノクチルラッシュに加えノクチルの楽曲である「いつだって僕らは」が実装されました。とはいえノクチル発表時のトレーラーにも使われていた曲で、新たに聞き直して特段何か目新しいものは感じられず、ノクチルの曲ってこういう方向性なんだーふーんくらいの感じでした。
が、これから待ち受けるストーリーやライブでの演出によってこの曲の文脈はえげつないほどに強くなっていくのであった...。

2020.4.13
 ノクチル全員分のサポートR実装

 プロデュースRの実装から間もなくしてサポートRも全員分配布されました。サポートカードらしくノクチルのメンバーがそれぞれ出てきて関係性や普段のノリなどを軽く確認できるものです。ここではごちゃごちゃしかねないのでそれぞれ個別に内容には触れませんが、例のあのことだけは書いておかねばならないでしょう...そう、アレです。

画像17

財布が!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ない!????!?!?!??!?!??!!?
その顔で???????????????

 顔の良すぎるアイドルがコンビニで後輩にお菓子やらなんやら奢ろうとしたら財布が無い。ただそれだけ。たったそれだけの話だったのにこのインパクトはあまりにも大きく、インターネットでは「頭透明」だの「低血圧の宮本フレデリカ」だの「二次創作の速水奏」だの「顔だけで生きてきた女」呼ばわりされるわニコニコ動画は財布の無い音MADが溢れかえるわでそれはもう「餃子パリッと事件」の再来です。なぜアイドルマスターの顔の良い系アイドルはこういう事態を巻き起こしがちなのか…。
 ただでさえ実装時にその設定の強さで大暴れしたというのにたかだかその10日後に財布を忘れただけで話題をかっさらうその姿はもはや令和の生み出した怪物でした。これ書いたライターさんはここまでの事態を想定していたんでしょうか...シャニマス...恐ろしい子...。

2020.4.20
 2周年Pカップ開催

 シャニマス名物、Pカップが開催されました。個人的には走る地獄、シャニマス労役場と呼称しているイベントですが、前述のとおりノクチルのメンバーが追加されているため彼女たちで走る人たちもおりました(私は当時戦力が整っておらずまともに走れる気がしなかったためほぼ走らず)。
 しかしながらノクチルのメンバーはまだSSRはおろかSRもないような状況、アイドルロードも実装されてまだ間も無い中どれだけの人間が全力で走るのかと思っていたのですが、全アイドル内で10位以内ボーダーが最も高かったのは浅倉透、100位以内ボーダーが最も高かったのは樋口円香という実装直後のアイドルとは思えないほどのポイントを叩き出し、よりその存在感を強く感じさせるところとなりました。


画像19

ゲームで数字競い合うようなものをやると
かなり精神が削がれるので気を付けましょう

2020.5.4
 浅倉透、誕生日

 透のゲーム内での初の誕生日を迎えました。同時に今後SSRとして登場することが告知されています。鯉のぼりのことを「めっちゃ鯉なびかせるやつ」と表現するセンスには感嘆の息が漏れますね。
 5/4は祝日の自然に感謝する日である「みどりの日」であり、アイマスはアイドルの誕生日にそれらしい理由がつけられそうなものが多々あるのですが、透の場合はどうなんでしょう?
今後実装されていく透の着ている服はグリーン系のコーデが多いのでそれなのか、それとも自然体の極みみたいな人格だからかな…ふふ、わからん(浅倉式思考放棄)。

2020.5.13
 空魚ガシャにて【10個、光】浅倉透、実装

画像21

 待ちに待ったノクチル初のpSSRの実装となりました。トップバッターは告知通り透です。ただバスに乗っているんでしょうけど絵になり過ぎだろこの女。なにもんだよ。
 相変わらずの美麗なグラフィックやそこはかとなくエモい思い出演出で、多くのプロデューサーのジュエルをもぎ取ったことでしょう。私はノクチルのガシャに備えて来るべき日のためにTrue鉱山をひたすら掘っておりながらもここから始まるノクチルラッシュに震えておりました。

画像25

 コミュの内容は、透が「一生のうちにやりたい10のこと」というアンケートに対して「寝る、映画観る、ブラウスが欲しい」といったその場その場の瞬間的な欲求しか出てこないことから始まります。これは雛菜の「目の前のしあわせを優先する」という部分にちょっと似ていますよね。これにはシャニPもちょっと困っていましたが、ある意味では今後の「天塵」で示されたような、ノクチル全体にも言える刹那的な価値観を先んじて表現していたのだという風に今は感じます。
 そもそもノクチルの4人は誰もアイドルを目指してアイドルを始めていません。みんなそれぞれの事情でなんとなくアイドルになってしまっているので、アイドルとしての願望みたいなのが希薄です(小糸だけはW.I.N.G編で明確な目標を見つけていますが)。透もまだアイドルとしての目標みたいなものが見えておらず、目の前の事しか答えられないということを表しているのでしょう。
 とはいえそこはシャニP、それじゃ困ると言って一緒に考えてやろうとしますが自分のことと考えてみても案外スッと出て来ません。確かにいきなり人生でやりたい事10個挙げろといってもなかなか出てこないものでしょう。シャニPもまた透と同じくスタート地点でゴールを探しています。これから一緒にゴールを見つけて頑張ろう、そういう姿勢を感じさせます。

画像22

 続くコミュでは、二人はバスに乗っているようですが、透は「夜になると窓ばかり光っていていつもの通り道でもよくわかんなくなる」「ここってこんななんだって思う」と言います。ぼんやりした話ですがなんとなく感覚は分かります。シャニPもそれに同調しています。
 このことは透がアイドルになることで環境が変わり、見えてくるものが変わってくるということを表しているように思います。特にノクチルは「夜光虫」を模した名前を持つユニットなので、夜になると見えるものが変わるというのは意味深いものを感じます。
 そして透はバスの降車ボタンが光ってることについて「昼光ってるものは見えない、夜なら見えるのに」といいました。その言葉にシャニPは透とのバス停でのやり取りを思い出しているようです。
 シャニPはこの「昼の間も光ってるもの」の存在を伝えられるだろうかと独り言のように言い、透を重ねつつ「自分はちゃんとそれが見えてる」と己に言い聞かせるようにも言います。シャニPにとって透は「昼の間も光っているもの」なのですが、透は確実に良いアイドルになるしそれを伝えたいという意思がある一方、透のことをまだつかみ切れていないのかなと思わせます。
 しかしながら、「アイドルになる」ということを「夜になる」という風に表現し、シャニPにとっての透の持つ光は「昼の間も光っている」ということとすると、シャニPが透に見出した光は「アイドルになって輝き始めるものではない」「もとから光っていた」ということになります。うーん?なんなんでしょうこれは。読み取りの難しいコミュであると思います。

画像233

 次のコミュでは暇を持て余した透が事務所で映画を見ているようです。シャニPもやってきて一緒に観ることにしたようですが、透は「この後キスシーンあるよ」と言い放ちます。
 シャニPもちょっと動揺しますが、「親と見てるときにこういうシーン来ると変に気まずくなる感じを思い出した」と言います。それを受けた透は少し残念そうに「親とならもうちょっと平気」といいます。おっと?これは?
 平然としていたようですが透はシャニPと一緒にキスシーンを見ることに少し動揺があったようで、透の発言から考えるとそれは「親と見るキスシーン」よりも大きいものだったということになります。
 正直それって「男女間で見てしまうキスシーン」くらいのものでは?とちょっと思ってしまいますが、本人がどう思っているかはともかく多分透が感じていたのはそういうものでしょうし、それとなくそのことを伝えようとしますが透のアウトプット能力の低さとアイマスプロデューサー特有の難聴鈍感が発動し取り敢えずスルーです。
 ただでさえシャニPと過去に出会っていた(かもしれない)設定でPラブ界隈で良くも悪くも荒れたのにこの卑しかムーブ!かーーっ!!卑しか女ばい!!!とはいえ透にとってシャニPは「過去に一度出会っていて、自分を未知の世界に連れて来てくれた人」みたいなドラマチックな存在なので、何か特別感を感じてしまうのは仕方ないとも思います。透は結構ロマンチストですね。

画像234

 さて4つ目のコミュでは二人でファミレスで打ち合わせのようです。透はいつものだらけた雰囲気で、シャニPにちょっと注意されています。
 さあ会計するぞとなったときに透は「いつも奢られてる感じがする」「自分のやったことと目の前にある料理が釣り合っていない感じがする」と言って割り勘でお金を出そうとしますが、シャニPは「これは仕事であって経費だから」として拒否します。
 このことは透がシャニPといることを仕事と思っていないという風に感じられ、シャニPに対する好感度の高さと同時に仕事に対する意識の低さを感じさせます。やはりなんとなくでアイドルになった透にとってはまだアイドルになって仕事をしているという実感が薄いのかもしれません。
 とはいえシャニPが「まあ仕事じゃなくて個人的に2人で遊びに来たなら割り勘でもいいけど」という発言を受けて「じゃあ次は割り勘で」なんて言うのもかなり卑しか女ポイント高めです。シャニPのこと大好きかよ。かーーっ!

画像23

 Trueコミュで2人は外を歩いているようですが、透が一番星を見つけて走り出します。丘の上にいる二人は夕暮れの街の景色を見て感動しています。
 そこで透は「『ここ』って誰かのもの?」という質問をします。かなり意図の汲みづらい発言ですが、今この瞬間、空間、そしてそれを感じる自分の感覚みたいなものを総合して「ここ」と表現したのかなと思います。
 そしてその「ここ」が誰かのものでないといいなという思いを口にします。透はそういう何か「自分だけの特別なもの」を見つけることに何か希望を見出しているように思います。そうしているうちに星がたくさん輝き始めて一番星がどれだかわからなくなってしまいました。しかし「いつか見つける」と言って、それも「一生のうちにやりたい10のこと」に加えると透は言ってTrueコミュは終わります。
 透は今はまだアイドルとしての目標らしいものもありませんが、そういう自分だけが見つけられる何かを見つけるということが現段階の目標であるということを示す内容のコミュだったと思います。
 しかし透のカードを一枚でも持っている方はわかるかもしれませんが透のコミュは本当に読むのが難しい!!なんなんだこいつは!!このカードが実装された段階でも読むのが難しくて困りましたが、今になって透の価値観やノクチルの全体像がある程度見えてる状態で読むとそれはそれでいろんな要素が感じられてより難しくなったと感じます。正直ここでは上手くまとめられません。ノクチル学は難易度が高い…。

2020.5.14
 4コマ漫画「見せられない」、公開

 先日実装された【10個、光】に関連して公開された4コマ漫画です。暇つぶしに映画を見ているところ、雛菜と小糸がやってきて、キスシーンが含まれると言われた小糸が動揺しています。小糸は見た目だけじゃなくて精神的にも子供っぽく見られているんですね…この後二人と一緒にキスシーン見れたんでしょうか…。

2020.5.22
 聲魚ガシャにて【カラカラカラ】樋口円香、実装

画像26

 初めてのノクチルpSSR実装から間もなくして、二枚目のpSSRとして樋口円香がやってきました。夕焼け空に佇む背中がどこか切ないイラストです。
 円香の人間性をW.I.N.G.編において確認した後、特にW.I.N.G.編での敗北を経験している人間にとって、このイラストを見た瞬間の気持ちは想像に難くないです。でもその背中に羽が生えてるデザインっていうのはちょっと厨二だなあ。そういう趣味なのかな?

画像27

 コミュの始まりとしては、円香が自分のものだと勘違いしてシャニPの飲んでいたブラックコーヒーを飲んでしまったことから始まります。これも間接キスとして捉えられ、円香も若干なりとも卑しか女認定されたりもしました..。かーっ!!!!卑(以下略)
 しかしここで印象的なのはシャニPに対して苦々しい態度の円香がシャニPの飲んでいた苦いコーヒーを「全然美味しくない」と表現したことです。円香にとってシャニPは「常に甘い理想を追い求めている甘い言葉ばかり吐く男」という風に見えているかと思いますが、実際には苦汁を飲んでいる部分があるということを示し、「意味が分からない」という感想からもわざわざそんな苦労をする意味なんてないという風に感じていることが示されます。

画像235

 続くコミュでは円香は写真撮影の仕事をしているようです。どうやら自然が多いところの川べりでの撮影のようです。シャニPも感じていますが、ここで円香の円香は態度に表立って出そうとはしないものの、豊かな自然の中での穏やかな雰囲気をかなり楽しんでいるように感じられます。周りの人間の感情に敏感な彼女にとってはこういう環境が落ち着くのかなと思います。
 しかし川べりの足場はやはり悪いのか、円香はつまずいて転びそうになります。とっさにシャニPが手を伸ばして何とか円香を支えますが、シャニPも革靴を濡らしてしまいます。円香はサンダルだったので多少濡れても大丈夫だったのですが、巻き込まれたシャニPが濡れてしまったことが気になるようです。
 シャニPは大丈夫と言い張ってタオルを探しに行ってしまいました。そこで円香は「あなたもサンダル借りれば?」という風に独り言ちます。この発言は前のコミュの「こんな苦いものを飲むなんて意味が分からない」という風な発言と同じで、シャニPがやる必要があるとは思えないことをしてわざわざ自分から苦労をしている部分があることが円香はどうにも理解ができないことを示します。もっと楽な生き方あるでしょ?ということだろうと思います。

画像28

 次のコミュでは、円香が徹底的にシャニPのことを避け、パーソナルな部分に踏み込んでこないように立ち回り続けることで、シャニPも円香とのコミュニケーションに苦労している様子がうかがえます。シャニPはめげずに円香に話しかけたりしていますが円香はその態度を崩そうとはしません。
 しかしシャニPが相変わらず尋常ならざる仕事量で疲れ、円香に送る資料があることもすっかり忘れて事務所で夜中まで寝落ちているところ、夢うつつの狭間に現れシャニPに毛布を掛けてやったような描写が入ります。
 これが現実なのか夢なのかは判然としませんが、実際に毛布自体はかかっていたし、「いつまで寝ているんですか」というメッセージが送られてきているということはシャニPが寝落ちしていることを知っていたと思えるので円香が何かで事務所に来た際に毛布を掛けてやった可能性は十分に考えられます。
 円香は追い詰められたり、弱ったりしている人間に優しいことはW.I.N.G.編でのことを見れば納得はいきますが、逆に言うとそういう相手・状況になって初めてその優しさを発揮するという風にも捉えられます。そう考えるならば、円香にとって、常に明るく真面目に立ち振る舞い、弱みみたいなものを見せてこないシャニPという男は信頼ならないのかもしれません。
 そうしてシャニPの弱い部分みたいなものを探しているうちにあの数々の鋭い罵倒が生まれるのかもしれません。そしてこのコミュでは珍しくシャニPが隙を見せていたので、それを目にした円香がどこか安心して毛布を掛けたのかなと思います。

画像248

 4番目のコミュでは円香が事務所の屋上で一人夕日を眺めています。シャニPはアイドルとしてのサインを考えてくれた円香のことを褒めますが、やはり円香は皮肉で返します。ところがシャニPももう慣れたもので軽口で返しています。これもある一種の信頼関係と言えると思うので多分お互いが思っているより距離は近まっていると思えますね。
 この会話の中で円香は「自分たち幼馴染は仲がいいとか悪いとかじゃなくて一緒に居て当たり前」という風に言います。それを聞いたシャニPは「アイドルやってれば一緒に居られるもんな」と言いました。この発言はおそらくシャニPとしてはそこまで深い意味を持って言ったような感じではないのですが、円香がアイドルを始めてしまった根底部分にある要因に大きく触れている言葉だと思います。
 このカードの実装時の材料ではまだまだ判断は難しいですが、今後のコミュなんかを見ていくと円香はかなり現状の変化というものを望まないタイプの人間であることが分かります。そう考えると、円香は透がアイドルになってしまったことによって「一緒に居るのが当たり前」の関係が壊れてしまうことに対する恐怖から、あの滅茶苦茶なスカウトの中でアイドルになってしまったのだと思えます。うーん、感情が重い…。

画像29

 Trueコミュでは、シャニPは送迎の車内でも相変わらず冷たい態度を取る円香に対し「俺のことは嫌いでもいいから、それでもアイドルを続けてくれるのであれば俺は円香を輝かせるための努力を惜しまない」という気持ちを伝えます。それを受けた円香はいつになく動揺し「あなたがそこまでする理由が自分にあるのか?」と問いそうになるもシャニPが何と答えるかを察した円香は声を荒げシャニPの回答を拒否します。
 このカードのコミュ内で円香は「立ち振る舞いとは裏腹に苦いものを飲み込んでいる」という婉曲的な表現から読み取れるようなシャニPの努力や、川で転びそうになった円香を支えて自身の方が濡れてしまったことのようなシャニPの自己犠牲の精神、「仕事を頑張りすぎて職場で寝落ちする」という現状を見ないふりをしているようでありながらしっかりと知っています。
 W.I.N.G.編の内容からも感じ取れるように、円香は「期待を裏切りたくない、でも自己肯定感の低い完璧主義者」であるという部分を鑑みれば、円香がシャニPを邪険にしてきたのは、これらのシャニPの苦労が自分のためのものだということを受け入れらずにいて逃げ回っていたのだと思えます。それらが自分のためのものだとしてしまうと、円香はそれに応えないと気がすまなくなってしまい逃げられなくなるからです。
 しかし、このTrueコミュではその円香の思考を真っ向から当のシャニPが否定してきた形となります。円香のためなら自分はどれほどでも労力を支払うということを直接円香に伝えるのは、円香に更なるプレッシャーをかけるスタンスです。そんなんでは円香が苛立つ事もさもありなんといった感じですが、今回はシャニPに一本取らせた形として今後もアイドルを続けることを確認します。W.I.N.G編での4つ目のコミュも同じような流れでしたね。
 このカードのコミュは円香の内面に踏み込んだ内容で、前回の透のpSSRの未来への希望が溢れた内容からは打って変わってかなりドロドロとしています。W.I.N.G編でも感じられたように、円香の強そうに見えていた立ち回りがむしろ精神的な弱さ・脆さであると感じられる内容です。樋口…お前は俺が守護るよ…(バカデカ感情)。

画像30

2020.5.23
 4コマ漫画「お詫びのしるし」

 【カラカラカラ】樋口円香の実装に合わせて公開された4コマ漫画です。雛菜が円香のドリンクを勝手に飲んでいます。これってしれっと雛菜が間接キスしてませんか?ひなまど~♡
 とはいえやはり幼いころからの仲だからなのか、謎の団結力を発揮して円香のもとにドリンクの対価として大量にポテトを集めることに成功しています。ははっ円香、良かったな!いや言うほど良いか?それは円香の表情を見ればわかる!いやわかるか?わからん。

2020.6.19
 懸魚ガシャにて【ポシェットの中には】福丸小糸、実装

画像34

 この日、まさかの小糸と雛菜の初pSSRが同時実装され私は血の気が引きましたね。どちらも天井がない恒常ガシャであったため私は死を覚悟しましたが、小糸は10連で出ました。良い子過ぎる…。ところでこのイラストを見たとき誰もが感じたと思いますが、

こいつ本当に女子高生か??????
年齢に対して見てくれが幼過ぎるだろ……

 シャニマスはオタク向けのキャラゲーでありながら、小学生であるものの見た目は高校生っぽい果穂くらいしかいわゆるロリ枠がおらず、そういった需要の人には刺さらないゲームと言われることもありましたが、まさかの高校生である小糸でその需要に応えてきました。これが…アイドルマスターシャイニーカラーズ…!!

画像35

 さて、気を取り直してコミュの内容を見ると、小糸が事務所で課題に集中しており、シャニPに気づいていない様子から始まります。すらすらと課題をこなす様子を見ていたシャニPは小糸のことを褒めますが、小糸は「中学校の頃に既にやった範囲だから、こんなこと全然凄くない」と決して謙遜でも自慢でもないであろう口調で話します。いや凄いでしょ。俺高校入学前に高校から宿題出された時内心キレてましたよ?母校がよぉ…(グレ丸小糸)。
 このことはW.I.N.G.編でも十二分にわかるように、小糸は自己肯定感が非常に低く、努力することを恥じる傾向にあります。そのことを補強しているような始まりです。

画像236

 次のコミュではどうやらノートを事務所に忘れていってしまった小糸が学校に行く前に事務所に寄って回収に来たようです。ちょうど居合わせたシャニPは一緒にそのノートを探してやった後、小糸の事を学校まで車で送ろうとします。
 小糸はそれに随分驚いたようですが、それは遠慮しているというわけでは無く、「そんな芸能人みたいな登校の仕方が許されるのか?」という感覚から来るもののようです。シャニPもまったく同じように言いますが、小糸はれっきとしたアイドル、芸能人です。
 この反応から見るに小糸はまだ自分がアイドルになったという感覚が薄いと分かります。透の方も【10個、光】でアイドルになったという意識の薄さを見せていましたが、おそらく小糸の場合は自己肯定感の低さもその意識の希薄さに影響しているのかななんて思います。

画像36

 その後のコミュでは、小糸が受けたオーディションに不合格であった報がシャニPのもとに届けられ、それと同時に凡ミスで学校の小テストを失敗したことで凹んでしまっている小糸がさらにその知らせを受けてすっかり落ち込んでしまいます。
 この時の心情を吐露した小糸は自身の無力感に打ちひしがれおり、「努力がいつか報われる」ということを信じられなくなっています。このことはノクチルの楽曲である「いつだって僕らは」の出だし、「きっと夢は叶うよなんて 誰かが言ってたけど その夢はどこで僕を待ってるの?」という部分と重なります。この詞は、例えば透の目線から見れば「夢が見つけられない」ことを示しますが、小糸の場合は「自分なんかじゃいつまでたっても夢なんて叶わない」という絶望感のようなものであるという風に感じられます。
 こういう苦しい描写を本当に容赦なくしてくるあたりがシャニマスだなあという感じですが、しかしそこはシャニP、「小糸は絶対に上手くいく」と断言します。かっけぇ…俺たちのシャニP…。ここでの小糸はいつにもまして弱気になってしまっていますが、シャニPは絶対に小糸の成功を諦めません。その姿勢に押されて小糸は次へと切り替えていけたのでしょう。

画像37

 その後小糸は、夕方になっても公園で遊ぶという経験の中で当カードイラスト及びの上掲の画像の発言が飛び出します。もう一度言いますがお前本当に女子高生か??となるところですが、このコミュから見るに、幼少のころから公園でまともに遊んだことすらもないということを示しており、福丸家の厳しい家庭環境を表しています。厳しすぎない?
 しかし、このシャニPと出会った、つまりアイドルを始めたことで「新しい経験ができてとても楽しいし、それだからこそ努力を続けていればきっといつか上手くいくよね」と前向きな発言をします。冷静に考えるとシャニPがいることと公園の遊具で遊べたことはあまり関係がありませんが、自己肯定感が低くてあまり自己主張ができない小糸にとって、シャニPが隣にいるということは安心して何かに挑戦してみることにつながるのかもしれません。そういう経験を通していくうちに小糸は少しずつ前向きに物事に取り組めるようになっているのです。
 そして「今日のオーディションはちょっとだけですけど上手くいった気がします、ちょっとだけですけど!」と素晴らしい笑顔で言い放ちます。泣いた。小糸はW.I.N.G.編での結末へ繋がるように、少しづつであるけれども自身の努力を認められるようになっていっているのです。そして小糸はそのオーディションを―――。

画像38

クソ泣いた(クソデカ感情)

 小糸は自身がこの仕事を勝ち取ったということをあまり信じられていないようで、夢だとすら思っているようです。しかしながらこれは間違いのない現実です。
 W.I.N.G編でもわかるように、小糸にとって努力というものは劣等感に基づいて「しなきゃ周りに置いてかれる」という焦りからくるものだったと思いますが、ここでその小糸による小糸のための努力は小糸のためだけのしっかりと形のある結果として返ってきました。
 小糸は「なんだか周りのみんなは上手くやっている」という明確な線引きのない雰囲気に対して劣等感を覚え続けてきたため、いつまでも出口の見えない暗闇の中でずっともがいてきたんだと思います。そのため、「自分のために努力して、オーディションを受けて、受かって仕事ができる」という分かりやすい形のある目標の達成という経験は実は小糸には新鮮なものであったのです。
 小糸に必要だったのはそういう短期目標だったわけですが、それを今回達成できたということは絶対に小糸にとっては良い経験になるはずです。良く頑張ったぞ小糸!!ブラボー!!小糸の未来は明るい!!

画像42

2020.6.19
 蒲魚ガシャにて【HAPPY-!NG】市川雛菜、実装

画像39

 先述の通り雛菜も同時実装されています。爽やかな雰囲気に美味しそうなドリンクで初夏を思わせますね。
 さて、こちらのイラスト的に誰かが目の前にいることは明白だったのですが、まあ予想通りシャニPであり、演出アニメにもシャニPが登場する数少ないカードで、雛菜の身長から考えてもシャニPの身長がとても高いことが判明するなどシャニP担当P垂涎の一品です。容姿の端麗さもプロデューサーの仕事です。クソが。

画像40

 こちらのカードコミュは、雛菜が学校で配られた進路調査票で折り紙をしていたところを咎められてしまうというところから始まります。霧子のG.R.A.D.編でも驚きましたが、アイドルマスターという作品は(765PRO ALLSTARSが5年目に一歳年齢を重ねたという例外を除き)いわゆる「サザエさん時空」であり、物語を季節的に進めていっても時間が進まない世界であって、従来では暗黙の了解でほとんど触れられなかった「進路」というテーマをぶつけてくるというのはまさにシャニマスだなといった感じです。
 雛菜は「まだ一年生なのに考えるのは早い」という風に感じていますが、しっかり考えなさいとシャニPに諭されます。ここで「アイドル続けてくれ」と言わないあたりが俺たちのイケメンシャニPですが、雛菜はそれを受けて「今の楽しいがずっと続くだけでいいのにな」と言いつつも「いつかは終わっちゃうもんね」と言います。
 雛菜は、W.I.N.G.編でも読み取れるように「刹那的な現在のしあわせな日常」を求めているように見えるけれども、それがずっとは続かないことを知っています。このカードが実装されたガシャのタイトルは「蒲魚」ですが、その意味を考えると、この描写の意味がなんとなく分かります。雛菜には一種の「無常観」ともいえるものがあると感じさせます。

〈▲蒲魚〉かまとと
わかっているのに、上品ぶってわからないふりをすること。うぶらしく振る舞うこと。また、その人。

画像237

 次のコミュでは、雛菜とシャニPが駅のホームで電車を待っていて、雛菜がジューススタンドでおいしそうなジュースを買うようです。イラストのシチュエーションですね。学校を休んでの仕事のようですが、雛菜としては持久走を避けることができてうれしいようです。
 雛菜は様々な種類のジュースに目移りしながらも、シャニPの分も買って飲み干します。すぐになくなってしまったことが残念そうで、加えて「もし自分たちが人気になったらこうしてジュース飲んだり電車に乗れなくなるのかな」とシャニPに問います。
 このことは前のコミュで感じられた雛菜の「無常観」を強調し、その上で雛菜が「アイドルとして人気になる」ということよりも、こういう「余暇」みたいな部分に目が行ってしまうことを意味します。やはり雛菜も透と同じでアイドルそのものにはモチベーションがありません。
 シャニPはそういう「変化がこれから先に訪れるかもしれないし、そうなったときは…」と雛菜に何かを伝えようとしますが、雛菜は「周囲が変わっていくだけで自分が変わるわけじゃないからどうでもいい」と言います。達観し過ぎじゃない?人生2週目か?しかしその後に「シャニPにはあまり変わって欲しくない」と言います。
 一言目の印象があまりにも強いため、相変わらず雛菜は強いと言いたくもなりますが、シャニPが将来の変化について言及しようとしてそのことを無理やり遮ったり、シャニPにはあんまり変わって欲しくないという言葉からは「現状の変化」を恐れているような雰囲気を感じます。雛菜が進路調査票を出さないのはその気質が原因だと思わせますね。彼女は明確な行き先など決めずに目の前の「余暇」を楽しみたいのです。

画像238

 続くコミュではまだ雛菜が進路調査票を事務所に置きっぱなしだったため提出しておらず、学校で怒られたという話がシャニPに届きます。そしてそれを見たシャニPはまだ書いてなかったということも認識します。
 書く内容を考えたのかというシャニPの問いに、雛菜は「自分の思うように書いたらきっと怒られる」と言います。この発言は雛菜が自分勝手に動いていることを自覚しているという風に取れ、そうすれば他人を不快にさせたり怒らせたりするという感覚がある事を示します。
 やはり雛菜は他者を顧みないエゴイストなんかではなく、周りのことをよく見ています。それなのにどこか横暴な人間に見えてしまうのは、W.I.N.G編でも述べた「ポジティブに他者の理解を諦めている」という部分が表面的には看取しづらいということに起因しているということを再確認できます。
 ここでも我らがシャニPは「雛菜の思うように書いていいんだ」という事を言い、背中を押してあげます。それに雛菜は何か思うところがあったようで、きっとちゃんと進路調査票を書いたんじゃないかなと思えます。さっすが~!

画像41

 そしてお仕事で将来の展望をインタビューされた際の雛菜はこのように答えました。そして続く回答の中でも「楽しく、しあわせになれそうなことならなんでもやってみたいと思ってる」と答えました。しかも普段の物言いから考えるとものすごく丁寧に返答しています。雛菜は実はかなり相手を選んで立ち振る舞いを変えているという風に思えます。
 そしてシャニPとの会話の中で、進路調査票を見つけたときの会話をした時に「自分のことなんだから自分でやりたいことはやりたいって言っていいし、それが当たり前なんだって思った」と言います。前のコミュから引き続きの流れなんですが、ここも結構すごい話で、雛菜は「自分のやりたいことをやりたいようにやる」ということを当然だと思っていなかったんですね。最初の頃のワガマママイペースなんていう印象からは真逆もいいところです。これでもかというくらいに「雛菜は周りを見て行動している」ということを強調します。
 そしてシャニPは、やりたいことはやりたいと言えるようになった雛菜の未来の可能性を広げるために色々挑戦しよう、自分も精一杯サポートすると言います。雛菜は「大変そうじゃなくて楽しくしあわせなことならいいよ」といつもの調子ですが、やはり前に進む意志自体は見えます。そんな雛菜を見たシャニPは凄い嬉しそうです。良かったなあ…。

画像239

 そしてTrueコミュでは、2人で喫茶店かなにかで店でいろいろ注文しています。雛菜はシャニPの分も含めて様々な種類をたくさん注文します。シャニPは自分は食べるものとは思っていなかったようですが、雛菜はこれも自分の可能性を広げるための一環だとしてシャニPを巻き込みます。
 現状の変化を嫌って目の前の「しあわせ」に走ってしまう雛菜ですが、いざやる気になって走り出すとシャニPのことも置いて未来に走り出すというのはW.I.N.G編でシャニPと和解できたシーンと重なります。雛菜に必要なのは目標を定めて前に一歩踏み出すことなんだと感じますが、この解決方法は実はあんまり小糸と変わらないんですよね。雛菜は達観していて強そうに見えますが、まだまだ15歳なのかなとちょっと感じます。
 そうして雛菜は改めて色々なことをして可能性を広げていくことに挑戦していきたいという意思表示をし、シャニPもそれにとことん付き合うぞという姿勢を見せ、W.I.N.G.編でも見せた「この先にあるしあわせのためなら多少辛いことがあってもいい」という姿勢を補強する形となっています。雛菜は実は結構後ろ向きなところがあるんだなと感じさせつつ、新たに一歩踏み出すことのできたコミュでした。

画像41

雛菜の未来に幸あれ!(遺言)

2020.6.20
 4コマ漫画「遊んでみたいお年頃」、公開

ああ……うん(諦観)

 【ポシェットの中には】福丸小糸に関連した4コマ漫画です。年齢不相応の遊具で遊ぶグイーングイーン小糸、それを真顔で見る円香、円香の皮肉めいた言葉を好意的に解釈する小糸、諦めの円香。kawaii。小糸が妙に自信のあるような態度を取る背景を知ってはいるものの、ドヤ丸小糸は可愛いのである。世界の真理。日本書紀にもそう書いてあります。ギミー先生ありがとう!!!!

2020.6.21
 4コマ漫画「進路」公開

 同時実装であった【HAPPY-!NG】市川雛菜に付随する4コマ漫画です。相も変わらず何にも考えてないで発言してそうな透が印象的ですが、その場の即時的な欲求に忠実であるという部分で透と雛菜は共通する部分があるのでそれを端的に表しているように感じます。あとなんか透って人に何か奢ってあげたい性分なのでしょうか?今度は財布忘れないでね…。

2020.6.27
 ノクチル初のストーリーイベント「天塵」の予告、公開

 これまでのノクチル追加ラッシュから見ても、この夏あたりにノクチルのストーリーイベントをやることは予想できました。そしてその開催三日前に「天塵」というイベントとして、予告動画が公開されました。その内容とは…。

 正直ビビってしまいました。ここまでアイドルマスターの歴史15年、数多くのアイドル、ドラマを生み出してきました。しかし、実装されてからその記念すべき初めてのユニットストーリーでの予告からいきなり始末書を書いているアイドルなんて前代未聞です。
 始末書なんてポジティブな意味で書いてるわけもあらず、透かノクチルが何かをしでかしたことは明白です。シャニマスは普通に見てて辛くなるようなストーリーを平然とぶつけてくるので、この予告に完全に恐れをなした私はずっと楽しみにしていたにも関わらず、イベント開催期間中にストーリーを見始められないというとんでもない尻込みを見せます。助けて…透…円香…小糸…雛菜…ジャングルジム!
 しかしどこかで見かけた、花火で遊んでたら事務所を燃やしてしまったから始末書を書かされているという説は笑いました。始末書で済むかそんなん。

2020.6.30
 「天塵」、開催

When you say "it's gonna happen now"
When exactly do you mean?
See I've already waited too long
And all my hope is gone

お前は「何か起きようとしてる」なんて言うけど
そんな事いつ起きるっていうんだ?
分かってるだろ、俺はずっと待ってたけど
そんな事起きやするわけがない

The Smiths 『How soon is now?』より

 さて、待ちに待っていたノクチルのストーリーイベント「天塵」の実装です。先述の通り私はビビってしまい実装から10日以上経ってから見ましたが、これが完全なるトドメでした。もうノクチル沼から這い上がれる感じはしません。誰か助けてくれ。

画像43


画像44

 ストーリーのオープニング「ハウ・スーン・イズ・ナ→ウ」では、円香がシャニPの送迎の車の中、幼い頃に幼馴染の4人とした約束をした時の会話を思い出している様が描かれます。
 幼い頃の夏休みが始まる頃の思い出だろうと思いますが、透が遠く親戚の家に行ってしまって夏休み中の長い間いなくなることが告げられ、みんな、特に小糸が寂しがっている様子です。子供の頃って、今となっては大したものじゃないのに随分と別れの期間が長く感じられることってありますよね。
 そのことを受けた透は「みんなでお小遣い貯めて自分たちで車を買って海へ行こう」と言います。とても子供には無理だとはわかっていますが、如何にも幼い頃の夢のある約束といった感じで良いですよね。これに対して、雛菜もなんやかんや乗り気、小糸は困惑しつつも頑張ると言っており、円香は相変わらず冷静な意見を出していますが貯めてもいいけどと言います。昔からこの4人は変わらないノリなんですね。
 一方、現在の円香はここで降りる方が早いから、と言ってシャニマスPの車を降りようとします。これは当然、前述の「海へ行く車」と重なる描写であり、円香はどこかへ行ってしまうことに不安を感じているように見て取れます。その中でシャニPから告げられた言葉を受けて円香はノクチルの初仕事が決まったことを察して、自分の意志とは別にどんどん物事が進んでいくことにはやはり思うところがあるようです。まるで海へ流れ出す川の水のように。
 ところでこのオープニングのタイトルの「How soon is now?」とは「今っていつのことだよ」という意味合いで、「いつだって僕らは」の出だしの歌詞と大きく重なるものです。その「今」が図らずも訪れていることを円香は感じているのでしょう。

画像45

 続くコミュでは、学校の屋上でノクチルのみんなで自主レッスンしているところから始まります。相変わらず小糸は頑張っていますし、円香はそれをサポートしています。一方透と雛菜はいつも通りのゆるゆるとした雰囲気であまり気合いが感じられません。
 しかし、小糸は軽くダンスをして見せる透を見て「透はやっぱり凄いな」という感想を抱きますが、初仕事だし頑張らなければという気持ちを述べます。こういうところで劣等感を募らせてしまっているのでしょう。それを察している円香は「偉い、小糸。――飴あげる」事件を発生させ、その小糸の幼い見た目のせいもあって「樋口円香ロリコン説」を生み出してしまいました。なんでか円香は小糸に甘く、時々妙な言動をする事があります。
 小糸は門限までの時間もずっと自主レッスンをしており、なんやかんや言いつつも円香もダンスを軽くこなして見せた透を思い起こしながら同じく自主レッスンしているようです。
 片や透と雛菜は屋上で、このお仕事をこなせば次はもっと大きな仕事があるのかなと未来の展望を話していました。目の前のことに集中する円香・小糸と対照的です。また、ここでノクチルの初仕事が生配信番組であることも判明します。
 その番組について円香は事務所でシャニPに「透が目に留まって決まった仕事ではないのか」と問い質します。シャニPはそれを否定し、透がどうとかではなく、それぞれのベストを尽くしてその評価を真摯に受け止めてくれと言います。
 しかし円香は「売り物はこっちなのに好き勝手言いやがって」ということを幼馴染3人の顔を思い起こしながら言います。アイドルマスターだぞこれ?そんなこと言われちまうと俺はどういう立場で受け止めればいいんだよ…。自分のことではなく3人のことを考えてこれを言うあたりは円香の心優しさですね。プレッシャーで殺す気か?本人は別に内容なんてどうでも良いと言いますが、劣等感に押しつぶされそうな小糸の事を思い起こしながら「何かあったら許さない」とも付け加えます。マジで殺す気なのか?プロデューサー心理に重さをぶつけ過ぎだろ…エコーズact3かよ。

画像46

 次の2話では雛菜が社会の授業を受けながら窓の外の野球?をしている透の事を見ているところからです。ここで雛菜は教師から「大事なところだからちゃんと聞け」と怒られてしまいますが、雛菜は「大事というのはテストに出るからということか?」と聞き返します。雛菜つよい~!
 その後、俯いてプレッシャーを感じているであろう小糸に出会い、「今楽しいか?」と問いかけます。小糸は肯定しますがどこか苦しそうで、雛菜もちゃんとしなきゃと叱りますが雛菜はどこ吹く風です。それを見送る小糸は「雛菜はそれでいいかもだけど…」と己の力不足に苦しんでいる様子です。
 同時に円香も走り込みをしていて、なんでもそれらしくこなしてしまう透のことを思い起こし、息切れしながらもまるで小糸のように「こんなの余裕だ」と言います。二人は根底で似通っているのでしょうね。
 その後の4人での合わせレッスンでトレーナーさんから合格点に達したことを告げられ、特に頑張ってた小糸は透に「かっこいいじゃん、私たち」と褒められるのですが、その「私たち」に自分が含まれているということがとても嬉しいようで、あまり小糸にとっては良い言葉ではないはずですが「浅倉透とその幼馴染という関係に依存した少女」であるということが示され、円香と透がアイドルになるとなったときに焦ってアイドルを始めてしまった小糸の幼馴染同士の関係に対する立場を表しています。
 しかし小糸はそれが悪いことだという風に感じているわけではなく、透が走り出してくれれば自分も一歩踏み出すことができるんだという感覚があるようですが、実際はそのために自身に大きなプレッシャーをかけてしまっています。

画像47

 続く第3話「アンプラグド」では、とうとう番組当日となり、放送局にやってきたところからはじまります。相変わらず透と雛菜はマイペースに物見遊山といった感じで物珍しそうにしていますが、小糸はすっかり緊張してしまっています。
 そんな中、曲がりなりにも出演者であるノクチルですが、その関係者たちからぞんざいな扱いを受けてしまいます。この時点でもうこっちは相当イライラですがノクチルはまだ駆け出しもいいところなのであまり有難がられていないのも頷けるところではあります。でも死ね(殺意)。

画像48

 そんなことがあっても小糸はとにかくプレッシャーでいっぱいいっぱいで何も耳に入っておらず、そんなことをしているうちにリハーサルが始まったようです。しかしその肝心のリハーサルはサビにも入らせず終了します。
 これにはシャニPも抗議しますが、スタッフに「生歌なんてやりません、無理でしょアンティーカみたいな売れっ子じゃあるまいし」などという暴言を吐かれます。さらに、小糸の事を指して「いっぱいいっぱいで声も出せそうにないでしょ」などと宣います。お前の住所教えろカス!!怪文書送り付けてやるからな!!
 これを受けた小糸は「リハでは緊張しちゃっただけだから、次は頑張るからやらせてほしい」とお願いしますが取り合ってもらえません。小糸は「自分のせいでみんなの努力、初仕事での輝く場を無駄にしてしまった」と、そして何より「自分の努力が無駄になってしまったこと」を悔しがり落ち込んでしまいます。読んでいればわかるのですがこのことはおそらく早い段階から決まっていたにも関わらず事前の相談が無かった様子なのでまったくもって小糸のせいではありません。
 それなのに生歌がないことを小糸のせいにするかのような発言をしました。ここら辺イラつきと悔しさが凄くて涙が出ました。ここでの透は「頑張りまーす」と言って受け入れてるようですが、文面上では全く伝わらないんですけど、珍しく結構怒ってるような感じがします。

画像49

 その後の本番トークパートでも全く台本を無視した進行で、透以外はしゃべる間もありません。さらには透がメンバー紹介をしようとしたところ遮られた上幼馴染であるということを「そういう設定でしょ?w」みたいに言われます。このことは相当に透の逆鱗に触れたようでしたが、「友達の絆見たいらしい、そんなの簡単でしょ」「練習してきたの口パクじゃないじゃん」と言い、メンバーを鼓舞してステージへの準備を始めます。
 いったいこいつらは何するつもりだ…?まあ凄いパフォーマンス見せて関係者ビックリからのサクセスストーリーかな?なんて思うわけです。アイドルもののストーリー的に。しかし、ここでノクチルの出した結論は―――。

画像50

やりやがったこいつら!!!!!!
最っっっっっっ高!!!!!!!!!!!!

画像51

 この時私はもう思い切り鈍器で殴られたかのような衝撃で、へたりこむような感覚でした。口パクを暴き童謡を歌い出すなどという、思い切り番組に中指を突き立てるような透に続いて(雛菜は特に描写が無いのですが)円香も雛菜も追随し、編集が不可能な生配信という状況を活かして小糸に無理やりカメラを向かせ、小糸の努力を配信にこれでもかとばかりに乗せました。
 なんにも打ち合わせてないのに小糸以外の3人はいきなりこれを実行しました。雛菜はこれを「いつも通りの私たち」と言います。幼馴染パワー…!!そして同時にそういうことを自然にやってのける透のことを「好きだな」と雛菜は言っています。雛菜は透のどんな時でも変わらずに我を通す、つまりどんな状況でも「いつも通り」である透が好きなのでしょう。
 透・円香・雛菜は「大切な初仕事」よりも、「大切な友人の努力を結実させること」を選びました。しかも多数の業界関係者や視聴者の見る中で。そいつら全員を敵に回すとしても。エモすぎるだろ!「いつだって僕らは」が流れ出す演出も相まっていつ見ても泣いてしまいます。
 ところで、この第3話のタイトルは「アンプラグド」です。これはかの伝説のロックバンドであるNirvanaが1993年当時のアメリカの人気音楽番組「MTV Unpluged」に出演するとなったときに、その商業主義的な内容に嫌気が指していたNirvanaが、番組にそぐわない強烈に辛気臭い雰囲気の演出で、周囲から求められるようなゲストも呼ばず、「Smells Like Teen Spirit」などの人気曲すらもやらず、自分たちのやりたいことをする姿勢を貫いたことを絶賛され、その地位を確固とした伝説のパフォーマンスをオマージュしているのではないかと考えられています。

セッションの間、Kurt CobainはパフォーマンスについてMTVと意見が合いませんでした。プロデューサーのAlex Colettiは、Nirvanaのヒット曲が(セットリストに)ないことや、Meat Puppetsをゲストに選んだことに番組側が不満を持っていたことを思い出し、次のように語っています。"彼らはEddie VedderやTori Amosなどの『正しい』名前を聞きたがっていた’’
wikipedia’’MTV Unplugged in New York’’より(翻訳)

 ノクチルはアンティーカのような「正しい名前」(=人気アイドル)ではないし、彼女たちはアイドルとして「正しくないこと」をしました。だから透は始末書を書かされていたのです。しかし彼女たちは、たとえそれが正しいとしても「芸能界の慣例」「アイドルとしての常識」「新人が受け入れるべき理不尽」に屈しませんでした。もうこれはロックです。彼女たちにとってそういうものは通用しないのです。
 この描写が為される前に私自身が期待していたように、こういうアイドルものでこういうシチュエーションになった場合の展開の仕方は大体「その場で才能や努力を見せつけて悪い大人たちを見返す」であったり、「この出来事で傷つきはしたものの、このことをバネに更なる高みに行く」という形でサクセスストーリーをなぞるのが概ね普通です。
 私はこういう一般的な「みんなで協力して、努力で苦難を乗り越えて、最後には栄光を掴む」というようなアイドルのドラマを「アイドルの文脈」という風に表現します。そして「正しい」アイドルはその文脈を(実際の事情がどうかは分からなくても表面上は)なぞるものだと言ってよいと思います。
 ここでのノクチル、というか小糸以外の3人の取った行動は言ってみれば「自分たちはそういう文脈に従わない」という姿勢だったわけで、それは「自分たちは『正しいアイドル』ではない」ということを示します。つまり彼女たちは「アイドルの文脈」から外れているという風に言えます。なぜなら彼女たちは自分たち、特に小糸が馬鹿にされたことについて「アイドル」という土俵の外で反撃に出たからです。
 このことはかなり衝撃的でした。こういう風に言っては何ですが、アイドルマスターのアイドルはその来歴やキャラクターがどうあれ基本的にみんな「正しいアイドル」です。そしてその前提がもたらす安心感のもとアイドルのドラマを楽しむのがアイマスだ、という風に思いながら10年近くもアイマスに触れてきたのに、ここに来てそんな価値観では語り難い連中が飛び出してきたのです。
 そんな連中なのでノクチルの評判はリアルでもまた少し荒れます。ゲーム内でやらかしてリアルでも荒れるとは…おもしろ。ともかく私は今まで見たこともないスタンスのアイドルに心のザワつきが抑えられませんでした。
 加えて、ここの描写で大事なことがもう一つあります。それは、透・円香・雛菜の「アイドルの文脈から外れたことをした」3人が、ひたすらに努力を重ねて成長し、みんなと協力して成功しようとする「正しいアイドルの文脈を地で行く」福丸小糸のためにこの事件を起こしたということです。彼女たちはアイドルの文脈から外れた行為をしましたが、アイドルの文脈を否定するということにはなっていないのです。この事件においては、「福丸小糸」というアイドルの存在によって、ノクチルは「アイドルマスター」という範疇を最低限のラインで逸脱しませんでした。ありがとう小糸…。
 これはもうシャニマスのストーリーやキャラクター作りの巧みさとでもいうべき点で、私がノクチルをアイドルの文脈から外れながらアイドルマスターしていると考えられる最たる点です。すげェわシャニマス 。

画像52

 さて、そんなある意味で実直を極めたパフォーマンスによりノクチルはNirvanaの如くスターダムを―――。

画像53

 登れるわけありません。現実はそんなに甘くありません。我々はノクチルが番組の裏でどんな目にあったか知っていますが、向こうのファンにとっては番組に、283プロに、アイドルという生き様にわけわからん新人アイドルが泥を塗っただけです。総スカンをくらうのも致し方なしといったところでしょう。そんな事件の後では、ノクチルはすっかり仕事が無くなってしまい、もとの日常に戻ってしまったことが伺えます。
 しかし、そんな現状であるにも関わらず小糸は「これから」を見据えて自主レッスンを行なっているようです。偉い、小糸。また、円香もやっぱり(シャニPに)騙されてるという風に言いつつも自主レッスンを行なっており、自信なさげな小糸に対して「透も普通に失敗している」という事実を告げ、「あの時一番仕事をしたのは小糸」「小糸が隠れて努力していたのも知ってる」と小糸を励ましています。円香は本当に真面目で優しいです。
 ただ一方で、円香はどんどん進んでいく「これから」についての一抹の不安を(さもそうでもないように)口にします。これはプロローグでシャニPの車から降りた時と同様の不安ですね。

画像54

 シャニPの方はというと、事件の対応に追われ、仕事が無くなったノクチルの営業をかけているようですが上手くいっていません。しかし、シャニPはあの事件についてそれが間違いであった事を認めつつも、あの時のことを「言葉では言い表せない輝き」と捉えており、それこそがノクチルの輝きなのだと考えているようです。これを見ていた我々プレイヤーも同じように感じたのではないでしょうか。私は先述の通り頭を叩き割られています。労災おりませんか?おりませんか。はい。
 一方で透と雛菜は相変わらずで、浅倉家にて透は雛菜にネイルしてもらっており、それがいつものことのようです。透は幼馴染サーの王子。
 その会話の中で、ノクチルがネット上で「アイドル舐めてる」「努力してない」と叩かれていることについて、雛菜は「それ誰の事?」と言います。なぜ自分たちが努力してないのか分かるのかと。雛菜強い〜!ここは第2話で雛菜が授業で「大事なところだからちゃんと聞け」と先生に怒られた時に「それはテストに出るから大事ということか」と問い返すシーンと重なり、ノクチル的な価値観での大事な事と、周囲の求める大事な事がズレていることを示唆します。

画像55

 その後、透は「アイドルはこうすべき」という決まりがあるのか?という疑問を呈します。雛菜も透もそんなものは知らないといった感じで、「自分のアイドルがいる人」は知ってるんだろうな、と透が言います。
 これは二人にとってはアイドルはこういうものだという観念が全くもって存在せず、同時にそれは自分たちがこうすべきものだというようなアイドルでもない事を示します。そのこうすべきものだというアイドルというのは、こうすべきというルールに則っている、いわゆる「努力と協力によって壁を乗り越えキラキラと輝くアイドル」のようなものを指すでしょう。それはつまり「アイドルの文脈」的だといえます。
 しかしながら、プレイヤーにとって「自分のアイドル」がいるのがほとんど当然のアイドルマスターの名を冠するゲームの中で、良くもまあこんな会話を描写しやがったな!と思えるほどに、彼女らはアイドルの流れに背く存在なのです。
 一方この会話の前には、2人はアイドルするのが楽しい、という風に話している部分があります。ネット上で叩かれ、仕事もない、そんな状況でも彼女たちにとってアイドルする事は楽しいのです。
 これはつまり、アイドルがこういうものだというのも分からずにアイドルをやっている彼女たちにとって、アイドルというのは「幼馴染み同士一緒に楽しむ遊びの一つ」でしかないのだと感じ取れます。
 アイドル的には「アイドルとして出会った仲間と絆を深め努力し、素晴らしいアイドルとしてトップを目指す」のが王道ですが、そんなありがちな「アイドルの文脈」は通じません。ノクチルはそんなことを目的としなくても、既に「アイドル」という手段を通して「一緒に楽しい事をする」という目的を達成してしまっています。既に目的を達成してしまっているノクチルにとって、あんな事をしたとしてもアイドルとしての未来のために失うものなんてありはしないのです。面白い連中だなあ〜。

画像56

 続く第6話では、ノクチルのみんながレッスンしているところから始まります。こいつらなんやかんやでレッスンちゃんとやってるな。みんな一緒ならなんでもやる、これがノクチルの強みです。しかしここで一つ事件が起きます。上掲の画像を見てください。何が気付きませんか…?

そう!円香が雛菜の前で浅倉透の事を
「浅倉」ではなく「透」と呼んでいます!

 基本的に円香は独り言や心の中でしか透呼びはしません。これは大きな議論を呼び、何か重大な意味があるのか、それともライターのミスかと、未だに解決しないクソデカインシデントなのですが、現状これを解決できる材料がないので置いておきます。ヨシ!(現場P)
 さておき、ここではシャニPが例の事件を受けて、ノクチルについてさんざんな言われようをしながらも死ぬほど苦労して取ってきたであろう、ノクチルのための新しい仕事があるんだということを告げるところから始まります。
 しかし、その仕事というのはどこかの花火大会の出し物で、小さなステージ、劣悪な音響・照明設備、パフォーマンスは花火の添え物と、お世辞にも価値のある仕事とは言えないとシャニPは言います。ただ、もしそうであっても仕事をする上では従うべき慣例や、望まない環境での取りたくない姿勢を求められるだろうから、もしこの仕事を受けるならそれを跳ね除けるほどのモチベーションが必要になる、だからこの仕事を受けるかどうか良く考えて欲しいと伝えます。つまり、あの時雛菜が言っていたような「いつも通りの私たち」から変化することが求められるというのです。
 これを聞いた雛菜は乗り気ですが、円香は冷静な反応で、ともすればそれは仕事の内容への不安から躊躇しているようにも思えます。
 一方小糸は、事件後に不安を口にした円香を思い出しつつ「私はやりたい」と話し、円香を引っ張ってみせます。もう一度自身の努力を発揮するチャンスが欲しい、という思いもあるのでしょうが、あの時自分のために己の初パフォーマンスを捨てた3人のためにもう一度みんなでやりたい、という思いもあったのでしょう。泣くわ。
 そして透は「この仕事は海でやるみたい、楽しそうじゃん」と、もう語る必要性すらないほどに示唆に富んだ発言をし、それを受けた円香は「やる理由はないけど、やる」と言い、この仕事は全員が揃ってやるパフォーマンスとなることが決まります。
 彼女らにとっての不条理を跳ね除けるモチベーションとは、「みんなやりたいからやる」というただその一点であったのです。結局、彼女らは「いつも通りの私たち」のまま、その条件を受け入れることができたのだと思いますが、そのことはシャニPも多分織り込み済みです。だってシャニPはあの時の事件を起こした彼女たちを「美しい」と感じていたのですから。
 この一連の流れはプロローグでの幼い頃の約束の流れそのままで、彼女たちは昔から何も変わってはいないのです。みんなが海に行きたいならみんなで力を合わせて行く、それだけです。ただ「私たち」全員がアイドルになったという事を除いて。
 ただしここで、仕事を受ける事を決めた円香はモノローグの中で「もう透は走り出してしまっている。この仕事をやる理由はない、でも浅倉透にできて私にできないことはない」と感じていたというとんでもない爆弾を投げてきます。抱いてる感情が重過ぎ!!!なんだコイツ~~~!!!とはいえ、この辺の感情はこれ以後のカードコミュなんかで結構その中身が見えます。それのせいで更に私の脳はボロボロになりますけどね。

画像57

 第6話「ハング・ザ・ノクチル!」にて、ノクチル一行は現場に到着します。そこには予想よりひどいステージを見て若干の動揺はありましたがそれで落ち込むということはありません。
 今日は大丈夫かという問いに、小糸は「今日は大丈夫、あの時は一人で怯えていたけれども、今日はみんなで始めるために来たのだから」と強い覚悟を見せます。これは小糸にとっても、ノクチルにとっても、全員がそろって行う本当に初めてのパフォーマンスであることを意味しています。
 そうしてノクチルはステージに立ちますが、当然彼女たちのことは誰も見ていません。花火が主体の花火大会の付け合わせの出し物に出た知名度絶無のアイドルユニットなので当然です。しかしそんな逆境の中、彼女たちは歌い始めます。彼女たちがそれでいいと、そうしたいと言ったのだから。

画像58

 そんな誰も見ていないステージの中、透に導かれてアイドルになった3人は「誰も見ていない、現実感のないステージに立つのは全然悪い感じじゃなかった」「誰も見てなかったけど、今度こそはみんなで歌えた、たぶんそうだって思えた」「何かすごいことが起きそうって思ってたら本当に起きた、なのに誰も見てなかった、みんなもったいないことしたね」とそれぞれの思いが描写されます。ここ本当に美しくて最高です。見えもしない彼女たちのライブシーンが見えます(強烈な幻覚作用)。

画像59

 もうお気づきになったかもしれませんが、何度も書いている通り、このライブはほとんど誰も見ていません。これこそがノクチルのキャッチコピーであった「さよなら、透明だった僕たち」「透明だった僕たち」を表す最も直接的な表現です。
 世の中の誰にも顧みられることのないどこにでもいるような存在、自分たちの価値観を理解してもらえない、今までのアイドルの文脈では理解できない、頑張ってライブしたって観客の一人もいない、「誰にも見えてない」、つまり「透明な」彼女たちの初めての、そして最高のパフォーマンスをする姿を表した言葉だったのでしょう。「透明」が何を表すのかということは随分議論されていたように思いますが、誰もまだ気づくことのできていないけれども確かにそこにある輝き、そういう答えだったのです。もうただただ嘆息ものです。

画像60

 そしてライブを終えた彼女たちは、お互いのパフォーマンスが最高だったと認め合い、その勢いのまま文字通り海へと走り出し飛び込みます。青春~!!この描写が何を意味するかなんてもう説明する必要もないですね。
 その中で、小糸は幼い頃にした「みんなで海に行く」という約束の話をします。しかし、「全員でお金を貯めてそのための車を買う」というところまで約束を覚えているのは円香と雛菜だけでした。円香はこの事実にショックを受けていますが、これは既に未来を志向している透・小糸と、過去や現在の関係に止まり気味だった円香・雛菜を対照的に表しています。
 そしてノクチルは、未だ夏の夜空を燦然と照らし輝く花火に対し、夜の昏い海の中から「花火じゃなくて自分たちを見ろ」「花火のバカヤロー!」と叫びます。誰も見ていないのに。花火だってお前らのことなんて見てないよ。それでもなんでか、俺はノクチルから目が離せないなあ。
 こうして彼女たちは分かりやすい綺麗な輝きで大勢の注目を奪っていく花火に中指を突き立て、「透明だった僕たち」に「さよなら」を告げました。エモーショナル。死んだ。

画像61

 しかしながら、唯一と言ってもいい、彼女たちの輝きを最初から見つけていた人物がいます。そう、俺たちのシャニPです。シャニPは彼女たちの独自の輝きをあの騒動の時から見出していて、その「言葉にできない輝き」を伝えるために努力を惜しまない、と決意しています。そのために今回の仕事を用意したんですね。
 たとえ劣悪な条件での仕事でも、この経験の中で彼女たちのその輝きは失われはしない、むしろ更なる輝きを生むと踏んでいたのかもしれないし、その確信があったからこそ、敢えて「いつも通りの私たち」から変わらなきゃならないと伝えたのかもしれません。やはりシャニP、世界最高P。今までのアイドルマスターではありえなかった輝きを見つけ出したのだから。シャニP、ノクチルの未来を頼んだぞ!
 彼女たちの輝きは今はまだ小さくてでこぼこ、おぼつかない足取りの夜光虫の光です。それでもいつかは、その光がいつか夏の夜空に煌めく大輪の花火に負けないほどに美しく夜を照らす、そんな未来を感じさせながら「ノクチル」というアイドルたちの物語は幕を上げたのです。

Burn down the disco
Hang the blessed DJ
Because the music that they constantly play
It says nothing to me about my life
Hang the blessed DJ
Because the music they constantly play

ディスコを焼き払え
あのクソみたいなDJを吊し上げろ
だってやつらの流している音楽は
ちっとも俺たちの心を動かさない
あのクソみたいなDJを吊し上げろ
これ以上やつらの音楽を流させるな

The Smiths 『Panic』より

 さて、なぜこの天塵の話をするにあたって謎の洋楽からの引用が前後にあるのかということですが、コミュのタイトルから読み取ると、どうやらThe Smithsという英ロックバンドからの引用であるということがわかります。私は音楽の趣味の関係上、洋ロックには寡聞にして詳しくないのですが、歌詞やタイトルを調べれば割と調べが付きます。シャニマスはこういう元ネタや明確なモチーフのある設定・ストーリー作りをかなりするので気になったことは調べる癖をつけるとより楽しめます。楽曲の背景を調べてみたり、ノクチルのことと結びつけて考えて聞いてみるなどしてみてください。より理解が深まるかもしれません。そしてシャニ沼にハマれ(脅迫)。

2020.6.30
 イベント報酬SSR【游魚】樋口円香、実装

画像62

 シャニマスのストーリーイベントでは通例としてポイント報酬のsSSRが実装されますが、この「游魚」が「天塵」の報酬カードとなります。クッソエモいシーンで使われていたイラストですね。無料で手に入ったとは思えないほど美しいイラストです。シャニマスはイラアド最強のゲーム。

画像221

 さて、そのコミュ内容はというと、まずは一つ目の「飲む」で「天塵」でのやらかしの後の円香が、小糸の隠していた努力を知っていると話した後、その口止め料としてジュースを奢るところからです。どう考えても口止め料を払う側が逆です。それに対し小糸は「私も円香の隠れた努力を黙っている」と言いますが、「私が努力を隠しているみたいに言うな、私はさっきから小糸をからかっているだけだ」と言います。なんで小糸相手はそんな感じなの円香?好きなの?とはいえ円香は冗談で人をからかったりするのが結構好きそうだったりします。
 しかし翌日、律儀にも小糸はお返しをしようとします。キリがないからやめろと言いつつも、お返しするなら「また今度河原で会ったときにでも」と言います。それを受けて小糸は嬉しそうですが、小糸が去った後「また会うかどうかはわからないけど」と円香は独り言ちます。小糸相手でもやっぱり隠そうとしてるじゃないか!このコミュからは円香の優しさと同時に、小糸以上に弱みを見せられない性格が読み取れますね。タイトルを考えると、口に出そうになる弱さを「飲み込んでしまう」ということでしょうか。

画像222

 続くコミュでは、海に飛び込んだあと、当然ですが借り物の衣装はびしょ濡れなのでそれをみんなで旅館?の脱衣所のドライヤーで乾かそうとしているところです。あんな死ぬほどエモい状況から一変してなんとも気だるげですね。乾燥機使えば良いのに…と感じる部分ですが、ある意味でそういう王道を行かないノクチルの立ち回りを感じさせます。
 ここでは円香の足元にバッタらしき虫がいて、今まで見たことが無いほどビビり散らかす円香が見れます。両手に温風を吹くドライヤーを持ちながら椅子の上に避難して身動きが取れなくなったと思われます。想像すると絵面が面白すぎる。虫が苦手なんて可愛いな円香、ははっ!
 円香は厭世観にとらわれた中高生にありがちな「自然を愛する」系の傾向が諸所に見受けられるのですが、そのくせ虫が苦手というのはある意味で円香のパーソナリティと言動が一致しないアンビバレンツな部分を表しているように思います。考え過ぎかもしれないですけど私は脳を破壊されているので深読みも許されます。

画像63

 最後のコミュ「賭ける」では、相も変わらず透の部屋に集まり、雛菜が車を買うために小学生の時貯金箱に入れたお金が千円札か一万円札かで賭け事のような状況になっています。透は相変わらずそれなりの額のお金のことをリッチと言います。なんなんだよ。
 さらに、小銭が入っていることを確認した円香は小銭の額まで予想し始め、周りもそれに追随して予想を始めます。そして円香は予想が団子になっても面白くないと予想金額を変えたりします。楽しんでんじゃん。思えばこのカードコミュの時点から円香はノクチルの常識人枠ではなく、女子高生らしく普通に身内仲間で悪ノリする子として描かれていたようです。残されている常識人枠は小糸だけ。小糸頑張れ…!!
 結果発表では、雛菜が貯金していたのは本当に一万円札だったと判明します。結局、一番近い予想をしていたのは斜に構えて予想を変えた円香でした。これは「天塵」のラストで円香と雛菜だけが車を買う約束を覚えてた、という描写と重なりますね。ひなまど~♡

2020.6.30
 拝啓、夏音痴諸君――!ガシャにて【途方もない午後】浅倉透、実装。

画像64

 シャニマスではストーリーイベントが開催された時はその当番のユニットのガシャが開催されます。前述の通り同日に開催されていたのは「天塵」なので、リーダーである浅倉透が実装されました。最初のpSSRの浅倉透からたったの1ヶ月半での実装となり、他のアイドルとは一味違うスケジュールにそれはそれで荒れましたね。良くも悪くも話題の女。好き。

画像65

 コミュの内容は、木陰で昼寝している透をシャニPが見つけることから始まります。平日の午後に河原で昼寝とかこいつ不良か?不良だったわ。
 
シャニPは「事務所まで行けば涼しいのに」と言いますが、そこまで行くのが無理だったという透の提案によってシャニPはその場に止まり一緒に涼むことにします。「学校に行け」とは言わないんですよね。なんかやっぱいい男だなあシャニP。真面目なとことそうでないとこの塩梅が絶妙です。
 そこでシャニPは透とともに「いい風」を感じています。これは重ね重ねシャニPが浅倉透という存在によって新たな何か、そしてそこから続いていく良い未来を感じていることを示唆しています。それは透も同じように感じているようです。ついでに私も。

画像66

 続くコミュでは透が海での撮影の仕事をしています。そこではすっかりスタッフたちから可愛がられているようで、差し入れを貰っています。
 一方シャニPはただのペットボトルに入った水しか持っておらず、申し訳なさげです。しかし透は「これが欲しかった」と水を飲み干します。ここでは水を受け取った透がそのペットボトルの水を通して見るシャニPの像が「逆さ」で面白いと言っています。光の屈折ですね。
 空いたペットボトルを受け取ったシャニPは透と同じようにペットボトルを通して透を見ますが、水はもう入っていないので「逆さではない」透が見えます。そして「透は真っ直ぐだよ」と独り言ちます。

画像67

 続くコミュでは透が業界の人間たちに絶賛されている様子が描かれます。しかしその内容は透を表面的にしか見ていないようなものばかりで、そのことに透はあまり気をよくしていません。「自分はそんなにいいものか?」という風に感じているようで、この現状は「よくない」とその心情をシャニPに吐露します。
 これは前コミュの内容も踏まえて考えてみると、透は、周りの人間は光の屈折のような歪んだ価値観で自分の事を見ている、つまり自分に対する評価は不当であるという風に考えており、一方で自分をしっかり評価して向き合ってくれているのはシャニPだけだというようにも感じているのでしょう。これが私のW.I.N.G.編での「浅倉透は自身の理解者を求めている」という風に感じられる部分のひとつです。
 シャニPはそういう風に「よくない」と感じられるのは「いい」が見えてるからだとし、良いか悪いかを決めるのはもっと後にして一緒に頑張ろうと答えてあげます。シャニPは相変わらず良い大人です。

画像68

 最後のコミュでは二人でサラダに乗っている花を食べるのかどうかで悩んでいます。シャニPは「男らしく」食べると言いますが、それが男らしいのか?という透の問いに「それは男だけの特徴じゃないか」と思い直し、その後食べた花について「きれいな花を食べることには罪悪感がある、でもそれは茎なんかを無視して花という部分だけを優遇してるかもしれない」などと言います。そして上掲の画像の発言が飛び出しました。浅倉ァ!スキャンダルになるゥ!!
 ここのシャニPは何かを言い切らないような非常にあいまいな立場を取ったと言えます。しかしながらそれは、物事の表面的な部分だけを見ず、一般的に評価されやすいような価値観だけで物事を評価しない立場でいるということを意味します。周りから不当に高く誤った評価をされていると感じている透にとってはそういうシャニPのスタンスがとても心地よいのでしょう。俺も好きだよ、シャニPのそういうとこ。

画像69

 Trueコミュでは過去に透が「とーるくん」と呼ばれていたという話から、昔の自分を呼ぶ声は「何者でもない自分」を指す音だったけど、今現在の「アイドル浅倉透」を指す音は違うものになったといいます。
 シャニPはそれを聞いて、そういう何者でもなかった時の浅倉透を無くしたくない、そのためにより良い音で透を呼びたいと言います。そこで透は「透」がいいと言いますが、シャニPはそれを了承しつつも「とーるくん」という響きにどこか懐かしさを感じています。
 これはシャニPが本当に幼い頃の透に出会っていたかどうかの示唆ともとれますが、「とーるくん」という響きを覚えているということは「まだ何者でもなかった時の透」がかつて居たという事を心に留めているということを表すでしょう。
 今の「アイドル浅倉透」の表面的な評価で仕事自体は上手くいっていますが、例え周りみんながそういう風な評価だとしても、「何者でもない」時代の輝きのことをシャニPだけはわかっていてあげているのです。これは「天塵」で、シャニPがアイドルをやる上では「いつも通りの私たち」ではいられない、ということを伝えつつもその「いつも通り」が美しいと感じていて、それを失わせたくないと思っていたことと重なる部分です。
 とーるくん、そしてアイドル浅倉透のあり方としての過去から未来への理解者、それがシャニPです。透を頼んだぞ、シャニP。

2020.6.30
 拝啓、夏音痴諸君—―!ガシャにて【ROOKIE!】市川雛菜、実装

画像70

 【途方もない午後】透と同時に実装された雛菜のsSSRカードです。後ろの小糸が可愛らしいですね。また、小糸の隣にいるモブの眼鏡の子が可愛いと話題になりました。シャニマスの世界はモブの顔面偏差値が異常に高く、たびたび話題になります。俺ではもはや人として存在できません。

画像71

 コミュのほうはというと、さも当然のように学校に遅刻する雛菜から始まります。しかもそのまま体育の授業を見学している透を見つけておしゃべりしています。
 どうやら透はジャージを忘れたらしいですが、カードイラストを見ると腰にジャージらしきもの巻いているように見えるんですけど…?サボりの口実でしょうか。それとも上着だけあったのかな。二人とも不良なのでまあ良いでしょう(よくない)。
 さらには3限目には体育で疲れて多分寝ちゃうからチェイン(シャニマス世界のLINE)してくれと言います。見学なのに。なんだこいつ。おもしれー女(再確認)

画像72

 どうやら昼休みになったようです。透のチェインは既読がつきません。マジで寝落ちたんかい!何のためにチェインさせたんだよ!
 雛菜は小糸を連れて透と一緒にお昼ご飯を食べようとしているようですが小糸が2年生のフロアに行ったら怒られるんじゃないかと怖がっています。雛菜が「怖い人に会ったらお菓子渡さなきゃいけない」とか何とか言って小糸をビビらしていたところ、怖い人の樋口円香が現れました。雛菜はお菓子を渡します。小糸が「怖い人に会ったらお菓子渡さなきゃいけない」と言ってたからと言って。小糸…なんかもう…頑張れ…。

画像73

 さて放課後です。相変わらず小糸を引き連れて透のもとに現れ、一緒に帰ろうとしています。円香も当然のようにそこにいます。ぐいぐいとみんなの手を引いて帰ろうとしていますが、疲れているから早く帰ろうというわけではなく、放課後の今が一番元気かもと言っています。わかる~!
 しかしながらこれは、【HAPPY-!NG】で見られた「余暇」にばかり目が行ってしまう雛菜の価値観と重なるものだと思います。雛菜はこういうしがらみから解放された時間というものが一番しあわせだという風に感じるのでしょう。
 そして学年の違う先生に名指しで廊下を走っていることを注意されています。他学年の先生に名前と顔をしっかり覚えられているのは超優秀な成績を残す生徒か不良くらいのものです。雛菜がどっちとして有名かなんて言うまでもありません。でも本当は逆かもね?
 このカードのコミュは雛菜の学校での日常をほっこりと描いた内容ですが、やっていることは完全に不良生徒であり、もはや学校内のルールでは縛れない雛菜の姿を見られます。それは「天塵」でも見られたノクチルの常識に縛られないロックな部分と同じように感じます。ある意味では大物のような新人、だからカードタイトルはROOKIE!なのかもしれませんね。まさかあのアイドル…ニュータイプか!(赤い彗星)

2020.7.1
 4コマ漫画「尽くされ気質」、公開

 【途方もない午後】浅倉透に合わせて公開された4コマ漫画です。カード内のいろいろ豪華な差し入れをもらう透のことを漫画にしています。実際透みたいなのいたらなんかいろいろあげたくなる気持ちはわかります。絶妙に面倒見てあげたくなるような雰囲気がありますからね。まさに「尽くされ気質」です。幼馴染サーの王子。

2020.7.2
 4コマ漫画「上級生への対応」、公開

 こちらは【ROOKIE!】市川雛菜に合わせて公開された4コマ漫画です。カード内コミュとは逆に円香にお菓子をたかっています。「は?」と言っていますがまあなんやかんやで円香はお菓子あげるでしょう。
 ところで、これまでのコミュの中で、円香と小糸と雛菜はなぜかお菓子をよく持ち歩いている感じがします。これは何を意味するのでしょう?幼い頃からの恒例なのでしょうか。気になるっす!

2020.7.21
 第7回サマーフェスティバルにて【季節はアイスクリン】福丸小糸、実装

画像74

 イベント報酬として小糸のsSRが実装されました。ノクチル全員の水着姿が眩しいですね。しかもなんか透の部屋でビニールプールでしてます。透の部屋案外広いな…。

画像75

 一つ目のコミュではまたもみんなで透の部屋に集まっています。還るべき場所。どうやらエアコンの温度設定が20度になっているらしく、透はエアコンのリモコンの位置がわからずどうにもなりません。
 部屋の中はだいぶ寒いようで、小糸が何とかしようとしています。ここで円香は普通に透の布団にくるまって特に動こうとしませんし、雛菜はあんまり気にしてません。やはりノクチルには小糸しか常識人系アイドルはいません。頑張れ小糸!負けるな小糸!

画像76

 後日、どうやらノクチルの4人はみんなで室内プールに遊びに行く予定だったみたいですが肝心のプールが臨時休業であったことが集合してから判明します。小糸は落ち込みますが、円香はまた行く機会はあると励まします。
 しかし、透の提案によりなんと「プールin透の部屋」が始まります。
 「またの機会」なんて待ってられない、本来望まれた形でなくとも結果オーライならいい、そんな透らしい解決方法です。それを真っ先に提案してなんだかんだで形にするのはやはり我らがノクチルのリーダー、浅倉透なのです。

2020.7.21
 2020年版水着実装

 毎年恒例、水着実装の時期です。どんなソシャゲでもこの時期となると水着ガシャなんかが始まり、やれ今年はどのキャラが水着になるだのなんだのと盛り上がりますが、なんとアイドルマスターシャイニーカラーズは毎年全員分の新規水着を実装しています。シャニマス最高!でも手に入れる方法はガシャです。悪い文明。
 さて、2020年も全アイドル分、個性豊かな水着が実装され例によって大盛り上がりしている最中、とんでもない事件が発生します。シャニマスはアイテムや衣装1つ1つにもフレーバーテキストがついていたりして、それもまた素晴らしく出来のいいものから面白おかしいものだったり泣きそうなくらいエモいものだったりするのですが…。

画像77

もぎたて♡にーちゅ…もぎたて♡にーちゅ…?
もぎたて♡にーちゅ??!?!!??!!?!?

 どうした円香!?悪いものでも食ったのか!?!?と誰もが驚愕した大事件です。よりによってあの樋口円香に何をどうしたらこんな文言の付くことがあろうか。言葉の意味もさっぱり分かりません。本当にどうしたんだ円香…。
 実は2周年の時にサンセットスカイパッセージという衣装が追加されていて、円香の衣装テキストは「これからよろしくね。」というそれはそれで円香らしくないテキストだったのですが、「おそらく円香のことだから適当に定型文を書いたのだろう」という風に考察されていました。
 しかし、今回はそんな説では説明できないほどにもう何が何だかわかりません。そのため様々な説が唱えられましたが、この問題は未だに全く解決していません。誰かミレニアム懸賞問題に追加しておいてください。超難問です。

2020.7.31
 「アジェンダ283」、開催

画像78

 夏の越境イベントとして「アジェンダ283」が開催されました。ノクチルにとっては初のユニット越境イベントとなり、他のユニットたちとどう絡むのかという期待が膨らみました。変な奴らだけどきっと上手いこと馴染んでるだろうな〜。しかしその期待は全くもって裏切られることとなります。なんなんだよ本当に。
 これはノクチルについての記事なのでほかのパートについてはほとんど触れられませんが、このストーリーではみんなとゴミ拾いするっていう話なのに灯織がアンティーカのみんなと少女漫画を読んだり放クラと真乃によるSDGs講座があったり、アルストロメリアとめぐるとゴミ分別の大切さを学んだり、冬優子の早口オタクアンティーカレビューが聞けたりして、盛りだくさんの要素を詰め込んでいながらも多数の示唆に富むシャニらしいストーリーとなっておりますのでお時間あるときに是非全編通してご覧ください。

画像79

 オープニングでは何やらノクチルが事務所の倉庫を漁っています。なにか探しているのでしょうか。みんなでいつも通り雑談していますがそこで透は円周率の語呂合わせを「ひとよひとよにひとみごくう」などという何もかも間違っているとんでもない発言をしたりしています。大丈夫かよ?
 そこにイルミネーションスターズの3人がミニ扇風機を探しに倉庫に来るのですが、ノクチルの4人が倉庫にいることを察した真乃と灯織は尻込みしてしまいます。しかしそこはコミュ力強者のめぐる、臆することなく突撃していきます。さすがアメリカ生まれだぜ!!
 しかし実際に鉢合わせたときの雰囲気は随分と壁があるような感じです。お互い顔は知ってるけど全然話したことない人と相席になってしまった時くらいの気まずさです。もう既にかなり嫌な予感がします。こいつらまさか…?

画像80

 続く部分ではどうやら真乃の発案でイルミネのみんなでゴミ拾いをしているようです。真乃は、自分に同調し「真乃のやりたいことに付き合っているんじゃなくて私たちはやりたくてやっているんだ」と言う灯織とめぐるに感謝しつつ、同じように事務所のみんなでゴミ拾いしたらいいんじゃないかとシャニPに提案されたことを話します。
 しかし真乃はそれが出来たら嬉しいと思いつつも、ノクチルのことを思い出しながら、「自分が言い出したせいでやりたくもない人たちが巻き込まれてしまうんじゃないか」ということを心配しています。
 灯織とめぐるは「『私たち』は好きでやってるんだから」と言って、参加しない人たちが断り辛くないようにしたいと言いつつ、二人は283プロ合同ゴミ拾いに参加する気満々です。灯織とめぐるが真乃のことを自分のことのように考え、真乃のことを含めて「私たち」と表現したことにとても感謝しています。イルミネ尊過ぎる…イルミネの仲の良さは本当に美しいです。ともあれこうして物語は幕を開けました。

画像81

 しかし実際始まってみれば全部のユニットが積極的に参加してくれました。真乃は「何よりも自分たちが楽しむことが大事なんだ」という言葉を受け、そして周りのみんなとの交流を通して少しは安心したようではありますが、やはりどうにもノクチルのことが心配のようで、担当してもらっていた公園の様子を見に行きます。しかしそこには誰の姿もありません。
 なんとノクチルはみんなでゴミ拾いせずに缶蹴りをしていました。こいつら…。それを真乃に見咎められたと思った小糸はすっかり縮こまっていますし、雛菜からはどことなく高い壁を感じさせます。
 ここまででお判りかもしれませんが、ノクチルは全く283プロに馴染んでいません。なんやかんやでみんなとうまくやってるんだろうなと思ってたらこれ!なんなのもう!!
 恐ろしい話で、普通のアイドルマスターの流れでは、アニメかなんかでじっくりと描写するとかそういうことが無い限り、新しく追加されたアイドルだろうが何だろうが基本全員が全員理由もなく概ね仲良しで当然なんですが、ノクチルの場合は周りのユニットとはほとんど交流が無く浮いているという状況にしてきました。流石シャニマスです。やることが一味も二味も違いますね。

画像82

 しかしその後、真乃は雛菜の誘いに乗って一緒に缶蹴りをしたんだと灯織とめぐるに言っています。真乃は「楽しむこと」を優先したのです。真乃は、自身が気持ち良く何かを成すためには周りの人間に対し「気を遣って距離を置くこと」よりも「積極的に関わろうとすること」のほうが価値があると理解し始めているのです。
 そしてその中で透と話す機会もあり、透は「いつも同じメンツで固まっていて気を遣わせてしまってごめん」「今日は楽しかった」と言っており、ノクチルはゴミ拾いを(ちゃんとゴミ拾いしてないけど)楽しめていないなんてことはなかったと真乃は確認しました。
 透は透で自分たちが浮いている事を自覚していて謝罪したという所も大切です。透は周りが見えていないような人間ではありません。ノクチルのリーダーとしての風格がありますね。
 真乃は今回の経験を通して自分の楽しいとみんなの楽しいは違うことが普通だし、その「違う」は共存可能で、その「違う」を繋げていくことが未来へと繋がるのだと学んでいます。
 アイマスの他ブランドの恒例をなんとなくでもご存知であれば感じられるところかと思いますが、「櫻木真乃」というアイドルはかなり異質です。アイドルマスターには信号機トリオと呼ばれる存在が各ブランドにいて、真ん中が赤色を担当します。
 そののアイドルというのは「明るく元気、友達も多くて前向きでコミュ力の高いみんなの中心的存在」である事が普通です。しかし真乃はご存知の通り「気弱で大人しく、友達も少ない人見知りの引っ込み思案」です。
 しかしながら、真乃はかの名作ストーリー「Catch The Shiny Tale」で、真面目でストイックだが主に人間関係が不器用な灯織と、明るく優しく楽しく誰にでも臆することなく仲良くしようとするめぐるという、お手本のようなアイマス信号機トリオの青と黄色である二人が隣に居てくれて、そこで本当の意味で「イルミネーションスターズの私たち」になる事ができました。
 つまり真乃は、メタ的な読み取りにはなりますが、受け入れてもらった「違う」の1人だったのです。そして今度、真乃は従来のアイドルマスターの文脈では理解し難いノクチルを、言ってみれば「違う」アイドルユニットを「私たち」に受け入れようとしてくれたのです。
 かつて「違う」を受け入れてもらった真乃が今度は「違う」ことが当然のことだと認めながら受け入れて未来へ繋げようとする。これは本当に真乃がこのシャイニーカラーズの真ん中で良かったなと心底思いました。これはある意味でシャニPがノクチルの何者にも染まらないノクチルなりの美しさを失わせたくないと思っていた部分と合致し、この事務所内で浮いてしまっている幼馴染みグループのアイドルユニットをこれ以上ない形で受け入れてくれています。
 このストーリーでノクチルが事務所内で完全に浮いているという描写をされて私は不安になったのですが実際見終わってみればノクチルは、シャイニーカラーズの中心である真乃に、本人たちはまだそう思えていないでしょうけど、とても暖かく優しく283プロに受け入れられていました。
 真乃は今までの「赤」とちょっと違うけど、不安を乗り越え、新しい「違う」を知って進歩していくその姿は紛れもなく「赤」でした。そしてその「赤」によってノクチルは283プロの一員になれました。やっぱりシャニマスのストーリー凄いです。考えすぎかもだけど。それでもやっぱり凄いな!好き〜!!!

2020.8.11
 サマー・ビーチ・ボックスにて【#SS】市川雛菜、実装

画像83

 いわゆるボックスイベントと呼ばれるイベントにて新しくpSRの雛菜が実装されました、トロピカルなプールにトロピカルなドリンクで夏感MAXですね。このカードの雛菜はフェスイラストがとっても可愛いくて好きです。
 シャニマスはシンデレラやミリオンと違い、pSSRの方が共通衣装、pSRの方が個人衣装となるため、pSR衣装の方が個性を爆発させてくるという不思議なゲームです。このカードは雛菜はこういう感じの着て欲しい!というのを直球で投げたきたのでお気に入りです。雛菜すき〜♡

画像84

 さてコミュの方はというと、雛菜が事務所のおやつを食べていたところ、シャニPがやってきて新しい仕事が取れたということを知らされています。どうやらティーン向けの雑誌の水着グラビアのようですね。
 それを受けた雛菜は即決でやると言っています。雛菜は自分に関わることの判断が非常に早いです。むしろシャニPに対して「すぐに返事しなかったのか?」と問いかけているほどで、それに対しシャニPは雛菜に確認を取ってからのほうが良いと思って、言っています。しっかりした大人です。この雛菜の思考の速さは今後実装される二枚目の雛菜のpSSRでも同じような描写がなされるので、このコミュはその布石だったようにも感じます。
 また、雛菜は上掲の画像のようにシャニPが嬉しそうで良かったという風に言います。ホーム画面でのセリフにも似たようなものがありますが、W.I.N.G.編からも感じ取れるように、やはり雛菜の言う「しあわせ」は自身のためだけを考えて行動するための動機のようなものではなく、周りの人間の顔がよく見えている上での雛菜の生み出した一種の処世術に近いものだという風に思います。

画像85

 そしてこのコミュとTrueコミュ双方において雛菜は、自分のことを「運がいい」と言います。仕事が自身に回ってくるのも、周りの人間に恵まれているのも運が良いからだと。これびっくりしませんか?
 重ね重ね言いますが、雛菜が実装当初より「怖い」と評価されてきた原因として、年齢からは想像もできないほどドライな価値観で、なんでもそこそこにこなせてしまう自身の才能を利用して自分勝手に物事を進める利己的な人間のように感じられる部分があったからだと思いますが、雛菜はここで「周りに恵まれている、運がいい」という風に言っているということは「今自分が楽しくやれているのは周囲の環境や状況のおかげだ」という意識があることを意味します。自身が才覚のある人間だからうまくいっているだなんて雛菜は思っていません。やはり雛菜は頭が良い子で、常に周りを見ながら行動しているんだということをより確信に近い形で感じられるコミュだったと思います。
 一方でこれは雛菜が自分の力で現在の「しあわせ」を作り出しているという風には思えていないことを意味します。言い換えてみればこの雛菜の姿勢は「自己肯定感が低い」と言えてしまいます。当初の印象からかけ離れ過ぎる印象ですが、この辺が雛菜の弱い部分なんじゃないかなと思わせます。この辺から私としては雛菜のことを大きく勘違いしていたのでは?という部分も確信に近くなってきています。

2020.8.11
 ノクチルのホーム会話実装

 春のある日突然ホーム画面でのアイドル同士の会話が実装され、ユニット越境が実現されたことにより界隈は賑わっていましたが、ノクチルは実装して間もないためか、もしくは283プロの中で浮いているという部分を先に描写しておかなければならなかった関係か、このタイミングでノクチル内でのみのホーム会話が実装されました。
 まあなんてことはなく、いつも通りの4人の会話であまり数もないため何事もなく終わると思いきや、またもあの女が軽く事件を起こします。そう、浅倉透です。

画像99

マンモクスン…?マンモス君…???
何??????

 何を言い始めたんだこいつは?これを聞いた小糸も何のことやらと困惑しています。本当に何の脈絡もなく登場したこの「マンモス君」とやらが一体何者なのかということでノクチル学会は騒ぎになったりならなかったりしました。彼女たちは高校生なので、世界史の授業に出てきた「スレイマンモスク」という単語を浅倉式脳内変換した結果ではないかという説がそこそこ有力でした。そんなとこまで考察されるのか…。

2020.8.21
 掬いたいのは君の♡ガシャにて【ハウ・アー・UFO】浅倉透、実装

画像86

 浅倉透初めてのサポートカードであるsSSRが実装となりました。みんなが浴衣です。なんだか後ろで〇×ゲームらしきものをしている小糸が可愛らしいですね。また、この辺でほぼ確信に変わりますが、透のSSRカードは全体的に彩度が低く、色の少ないイラストになっています。どことなく意味深なものを感じられますね。そしてどこか緑っぽい場合が多く見られます。みどりの日が誕生日ってそういう…?

画像87

 コミュでは、どうやら透は学校の屋上でいつもの4人で集まっている中でUFOか何かが来ないかなと思って空をカメラで撮影しようとしているようです。小糸は太陽直接見たら目が焼けるよ!と注意を促しています。ちなみにこの会話の中で「宇宙人が攻めてきたらどうする」という話題になりますが、透は「大丈夫だって、国が助けてくれるから」という名言を放ちます。
 本当に相変わらずなんにも考えてなさそうな気の抜ける発言ですが、実はこの2020年の4月に、当時の防衛相である河野太郎氏がアメリカ国防省が未確認飛行物体の可能性のある映像を公開したことを受けて、会見にて「UFO遭遇時の対処の方針を決める」と発言し話題となっていました。シャニマスのライターは時事ネタも取り込める優秀なライター陣ですね。
 しかしながら、この侵略という想定に対し投げやりな透の発言から見るに、透にとっては宇宙人が危険な奴かどうかよりも宇宙人が本当にいるのかどうかのほうが重要であるように感じられます。国の偉い人がUFOを否定しなかったことに感謝していることからも、空の向こうに宇宙人がいて欲しいという希望が透にはあるのでしょう。
 これは透の「なにか未知のことが起きること」への期待のようなものが感じられ、【10個、光】での「昼の間は見えない光」や【途方もない午後】での「吹いてくる風」、「天塵」で雛菜の言っていた「何かが起こる気がした」などと重なる部分だと思います。やはり透はどこかに非日常を求めているという部分があって、それがアイドルをやる大きなモチベーションになっているのではないかなと思います。

画像88

 続くコミュでは、どうやらみんなで夏祭りに行ってイカ焼きを買って食べたようです。そこで「イカは宇宙人だったらしい」と透が言い出し、みんなで宇宙人呼んでみようと、公園に行ってミステリーサークルを書いています。このカードイラストはそういうことだったんですね。
 しかしやはりというべきか、UFOは来ません。どこかで花火の音がしただけです。ここで花火の音がするというのも「天塵」でのことを考えるとなかなか意味深ですが、透は諦め切れないようで、しばらく待って試行錯誤しています。一方でほかの3人はすっかり飽きてしまっているようで透を無視して遊んでいます。その状況を透は「もっと興味持たないと」と独り言ちました。
 残酷な話ですが、透は周りの3人が宇宙人に興味を持っていない、つまり未知の未来への興味が無いんだという風なことを感じてしまっているということです。キツい言い方になりますが透はやはりどこか「幼馴染との変わらぬ退屈な日常に飽きている」という部分が見て取れるように感じます。アイマスでやる人間関係じゃねぇだろこれ…ってなっちゃいます。
 さらに言うと、透に対しそれぞれ3人が様々に感情を抱いているのは「天塵」で示されているのに、今回みたいな状況になると「透がまたおかしなことやり始めた」といった雰囲気で結構適当に透のことをあしらうのも恐ろしい部分です。透は決して冗談で宇宙人の話をしていたわけでは無いはずで、ある意味で透の行動原理やアイドルをやり始めた根源的な欲求として非常に重要な部分なのに、3人は透のそういう部分に案外興味が無いのです。そういう意味で、【途方もない午後】で見えたような「誰も自分のことを理解してくれてない」という透の感覚が出てくるのだろうと思えます。

画像89

 後日、学校の屋上で透は小糸から、「未確認飛行物体の目撃情報があった」というニュースの話を聞かされましたが反応が薄く小糸がビビっています。小糸は最近UFOの話をしていた透に気を遣って透にその話をしたんだと思いますが、この女、浅倉透である。頑張れ小糸!!
 とはいえ反応が薄いだけで「本当に来たのか」と透は何かを感じているようですが、実際には人工衛星の可能性が濃厚であるという話を聞いてどこか残念そうです。怪奇現象に科学的な説明がつけられるとどこかガッカリするということはよくあることでしょう。
 それからすっかり現実に引き戻されてしまった透は円香と全然やってない宿題を二つに分割してお互い写そうという話になっています。小糸を見習ってくれ不良ども。その宿題の中で透のほうは「引かれる重力と遠心力が釣り合う場所に置くことで人工衛星は地球の周りを回る衛星軌道に乗る」という部分を読み上げます。重力に引かれてぐるぐると同じ場所を回り続ける人工衛星に対しモノローグで「人工衛星、あなたはUFOになりたいですか?それともそのままが良いですか?」と問います。
 遠心力というのは「今とは違う未来へ向かいたい気持ち」、重力は「今の変わらない幼馴染の関係や日常」、人工衛星は「浅倉透」の暗示でしょう。二つの力に板挟みにされ身動きが取れず同じ風景を見続けるだけ、今の浅倉透はそういう風に感じているのです。透の言う「長い夏休み」、その正体はこの状況を指しているように感じます。しかし一方で、宿題が山積みなことに重ね合わせ、その問いに答えが出ないことを「夏休みが短い」とも言っており、そう感じられるようになったことはきっと透の未来に大きな変化をもたらすのではないかと、そう思わせます。「よくない」と思えるのは成長だと【途方もない午後】で既に示されております。
 どこかへ向かいたい浅倉透と、その背中を追いかけて特別なモチベーションも無くアイドルになってしまった3人との間に大きな隔絶がある、そんな風に感じてしまう内容で、これを読んだときは「なんだこの歪な関係は…」と思ってしまいました。「天塵」では透の視点からのストーリーが絶無で、この幼馴染の関係の中でどう感じているのか全然わからなかったのですが、このカードで提示された透の内面は思っていたよりも日常に飽き飽きしていている、つまり「遠心力」に引かれていて、周りがそれを感じ取れているように見えないという恐ろしい状況でした。
 とはいえ一方で透がその「重力」にも引かれているということは、一方で今の幼馴染みの関係が不快、終わりにしたいという風に思っているとは言えません。例えば今回だって円香がいなければ宿題を半分こには出来なかったはずですし、「天塵」で司会者に幼馴染みを茶化された時の反応から見ても彼女らは透の紛れもない大切な友人たちのはずです。円香が「4人は一緒にいるのが当然」だと【カラカラカラ】のコミュで述べているところがある通り、良いとか悪いとかではなく、もはや単純に切って切れるような関係ではないのです。表には出てこないだけで、その2つの力の間で透は透なりに苦しんでいる部分があるのですね。一方俺はノクチル力(のくちるりょく)に引っ張られ過ぎてもう脳がボロボロです。助けてくれー!!

2020.7.22
 4コマ漫画「イカの宇宙人」、公開

 【ハウ・アー・UFO】浅倉透に伴い公開された4コマです。正直お前の突飛な発言が何よりも宇宙人じゃい!!って言いたくなるのは私だけですか?雛菜も透も宇宙人なんて食べたら絶対おなか壊すからやめてね。
 余談ですが、浅倉透の声優さんである和久井優さんも独特な感性による発言のせいで「宇宙」というとんでもないあだ名をつけられています。ふふっ、いるじゃん、宇宙人(クソデカ失礼)。

2020.8.21
 ゲーム内にノクチルの楽曲「あの花のように」が実装

 ノクチルの2曲目となる「あの花のように」が実装されました。「天塵」を履修したあなたならもうタイトルを見た瞬間に「花」が何を指すのかわかりますね?エモーショナルかよ。曲調は夏を思わせる爽やかなもので、「いつだって僕らは」とはまた異なったテイストのエモさがあります。
 ただ一つ気になる点があって、現状のシャニマスのユニット楽曲はユニットごとに作詞家がほぼ固定化されているという特徴があるのですが、ノクチルの「いつだって僕らは」秋浦智裕さん「あの花のように」はミリオンライブでの「プラリネ」や「アイル」でお馴染みのきみコさんとなり、楽曲ごとに作詞家が違います。果たしてこれは今回だけの特例なのか、それともノクチルはこの体制なのか、それは新たなCDシリーズでの情報待ちですがやはりノクチル、一味違います。

2020.9.16
 サマーアイドル2020にて浅倉透が優勝

 8月から開催されていたサマーアイドル2020というイベントで、シャニマス世界の架空商品にアイドルとキャッチコピーのセットを投稿してその出来栄えや投稿数を競うという内容のキャンペーンが行われていました。己の渾身のポエムを投稿するというプロデューサースピリットが試されるなかなか強烈なイベントでしたが、そのイベントにて、やはりとでもいうべきか浅倉透が優勝となりました。いろいろと良くも悪くも話題を生んだアイドルですが、2020年における透の影響力は相当なものであると感じられます。
 その上位アイドル3人によるイラストがこの日公開され、舌ペロ透によって何人も死にました。こいつもたまには普通に可愛いのです(失礼)。

2020.9.16
 GR@DATE WING 07、発売

画像93

 ノクチルの初CDが発売されました。クソウイルスのせいで発売が前後してしまい、ノクチル初期4ユニットより早く発売されました。
 「いつだって僕らは」「あの花のように」のフルバージョンと「シャイノグラフィ」のノクチルバージョン、そしてノクチルのドラマが収録されています。フル楽曲は買って聞いてね!!
 ドラマパートの方ではどうやらイベントの打ち上げをしているようで、いつものノクチルのノリが確認できます。CDでしかドラマパートは聞けないから買ってね!!!(ダイレクトマーケティング)

2020.9.21
 All right now!ガシャにて【閑話】樋口円香、実装

画像90

 sSRの円香が実装となりました。小糸の口に大量のポテトを詰め込み、さらにはナゲットまで食べさせようとしています。円香なんでお前小糸にはいつもそんな感じなんですか?と言いたいところですが小糸にいっぱい食べさせたいという感情はあまりにも理解ができすぎるため不問とします。俺にも小糸の餌付けやらせてくれ!

画像91

 コミュはというと、どうやらノクチルのみんなでどこかのフードコートで集まって学校の課題をしているようです。それを円香の視点から描いたコミュとなっており、このカードコミュでは円香の立ち絵が一切出てきません。かなりびっくりしました。完全に円香の一人称の主観として描かれており、基本的にプロデューサー視点、もしくは神の視点で物語を進めるアイマスではなかなか見られる表現ではありません。
 課題のほうは小糸以外全くまともにやっておらず、3人は飲み食いしながら駄弁っているだけです。しかし一人頑張る小糸のために、手を動かしながらでも食べれるようにと円香はたくさん食べ物を詰め込んだ、それがこのイラストです。やっぱり円香は優しいな!ちょっと方向性がアレだけど!!!
この状況を円香は「どうでもいいことしかしていない、やることやる生活に戻らなきゃ」と感じつつも、「なのに、無駄に満腹」という風にも感じています。
 このことは円香の怠惰さ、またある意味では状況を変えることへの踏み込めなさを示しているように感じられます。円香が変化をあまり望んでいないことは今までもよく描写されており、その怠惰な幼馴染の日常に満足感があることを示しています。前述のハウ・アー・UFOのコミュと真逆です。え、こわ。

画像92

 続くコミュでは、雛菜が欲しがっていたUFOキャッチャーの取りやすそうな位置にあった自分の欲しい景品が先の人に取られていたところが描写されます。それで残念そうにしている雛菜を見て円香は自分が取ると名乗りを上げ、実際に景品を取るのですが、それはとりあえず取れそうなものを取っただけで雛菜はそれ違うと言います。それに呆れつつもさらにその目的の景品獲得に挑もうとします。
 いや、やっぱ円香優しいな?と思います。円香と雛菜は普通に仲が悪いという風な説を唱える方もいますがそんなことはないと思います。喧嘩するほど仲がいいという言葉はこの二人のような関係を指すのです。変な気兼ねなく付き合える2人なんですね。
 しかし思うようにいかずゲーム機に文句を言ったりお互いに責任を押し付け合うなどしているうちに買い出しに行っていた透と小糸が帰ってきますが、二人を巻き込んでさらにUFOキャッチャーを続けます。このコミュでUFOキャッチャーが出てくるのも前の【ハウ・アー・UFO】でUFOがテーマだったことを考えると意味深いものも感じますね。
 そんなこんなの結局課題をやらずに遊んでいた彼女たちの一日を通して円香は「自分はやればなんでもそれなりにできる」「課題は簡単そうだった、でも面倒そうだった(だからやらなかった)」と振り返っています。そして「だからもう少しだけ休憩する」と感じています。一つ目のコミュもそうですが、円香は怠惰で変化を望みません。この「どうでもいいことしかしてない」日常に彼女は満足しているのです。しかしその一方で現状を変えようとする努力家の小糸を認めて気遣っていたり、「やることやらなきゃ」という風にも感じています。W.I.N.G.編や「天塵」での、言動と裏腹にアイドル活動を真面目に取り組んでいる姿を見ればそういう風に感じているのも納得のいくところです。
 つくづく円香は人生に対しアンビバレンツな感情を抱いている、面倒くさくて青臭い、ある意味では等身大の悩める現代的青少年という感じであるという風に思います。シャニマスの解像度の高さよ。刺さりすぎて大量出血です。

2020.9.22
 4コマ漫画「心の声」、公開

 【閑話】樋口円香に合わせた4コマです。小糸に詰め込むのみならず、要求されて透と雛菜にも餌付けしています。咄嗟に反応してしまってから内心でなんとも言えない表情をしていることからもやはりこの4人の関係がどれだけ深いものかが伺えます。やっぱり円香は優しいな!!!

2020.9.30
 「ゴシップ・キャンディ!-魔法の本とおかしな食べ物-」、開催

 ストレイライトとノクチルの合同ハロウィンイベントが開催されました。今までのハロウィンイベントの内容から考えれば既定路線となるイベントでした。相変わらずシャニPが異世界に飛ばされてそこで所属アイドルによく似たモンスターたちに出会ってなんやかんやあるというストーリーです。
 随分適当な紹介ですが、正直ハロウィンイベントのストーリーに関しては普通のキャラゲーにありがちなのっぺりとした内容で、それらしい要素はあるものの、厳しい言い方ですが悪い意味でシャニマスらしくないなと思えるような内容なのでここでは特に内容には触れません。たまにはそういうのあってもいいとは思うけどね!
 あと恒例としてノクチルのみんなの分のモンスター衣装が実装されました。みんな可愛いので見てみてね!

2020.9.30
 You are whitin my rangeガシャにて【パーティのやくそく】福丸小糸、実装

画像94

 ハロウィンに合わせてsSSR小糸が実装となりました。どうやらハロウィンの準備をしているようで、手作りで装飾を作っている様子です。円香にいたずらを仕掛けようとしている雛菜や作った蝙蝠らしきオブジェクトをドヤ顔で見せている小糸が可愛らしいですね。

画像95

 さて、コミュの方ではどうやらノクチルの4人がハロウィンに配信イベントを行う予定であることがわかります。そのことを受けて小糸は心底楽しみにしているようです。今までのコミュでまともに公園の遊具で遊んだことすら無かったということが示されている小糸が、まさかハロウィンパーティーなどというものを経験したことがあるはずも無く、すっかり小糸はハロウィン配信に向けてやる気満々で、珍しくリーダーシップを発揮して配信を成功させるべく陣頭指揮を執っています。
 とはいえ他の3人はいつも通りの緩いノリで、なんとなく小糸が空回りしてしまっているように見えます。小糸…頑張れ!!!

画像97

 続いて、小糸はどうやら事務所のキッチンを借りて初めてのお菓子作りに挑戦しているようです。ハロウィンパーティーが楽しみとはいえ、その成功のために慣れないお菓子作りにまで挑戦する福丸小糸というアイドル、本当に王道の努力系アイドルだと思います。偉い、小糸。
 努力を人に見られたくなかったか、それともサプライズであったか、どうやら小糸は独断でお菓子作りを始めたようですが、それを円香に見つかってしまいます。相も変わらず小糸の努力を早い段階で見つけるのは円香です。その小糸の姿を見た円香は「自分はコンビニでお菓子を買った、手作りお菓子は頑張り過ぎだ」という風に言います。
 かなり冷たい反応に思えますが、円香なりの気遣いでもあるというように思えます。そこまでの労力を払うべき仕事ではないという円香らしい立場なのですが、小糸は俄然やる気で円香相手でも譲りません。小糸は「やる」と決めたら普段からの弱気な様子からは想像もできないほどまっすぐな姿勢で物事に臨みます。
 ここで初めて作ったお菓子は失敗してしまったようで、味見を担当した円香も小糸のためを思ってか敢えて感想は述べずに立ち去りますが、それでも小糸は再チャレンジを決心します。小糸…頑張れ!!!小糸ならできる!!!

画像97

 さて配信当日、小糸はお菓子作りに無事成功し、たくさんのお菓子を用意することに成功しています。やったな小糸!
 だというのにまさかの透と雛菜はお菓子を持ってきませんでした。やくそくしたのに。これを受けた小糸はかなりガッカリしており、それでもいつもの強がり丸小糸として「こんなこともあろうかと沢山お菓子を作ってきたんだ!」と強がります。このときばかりは流石に温厚な283プロの観葉植物としてひっそりとアイドルたちを見守る的プレイしている私でも流石に透と雛菜に特大のゲンコツをくらわしてやろうかと思いました。どんだけ小糸がこの日を楽しみにしてたと思ってんだ!!!
 そうこうしているうちに配信が始まります。始まって早々に円香が用意されているお菓子は小糸が用意したものだアピールをします。優し~!そんな中事務所のインターホンが鳴り、透と雛菜が席を立ちます。仕事中だというのに自由ですね。そこで届いたものとは、透と雛菜が注文していたピザとアイスクリームでした。彼女らはなんにも準備していなかったわけでは無かったのです。ゲンコツしようとしてごめん!でも小糸にちゃんと伝えとけよ!!
 結果としてお菓子だけでなくいろいろなものが揃って賑やかなパーティーとなり、小糸はなんやかんやでみんなでハロウィンパーティーできたことが嬉しいようです。
 小糸のアイドル活動を通して新しいことができるということからくるモチベーションの高さや、それに対して他の3人があんまりやる気がない、なのになんやかんやで上手くまとまるというノクチルらしい関係性を描いた内容となっております。この経験が小糸にとって新たな一歩となっていますように。

2020.10.2
 4コマ漫画「一体どうなるのか!?」、公開

 【パーティのやくそく】福丸小糸に合わせて公開された4コマです。3コマ目で不穏なナレーションを雛菜が入れていますが、カードコミュ的には本当に小糸の予想外の展開が起きたわけですから、少なくとも雛菜はわかっていてそのことを小糸に伝えなかったのでしょうか?もし最初からピザやアイスクリームを注文していることを小糸に伝えたら小糸のやる気を削ぐかもしれないということを想定してそうしたのだとしたら雛菜はとんでもない策士です。でも雛菜ならそれくらいはやりかねないな…。まあ4コマ漫画のほうはパラレル的なものも多いので実際はわかりませんが…。

2020.10.12
 2.5周年Pカップ、開催

 前回のPカップから半年後、またも走る地獄、シャニマス労役場が開催されました。前回ほどではないにしろ、今回も透や円香が全体的に高いボーダーを叩き出しており、半年経過してもなお衰えない勢いを見せつけました。
 私の方はというと、この記事からは読み取れないかと思いますが、この時点でノクチルのみならずシャニ沼にどっぷりであり、誰で走るとか選べないほどのクソデカ感情を抱いているため、全員で走るというプロデューサーの鑑(自画自賛)のような思いつきをしてしまい、10日間にわたり精神が崩壊しそうになりながらプロデュース活動に勤しみました。

 一番オーバーランしてるのが小糸なのが小糸に対するクソデカ感情を隠し切れていなくて趣深いですね。円香の事どうこう言えません。
 ノクチル全然関係ない話ではありますが、私はこの程度の走りでもかなり体に不調を来したので3周年Pカップ走る人はマジで覚悟してください。生半可な覚悟では死にますよ。これは忠告です。

画像98

2020.10.19
 2.5周年キャンペーンのシャニマス夜コミュにてノクチルの当番回が始まる

 2.5周年の企画として、全ユニットのアイドルたちによる夜コミュをツイッター上で行うというキャンペーンが行われました。そしてノクチルの当番回が始まりましたが…。

(動画が表示されないので上記Twitterリンク先で確認して欲しいですが)まさかのマンモス君再登場です。しかもノクチル全員が知っているようです。極めつけに最後のノクチル全員による「氷河期氷河期~!」。
 いや、何???再登場によりさらに「マンモス君」の謎が深まってしまいました。とりあえず言いづらい言葉らしいということと、お決まりらしいキャッチフレーズがあるということから「スレイマンモスクの覚え違い説」はこの時点で否定され、シャニマス世界では有名な芸能人のネタか何かなのではないかという風に言われたりしています。シャニマスは我々がこういうところまで真面目に考察したくなるという性質を利用して我々を弄んでないですか?

2020.10.19
 特別編4コマ漫画「映画製作」、公開

 前述のキャンペーンに合わせて、ノクチル当番のタイミングで特別編の4コマ漫画が公開されました。当然この企画は全ユニット全アイドル分存在し、ギミー先生はこの企画のために4コマ漫画を30本も描いています。本当にお疲れ様です…。
 漫画のほうでは相も変わらず雛菜に無茶ぶりされて真に受ける小糸が描かれております。これ円香がほっといてたらマジで小糸が脚本書いてたかと思うとそれはそれで見てみたいですね。

2020.10.20
 特別編4コマ漫画「しあわせ~の連鎖」、公開

 続く特別編4コマ漫画の雛菜編です。ただただ楽しんでいる雛菜を映しただけのようですが、最後の雛菜の発言はこれぞ雛菜!といった感じで、やはり雛菜はアイドルに向いているなという風に感じさせます。俺も雛菜が楽しそうだとしあわせ~。

2020.10.21
 特別編4コマ漫画「どうかな…?」、公開

 続いて小糸編です。ギミー先生の描く小糸本当に可愛い。すこです。
 小糸は自分のレッスンの様子を撮ったようです。自身の努力している姿を撮影したというのは小糸の努力を恥じる姿勢からの成長を感じます。身内に見せてるだけだからできることなのかもしれないけど…。とはいえ雛菜の注目は透に向いてしまっています。頑張れ…小糸!!

2020.10.21
 AMBIENTガシャにて【ギンコ・ビローバ】樋口円香、実装

画像100

 このタイミングで円香の新pSSRが実装となりました。秋晴れの日、綺麗な黄色のイチョウの葉が舞う中に青空が水たまりに反射しているのが本当に美しいイラストです。円香のほうは何やら物憂げにも空を見上げ、なにやらエモーショナルを呼び起こしてきそうなコミュ内容ではないかと思わせます。きっといいコミュなんだろうな~!!(フラグ)

画像101

 コミュはいきなりシャニPどうした!?と言いたくなる始まりです。謎のクッキングな歌を歌いながら料理していたところをよりにもよって円香に見られます。その光景を見た円香は「暇そうだな」と辛辣な言葉を放ちますが、シャニPは一緒に仕事した料理番組のスタッフさんに教わったお菓子のレシピを試してその結果を報告するためにやっていたのだと話します。単なる社交辞令ではなく、一つ一つのやり取りに誠意を見せることが積み重ねとして大事なんだと円香に説きます。
 その言葉はあまり円香に響いてはいないような感じですが、それは円香が不誠実な人間であることを示すものではないと思います。むしろ円香が他者の期待に誠実過ぎるほどに誠実なのはこれまでのコミュでもわかります。とはいえ彼女は綺麗事感満載の美辞麗句を嫌うのでそう反応するのは仕方ありません。
 シャニPはさらにその作ったお菓子をみんなに食べて欲しいと言います。美味しくはないかもしれないから無理強いはしないけど、みんなを応援する気持ちは込めているからと。好青年の極み!しかし円香はそんな気持ちは見えないと言います。ほんとかよ?見たくないだけじゃないのかよ?その気持ちに応えられる自信がないからでしょうよ…。なんでそんなにも下を向いてばかりなんだ円香…。どうしても円香は自分のことを「誠実な人間」であるとはしたくないようです。

画像102

 次のコミュではどうやらシャニPと円香の二人が電車で移動中のようですが、その車両にいた女子高生がかつて円香と同じクラスで、アイドルデビューした円香について会話しています。そこで話されていた内容は、「見た目は可愛らしいからアイドルやってみたらと話したことがある、でもその時は『誰かに媚びるようなことはしたくない』と言っていた」「でも実際はアイドルになった、スカウトされてその気になったのかも」「もしかしたら自分で応募したのかも、見た目の良いやつのやることは真似できない」などと無茶苦茶言いたい放題です。シャニマスに出てくるモブどもほんとなんなんだよ。心底イライラくる奴が多すぎるだろ…たかだか昔一緒のクラスだっただけで円香の何が分かんだよ!(後方理解者面)
 これを聞いていたシャニPは車両を変えようとしますが、円香はそれをチェインを通して「余計な気遣い」とメッセージして止めます。「噂くらい誰でもされる、気にするだけ無駄」と円香は言いますが、シャニPは「『気にしない』のと『気になる』のは違う」「少なくとも俺は嫌な気持ちになった」と言って円香を気遣ってみせます。しかし円香は「私の代弁者になろうとしないで」とドギツい返事をしてきます。死ぬわ!!なんだその返事!!!
 しかし、何度も言いますが円香はとても周りを気遣うし優しいです。円香がシャニPの優しさを拒絶するのは円香が横暴な人間だからではなく、シャニPに余計な気遣いをしてほしくないと強がってしまう部分があるからだと思います。だとしてももう少し柔らかくその姿勢を示してくれ…俺たちのシャニPが大変だから…。

画像103

 続くコミュでは、円香とシャニPは映画の試写会か何かに呼ばれたのか、一緒に映画を見て、その後二人で喫茶店にいるようです。円香はどこかボーっとしているようですが、そうこうしている間に同じ場にいた映画関係者から声をかけられ、その感想を円香は述べます。その内容は普段の言動からは想像もできないほどに丁寧できれいな誉め言葉に満ち溢れたようなもので、本当に円香が心から思っていたような感想とは疑いたくなる言葉です。それを気に入られたのか、その関係者は二人と相席し、しばらく歓談したようです。
 帰り際、円香に映画を楽しめていたのなら良かったと言うシャニPに対し、「あの映画はひとりで見たかった、感想を誰かに伝えるための言葉にしたくなどなかった」と円香は言いました。冒頭でボーっとしていたのはそのためでしょう。一人だけの思考の中で映画のことを思い返していたのです。
 このことからもきっと円香は映画を本当に楽しめていたのですが、それは誰かに求められて楽しいと感じたわけではわけではなかった、なのに第三者である映画関係者に感想を求められた時に「それをわかりやすく求められるような言葉にして伝えてしまった」ということが示され、一つ目のコミュでの他人からのアクションに誠意をもって応えるようとするシャニPを否定したこととは矛盾してしまっています。この辺の言動の釣り合わなさが円香の危うさだと思います。

画像104

 最後のコミュでは、同じオーディションを受ける他のアイドルが心が折れかかっているところを円香が励ましているところからです。マジで何度でも言いますが円香は本当に優しいんです。ここでは「願いは叶う」「願い続けることが大事」と声をかけているようですが、我々プレイヤーから見た円香からは有り得ないような発言です。まさに彼女の嫌う綺麗事です。
 その現場をシャニPのに見られていた円香は「自分は優しくない、綺麗事を言ってその気にさせただけ」と言います。シャニPに対する皮肉にも感じられますね。一つ目のコミュで微妙に恥ずかしい姿を見られたシャニPと同じような状況ですが、円香はやはりその「自分は誠実ではない」というスタンスを変えません。シャニPが昼休みにお菓子作りをしていたことを円香に見られた際に自身の誠実さを言い訳としたことと同じように。
 しかしこの円香がそんな訳ありません。じゃあ今まで見てきた頑張る小糸に対してかけてきた言葉は?「天塵」で自信を失いながらも初仕事に向けて頑張る小糸のことを思い出しながらシャニPに対して「なにかあったら許さない」と言ったのは優しさではないのでしょうか?違いますよね。
 円香は弱っている人間に深く寄り添い同情してあげられる、そしてどこまでも誠実で真面目、そういう子だと思います。一方で自分がそんな人間であるということとしてしまうと、それに応じた重い期待がのしかかってしまうということを恐れて逃げ回っているという弱い少女である部分もあります。そのことはW.I.N.G.編の部分でも述べている通りです。

画像105

 さてTrueコミュですが、どうやらシャニPは283プロのある商店街でたくさんもらいものをしたようで、そのことについてまたドギツい皮肉を言われていますがもう割と慣れたようで逆に皮肉で返します。アイドルたちだけじゃなくてシャニPも商店街の方々にも愛されているのはあの凄まじい好青年っぷりを考えれば納得のいくところです。
 そのある意味で「八方美人」なシャニPの振る舞いに対して円香は「欠点も愛嬌にして良い人であろうとする、そういうのは信用ならない」と言います。しかしその円香のシャニPに対する評価は買い被り過ぎで、実際には「身の丈に合わないところまで『プロデューサー』でありたいだけ、スーツを脱いだらただの優秀でもない人間」である、だからただ頑張っているだけとシャニPは言います。それを受けた円香は―――。

画像106

あなたは
愚直で
スーツも
折り目正しく
美しい
ああ
ぐちゃぐちゃに引き裂かれてしまえばいいのに

画像107

ちょっと待てい!!!!!(相席食堂)
なんやこの女ァ!!!!

 私はこのTrueコミュを見たとき、そして最後の言葉が放たれた時、何も言葉が出ませんでした。まさに絶句です。頭の中ぐちゃぐちゃに引き裂かれてます。助けてくれ。これアイドルマスターだぞ!一応にもプレイヤーのアバターとしての役割を果たす存在に対してこんな言葉が出てくることある!?
 やはり円香はどうしてもシャニPの生き方を認められません。しかしなぜここまで円香は嫌悪感を感じずにはいられないんだろう。そう考えたときに、私は一つの結論に至りました。これを円香に言ったら死ぬほど怒られそうですが…。
 「容姿は整い、端麗。真面目で誠実、目的・目標のために努力し、他者からの期待にはしっかりと応えようとする。少しだけユニークで、弱い者、苦しんでいる者に対して優しく勇気を与える。己の欠点や弱い部分を隠そうとして、余裕ぶって立ち回る」、シャニPです。誰かに似てるって思いませんか?この記事の中で似たように評してきた人物がいます。

樋口円香はシャニPに似ています。

 そう思い至ってしまったとき、何をもうどう言葉にしてよいやらと言った感じでした。でもどう考えてもそうなんです。見た目が小綺麗で人受けは良いことも、他者や物事に誠実に期待に応えようとすることも、自身の受けた嫌な気持ちを抱え込んで気丈に振る舞うことも、見た映画に感動して「言葉にできない・したくない美しさ」を感じていたことも、心の折れそうな者に優しく寄り添って自身のことのように気遣うことも。なんならそのユニークさもです。円香はそのユニークさを主に皮肉に活かしていますが。
 しかし、円香とシャニPはその「生き方」の面で全く反対を向いてしまっています。その真摯な姿勢が実を結ぶと信じるシャニPと、そういう姿勢はただの偽り、虚無であるとする円香はどうしたって反りが合いません。そんな円香が「シャニPのほうが正しい」と認めてしまえば、彼女は今までの自分の人生をどれほど否定することとなるでしょうか。円香はシャニPの生き方を否定しなければ自身の今までの在り方を保てないのではないでしょうか。なんだこれは?これがアイドルマスターの名を冠するゲームで出てきていいアイドルとプロデューサーの関係なのか…?シャニマス本当に怖いですね。死ぬ。
 さて、このカードのタイトルは【ギンコ・ビローバ】です。調べてみると、ドイツ語で「銀杏の葉」を意味し、かの「神曲」などでお馴染みのドイツの詩人ゲーテによる同名の詩が存在することが分かります。どうやら結婚式などでも使われる愛の詩として使われることもあるようです。その内容はこのコミュと結びつけた場合みなさんどう受け取るでしょう?私はとってもユニークで洒落の効いた皮肉だなと、そう思いました。本当にシャニマスらしいですよね。

『銀杏の葉~Gingo Biloba』

これは はるばると東洋から
わたしの庭に移された木の葉です
この葉には 賢者の心をよろこばせる
ふかい意味がふくまれています

これはもともと一枚の葉が
裂かれて二枚になったのでしょうか
それとも二枚の葉が相手を見つけて
一枚になったのでしょうか

こうした問いに答えられる
ほんとうの意味がどうやらわかってきました
わたしの歌を読んであなたはお気づきになりませんか
わたしも一枚でありながら あなたとむすばれた二枚の葉であることが

『ゲーテ詩集』より(訳・井上正蔵、旺文社文庫, 1968)

2020.10.21
 コラボフェスにて【かっ飛ばし党の逆襲】浅倉透、実装

画像109

 さて、私が円香に脳を破壊されていると同時に、透のイベントsSRが実装されています。相変わらず緑色をした透と赤い円香が何やらバッティングセンターにいるのが分かります。赤い狐と緑の狸かこいつら?
 さらに「天塵」でも透は野球をしていたみたいな描写があるので、なんでか透には野球のイメージがあります。よくわかんねー女。

画像108

 コミュでは透と円香がダンスの自主レッスンをしているところから始まります。しかし透のほうはあんまり上手くいっていないようで、あきらめてバッティングセンターに行くことにします。なんでだよ。ストレス発散の方法が男性的すぎる。円香もついて行きます。なんやかんや付き合いがいいよなあ円香。
 しかしバッティングのほうも上手くいきません。なぜいきなりバッティングセンターに来たのかと問う円香に対し、「ドラマで見た」と透は言います。どうやら行き詰った主人公たちがバッティングセンターでうまいことかっ飛ばすことで上手く事が運ぶというドラマを見てそれに影響されたらしいです。案外透はそういう俗っぽいものに影響されやすいです。
 そうこう話している内に結局全然打てないまま終わってしまい、透は「ダンスの方を完璧に決めてからまた来る、そしたら打てる」と言います。完全に手段と目的が倒錯しています。これはノクチル全体に言える「アイドルは目的ではなくみんなでいるための手段」であるという部分と重なります。その発言に対し円香はしっかり突っ込みを入れていますが、透は「最終的にかっとんだらどっちでも一緒」と言いました。これもノクチルらしい「王道を外れても着地点が自分たち的にオッケーならそれでいい」というアイマス文脈外しの不良どもらしい部分ですね。
 ちなみにこのコミュのタイトルは「おもいこんだら」です。内容と関連するタイトルではあるんですが、多分このネタはシャニマスやってる世代にはほとんど通じてないよ!!お~も~いコンダ~ラ~。

画像110

 思いっきり手段と目的が逆転した透はものすごいやる気です。小糸や雛菜は経緯を知らないのでちょっと困惑気味です。普通のレッスンはおろか、学校の昼休みにも小糸や雛菜を巻き込みながら自主レッスンしており、果てにはいつも通り透の部屋に集まりつつも透だけ自主レッスンしています。最終的には周りのメンバーもちょっと付き合うのに飽きています。お前ら本当にそういうとこあるよな。
 しかしやる気を出した透のおかげか、みんなのレベルまで上がっており、トレーナーさんにべた褒めされた透は満足したのか、バッティングセンターにかっ飛ばしに行きます。もう好きにせい!
 このコミュでは、ある意味では透のカリスマ性というか、やはり透が走り出すとそのモチベーションの根源が何であれ、みんなついてきて新たなレベルに進むのです。この辺はノクチルの強みと言える部分でもあり、ノクチル的なスタンスの再確認とも言えるコミュの内容でした。

2020.10.21
 対ノクチルのホーム会話が全アイドルに実装

 さて、とうとう全アイドルがノクチルに対してのホーム会話がじっそうされるという状況になりました。いきなり大量の越境が実装されたため、ノクチルファンもてんやわんやだったと思いますが、ここでまたしても事件がおきます。そう、浅倉透ですって言うかと思いましたか?違います。

福丸小糸です。

 「アジェンダ283」の時、あのいかにも無害そうな真乃相手にもビビり散らかしていたことから「もしかして…」と思われていましたが、とうとうこの日、小糸はノクチルのメンバー以外とはまともに会話もできないという苦し過ぎる事実が判明します。小糸…。
 福丸小糸は「内弁慶な性格」という風に考えられており、その一説として「実はノクチルの中であたふたしているのが既に内弁慶モード説」という説があったのですが、その「内」であるノクチルの中でも結構イジられて面白がられていたり、よく遠慮して縮こまっているような状況だったためそれは無理があるのでは?という風にも言われていましたが、このホーム会話実装によりその説が正しかった事が判明してしまいました。小糸ぉ…。
 しかしこの小糸のコミュ障っぷりを考えると、1人だけ違う中学校であった小糸の中学生時代がどれほど暗黒時代であったか、それゆえに勉強を頑張ってみんなと同じ高校に行こうとして頑張ったのに、今度は透と円香がアイドルを始めてしまって違う世界に行ってしまったという時の小糸の心情はもはや計り知れない程に苦しいです。だからこそこんなにも真面目な優等生でありながら書類を偽造してまでアイドルになるという選択をしてしまったのですね。小糸…誰か小糸を救ってくれ…。

2020.10.22
 4コマ漫画「電車にて」、公開

 【ギンコ・ビローバ】樋口円香に関連する4コマ漫画です。2番目のコミュでどこの誰ともわからない連中から好き放題言われていたことのコミュで、隣にシャニPではなく透がいたという状況での4コマ漫画です。
 ここで透がその心無い言葉を聞いていて円香を心配して発言したようには見えませんが、その妙に間の抜けた立ち振る舞いによって円香が救われていることも少なからずあるのだろうと、そう思わせます。透と円香の関係は一口には説明できない、とても深い関係なのでしょう。

2020.10.22
 特別編4コマ漫画「気になる撮れ高」、公開

 続いては円香編です。小糸が撮ってあげるというのにいつも通りスマホをいじるだけ、気を遣った小糸がコメントを入れるも「静かにしろ」と一蹴。まあいつも通りと言えばそうなんですけど、みんなもう少し小糸に優しくしてあげて…。頑張れ!!小糸頑張ってくれ!!!

2020.10.23
 特別編4コマ漫画「撮れた?」、公開

 最後は透編です。空気を撮るという適当極まりないことをして円香から突っ込まれていますがお前も小糸に撮ってもらってる中スマホいじってただけやろがい!透のほうは自分や仲間を撮るという選択肢が一切無いあたりはいかにも透らしいですね。意識低い系アイドルどもめ。小糸を見習ってくれ!

2020.10.27
 樋口円香、誕生日

 円香の誕生日が訪れました。相も変わらず冷たい反応です。ある意味祝い甲斐があるな!
 さて、アイマスでありがちな誕生日考察をすると、10/27はアメリカでは「テディベア・デー」らしいです。この段階ではよくわかりませんが、今後の実装カードでもしかしたら関係があるのかも?と思えるコミュがあります。
 また、日本では「文字・活字文化の日」という日でもあるらしいです。表向きの良い、型に嵌った社交辞令や美辞麗句を軽々しく言葉にすることを嫌う円香の誕生日がそんな日だなんて、なんだか意味を感じてしまいます。まさかそんなとこまで考えて設定作ってる?偶然?考え過ぎ??どうだろ。ふふ、わからん。

2020.10.31
 MISIC DAWN1日目、開催

画像111

 かねてより告知されていたシャイニーカラーズ初の完全無観客配信ライブが始まりました。ライブというより音楽番組という体でやっていたんですが、夕方あたりに放送、MCが二人居る、これMUSIC FAIRじゃ…?まあいいか!
 クソウイルスのせいで2ndライブがお流れになり、そこで予定されていたノクチルの初パフォーマンスも当然流れてしまっていたので、ここがノクチルにとっての初のパフォーマンスとなりました。おそらくアイマスブランド内で初の完全無観客配信ライブとなり、MCには俺たちの高山P天井努役津田健次郎さんが配置され、配信用の撮影にドローンを使ったり、誰もいない客席は謎の技術でピカピカ光る演出があったりと、手探りながらもより良いものを作ろうとした姿勢が見えます。そういう姿勢は本当にありがたいですよね。

 ライブのほうはまずユニットごとに2曲ずつ披露して、そこからインタビューパート挟んで次のユニットという感じで進行しており、無観客で見るには惜しいくらいちゃんとライブとして演出されていました。オタクたちの怒号みたいな歓声やコールが聞こえないのが俺は寂しいよ…。
 となるとノクチルの出番はいつだということになるのですが、まさかのユニットパートのトリでした。あのイルミネーションスターズを差し置いてです。やはりノクチルの影響力は大きなものであったのでしょう。しかし新参ユニットをトリに持ってくるというのは制作側にも演者側にも大きなプレッシャーがかかると思いますが果たして…。

死んだ(ガチ)

 オタクはすぐ死にます。こちらの森キノコ先生のレポ漫画にすべて描いてありますが、本当にとんでもない演出でした。もしかしたら「いつだって僕らは」のフルバージョンを聴いている方には通じる幻覚かもしれませんが、この曲は2サビを飛ばしてDメロにいく構成で、走り出したらもう待ってはいられないノクチルの姿勢を示しているように思えていました。その脳内で見えていた幻覚そのものが画面に映し出されてもう涙腺ボロボロでした。さらにはドローン撮影を活かし、観客席の方を向かずにお互いの顔を見ながら歌うというノクチルらしい閉塞的でありながらエモい関係性を演出します。殺す気かよ。
 しかし本当に殺されたのは落ちサビ・大サビの部分です。4人の周りに煌めくシャボン玉が舞い始め、先述のセンターステージに走り出した演出から考えても海の中に飛び込んだ時の気泡の表現だったのでしょう。そんな中映し出される客席。全く光がありません。誰もいないのです。
 無観客なんだから当たり前だろと思われるかもしれませんが、最初に述べたとおり、客席がピカピカ光るオタクの光る棒再現装置が取り付けられていて、ライブの雰囲気を盛り上げていたのに、この時は一つも光っていなかったのです。まさに誰も観客のいない彼女たちの初ライブ、「天塵」です。
 もう涙腺ぐちゃぐちゃです。2ndライブでが延期で最初のパフォーマンスができなかった。今度は観客を入れられない会場。その条件で初パフォーマンス。観客のいない中しっかりとライブをこなす4人。この流れはあまりにも完璧で、おかしな話なんですが、このノクチルに関してはむしろこのパンデミックすらも味方してしまったのかと思えるほどの演出となりました。やっぱりすげぇよノクチルは。

2020.11.1
 MUSIC DAWN2日目、開催

画像111

 昨日に引き続き、2日目の開催です。今度はMCが俺たちの高山P七草はづき役山村響さんとなり、また一味違うライブとなりました。ここ数年のアイマスのライブは日程が違えばセトリも演出も違うというのが当然になってきていてびっくりしちゃいますよね。作る側も大変でしょうに…。まあそのせいで見逃したくない気持ちばかり強くなるんですけど!

 ライブのほうは構成としては1日目と同じようなものですが、ノクチル以外のユニットは既に持ち曲が4曲以上あるため、1日目とは違う曲でパフォーマンスしました。声優さんたちも大変です。
 しかしノクチルはというとまだ2曲しか持ち曲が無いため、昨日と同じく「いつだって僕らは」「あの花のように」をやることはまず間違いありませんでした。しかし、一つだけ違う条件がありました。
 この日は、樋口円香役の土屋李央さんが不在となり、3人だけでのノクチルのパフォーマンスでした。とはいえアイマスのライブでユニットメンバーが全員揃わないなんてことは普通ですし、逆にそれを逆手にとってクソエモ演出にしてきたりするので悲観すべきことではありません。きっといつもの幼馴染パワーで樋口円香の不在を埋めるに違いないぜ!具体的には円香のパートをみんなで歌うとか!!そんな気がしていたんですけどね。

死んだ(二度目)

 正気かよこの演出!またも森キノコ先生のレポ漫画を拝借しましたが、本当にイカれてやがる演出であります。「メンバーが不在ならそこは埋めない」。見たことありませんこんな演出。
 「任された」などと言いながら全然やらないというのもなんだかおもしろいですが、彼女たちはあのノクチルです。自分たちのことをコケにした番組に生配信中でも思い切り中指を突き立てたあのノクチルなら、幼少のころからずっと一緒に生きてきた彼女たちなら。これくらいします。そう思わせる演出です。恐ろしく鋭い解釈一致。俺でなくても死んでたね。
 マジでこいつらひと味どころじゃなく違います。ゲーム内ストーリーどころか、リアルライブでも従来のアイドルマスターの常識では考えられない演出をぶつけてきました。あまりにも強く殴りつけてくるこの不良どもの手によってもう私の脳はボロボロ、買い替えが必要です。
 ともあれ、ノクチルとしての初パフォーマンスは大成功だったと思います。でも今度は、いつかは、絶対にちゃんと声援を届けてあげたい。当然ノクチルだけじゃなくて、283プロのみんなに。そういう風にも感じたライブでした。くたばれ567プロ!!!

2020.11.10
 ファン感謝祭ノクチル編、実装

 MUSIC DAWNにて告知されていたノクチルのファン感謝祭編が追加となりました。ファン感謝祭はユニットごとの物語が主な部分となるので、実質イベントストーリーみたいなものです。とはいえこいつら「天塵」の事件のせいでちょっと干され気味だったけど「ファン感謝祭」とか大丈夫か…?まあシャニPが頑張って何とかしてくれたでしょう。ありがとう俺たちのシャニP!

画像112

 まず全体のコミュから見ていきます。ノクチルのみんなが事務所に集まりおやつを食べています。どうやらファン感謝祭の打ち合わせのため集合をかけられたようです。相変わらずのゆるりとした雰囲気ですがなんだか小糸はそわそわしています。何かを手に持っているようですが隠してしまいます。
 仕切り直した小糸の話によるとファン感謝祭はユニットみんなで考え合ってステージを作り上げるということらしいと話します。小糸はやる気を見せていますが、円香は「そういうのはプロに任せて自分たちはレッスンを頑張った方が良いものになるんじゃない?」と相も変わらず冷静で真面目です。小糸はそれを一応は肯定しつつも何か思うところがありそうですが、言い出せません。そうこうしているうちにシャニPがやってきて打ち合わせが始まったようです。

画像113

 どうやら感謝祭に向けたレッスンが始まったようですが、なかなか厳しい出来のようで、「このままじゃ感謝は伝わらない」とトレーナーさんに言われてしまいます。その言葉に小糸は思うところがあるようですが、他の3人はあんまりです。相変わらずですね。
 そこでシャニPがやってきて、あまり感謝祭のコンセプトの意見出しがあんまり進んでないらしいノクチルの4人のために仮の演出案などを持ってきますが、シャニPとしては「みんなで考えて作り上げたものにしたい」という風に言います。そこで小糸はやはり何か言いかけますが言い止まってしまいます。円香はそれに気づいているようですがあまり深く踏み込みません。小糸…。そのままみんな解散していきます。
 みんなは相変わらずのように見えますが、小糸はいつもよりもさらに自主レッスンに打ち込み、円香は何か思案し、雛菜はファミレスで何かしていて、透はバス停で意味ありげにため息をついています。彼女たちは彼女たちなりに感謝祭について考えているということを示しているようです。

画像114

 小糸はずっとレッスンを頑張っていますが、雛菜と比較して自分はうまくできないと劣等感を募らせてしまっています。そこに当の雛菜がやってきて小糸の事を雛菜なりに労って見せます。
 そこで雛菜は「小糸は感謝祭でどうしたい?」と問います。きっと雛菜のことだからきっと小糸が何か考えてるけど言い出せてないことに気づいていたのでしょう。雛菜は「火を噴いたり、上から飴を降らしたい」などなどと自分はこうしたいと己の考えを述べます。小糸はそれに対し「それは雛菜がやりたいだけ、もっとファンのためになることのほうが良いのでは」と反応します。雛菜は「自分が楽しくなって、それ見てみんなも楽しければそれでいいんじゃないかな」と言いつつも、小糸のその反応を見た上で再度「小糸はどうしたい?」と雛菜は問います。
 そこまで持っていかれた小糸は苦しげでしたが、きっとここで自分の思っていたことを雛菜とやり取りによって「自分には実現したいアイデアがある」と自覚したと思います。たぶんここまで雛菜は狙ってやったのかなと感じます。伊達に長いこと一緒に居るわけではないですね。小糸の扱いをよくわかっています。
 この部屋の外で、遅れてきていた透と円香はこのやり取りをドア越しにひっそりと聞いていました。そこで円香は「透はどうしたい?」と聞いていますが相変わらずぼんやりした返事で、実質的にこの時点でみんな小糸にやりたいと思っていた気持ちに乗ることを選択したように思います。彼女たちに明確な言葉は必要ありません。だって幼馴染だから。「天塵」でもそうでしたよね。

画像115

 次のコミュでは雛菜を除いた3人が自主レッスンをしており、かなりいい仕上がりになったようです。小糸は最初のほうのコミュで「やりたいことをやるためにはまずパフォーマンスのほうを仕上げなければ」とプレッシャーを感じていたんだと思いますが、きっと自分のやりたいことを実現したいと心の中で決まったことでむしろパフォーマンスは仕上がり始めたんだと思います。小糸はこうして少しずつ成長しています。それだけで泣けます。
 解散したのち円香は浅倉家の夕食がカレーとラッシーと透に聞かされて浅倉家で夕食をとることにしています。人んちの献立次第で行くかどうか決めるって相当深い関係じゃないと許されんぞ樋口。カレー好きなの?本当に仲良しですね。しかしそこでなぜか浅倉家からレッスンには居なかった雛菜が出てきます。どうやら透の部屋にいたようですね。ほんとに出入り自由だな浅倉家。そこで円香は散らかった部屋から雛菜のものらしきノートを発見します。その中身を見て二人は何かを察していますね。

画像116

 最終的にみんなのパフォーマンスはトレーナーさんに認められるような十分な水準に達したようです。そこでノクチルのみんなはトレーナーさんに「みんな挨拶だけはバラバラ、でもそれがあなたたちらしい」と言われます。全くその通りです。彼女たちは幼馴染だから似通っているとかそういう繋がり方をしていませんよね。みんな全く違った性格や立ち振る舞いなのに、どこかで確実に絶対に切り離せないほど深く繋がっている。それはきっと「幼馴染らしい」と言えるし、やはりそれこそが「幼馴染アイドル」ノクチルの最大の強みです。
 そこにシャニPが現れ、感謝祭のステージコンセプトが決まったと伝えます。それは雛菜がやりたいと思っていた形に近いものでした。これは前のコミュで透の部屋に忘れていた雛菜のノートを元にしたからです。透と円香は雛菜が透の部屋に置いていったノートをシャニPに渡していたのです。そのノートには雛菜の思いついたアイデアが記されており、雛菜がファミレスで何かしていたのもこれを書いていたのだと思われます。雛菜は雛菜なりにステージを作り上げるためのアイデア出しをしていたのです。
 ところで、これ本当の意味で「アイデアノート」です。ここにきてファン感謝祭のゲームシステムのコンセプトを回収するのか…。遅くない?

画像170


 このノートを雛菜がわざと透の部屋に忘れていったのかということはたびたび議論されます。たしかに雛菜ならそれくらいのことはするかもしれません。しかし、これまでもこの記事で述べてきたように、その雰囲気とは裏腹に雛菜はかなり他人の事情を汲み取って行動します。
 雛菜は自身の「やりたいことをやるのが一番いい」という論を展開することで小糸から「それだけじゃだめだ」という考えを引き出し、結果として小糸の本心を自覚させています。雛菜はその小糸の考えをないがしろにするような子ではありません。きっと小糸のことを考えて自分のやりたいことは自分の中に留めておこうとしておいたのではないでしょうか。
 【HAPPY-!NG】でも雛菜は「自分の書きたいように進路調査票を書いたらきっと怒られる」という風に言っていましたよね。雛菜は自分の考えが間違ってそうと思った時は自分を主張しなくなり、「他者に対しアクションをしない」という選択を取りがちです。そうして透の部屋にいるうちにノートを忘れていってしまったのかもしれません。もしわざと忘れていったとしても、それがシャニPの手に渡って自身のアイデアが現実のもとなるというところまでは想定していなかったんじゃないかと思います。
 しかしそこには雛菜の思いも汲み取ってやれる頼れる先輩たちだっているのです。透と円香ですね。ひとつ前の雛菜のノートが二人に発見されるコミュ、タイトルは「願望」です。
 これは小糸の「ファンのために自身の考えていることをやりたい」事でもあり、同時に雛菜の「やりたいようにやって自分もみんなも楽しくなる」という主張をも指して「願望」だと表現しているように思います。小糸も雛菜も違うベクトルながら同じく「願い」を持っています。そしてその「願い」を上級生の二人が雛菜の分も上手いこと汲み取って動いてくれました。だって小糸と雛菜のやり取りを二人はこっそり聞いていたから。透も円香も二人なりに考えて行動しています。偉いね。
 ノクチルはみんなバラバラなのにいざというときは綺麗に団結する、トレーナーさんに言われた通りですよね。だからみんなのそれぞれのいろんなものに対する気遣いが上手いこと絡み合って綺麗な形になった、そう考える方が何だか好きです。雛菜がいくら賢く聡明だからといって、己の願望をそれとなく通すために計算高くわざとノートを忘れていったなんて、そんな狡猾とも言えそうな行動までするとは思えません。これはそう思いたい個人的な願望でもありますけどね!だってみんなのことが好きだから!!

画像117

 そしてとうとう小糸は自身のアイデアをシャニPに告げます。その内容は「ファンのために手紙を書いたからそれを読み上げたい」ということでした。本当にド王道アイドルだな小糸!泣いちゃいそう。当然誰も反対なんてしません。素晴らしいアイデアだもの。雛菜は「やりたいことがあるなら早く言えばよかったのに」と言いますが、アイデアノートまで作っておいてその要望を通そうとしなかった(ように思える)雛菜がそれを言うのか、とも思います。自分の考えなんて通らないと思ったか、はたまた小糸に遠慮したかはわかりませんが、小糸のアイデアと同じように雛菜のアイデアも形になったのは本当に良かったなと思います。
 そしてみんなは手紙がどんな内容なのか聞きたいと、小糸の書いた手紙を読み上げるのを聞いたようです。シャニPはこの様子を見て一安心していたようです。
 まあみんな最初は「いつも通り」あんまりやる気に見えてなかったので当然ですね。でもノクチルの「いつも通り」は、「アイドルをやっていても意識が低くてアイドルらしくない」という一方で、「意識なんか高くなくたっていつも通りやってれば最後は上手くまとまる」ということでもあるんじゃないかなと思います。そういう感じの描写にはこれまでも触れてきましたね。

画像118

 さて、感謝祭を終えたノクチル。小糸はしっかりと手紙を読み上げました。そこで小糸は「アイドルになって誰かの居場所になりたいって願った、でも逆にファンのみんなに居場所を作ってもらった気がして、やっと本当に自分もアイドルやってよかったんだって思えた」と述べました。もしこの場に俺がいたら足元に水たまりできるくらい泣いてます。小糸だってアイドルやっていいに決まってんだろ!!ヴぁーーー小糸ーーー!!
 そして手紙を読み終わった小糸は、これからも透と円香と雛菜と一緒に、そしてファンのみんなと一緒に、これからも頑張っていきたいと括りました。小糸は自分の背中を押してくれたファンへの感謝を込めて手紙を書きましたが、きっとこの言葉には周りの3人への感謝も込められているでしょう。ノクチルの感謝祭ストーリーは全ユニットの中で一番感謝祭してます。干され気味だった不良アイドルどもがよぉ…(感涙)。

画像119

 感謝祭を終えたノクチルは本当に相も変わらずみんな透の部屋にいます。事務所にいる描写より多いだろこれ。雛菜は感謝祭が終わってしまったことが残念なようで、小糸は出来に結構満足しているようです。
 そこで円香に感想を求められた透は「ファンのみんなは何が見えてたかな」「自分のほうが見ていたって感じだったから」と言います。浅倉式発話法なので圧倒的に説明不足ですが、おそらくこれは「ファンのために最高の景色を見せたんじゃなくて、自分がファンのみんなに最高の景色を見せてもらった」という風に感じているんだと思います。
 それを一瞬で察した円香は「見てるぶん、見られてたんじゃない」と答えてあげました。自分たちが見ていたように、ファンのみんなも同じ景色を見ていたんだと。よく発言の意図を汲み取れたな!流石ずっと一緒に過ごしてきただけのことはあります。
 この透の感覚は小糸の手紙での「ファンのみんなにアイドルとして認めてもらった」という感覚に程近く、透にも小糸のような「ファンたちの存在によって自分たちがいる」といったようなアイドルらしい感覚があるのかなと思えます。きっとファンの存在を有難く思っているのは小糸だけではないですから。
 こうしてノクチルのファン感謝祭は大成功に終わりました。「天塵」に引き続き小糸が大活躍して俺はとっても嬉しいよ…。

2020.11.10
 ファン感謝祭透編、実装

画像120

 ここからは個別のコミュも見ていきます。そりゃ長くもなるって思いませんか?その通りです。
 感謝祭編は主にユニット単位の物語が展開されますが、アイドルごとのオープニングやエンディング、リハや本番前に個別コミュもあります。
透編のオープニングでは、どうやら会議に遅刻しそうで走っているシャニPに透が出くわしたところ、なぜか透が走るシャニPについて行くという始まりでした。
 シャニPは困惑していて、理由を問いますが、透は「わからない、シャニPが走るからついて行く」と言いました。行為だけ見るとわけわからん女ですが、「透が走り出したからみんなついてきた」というノクチルの関係に先んじて、透のことを走り出させていたのは(過去に出会ったかもしれない)シャニPであったことが示されます。新たな、気持ちいい「風」を感じながら二人は一緒に走っていくのです。青春ですね。

画像121

 感謝祭本番前には、ノクチルのみんなのことを思い出しながら、「ステージの事全部やってもらったから、こっからはやる番」と言いました。カッコイイ!!これがノクチルのリーダーです。なんにも考えてないように見えますが、自分が周りのメンバーに支えられ、感謝祭のステージがメンバーのアイデアのおかげで形になったことをしっかりわかっています。その恩に報い、ステージでその気持ちに応えるようなパフォーマンスを披露しようと意気込んでいるのでしょう。
 これはメンバーに対する感謝の気持ちであり、透は透で大切な友人たちの存在を有難く思っているのだろうと思えます。【ハウ・アー・UFO】で読み取れたように、2つの間の気持ちで透は鬩ぎ合いながら透はアイドルをしていますが、退屈な現状を変えたいことと、大切な友人を有難く思う気持ちが相反するということではきっとありません。今回はむしろ、その友人たちの手によって「自分たちのアイデアによって作り上げたステージ」という今までできなかった楽しい経験ができたのですから。

画像122

 エンディングではオープニングとは逆に、遅刻しそうな透にシャニPが出くわします。遅刻しないことを諦めている透に対し、シャニPは己の仕事を差し置いて自ら走りだし透を導いて見せます。それに透は困惑気味ですが、「間に合うかもじゃん」と言ってついて行きます。オープニングとは完全に逆の立場で、シャニPが走れば透も走るし、透が走ればシャニPも走るのです。二人は二人三脚の関係であることが示されます。
 W.I.N.G.編で、アイドルを始めたことで「人生は短い」と感じ始めた透は、もしかしたら案外焦りがあって、このエンディングでのようにもう間に合わないと諦めている部分もあったのかもしれません。しかしそうだとしても、最初に透と一緒に走り始めたシャニPは全く諦めていません。きっとこの先には素晴らしい未来があるんだと言わんばかりです。透はそういうシャニPを信じてみたいと、そう感じて一緒に走ることを選んでアイドルを続けていくのでしょう。そこにはきっと夢見た未来があると信じて。

2020.11.10
 ファン感謝祭円香編、実装

画像123

 円香編では、なにやらシャニPが焼き芋売りの軽トラックを走って追いかけながら円香が焼き芋が好きかどうかを聞くために電話しているようです。それを聞いてから焼き芋を買いに向かってもいいだろうに、シャニPらしいですね。
 しかし、走りながらであったためかシャニPは携帯を落としてしまい、電話の調子がおかしくなってしまい、円香が焼き芋を欲しがっていたかどうかわかりません。通話が通じているか確認するシャニPの問いかけに対し、円香は「何も聞こえない」と返しました。ホントかよ。円香は焼き芋が欲しいかどうかの返答や、異音が聞こえたことでシャニPのことを心配して見せたことをこの混乱に乗じて隠して見せたように思います。
 ここでの円香のシャニPに円香の聞こえなかった発言はきっと、それぞれシャニPからの気遣いに対する甘えと、シャニPの無理ある気遣いに対する気遣いだったからです。やはりどうしてもシャニPに対しては壁があるようですが、これまでのコミュを見ればそう振る舞うのは最早円香らしいといったところです。
 このコミュタイトルは「無に送信」です。円香の思いは、ここではシャニPですが、誰にも届かない、誰かに届けようとはしていない、ということを意味しているでしょう。円香らしい非常に消極的な態度を表すコミュとなっています。が、あくまで「送信」しているということが大事です。本当に他人に無関心で消極的な人間だったら気持ちの送信自体しないって思いませんか?円香は優しい子です。本当に。

画像124

 本番前には、シャニPが「みんなが頑張ったんだから気持ちは届く」という風に言っていますが、円香は「そんなものは受け取り手次第」という風に言っています。しかし、そういう「受け取り手次第」はアンフェアだと言いながら、「ということで、いってきます」と円香は言ってステージに向かいました。さもそのアンフェアさの上でパフォーマンスすることが当然であるかのように。これが「誠意」じゃなきゃなんだってんだ円香ァ!
 「自分たちの感謝の気持ちは受け取り手次第だからそれに見合うことをしなければならない」なんて感じさせるその姿勢はあまりにも真面目過ぎるでしょ。もう何度も言っていますが円香はとっても真面目で誠実です。円香は円香なりにファンの気持ちに応えようとしています。いってらっしゃい!!円香のその姿勢は絶対伝わるからな!!絶対!!!

画像125

 エンディングではどうやらシャニPは焼き芋を買って円香のもとに届けたようです。相変わらず円香の反応は冷たいですがシャニPは満足気です。あくまで好意で差し入れたシャニPに対し、円香はその料金を払おうとしますがシャニPは断固として譲りません。しかし円香のうまい屁理屈によってなんやかんやで手間賃を除いた代金を受け取ります。シャニPの負け!
 その円香のシャニPの好意を受け取らない理由として、「その気持ちに対してお返しする気が無い、だからなるべく受け取りたくない」と述べます。おかしいだろ。お返しする気が無いのなら、もらえる分だけもらった方が得でしょ。なのに円香は「返さないのなら受け取りたくない」と言いました。シャニPの惜しみない好意をアイドルを続けさせるための下心のように感じているのでしょう。律儀なめんどくせー女。
 しかし円香相手ももう慣れたシャニPは「受け取る理由があるなら受け取るのか?」と問い、円香はそれを一応肯定します。それを受けたシャニPはこれでもかとばかりに「感謝祭は素晴らしかったし、ファンの評価も上々だ。それは円香たちの素晴らしいパフォーマンスのおかげで、これは礼だ」と言って、円香を労い、円香の実績を認めようとします。
 しかし円香は「それは自分自身の力じゃなくて歌や曲の力だ」と言い、「自分は誰かの(つまりファンの)ために歌っていない」と言いました。やはり円香はどこまでも誠実です。「その人のためを思っていなければその人のためにしたことにはならない」と感じているのでしょうから。
 しかし本当にそうでしょうか?「アンフェアな」ファンのために然るべきパフォーマンスをしようとしたこと、小糸と雛菜のやりとりを聞いていて2人の想いを汲み取ろうして作ったステージ、この日のためにレッスンをやってきた成果のライブ、ファンのみんなには伝わっていないでしょうか?それらは全部自分だけのためにしてきたことでしょうか?きっとそんなことはないです。
 円香はそういうところを隠そうとしますが、シャニPがそれをどことなく感じ取って円香に接しているように、きっと向こうのファンの方々も感じ取っていると思います。このコミュのタイトルは「然るに受信」です。伝わっちゃうもんなんです、きっと。たとえ無に送信しても。
 この感謝祭編で雛菜が言っていたように「自分のやりたいようにやって、それがみんなをしあわせにする」という形も間違いなく存在して、それはきっと多くの人々の心に届きます。今回の小糸のアイデアがそうであったように。円香は円香の思うように色んなものを気遣って動いていたはずで、それがノクチルの感謝祭の成功の一端を担っていたはずです。
 でもまだ円香はその形を信じられていません。そう考えると、ノクチルの中で最も臆病なのは小糸ではなくて円香です。誰のためでもなく、自身の思うように行動することは正しくないと思っていて自己主張ができません。円香…真面目すぎるんだお前は…。いつか彼女による彼女自身のための思いが、いつか彼女の未来を切り開きますように。

2020.11.10
 ファン感謝祭小糸編、実装

画像126

 さて、小糸編です。小糸はシャニPから小糸宛のファンレターを受け取っています。小糸は自分のために送られたファンレターというものにびっくりしています。小糸の自己肯定感の低さから考えれば当然の反応ですが、このファンレターの存在がこの感謝祭編での小糸の行動の原動力となっていたのです。小糸が「自分がアイドルをやってもいい」と思わせた出来事です。これを送ってくれた向こうのファンの人、本当にありがとう!小糸をアイドルにしてくれて!!
 余談ですが、このコミュのタイトルは「きみの街の消印」というタイトルです。すっっっっっごいよくないですか?小糸のコミュ名全体的にすごい良いんです。それだけです。余談ですから。

画像127

 本番前、小糸が自身に送られたファンレターを握りしめていることにシャニPが気付きます。自分に送られたファンレターを握りしめながらステージに臨む、王道過ぎて涙腺何個あっても足りねぇよ…!
 小糸は「自分のために向けられた気持ちにちゃんと応えられるようにありたい」と言って、シャニPは「その気持ちに全部応えられないほどのアイドルになったとしても、その気持ちだけは忘れないようにしよう」と言います。小糸はそれを聞いて、「そんなの当たり前」と答えます。
 小糸の言葉は己の弱さを隠すための強がりとして放たれることも多いですが、時折小糸の奥底に眠る本当に強固な芯の強い部分を見せる発言をする事があります。小糸ォ!!お前は最高のアイドルだ!!!

画像128

 そうしてファン感謝祭を終えた小糸は、送られたファンレターに一通一通返事を手書きで書いているようです。偉すぎるだろ。小糸は本当に王道アイドルです。
 それを郵送して欲しいと小糸はシャニPに手紙を託しますが、どうやらそれを郵便局に出しに行くシャニPについて行きたいようです。それを一瞬で察したシャニPは、自身の仕事の都合を差し置いて小糸を連れて郵便局に行こうと言います。小糸はシャニPに気を遣いつつも共に行くことにしました。
 ファンの書いた手紙がしっかりと届けられるところまでその目で見たい、小糸のその自分の努力や思いをしっかり伝えたいという姿勢はきっといろんな人に伝わっているんじゃないかなと思います。小糸の「したい」という願いが結果としていろんな人に気持ちを伝えると、この感謝祭で小糸はわかっているはずです。
 この小糸のエンディングコミュのタイトルは「すみれ色の便箋」となっています。スミレの花言葉は「謙虚」「誠実」だそうです。まさに感謝祭での福丸小糸ですよね。シャニマスのモチーフ選びの美しさここに極まれり、です。調べている過程で美しい、なんだか小糸らしい詩を見つけたのでここに掲載します。小糸、お前が主役だっていいんだよ…。これからも!

The Violet
BY JANE TAYLOR

Down in a green and shady bed,
A modest violet grew,
Its stalk was bent, it hung its head,
As if to hide from view.

緑の木陰で、
慎ましくスミレが咲いていました、
茎をしならせ、頭を垂れるように、
まるで視線から隠れるように。

And yet it was a lovely flower,
Its colours bright and fair;
It might have graced a rosy bower,
Instead of hiding there,

それはとてもかわいらしい花で、
その色はとても明るくまっすぐで
薔薇の茂みを美しく飾っていてもいいのに、
そんなところに隠れてないで、

Yet there it was content to bloom,
In modest tints arrayed;
And there diffused its sweet perfume,
Within the silent shade.

でもその花はそこに咲く事だけで満足でした、
慎ましい色合いで
甘い香りを漂わせながら、
静かな木陰に抱かれながら。

Then let me to the valley go,
This pretty flower to see;
That I may also learn to grow
In sweet humility.

だからその谷まで行かせてよ、
そのかわいらしい花を見たいから
そうすれば私も知れるかもしれないから
甘く謙虚な生き方を。

https://www.poetryfoundation.org/poems/51917/the-violet より(翻訳)

2020.11.10
 ファン感謝祭雛菜編、実装

画像129

 さて雛菜編です。雛菜はどうやら自身のツイスタ(シャニマス世界の一般的なSNS)にきたコメントを返しているようです。シャニPはファンの人たちはそうされたら嬉しいだろうなと言いますが、雛菜は「自分が良いと思ったものだけ返してる」と言います。小糸が自身に届いたファンレターに対し全部手書きで返していたのと対照的です。
 さらに雛菜は「プロデューサーもコメントくれたらちゃんと返してあげる、プロデューサーも雛菜のファンでしょ?」言いました。これは暗に「自分のファン」と言える存在に対してのみ気持ちを返すと言っているように感じられてしまいます。シャニマス世界のインターネットはほとんどこっちと変わらないノリなのがよく描写されているので、もしかしたら心無いコメントとかもついているのかもしれないし、そういうのにいちいち反応を返してたらおかしくなります。雛菜はこういう部分の取捨選択が非常に早く、そういうところでプレイヤーを恐怖させたりしていますよね。
 しかし雛菜のこういう行動を「頭が良いので常に自身にとっての最善の選択ができる」のか、それとも「自分にとって都合の悪い部分に半ば自動的に目を背けている」という風に捉えるかは一考の余地があると思います。私は少なからず後者の側面も存在するのではないかなと感じています。
 雛菜はW.I.N.G編でシャニPに対し「自分をプロデュースしていて楽しいか?」という質問をした事があります。その問いにシャニPは逡巡しながらも答えようとしましたが、雛菜はその答えを遮ってその場を去ってしまいました。これはおそらく「逃げ」です。シャニPが「楽しくない」と答える事を受け止める覚悟が雛菜にはなかったんじゃないかと思います。
 我々が安易に感じてしまう「強い雛菜」なら、きっと「楽しくない」とシャニPに言われたとしても「そっか〜」と言って躱すはずです。しかしこの時の雛菜は答えを聞く事自体を避けています。雛菜は自身に降りかかる全てを受け止めてそれを自身の強さで跳ね除ける、そこまで強い子だなんて思えません。雛菜はとにかくのらりくらりと「ふしあわせ」を避けているのだと感じます。

画像130

 本番前には、雛菜はシャニPに自分のスマホを託し、ステージ上の自分を撮っておいて欲しいと伝えました。舞台袖から見た風景のほうがレアだし、プロデューサーが自分のことをどう見たかわかるから、ということらしいです。オープニングで「プロデューサーも雛菜のファンでしょ?」と言っていたことを考えるならば、この発言を見ると雛菜は「ファンにどう見られているか」を意識しているという風に受け取れます。
 やはり雛菜は他者の目線を気にしない、利己的で自己中心的な人間ではありません。ファンのコメントを選んでいるという部分のインパクトが強すぎて見えづらいですが、自分にとっての良いファンについてはコメントをしっかり返しているというのは、雛菜なりのファンへの感謝なんだと思いますし、そのために自分がどう見られているかを気にすることもあるのです。きっとみんなが思っているより雛菜は繊細なんじゃないかなあ。

画像131

 感謝祭を終えた雛菜は自身のツイスタを遡って思い出に浸っています。シャニPも一緒にそれを見ることにしました。「楽しいことはすぐ終わっていっちゃうから、記録を残しておく」と雛菜はどこか寂し気に言います。こういう部分からも雛菜は楽しい現在と、それがいつまでも続かないことを知っているとわかります。そう感じながらツイスタを振り返っている雛菜はかなり後ろ向きで悲観的な姿勢だと思えます。
 しかし俺たちのシャニPは「これからも毎日そういう楽しいことを載せられたらいいよな」と言いました。シャニPは前を、未来を見ています。それを受けた雛菜はどこか納得がいったようで、これから一緒にケーキを食べに行こうと言い出し、「これは今日の楽しかったことの分」と言って走り出しました。この内容はW.I.N.G.編で、雛菜とシャニPがお互いのスタンスを理解し合って、現在に踏みとどまろうとしないで未来にある「もっと楽しい」のために走り出す部分と重なります。
 今回のシャニPはほぼ無自覚なんですが、後ろ向きになってしまっている雛菜の背中をナチュラルに押して勇気づけて見せました。「雛菜はなぜシャニPのことがすき~♡なのか」という風な議題があったりしますが、きっとこういう部分が大きいのだろうと私は思います。俺もシャニPすき~!

2020.11.10
 溺れたら手を伸ばしてガシャにて【UNTITLED】樋口円香、実装

画像132

 ファン感謝祭と同じタイミングで円香のsSSR実装です。盛りだくさんだなあ。有難いけど!
 イラストのほうでは、何やら仕事の舞台裏と言った感じで、その準備をしているように見えます。後ろで小糸と雛菜がストーブで楽しそうにあったまっていますし、透はリラックスしていそうです。しかし当の円香の顔!!なんだその顔は。もう嫌な予感しかしません。助けてくれ。
 ちなみにこのイラストの右端の眼鏡で髭のモブが俺たちの高山Pに似ているとちょっと話題になりました。俺たちを置いてそっちの世界に行くな高山。

画像133

 コミュでは、同じ学校の女子たちが屋上でぼんやりしている透を見ながら何やら雑談しています。そこでの透への印象は「ものすごい美人だけど、それだけじゃない、なんだか目が離せないような風格がある」というようなことを言っていて、そこに居合わせた円香はそれを聞いていたようです。
 場面が切り替わり、どうやらノクチルは撮影の仕事があるようですが、そこでカメラさんとそのアシスタントが先に撮影していた透のことを「見た目だけなら使えないと思っていたけど、なにかそれだけじゃないものがある」という風に評価しているようで、またもそこに円香は居合わせます。
 その後休憩中の透に出くわした円香は、その聞いていた透への評価を思い返しながら透を仕事に送り出しました。何か思うところがあるようです。

画像134

 次のコミュでは、ノクチルの全員が揃い、先に撮影している透を3人は見学しているようです。そこで小糸は「スタッフも、自分たちも、みんなが透に注目してる」と言います。前のコミュで女子生徒たちが言っていたように、なぜだか注目してしまう風格が透にはあります。かくいう私もこいつの雰囲気に一撃でやられてしまってこの沼にいるわけですから説得力があります。
 一方で円香はいつも通りの雰囲気で、透が上手く撮れて調子が良いカメラマンに「先に透と円香の2ショットを撮っておきたいから」と言われ、透のもとに向かいます。そこで透はカメラマンに「すごい良かった、今日のためにいろいろ考えてくれたんだね」と褒められていましたが、円香は何かをわかりきっているように透に対して「いろいろ考えてきたんだ?」と問います。
 透は相変わらずのぼんやりした返事で、円香は「答えなくていい、知ってる」と言います。当然ですが、ここでの円香の「知ってる」は「浅倉透は別に今回の仕事のために何かを考えてきたわけでは無い」ことを知ってるということです。そしてこのやり取りをしている時の円香の表情は、どことなく誇らしげな笑顔です。もうこの辺から変な汗出てます。この女…。

画像135

 次のコミュでは、透と円香は二人で透の部屋で一緒に映画を遅くまで見ていたようですが、透のほうは寝落ちてしまっています。円香はもう帰るからと言って、明日の予定を確認しながら透を寝かしつけています。お母さんかな?そうして寝た透を見ながら、周りの人間たちの透に対する評価を思い起こし―――。

知ってる
わかってる
私だけは
浅倉透を

 いや吐くわ。なんだこの女。重いなんてもんじゃないだろこれ…。屋上で佇む透が何を見ていたのか。透が内に何を秘めているのか。自分だけは透に見惚れてなんていない。透は今回の仕事に向けて何か考えていたわけでは無い。透を全部知っているのは自分だけだと、そう言いました。当然雛菜や小糸すらも除いてです。本当に怖い、なにこれ?【ギンコ・ビローバ】実装から2週間も経ってないのにとんでもないもんをぶつけてくるなよ!
 しかし、何をもって円香は自分だけが透を理解していると感じているのでしょう。このコミュでの内容を見ると、透は周りの大勢の人間から高い評価を受けていますが、それを「透のことをわかっていない」とするのならば、円香は透の「そんな意味を持って行動するような大した存在じゃない」と言えるような部分を指して、透のことを「わかってる」と言っているのではないかと感じられます。
 実際透は結構だらしないところがありますが、それを見て「わかってる」なんて感じるのはちょっと捩じくれ過ぎです。しかし、【ギンコ・ビローバ】では、シャニPに対して「欠点を隠してそれを愛嬌にする」ような真似は「信用できない」と言っていましたね。円香はそういう人の「欠点」みたいな部分を見ることでどこか安心を覚えるような部分があるのではないでしょうか。【カラカラカラ】でも、事務所で寝落ちしてしまっているシャニPに対して優しく毛布を掛けていた(かもしれない)ということもあります。これは完全にシャニPの見せた隙であったからこその行動です。
 また、コンプレックスに潰されそうだったり変に自信過剰な振る舞いをする小糸に優しかったり、自由気ままにわがままに振る舞っている雛菜には遠慮無い物言いをしつつももなんやかんや上手く付き合えていたりするのは、2人が円香の前ではそういった良くない部分を見せるからだと思います。それと同じように、ほとんどの場合一緒に居る透の着飾らない姿を円香は見ていて、周囲の評価にそぐわないだらしない部分も見ています。そういう部分はある意味で幼馴染らしいともいえる関係です。
 そういう関係において、円香は「単に仲の良い」というだけでは見ることのできない幼馴染3人のあまり良くない部分まで見えてしまっていて、結果としてその事が逆に彼女の幼馴染同士という居場所の「らしさ」になってしまっているのかなと感じます。
 そしてその「らしさ」を最も担保しているのが「『周囲の評価する浅倉透』と、円香から見た『周囲の評価にそぐわない浅倉透』とのズレ」なんじゃないかなと思えます。だから円香は「自分だけが透をわかってる」として、その感覚を自分だけの特別なものとして自分の立場を確認し続けているのかもしれません。浅倉透とその絶対唯一の理解者樋口円香として。

画像165

 【途方もない午後】を見れば分かりますが透はそもそも「自身が不当な評価をされて持ち上げられている」という自覚がありますし、その現状を「よくない」と思っています。透はただ周りに持ち上げられることをあるがままに受け入れている人間ではありません。
 しかし透は自身の気持ちをアウトプットするのが苦手過ぎるので、円香はそのことを利用して、透のことを「見た目だけはそれらしいが実際は大したことない」という自分に都合のいい形の認識で透を見ているように思えます。
 円香は浅倉透がアイドル始めることまで理解できていたでしょうか。理解できていなかったから一緒にアイドル始めちゃったんじゃないでしょうか?「透はもう走り出してしまっている」と自分でも感じてたじゃないですか?この記事の中でも透が「理解者を求めている」という風なこともいくつか述べてきましたよね。
 きっともう円香は透のことを「わかってる」だなんて言える立場にありません。今の円香は浅倉透の唯一の絶対的な理解者足りえようとして必死に食らいついているような状態に見えます。「透にできて私にできないことはない」という「天塵」での言葉はこの透に対する認識と、透に必死に食らいつこうとする円香の姿勢を表していたように思います。
 透はもう変化を望んで走り出しているのに、いつまでも同じように円香が確認し続けている自分自身の立場は、もうただ円香をかつての「いつも通り」に縛り付ける枷になっているんじゃないでしょうか。誰か…誰か円香をこの重すぎる呪縛から解き放ってやってくれ…俺じゃ無理だ…。

2020.11.10
 オータム・フェスティバルにて【まわるものについて】浅倉透、実装

画像136

 またも円香に脳をぐちゃぐちゃに引き裂かれている中、pSRの透が実装されました。またとおまどコンビで実装です。あんな透に対してクソ重感情円香サポートと同時にプロデュースアイドルの透実装とか正気を疑いますね。シャニマス最高!(洗脳)
 相も変わらずイラストが最高に美しいのですが、よく見てみると左手の薬指がネイルがされていません。調べてみてもその意味はよく分かりませんが、よりにもよって左手薬指がネイルされていないなんてのはちょっと意味深すぎませんかね?でも透は大体雛菜にネイルされてるんだよな…。どういうことなの…。

画像137

 コミュでは、どうやらシャニPが取引先の方の世間話につかまってしまい、それで暇を持て余した透が控室を脱走して、それをシャニPが見つけるところからです。シャニPはどこかに行った透を心配していて、透はそのことを謝罪していますが、シャニPは「もし自分が透のことを追いかけていなかったらどうなっていたんだ?」と不安を覚えているようです。
 これはW.I.N.G.編で透がいきなりいなくなってシャニPが探しに行く部分に重なる描写ですが、シャニPはシャニPで「浅倉透」という、どこまでも魅力的でありながら掴み所の無い存在に対して、その輝きを知るために追いついていかなければならないというプレッシャーがあることを感じさせます。同時実装の【UNTITLED】樋口円香の「透の理解者足り得ようとする」立ち位置とそっくりですね?【ギンコ・ビローバ】での円香とシャニPとの類似という説ににより拍車がかかったように思います。まさかそこを強調するために今回のとおまど同時実装したのか…?俺を殺そうとしてる?シャニマスこわ…。

画像138

 透のほうはというと、オフィス街の中から見える遊園地が気になるようです。立ち並ぶオフィスビル群の中から遊園地だけを見ているというところが透らしいですが、そこで透はシャニPを「今から遊園地に行こう」と言います。シャニPは困惑しつつも透のことを理解しようという部分もあるのか、付き合ってあげます。
 そして二人はメリーゴーランドに乗ります。いちゃつき過ぎだろ!!そこでシャニPは「これじゃ(透に)追いつけないなあ」と言います。まあメリーゴーランドなので当然ですが、透は「自分が(シャニPを)追ってるかもしれないじゃん」と言いました。
 【かっとばし党の逆襲】でも顕著ですが、透は手段や目的が倒錯しがちです。ここでの透はシャニPが自分を追いかけているのか、自分がシャニPを追いかけているのかはもうどうでもよくなっていて、ファン感謝祭の透の個別コミュでも見られたように、透とシャニPは追いつ追われつでどっちがどっちを導いているということも無いという関係性です。
 しかしそういう関係でありながら結局は二人ともひたすらに前に進み続けているということで、結果として目標に辿り着くために前に行くという表現でのメリーゴーランドなのだと思います。また、同じところをぐるぐる回っているという点では【ハウ・アー・UFO】で透が人工衛星と重ねられたとこととの関連も感じられます。ふたりは「まわるもの」。
 とはいえ透は、ふらりといなくなった挙句遊園地に行こうと言い出した自分のことを追いかけてきてくれたシャニPの存在が嬉しいようで、やはりそれはW.I.N.G.編でシャニPが自身のことを理解しようとしてくれて交換日記を始めたことや旅に出た自分を探しに来てくれたことと同じ意味を持ちます。
 やはり透は自分と同じ未来に向けて走ってくれる、自分のことを理解しようとしてくれる存在を求めているように思います。しかしそういう風に考えると、この透と【UNTITLED】樋口円香を同時に実装したのはもうどうかしてるとしか言いようがありません。どうして俺たちを殺そうとするんだ!!

画像139

 Trueコミュでは、事務所で透は宿題を、シャニPはCDラジカセを使って資料の楽曲を聴きながら仕事をしているようです。透は「シャニPを見てた」と言って宿題にあまり手がついてないことをシャニPに軽く怒られています。シャニPも透の微妙に思わせぶりなような発言に慣れつつありますね。
 その後、CDが回っているのを見て「回って音が出るっていいね」と言います。これもメリーゴーランドと同じく「まわるものについて」の事ですが、加えて透は「パソコンから音が出るより鳴ってるーって感じ」「音が音を追いかけてるみたい」と言います。相変わらずの浅倉節で、これを受けたシャニPには一つ目のコミュで透がいなくなってしまった時のことや遊園地に行ってメリーゴーランドに乗った時のことがフラッシュバックし、「ちゃんと追いかけて、この曲が良いものかどうか確かめなきゃな」と言いました。
 重ね重ねシャニPは透を追いかけ続けなければならないと感じていることを示します。そしてやはりそのシャニPの姿勢は透はとても嬉しく思っているのか、シャニPの言うことを聞いてやりたくなかったであろう宿題に取り掛かりました。その後、遊園地に行った時の風景の回想で、透の口だけが動いて声が発せられないアニメーションが差し込まれまてTrueコミュは終わります。
 何???
シャニマスは平気でこういうことします。皆さんはここなんて言ってたと思いますか?結構いろいろ考えられると思います。ここで透が何を言っていたのかは定かではないですが、音が出るだのなんだのという話をした後にこれをやるのはもう我々の脳に負荷をかける遊びをしているとしか思えねえよ。
 透についてきてノクチルのみんなが走り出したように、透はシャニPと一緒に走っているという状況の再確認、そしてシャニPはシャニPで透と一緒に走ることにそれなりのプレッシャーも感じているという部分がうかがえるコミュです。透のコミュ難しくて読むの大変です…(弱音)。

2020.11.11
 福丸小糸、誕生日

 小糸の誕生日です。もう死ぬほどおいしいもの用意して死ぬほど祝ってやりたい。助けてくれ。
 この11月11日という日は、その分かりやすい日付からか、日本においてはどうやら10月10日に次いで多く記念日制定されている日のようで、もうどうやってこじつけたものかといった感じなのであんまり意味は読み取れません。
 しかし、この数字を並べれば「1111」、つまりワンフォーオール(One 4 all)と読めなくもないです(因みにこの数字の意味で765プロと346プロを足すと1111プロになるというコンセプト?のようなものがデレアニの頃からあります)。「1人はみんなのために」と言う言葉ですが、小糸がひたすらに努力するのは周りの3人の足を引っ張りたくないという部分も多分にあるので、ちょっと悪い意味に感じてしまいますがそういう小糸の周りに対するコンプレックスを感じさせる気がします。でもいつか逆転して1人で3人を引っ張れる存在に小糸はなってくれるんじゃないかなとも思います。願望込みですけどね!
 また、この日は「チンアナゴの日」でもあるらしいのですが、小糸の声優さんである田嶌紗蘭さんはチンアナゴ好きを公言しているのでそれも何か関係があるのかもしれません。私もチンアナゴ好きです。一生見れます。
誕生花は「カラスウリ」、花言葉は「よき便り」「誠実」「男嫌い」だそうです。「男嫌い」はともかく、他はファン感謝祭の小糸っぽいなあと感じました。

2020.11.12
 4コマ漫画「当ててみて」、公開

 割り箸を2本持つだけで面白くなるなコイツ。【UNTITLED】樋口円香に合わせて公開された4コマ漫画となります。コミュの内容からは想像もできないほどゆるゆるとした内容で安心感があります。俺たちの還る場所、4コマ漫画。二人はもはや熟年夫婦のような感じですが、お隣さん同士で同い年の幼馴染ということは下手すれば生まれたときからの付き合いとなるのでそりゃ阿吽の呼吸ですよね。それなのにどうしてあんなにどろどろとしたコミュが出てくるんだい円香?

2020.11.20
 Jump! I am Sun Rabbit!ガシャにて【しかえし優等生】福丸小糸、実装

画像140

 小糸の2枚目となるsSRです。このゲームではSRのほうがSSRよりガシャ実装されないので貴重ですね。
 イラストではどうやら小糸と雛菜が一緒に勉強しているようです。小糸がいつもと違う髪形をしており、普段の学校ではこういう髪形なのかと思わせます。しかし学校では黒髪三つ編みおさげとは、なかなかクラシックな雰囲気でなおさら王道感が醸されまね。

画像141

 コミュでは、小糸と雛菜の二人が一緒に下校しようとしていたところですが、通りがかった教師から「福丸はテスト勉強順調か?」と声をかけると同時に「市川は福丸の邪魔するなよ」と言いました。雛菜は軽く流していますし、そもそもその教師が誰かも(実際はわかりませんが)認識していません。軽い冗談交じりの挨拶のようなものでしょうが、小糸はそれがかなり引っかかったようです。
 雛菜が特に何も思っていなさそうなのに小糸は「雛菜が自分の邪魔をしているという風に見られた」ことに相当イラついたらしく、これから一緒にカフェに行って勉強しようと言います。雛菜は小糸の心情がよくわかっていないようですが、小糸のおごりということで行くことを決め、一緒に勉強しました。
 勉強のほうは上手くいったようですが、雛菜は「これって結局小糸の邪魔してない?」と言いましたが小糸は「絶対にそんなことはない」と言い切りました。

画像142

 続くコミュではそのテストが終わったようで、小糸は学年最高点、雛菜も結構いい点数だったようです。小糸偉すぎるだろ。そこで雛菜は「別に自分は勉強嫌いなわけじゃない」と言って小糸が若干動揺していますが、雛菜は「しあわせ」のための優先順位に準じて行動するので、おそらくその順位が低い勉強はやってないというただそれだけなのかなと思います。頭も要領もいいのが滲み出ちゃってますしきっと勉強くらいやればすぐなのでしょう。
 そこに前のコミュで雛菜に「福丸の邪魔するな」と言った教師が向こうから歩いてきたようです。それを見た小糸は意を決し、「高校生になって初めて友達と『一緒に』カフェで勉強したけど凄い勉強がはかどって楽しい!そのおかげで二人ともいい点が取れた」とその教師に届いているのかどうか分かりませんが一人大声で叫び、雛菜を連れて走り出し下校します。
 そのまま公園まで走ってしまった小糸は「先生に初めて反抗した」と言い、そのことでいろいろと興奮してしまったからか、つい走り出してしまったようです。
 当然この「反抗」は自分の大切な友人である雛菜が小糸にとって邪魔な存在であるように見られたことからの怒りによるものです。あのコミュ障で気の小さい優等生の福丸小糸が大声で「雛菜は自分にとって邪魔ではない、何も知らないくせにわかったような口をきくな」という意思を教師に向かって(実際届いたかどうか分かりませんが)思い切りぶつけに行ったのです。
 相当緊張したと思いますが、小糸もキレるときはキレます。自分が小馬鹿にされても小糸は悲しそうに自己嫌悪するだけですが友達が馬鹿にされた時はかなり怒って反発する、それは小糸も当然この幼馴染の関係を心底大切に思っていることから来る勇気ある行動です。小糸本当に偉い!!
 その行動の意図を察していた雛菜は「あんなことで怒らなくていい、どうせすぐ忘れるから」と言い小糸を気遣って見せますが、それを聞いた小糸はまた空回りしたのかという残念そうな感じでもあり、雛菜が傷付いていなくて安心したようでもあります。その様子を見た雛菜は「でも今日の小糸はすごい面白かった、当分忘れなさそう」と言い、小糸が自分を思ってしてくれた反抗と呼んでいいかどうかわからないほどの小さな「反抗」を、雛菜は嬉しく感じてしっかり受け止めていたのだということを冗談めかしながら上手く小糸をフォローする形で伝えました。
 確かに二人の関係を外側から見れば「わがままな不良に振り回される優等生」と感じてしまうことも頷けます。しかし今回のコミュはむしろ小糸が自身の苛立ちから雛菜を巻き込んで行動しています。このように、単純に外側から見る表面的な見方では理解できないという部分はノクチル全体に言えるテーマでもありますし、加えて小糸と雛菜の二人の深い絆も感じることのできるコミュ内容でした。小糸の成長っぷりにもう心はすっかりお父さんです。俺は福丸小糸の父親…俺が小糸の親父なんだ…。信じてくれ…本当なんだよ…。

ファイル 2021-03-03 15 30 36

2020.11.22
 4コマ漫画「反抗期?」、公開

先生がよぉ…。

 【しかえし優等生】福丸小糸に合わせた4コマ漫画です。グレ丸小糸が爆誕した回です。透?なんだいそのステレオタイプとすらいえないような不良像は?本当に小糸がそんなことすると思ってる?
 まあ何にしてもギミー先生の描く小糸があまりにも可愛いので金属バットとグラサンでも普通に可愛いです(語彙消失)。天才4コマ漫画家ギミー先生がよぉ…(感謝)。

2020.12.4
 ノクチルをイメージした財布の発売が告知される

えぇ…(困惑)

 どういうことだってばよ…。ある意味で確かにノクチルを代表するネタとしては「財布ないわ」が凄まじい存在感ですがまさか関連グッズとして財布が出てくるとは…。財布を忘れただけで時代を席巻し、その挙句には財布がノクチルのグッズになる女、それが浅倉透なのです。みんなもこれ買ってコンビニ行って財布を忘れよう!!時代を獲れるかもよ?

2020.12.10
 「明るい部屋」、開催

画像144

 冬の越境ストーリーである、「明るい部屋」が開催されました。越境であるがゆえに、「アジェンダ283」で事務所内で浮いていることが示されたノクチルがどういう立ち位置にいるのかというところが非常に気になります。
この記事はノクチルについてのものなので、他のアイドルの部分にはあまり触れられません。とはいえ、この「明るい部屋」というストーリーは本当に素晴らしい出来です。
 フルボイスのオート再生で2時間弱という凄まじいボリュームでありながら、全てのアイドルに加えて天井社長、七草はづき、シャニPすらも含めた現状やアイドルたちの関係性を一切中だるみすることなく描いて見せ、中でも特に謎の深かった七草はづきの立ち位置をえげつないほどの解像度で見せつけてきた、他に比肩するものがどれほどあろうかという名作コミュです。
 事務員の持つストーリーがここまで強くなるのは初代事務員である音無小鳥にしか許されていなかったことで、「シャニマスじゃなきゃこのストーリーは無理だな」と思わせるほどの濃密なストーリーとなっています。お時間ある方はぜひご覧ください。

画像145

 さて、ノクチルの4人はというといつもの如く透の部屋に集まり、何やらアルバイト募集の広告を読んでいるようです。ノクチルは年の瀬だというのに特に仕事が無いようで、暇を持て余した結果みんなでバイトをしようという話になったようです。相変わらずいつものメンツで固まろうとしていて本当にこれ越境イベントなのかよ?という感じです。
 お金稼いでどうするのと問われた透は「やばいって言ってた、老後」と言い放ち貯金すると言っています。またテレビに影響されたらしいです。まさかアイマスで若者の老後が大変だなんて事実を突きつけられるとは…。それを言うのが透なのは果たして透が真面目なんだかどうなんだか…。イベントのたびに名言を残す女、透。

画像146

 「体力的にきついのは嫌だ」「もっと楽しいのが良い」などなどとバイトの内容にケチをつけながら探していると、円香が「ケーキ販売」のバイト求人を発見します。今週末だけの短期バイトのようですが、4人としては結構よかったみたいで、どうやら応募することにしたようです。しかし小糸だけは「それはできない」と言いました。
 実はこのバイトのある週末に、283プロが地元の商店街の町内会から頼まれていた「教会でのコンサートへの出演依頼」があって、それに出演予定のキャロル隊に小糸が参加していたのです。繁忙期ということもあってスケジュールの都合上、ユニット単位ではなく、志願したメンバーがボランティアで集まってやるようで、メンバーは灯織・霧子・夏葉・甘奈・愛依・小糸の構成であることが分かります。
 さて、ここで何より不安なのは小糸がこのメンバーたちに馴染めているのかということですが、まっっっっっったく馴染めていません(無慈悲)。つらい!泣きそう!!どうして俺の娘がこんな目に…。相変わらず小糸はノクチルのメンバーとシャニP以外とはまともに会話もままなりません。
 この次のコミュではキャロル隊のメンバーが集まってコンサートの練習をしていたようで、その場にいた小糸以外のメンバーが腹式呼吸の話で盛り上がっていますが小糸はそれを眺めることしかできません。さらにこの「明るい部屋」で(おそらく)初めて「床」の背景画が使われるのですが、このシーンで使われた「床」の背景画はきっと小糸が一人馴染めず俯いていることを表現しているでしょう。なんでここまでして小糸のコミュ障描写をする必要があるんですか?本当に見ててつれぇんだが?
 しかし、こうなることは誰より小糸自身が一番分かりきっていたと思います。その気になれば逃げることだってできたはずです。きっと誰も無理強いはしないでしょう。それでも小糸はノクチルのみんなとバイトをすることよりボランティアのキャロル隊としての仕事のほうを優先しました。生来の真面目さの部分もあるのでしょうが、小糸は今までの関係に閉じこもることをやめ、外に飛び出す勇気を持ち始めているように感じます。小糸…頑張れ!!

画像147

 みんなで練習している中、小糸が相変わらず一人で居ると突然霧子が話しかけてきます。「前回の練習に遅れてきて、腹式呼吸の練習を知らないから教えて欲しい」というのです。小糸は動揺していますが、きっと霧子の事なので小糸が孤立しているように感じていること、それでもまっすぐに練習に取り組んでいることをわかっていて話しかけたと思います。そしてすかさず夏葉が「それはいい、小糸は丁寧に練習してるから」と言って見せます。
 小糸は自身が孤立してしまっていているという風に感じていたのでしょうが、2人は小糸が頑張っていたことをしっかり見てくれていました。ましてやあの三峰結華の内側に入り込めるほど人を見ている霧子と、小糸と同じく超努力型の夏葉が誰よりも先に小糸のことを認めてくれたというのはあまりにも深い解釈一致で、本当に嬉しくてこっちが泣きそうでした。小糸の事となるとすぐ泣く病気。
 小糸はその霧子の申し出をたどたどしくも快諾して、安心したように笑顔を見せました。我々は分かり切っていることですが、283プロには優しい子しかいません。小糸にひどいことをしてやろうなんて誰も思っていないし、小糸の事を無視しているわけでもありません。小糸を孤立させていたのは勝手に周りに壁を感じている小糸自身であったのですが、今回勇気を出していつもの4人組から飛び出してみた小糸は、きっと壁を突き破って新たな関係を作っていくことができるアイドルになっていきます。小糸偉い!

画像148

 さて、残りのノクチルメンバーたちはというと、予定通りスーパーのケーキ販売のバイトをしています。なんとそのスーパーははづきさんが掛け持ちバイトしていたスーパーで、そのケーキ販売のバイトははづきさんの考えにより急遽アイドルとしての仕事になりました。偶然とはいえ超有能事務員です。アイマスの事務員は基本みんな人間性能がバケモノです。
 はづきさんはどうやらケーキを買うと握手するか写真が撮れるというシステムにしたようです。かつてこちらのリアルアイドル世界で猛威を振るった「握手券商法」…!!そして地下アイドルなんかが良くやる「チェキ撮影」…!!はづきさん…やりよる…!!!!(ケーキ課金)

画像149

 続いて、とうとうキャロル隊のコンサート本番になったようです。そこでは小糸と愛依が二人真ん中に並んで歌っていました。
 6人は並び順を決めていなかったようで、それをどうするかという話になったのですが、まず真っ先に愛依が立候補しました。実は愛依はこのキャロル隊に行くことをストレイの二人に対し少し遠慮していました。「自分が行くより、自分より優れた二人が行った方が良い」と思って相談していたのですが、冬優子から「自分達に遠慮するくらいならセンターかっさらうくらいの気持ちでやれ」と言われたことに勇気づけられ、気持ちを振り絞り自ら真ん中に立ちたいといいました。冬優子ほんとにかっこいいな!
 それに小糸は何か感じているようです。きっと愛依がそういう風にプレッシャーを感じていたことや、それでも踏み出したことに共鳴するところがあったのかなと思います。他者の前に立つことが怖い、必要以上に自己肯定感が低くて周りに遠慮してしまうという点で実はこの二人は似ています。このことは小糸が自分だけが弱い部分があるわけじゃないと思えるきっかけにもなったかもしれません。
 当然愛依の申し出を誰も断るわけもなく愛依は真ん中に立つことが決まりましたが、全体で6人なのでもう一人真ん中が必要です。夏葉が立候補・推薦を募りますが、霧子が「一番頑張ってくれる人が良い」ということを言ったところ全員の視線が小糸に向きました。小糸の努力を見守っていてあげたのは霧子や夏葉だけではありません。みんなが小糸の努力を見ていてくれました。
 小糸は驚いていましたが、小糸は愛依と一緒に二人で真ん中に立ち、コーラスは大成功に終わりました。きっと小糸にとってこのキャロル隊は良い思い出・経験になり、より一層小糸は成長したと思います。泣いた。

画像150

 さてバイト組のほうはというと、やはりクリスマスは忙しいらしく握手だとか写真だとかそういう場合ではないようです。そこに偶然樹里とちょこ先輩がケーキを買いに現れます。双方ともにちょっと驚いていますが、そこで軽く話していると写真が撮りたいファンが現れ、はづきさんの考えた特典はノクチルとではなくちょこ先輩と写真が撮れるものだと勘違いしてしまいます。やはり向こうの世界ではノクチルの存在感はまだそのレベルのようです。
 そのことを樹里は何となく察して何も知らずに来たことを謝罪しますが、円香も「巻き込んでしまってごめん」と謝罪しました。これは「アジェンダ283」で真乃に対して「いつも同じメンツで固まっててごめん」と謝った透と対照的に感じられます。やはり円香はどうにもこの4人の関係に閉じこもり気味です。
 しかし透は「ケーキ買ったんだから自分たちと握手してってよ」と言いました。そこまで深い意味を持ってした発言とも思えませんが、これを受けた樹里はなんだかとても嬉しそうに見えます。樹里は「優しい一等賞」でお馴染みなくらい、周りを見て気遣いをする子です。そういう描写は特に今までなかったように思いますが、樹里は樹里なりに283プロ内で浮いてしまっているノクチルのことを気にかけていたのではないでしょうか。しかし、全く他者を寄せ付けないその閉鎖的な雰囲気によって上手く接することができなかったのだと思います。
 しかしその握手を求める透を見て、「案外こいつら話通じるぞ」と思えたのではと思います。小糸が自身の心の壁によって孤立していたように、樹里もまた勝手に「ノクチル」という存在に対して壁を感じていたけれども、その手を伸ばせば分かり合えるということを感じたんだと思います。
 そして樹里はケーキ1個しか買ってないのに3人と握手して帰りました。その樹里の行動に3人は若干困惑気味ですが、「アジェンダ283」の時の真乃と同じように、また一人ノクチルのことを受け入れようとしてくれた人が増えました。
 その人物があの見た目は不良だけど本当はとても優しい樹里っていうのが本当に良いなと思います。過去のトラウマから気持ちが折れてしまい、見た目や立ち振る舞いを不良に寄せてあぶれ者として生きようとしていた樹里が今、居場所として大切にしている283プロにあぶれ者のノクチルを迎え入れようとしてくれたということの持つ意味はとても大きく暖かいものです。流石優しい一等賞ですね。

画像151

 その後現れたシャニPには「ケーキを売れなきゃ握手券も写真撮影もしてもらえない、気持ちを届けるのが大事なんだ」と3人に説きます。円香はこれを「テンプレ通りの説教」と言いますが、シャニPは「テンプレになるくらい当然の事なんだ」と返し、それを受けて3人はこの後もバイトを頑張るとしています。
 このことは相も変わらず固まってしまっている3人に「外へ気持ちを向けることが大切である」ということを言っていて、そういう姿勢を持てることがノクチルのみんなにとっていい未来をもたらすということをシャニPはきっと思っています。そのことがどれだけ彼女たちに通じたかは分かりませんが、小糸だけじゃなくて少しずつ3人も成長しているのかなと思います。
 この「明るい部屋」というストーリーでも、ノクチルはやはりまだ全然283プロに馴染めてはいません。しかし、小糸は勇気を持って外の世界に踏み出し、自身の努力を認めてくれる新たな仲間を見つけることが出来たし、残りの3人はあまり自覚はないでしょうけどまた新たに自分たちに歩み寄ってくれる存在が現れました。ノクチルの歩みは本当にゆっくりで、製作側もこの不良たちが283プロに馴染むところはかなりじっくりと描いていこうという雰囲気を感じます。
 「アジェンダ283」でノクチルが全然馴染んでないことを確認した時は不安でしたが、今となっては彼女たちがどうやって283プロに受け入れられてアイドルをしていくのかという事がひとつの楽しみになりつつあります。きっと彼女たちが思っているより、彼女たちの今いる場所は暖かく優しい場所です。いつか他の283プロのみんなと笑い合えていますように。

2020.12.11
 今夜プールの上で待ち合わせガシャにて【pooool】浅倉透、実装

画像152

 「明るい部屋」と同時に実装された透の2枚目のsSSRです。学校のプールでしょうか?なんだかまた青緑色をしていて彩度の低いイラストですが、青春の1枚という風にも感じられます。カードのタイトルが「pooool」となっていますが、「o」が4つになっているのはどう意味なんでしょうか?やはりノクチルが4人組であることから来るものでしょうか。
 そういえば結構前にこちらの世界で「GReeeeN」という4人組ボーカルユニットが一世を風靡したこともありましたね…あれ?「透はみどりの日が誕生日」ってそういう…??(名探偵)

画像153

 コミュの方では、どうやら学校に透が忘れ物をしたらしく、それを回収しに学校に来たようですがすっかり日が暮れて月が出てしまっているしまっているようです。さっさと回収して帰ればいいのですが、透は転がっているサッカーボールを発見し、蹴り始めます。小糸だけは注意を促していますが巻き込まれてみんなサッカーを始めてしまい、そうこうしているうちに蹴ったボールがプールに入ってしまいます。
 そこはやはり透、「フェンス越えよう」と言ってみんなで学校のプールに侵入することを提案します。ここで「フェンスを越える」と表現するのはなんだか脱獄するみたいな感じがして、ノクチルのアウトロー感を演出しているように思えます。小糸は相変わらずビビっていますが屁理屈こねられて巻き込まれますし、雛菜はともかく円香も普通に乗り気です。円香は初見の印象と違ってやっぱり結構なワルです。
 いざプールに侵入してみるとそこには水が張られておらず、透と雛菜は中に飛び降りてはしゃいでいます。イラストからも分かるように円香と小糸は上から見ていますが、臆せず飛び込んで見せる二人と一歩踏み出せない臆病な二人とで対照的に感じさせます。
 そして透はサッカーボールを外に蹴り出しますが、透はサッカーボールのことを「冷たい月が落ちてた」と思っていて、そして「空には水が張られている」として「泳ぐにはいい夜かもしれない」「月まで行こう」と感じながらその「冷たい月」を蹴り上げました。ともかく文学的・詩的表現ですが、【ハウ・アー・UFO】で宇宙人や人工衛星をモチーフとして透の未知の世界への渇望を描写していたことを踏まえればその踏襲とも取れます。
 ノクチルにとって「海」はとても大切なモチーフですが、透にとっては空も広大な海なのです。そこに飛び込んでみたい・日常から脱却したいという思いは透の中で非常に強いもので、ある意味で非日常体験である「夜の学校で人目を忍んでプールへ侵入」という体験はその思いをより強く惹起させたのかもしれませんね。

画像154

 次のコミュでは、透の教室に雛菜がいてお話ししています。そこでは透が事務所で読んだらしいドラマでの「新婚の人たちが良い感じの家に越してきて、そこで奥さんが夜風にあたる」というシーンの話をしています。そこでその奥さんは「虫の声がして静かでいい夜だ」と感じてたらしいのですが、透はそれを「静かでもいい感じでもない」と言いました。
 透からすると、虫たちが鳴いているのは「戦っている」からだということらしいです。確かに我々は虫の音に風情を感じますが、実際にはその虫たちは過酷な生存競争の中に生きていて、その弱肉強食の中で生き抜くために様々な命がその音を発しています。そんな状況を「静かでいい夜」とすることには、透としてはどうにも納得がいかないようです。
 それを聞いていた雛菜は「ざわざわしてるけど静かな夜」と表現し、「それはその奥さんにとっては良い夜だったんじゃないの?」と言いました。この「ざわざわしてるけど静かな夜」というのを聞いた透は前のコミュでのプールへの侵入したときの高揚感みたいなものを思い起こしたようで、ひとつ納得がいったようです。「虫たちが夜に静かに騒いでいる」というのは、夜光虫の名を持ち、未だその光が広く伝わっていない彼女たちの表現としてはとても美しいなと思います。
 その後、透は教室の窓からプールが見えることに気づいています。そしてクラスメイトが教室をクリスマス仕様に飾り付けていたのもあってそのプールが見える窓が金モールに包まれました。
 おそらく今まで透が窓から見ていた景色にプールが映っていなかったということはないと思います。ここでの透のプールに対する気づきと窓枠が綺麗に飾られたという部分は、水の張られていないプールへの侵入によってそのプールが特別な存在に感じられるようになって目につくようになったということを表現しているように感じます。
 これは【10個、光】でのバスから見える風景が変わったように感じたことと同じような意味合いで、例えば「アイドルを始める」「夜のプールに侵入」といったような何かしらの未知のアクションを通し、日常の中にあったものの見え方が変化して目新しく輝いて見えることに透は価値を見出していています。これは「天塵」でのノクチルに対する今まで見えることのなかった「言葉にできない輝き」を見せたいというシャニPの考え方とも共通するものと感じさせます。やはり透は「変化」を望んでいます。

画像155

 最後のコミュではまたみんなで透の部屋に集まり年末の特番を見ているようです。不良どもの溜まり場。
 透は出演しているタレントの人を他の人と勘違いしているようです。似たような人が騒いでいて、似たような番組ばかりやるテレビ。それを指して透は「12月はざわざわしてる」と言いました。分かりやすいもの・分かりやすい人が溢れかえり、年末を盛り上げるというこの描写は「天塵」での花火と重なるものであろうと思います。彼女たちはその分かりやすさの中にまだ埋もれています。
 その後テレビでは正解すると和牛がもらえるクイズが行われています。「玉蜀黍」は何と読むでしょう?という問題です。皆さん読めますか?私は読めました(強者)。
 これを透は「たまむしいろ」と読みましたが、実際にはこれは「とうもろこし」と読みます。その答えを小糸は「適当過ぎる」と言いましたが、透が出してきたのは玉虫色という美しい色を指す言葉だというのはなんとも透の価値観らしいというか、透の未知の物事を良いものとして見てしまう、未知への願いみたいな部分を感じます。
 テレビをみんなで見ながら透は「12月はいろんなところで色んなことが起きているのに、どこでも同じことをしている」と感じており、やはり「変わりない日常」に飽き飽きしている様子をうかがえます。そして「プール行きたいわー」と言いました。その言葉を受けた3人は「寒い、眠い」「もう忍び込むのはだめ」「あれ楽しかったね」と反応しますが、透はそれを見てどこか自嘲気味な顔をしてもう一度「プール行きたいわー」と言いました。
 ここの透のアニメーション本当にやばいです。透の心情が見事に表現されていて怖いとさえ思います。やはり透は周りの3人でさえも自分のことを理解してもらえていないというように感じているように思えます。うぐぅ…(苦悶の表情)。なんだこの関係性…。心底分かり合えてる仲良し4人組アイドルユニットだと思っていたのに…。
 今回のカードコミュでもやはり透の何か新しいことをしてみたい、未だ見ぬものが見てみたいという姿勢や価値観が見えたコミュだと思います。その一方でそれを深く理解している人間も周りには居なくて透は悩んでしまっている部分も見えるという【ハウ・アー・UFO】でも読み取れる内容の補強となっていると思います。とはいえ、特に最後のコミュでの透が自身の価値観を周りに理解されていないように感じているような描写を【UNTITLED】樋口円香の後に出してくるのはもうどういうつもりなんだシャニマスくん?「私だけが浅倉透を知っている」…?円香…お前はもう……。

2020.12.11
 コスチュームガシャにてノクチルの新規衣装が追加

 さて、シャニマスの中でも特に悪い文明でお馴染みの有償石限定コスチュームガシャも開催されたのですが、上記の告知画像の通りユニットごとに別々の衣装となっています。そしてこの衣装たちは基本的に今まで実装されたカードでの衣装になっています。
 が、ここまでノクチルの全てのカードの中にこの時実装された衣装「ラブラフラビッツ」を着ているカードは存在しません。そのためこれから先に実装されるカードでの衣装なんじゃないかと言われていましたが、この記事の公開時点でもいまだに実装されていません。どういうことなの…。ただ結構夏っぽい衣装なのでもしかしたらまだ先なのか、それとも実は全く関係なくデザインした衣装なのか…。シャニマス君のやることは時々よくわかりません。

2020.12.13
 4コマ漫画「運命を共にする」、公開

 とうとうこいつら殺人までしたのか…。そんな訳はない【pooool】浅倉透に合わせて公開された4コマ漫画です。普通にプールに入ったボールを取りに入っただけなのに犯罪を犯してしまった感じにするな。しかしながらこれは死体を隠しているようにミスリードさせていますが、幼い頃からの4人組の友人たちが死体をどうこうするというのは、かのStephen King原作の名作映画「スタンド・バイ・ミー」を感じさせますね。
 4人組の友人たちによる波乱万丈前途多難な冒険という意味合いではノクチルが「スタンド・バイ・ミー」をモチーフにとっているという可能性は十分に考えられますが、映画のストーリーやテーマみたいな部分を考えるとなかなか切なくもなりますね…。

2020.12.22
 シャニマス流行語大賞2020、決する

 毎年恒例になりつつあるシャニマス流行語大賞が今年も開催されました。おそらくノミネートは4つに絞られるルールがあるのですが、今回のノミネートは…、

・浅倉透「財布ないわ」
・黛冬優子「ふゆたちは空中戦じゃ分が悪すぎるでしょ…!」
・さなぴー「見たよ、アイドルの愛依」
・樋口円香?「もぎたて♡にーちゅ」

の4つとなりました。なんだこのラインナップ?顔は良いけど財布の無い女、アイドルなのになぜか空中戦で分の悪い女、特定のグラフィックも名前表記もないのになぜか口調だけで存在が確認されるモブ、もはやだれが書いたかどういう意味かもわからない言葉のぶつかり合いとなりました。ある意味でシャニマスの「濃さ」みたいなものがあふれ出る選出ですが、果たして結果はというと…。

知ってた。

 2019年の大賞は灯織の「餃子、パリッとさせたくて」だったのですが、「財布ないわ」と同じく大量にネタ動画なんかが溢れかえっていたことや、財布が商品化したことを考えると順当な結果と言えるでしょう。やはりこの2020年、透のもたらしたインパクトの大きさというものは大きかったと、そう思わせます。財布を忘れただけで天下を取った女、浅倉透。

2020.12.29
 ノクチルの新シナリオイベント「海へ出るつもりじゃなかったし」の予告公開

 「天塵」から半年くらいしか経たないうちにまさかのノクチルの2番目にストーリーイベントが予告されました。なかなかにたまげましたね。新年早々に俺の脳に負荷をかけようというのか…。どうやら正月早々のお仕事のお話のようですが、何やら謎の英文が登場します。

BETTER DROWNED THAN NOCTCHILL
As you may know...
They didn't mean to go to sea.
IF NOT NOCTCHILL WON'T DROWN

ノクチルでいるくらいなら溺れたほうがマシ
知ってると思うけど…
やつらは海へ出るつもりなんかなかった。
ノクチルじゃなきゃ溺れはしなかったのに

 不穏。そんな言葉が脳裏をよぎります。とりあえずこの言葉を調べていくとどうやらArthur Ransomeという児童文学作家の作品「ツバメ号とアマゾン号」「海へ出るつもりじゃなかった」という、「ランサム・サーガ」と呼ばれている内の2作品が元ネタにあるとなんとなくわかります。2つ目なんかモロですよね。このシリーズもどうやら4人組の少年少女が主人公らしいのでもう間違いないですね。
 どうやら1行目と4行目にある文が「ツバメ号とアマゾン号」に登場する電報の内容である「オボレロノロマハノロマデナケレバオボレナイ」(溺れろノロマはノロマでなければ溺れない)という言葉の原文であるようです。この時点では何やらという感じですが、実際のストーリーのほうではこの作品がモチーフなのだろうと思わせる部分はたくさん出てきます。
 「天塵」でもそうでしたけど、ノクチルのストーリーのモチーフに取られている英文の内容は、ノクチルに当てはめてみると基本的にノクチルを否定するような内容になります。これらはある意味でノクチルがアイドルの文脈から外れていることを感じさせます。
 しかしながらノクチルはそういう文脈を外すことで見えてくる輝きがテーマであることはここまで何度も述べてきました。そういう部分から考えるならおそらくまたこのストーリーでもきっとこいつらはまたアイドル的な常識から外れたことをしでかすだろうという風に思えますよね。ぶちかましに来るなあ~こいつらいつもいつも。でもそこが好き!

2021.1.1
 「海へ出るつもりじゃなかったし」、開催

 あけましておめでとうございます。いきなり新年早々にノクチルの新たな物語が幕を上げやがりました。開催告知画像にもだいぶ意味深なポエムが書いてあってのっけから脳に大きな負担がかかります。「ノロマ」という単語もここで確認できますね。やはりArthur Ransomeの作品が元ネタなようです。俺ももうお前たちの沼に嵌ったことを巻き戻せそうにないよ…。助けて…。

画像180

 オープニング「ノロマたちの午後」では何やら何者かが透の部屋で「ピース・オブ・エイト!」「オキロ!ノロマ!」と叫んでいます。いきなりなんだ?と思いますが、この「Peace of eight」というのは16世紀のスペイン銀貨のことらしく、「宝島」なんかに出てくる海賊の肩に乗ったオウムが叫ぶ言葉でもあります。その関連もあってか、透は海賊の夢を見ていました。
 その後4人は年末年始休暇中の透がしめ縄のお使いを頼まれたようでそれに同行しています。透によると親戚の旅行中にオウムを預けられていて、それがやかましいという話をしています。本当にオウムだったのか…。透はオウムに「ノロマ」と言われているということについて「休みだし」なんて言っています。会話もそこそこに小糸が選んでくれたしめ縄を買います。
 一方でシャニPはというと事務所で仕事と掃除をしています。はづきさんに掃除は終わらせとけと言われたようですが「完了を定義するのは俺だ」なんていって切り上げます。シャニPもこういうとこあるんですよ~いいですねえ。そこでは年末の神社を生中継しているテレビが付いていて、シャニPはテレビを消すとちょっと寂しいと言って付けっぱなしにしてます。

画像181

 その中継されている神社の近くにたまたまノクチルはいました。カメラを見つけた4人は近寄って行ってカメラの後ろで「ピースピース」なんてしています。クソガキかよ!しかも円香も乗り気でピースしてます。樋口円香というやつは実際はこういうやつです。
 小糸だけが周りを諫めていますが、こいつらは一応にも芸能人なのに軽々しく中継カメラに写ろうというのは相変わらず意識が低すぎます。シャニPの事務所でついていたテレビにはこの様子が実は映っていましたがシャニPはそれを見ていませんでした。見られていたら軽くお説教でしたね。
 シャニPの方には営業の電話がかかってきているようですがあまりいい話は来ていないようなところを見せつつ、透は帰宅します。透は透ママに「テレビ出るかも、神社にテレビ来てたから」と言い、透ママと軽口を言い合っています。こことても仲良しな感じで良いです。一応芸能人なのに神社の中継カメラにふざけて映っただけで「テレビ出るかも」だなんて報告するのも本当に意識低すぎてもう意識が海底2万マイルです。なんかこうもっと…あるだろう!!
 そして透はうるさいオウムに「黙れ」と言いつつ眠りにつき、いつもの日常の一日がまた終わりました。

画像182

 さて、第1話「タック用意」でシャニPは何かノクチルに仕事を取ってきたようで、そのことをノクチルのみんなのグループチェインに書きますが、誰からも返信が来ません。そのことで通話したいとシャニPはさらに書きますがやはり返事はありません。透は相変わらずダラダラしているし、雛菜は両親とお食事中で、円香は図書館にいるようで誰も応答しようともしません。
 小糸は年末でも勉強中です。偉い。ひと段落付いたところでシャニPのチェインに気づき、誰も返事していないことに焦ってシャニPを通さずに全員に連絡して代わりに返信します。あのシャニPといえども彼女らの輪に入り切れていない部分があるように感じさせます。
 そこで夜にみんなで通話し、「アイドル運動会みたいな仕事にキャンセルが出て、その埋め合わせの仕事がある」「しょぼい仕事だが共演者が豪華だからありがたがる人もいる仕事だ」「無理して受けなくてもいいけど元日までに返事を」と伝えます。加えて「連絡も一つの仕事と思ってくれ」という説教が入ります。
 かなり優しい言い方の説教なのはシャニPらしいですが、4人の意識の低さ(小糸は本当は違いますけどね)によって情報伝達すら上手くいかないところは流石のシャニPでも看過できないようです。それを受けた4人はちょっと気まずい感じです。こんな風にアイドルがプロデューサーに説教されて空気が若干悪くなるなんてことを普通にやるのもいかにもシャニマスって感じです。うぐぐ…(脳負荷上昇)。
 しかしそんな説教を受けたにもかかわらず、それぞれ思うところはありつつも4人はその後仕事について話すようなこともなくもう完全に締め切りまで返事を引き延ばす姿勢です。こいつらほんま!!まあ考えるのめんどくさくて先延ばしするのは私もそうなのでなんにも言えません。シャニP頑張ってくれ~。

画像183

 さて、ここの第一話で小糸が勉強しているのはどうやら世界史か倫理の勉強で習う「啓蒙思想」「社会契約論」なんですが、このことはかなり意味深いものを感じます。

ルソーは人間の本性を、自由意思を持つものとして考え始める。自然状態(ルソーは「相互的孤立」の状態と称した。)では各個人は独立した存在として自己の欲求を充足させるために行動し、生存の障害が発生すればその解決のために各個人同士で協力関係を求める。こうして生じる個々人の約束は社会契約の概念として把握される。社会契約の枠組みに従って国家が正当化されるためには、人間の自由な意思が社会契約の中で保障されていなければならず、本書では個人のための国家の在り方を論じている。
社会における全ての構成員が各人の身体と財産を保護するためには、各人が持つ財産や身体などを含む権利の全てを共同体に譲渡することを論じる。(中略)立法者は制度や習俗を構築することで共同体を構築する。さらに、人民の習俗が維持するための監察官を用意することで、社会契約や法の絶対性を教義とする市民宗教を教育し、共同体を維持する。

Wikipedia「社会契約論」より

 色々調べて書くのめんどくさいのでWikiコピペです。大学生諸君は真似しないように!教授の意地が悪いと単位落とすよ!!!
 要は個人はほっとくと自分のために行動するけど、そこに障害が発生したときには協力し合う関係の約束が生じることを契約とし、その契約のなかでの個人の自由の保障を元にして共同体を構成するのが社会であるみたいな話です多分。そしてそのために各人の財産や身体を共同体に譲渡しなくてはならない(言い換えれば常識に従うということ)という部分があります。
 「天塵」での彼女たちの生配信での事件では、求められるルール(=常識)よりも「いつも通りの私たち」(=非常識)であることを優先しましたが、このことは「常識に従うことでその範囲内で許される自由な意思の保障から成り立つ共同体の維持」という部分への反逆です。ノクチルはそういう芸能界的・アイドル的社会常識によって保障される範囲の自由なんてものは我々のやりたい自由じゃないというスタンスをあの事件では示しました。ロック。
 しかしながら、これを勉強していたのは小糸です。そして真っ先にみんなの意見をまとめてシャニPとしっかり連絡を取ったのも小糸です。これまでのノクチルのコミュでの小糸の立ち振る舞いを踏まえて考えるならば、やはり小糸こそがこのノクチルの中で唯一の「社会常識」であり、小糸の存在によってノクチルをアイドルの範疇に収めることができています。小糸偉い~~~!!
 また、引用部の後半に「監察官が市民を教育して共同体を維持する」という記述があります。この監察官にあたる人物が誰かはもうお判りでしょう。そう、俺たちのシャニPです。前述での説教の部分もそうですが、今までもシャニPはノクチルのことを決して全肯定するわけでは無く、一人の良識的な大人として彼女たちを弱かったり未熟な部分をカバーして導こうとしてきました。小糸もそうですが、シャニPのそういうスタンスもまた彼女たちを「社会」につなぎ止めつつ、前に進ませようとしています。ありがとうシャニP…こいつらをアイドルにしてくれて…。

画像184

 第2話「風のない夜」では大晦日になったようで、小糸は外を歩いて年末の特別感を味わっていたり、透と円香は透の部屋の掃除をしています。円香は追い出されたとか言ってますが多分自分の部屋を掃除するの面倒くさくて来たんでしょ。自分の部屋掃除できないくせに他人の部屋ならできる、正直死ぬほどわかる。雛菜は両親とともに買い出し中のようですが、雛菜によるとどうやら4人は夜中から歩いて神社まで初詣をしにいくようです。
 大晦日の夜、透と円香はまず小糸の家に迎えに行きます。夜中に3人で出歩いていることが小糸としてはとても楽しいようで、やはり普段の優等生っぷりから考えると大晦日くらいしか夜中に外に出ることはないのでしょう。なんか抑圧されていた優等生が不良に悪いこと教えられて快感を知るみたいな状況ですよね、実際そうだと思いますけど。
 さて雛菜も合流したところで、小糸がシャニPが言ってた仕事についてみんなはどうするのか決めたのかと問います。円香はわかっていましたが透と雛菜に関してはすっかり忘れていたような感じです。そこで透は出たい人はいるかと聞きますが誰も手を挙げません。「別に無理強いされてないし誰もやりたがってないならなしで」と適当な感じで受けないことを決めました。
意識低いな~とは思いますがまあ年末年始に大したもんでもない仕事で気を揉みたくないですよね。このなんとなく誰もやりたがらないでなあなあに物事が流れる感じの描写の生々しさにはちょっとゾクゾクしましたが…。シャニマス怖い。
 さて、歩いていると年を越す寸前になりました。雛菜と合流する前にも言っていたのですが、透は「0時0分00000秒にジャンプしよう」と言います。年が変わる瞬間に飛ぼうという定番ネタなんですが、なんだか特別感のある行為であるのは間違いありません。また、これに関連してここでは透特有のポエムが挟み込まれていますが、ここに抜粋しておきます。この「海へ出るつもりじゃなかったし」に出てくる浅倉ポエムは滅茶苦茶良いです。

画像185

濡れてるみたいな
光ってるみたいな道
どれだけ先の音も伝えられる
透明な空気
何かが終わるときと
始まるときがまざる
いつでもない時間
どこにもつながっていない道
0時0分00000秒にきっかりに
飛んだら、どうなるか
0時0分00000秒にきっかりに
飛んだら
きっと
すべては消えて
ほんとの世界になる

「海へ出るつもりじゃなかったし」第2話「風のない夜」より

 完全に一つの詩として完成してるだろこれ。シャニマスライター陣のライティング能力には感嘆の息が漏れます。もう透は詩集を出せ。
 今日から明日へ変わる境目の夜、今年から来年へと変わる境目の大晦日、それを「何かが終わるときと始まるときがまざる いつでもない時間」と表現していますが、このいつでもない時間というのが「0時0分00000秒」ということになるでしょう。これまでの過去でもなければ時間の経過した未来でもない、そういう「いつでもない」瞬間に飛び立とうというのです。
 これは【10個、光】のTrueコミュで透が言っていた「『ここ』が誰かのものじゃないといいなって思った」と言っていた部分と重なり、今までの日常の中で見えていなかった「特別感のある瞬間・空間」を求めている姿勢から来るものだと感じられます。そういう瞬間・空間を見出すことが「ほんとの世界になる」ということなのでしょう。こういう部分はこれまでたくさん見えていました。
 しかしこれはおかしな話です。冷静に考えれば、まだ10代の彼女たちにとって端役といえども幼馴染4人組アイドルユニットとしてテレビに出演する、そのことの方がよほど特別なことだと思えませんか?そして透にはそのチャンスがあったはずですが、それを「別に誰もやりたがってないし強制されてもいないから」なんていう適当な理由で蹴りました。
 透にとっての「特別感」はテレビ出演なんかよりも、「年越しの瞬間0時0分00000秒にみんなでジャンプすること」のほうが強く感じられるのです。
これまで幾度も確認してきたように、透は「退屈な幼馴染との日常」という重力に引っ張られていて、そのことに結構やきもきしていてます。確かにその重力の要因として周囲の幼馴染3人の存在があるとは思いますが、ただ本当に日常を吹っ切りたいなら今回の仕事だって受ければよかったはずです。確実に未知の体験ができたはずですから。
 しかしそれでも透はそれを蹴り、いつもの日常の中に特別感のある未知の輝きを見出す方を選びます。透がこの「日常」に縛り付けられてしまうのは、そういう透の「日常の中で特別を見つける」という価値観に基づく要因も少なからずあるという風に思います。
 ただこれは、「天塵」でのシャニPがノクチルに見出した「言葉にできない輝き」の本質に近い部分だろうと思えるなので、透の価値観自体が間違っているわけではありません。しかしなぜこうなるのかと言えるとするならばそれは、透を含めてノクチルのみんなはとにもかくにもまだ未熟なのです。イベント開催告知の画像にある「まだ青く硬い心」というのはそういうことを表しているのかなと思います。

画像187

 さて第3話「口笛」では、名前の表記が船長やら航海士やらとなっていますが、ノクチルの面々で船に乗っている夢から始まります。ボーイの小糸が「いつ船を出すのか」という問いに船長の透は「風さえ吹けばいつでも」と答えますが、天気が良すぎて風が来ません。透は「風が来ないなら呼ぼう」といって口笛を吹きます。ここで小糸は口笛を吹けずに普通に声で「ぴゅ~」とか言ってます。可愛い。
 どうやら本当に風が来て、船が進み始めて何かが見えたというところで透は母親に起こされます。夢から現実に急に引き戻されている感じです。
 小糸の方は小糸ママと妹とショッピング中です。そこで見かけた雑誌にこの前断った仕事が表紙を飾る雑誌を目にして、4人でシャニPに仕事を断る意思を伝えようとしたときのことを思い出しています。この回想の中で、透は仕事を断る旨を伝えることを小糸に押し付けていますが小糸が食い下がってみんなで文面を考えることにしています。透よ〜…少しは上級生としての威厳を見せてくれよ…。
 小糸としてはどうにもその断った仕事が気になるようで、周りがやりたがらなかったから言い出せなかっただけで本当はやってもいい仕事だったのかもしれません。

画像189

 円香の方は家の用事をこなしつつ、小糸と同じく仕事を断った時の回想をしています。そこでは先述のようにみんなで文章を考えていますが、ああでもないこうでもないと(特に小糸が)思案しています。
 微妙に文面が上から目線になってしまうことを小糸は気にしていますが、雛菜が「お仕事は(シャニPや番組側と自分たちの立場は)どっちが上?」という疑問に対して円香が「頼む方が(つまりシャニPと番組側が)下じゃない」となかなか恐ろしいことを言っています。そのスタンスが許されるのは結構な立場の人間だぞ樋口。取り敢えず透と小糸の案により当たり障りのない文章が作れました。
 この様子を見た雛菜は「文章打つだけで上とか下とか大変」と言います。芸能界は上下関係に厳しいなんてよく聞きますが、やはりノクチルというユニットに関してはそういう常識が一切通用しません。小糸のおかげで何とか体裁は保っていますが、もし小糸がいなかったらもうとっくに干されきって空中分解してたでしょう。

画像186

 仕事を断るという旨を見たシャニPは「今回は仕方ないし俺も賛成だ」としつつ、「仕事を考える上でやりたいかやりたくないかという部分も大事だけど、自分たちがどうなりたいかというところも考えて選んで欲しい」ということも言っています。要は「即時的な感情で目の前のことを判断せずにアイドルとしての将来を見据えて動け」ということですね。
 取り敢えずはみんなそれには返事していますが、その後小糸は「みんなはどうなりたいんだろう」と言い、少なからず小糸については恐る恐るながらも将来を見据える姿勢があるのだろうと思えます。

画像188

 一方で円香は相変わらずダウナーに「天気がいい、暇だね浅倉」と独り言を言っています。この部分は第3話冒頭の透の夢と重なっていて、「天気が良くて風が来ない」、つまり彼女たちがいまだ全然前に進めていないことを表します。透は「風が吹けばいつでも」と言ってはいるものの風が吹かないのならば進めません。やはりどこかで「風を呼ぶ口笛」を吹かなければなりません。でも、誰が、いつ、どこで、どうやって吹くのか。彼女たちはまだそれが分かっていないのかもしれません。

画像193

 第4話「汽水域にて」に入ると、雛菜は両親と一緒に温泉に来ていてツイスタを眺めながら楽しんでいます。大晦日の時に旅行に行くということは言っていました。まあ仕事より温泉旅行の方が良いよなあ~そりゃ。
 小糸の方は年始でも相変わらず勉強中です。偉すぎる。その一方でやはり「これからどうなりたいか」というシャニPの問いについて考えていながらもみんなからの連絡がないことを「正月だから仕方ない」とあきらめています。やはり小糸は自分の考え方が正しいと思えないのか、「自分がどうしたいか」ではなく「3人がどうしたいか」の方を優先してしまいます。

画像194

 透も円香もどっちも暇そうで、テレビを見てたり散歩にいって買い物をしてたりとゆるゆるな正月を過ごしています。一方でシャニPは早々に仕事始めなようで、プレイヤーもみんなお世話になっている善村記者と出会い、そこで「アイドルバトル」の話を聞かされています。これはノクチルが断った例の仕事のことで、どうやらそこで283プロの名前を出して仕事を流してくれたのは善村記者だったようです。それを断ったことについてシャニPは気まずそうですがある程度仕方ないと諦めてもいるようです。
 この仕事について小糸は第3話で書店に行ったときにこの仕事が載っている雑誌を見て思い出していましたが、この時実は円香と雛菜もこの番組についての情報をそれぞれ目にしていて、仕事の話があったことを思い出しながら何か思っています。また、透は家に来ていた親戚の子に「アイドルなのになんでテレビ出てないの?」と問われ、なんともあやふやな返事をしていますが、珍しく少し動揺しています。おそらくこの時の透の脳裏には例の断った仕事のことがちらついていたと思います。
 透・円香・雛菜の3人は何も考えずにアイドルやっているように見えますが、本当は蹴った仕事のことをすぐに忘れてしまう程に適当な人間ではないと思わせます。

画像190

 小糸はみんなが動き始めるのが待ち遠しいようで、いつまでも連絡がなく何も起きないことが少し残念そうです。小糸も透とはまた違う形ですが変化を望んでいるので、何も起きないということを良しとはしません。そんな折、なにかシャニPから連絡があったようです。何か動きがあったのでしょうか。

画像195

 第5話「ココア・説教・ミジンコ」ではとうとう正月休みも明けて、ノクチルみんなでミーティングするようですが透と円香が来ません。小糸が「補講が長引いているのかな」と心配していますが、こいつらがちんたら長引かせているのは「歩行」です。この意識低い系不良どもがよ。ミジンコの話とかしてる場合じゃないんだよ。
 透は隣の男子のミジンコのスケッチが超上手くて完璧だった100点じゃんというよくわからん感想を話しています。夜光虫である彼女たちは分類的には確かにミジンコみたいなものではありますが、ミジンコは光りません。全然100点じゃありません。ミジンコのままで終わらないでくれ。
 一方では雛菜が事務所の冷蔵庫を漁っており、小糸は諫めていますが結局流されてココアを一緒に飲んでいます。それをシャニPに見られた小糸は最速謝罪をキメていますがシャニPは逆に何のことかと驚いています。小糸は真面目なんですが必要以上に恐縮してしまう癖があって、そのせいで変な振る舞いになってしまうことがあります。真面目過ぎてもそれはあまりよくないですよね。

画像196

 そうこうしているうちに透と円香も事務所に来ました。二人はさっそくシャニPから説教です。「連絡も仕事」と言われていたのにも関わらず連絡も無しに遅刻したからです。
 事務所に来るまでの間に円香は「小糸と雛菜だから待たせてもいい」というような発言をしていますが、これは透や円香にとってはいまだに「ノクチルというアイドルユニット」というものがただの幼馴染の集まりでしかなく、シャニPや関係者も介在する「仕事」であるという意識が完全に欠如していることを表しています。なまじ幼馴染という深い関係であるということからくる弊害ですね。
 説教もそこそこにシャニPは仕事の話をします。どうやらあの断った「アイドルバトル」の後半に種目として騎馬戦が追加され、それの出演の打診があったと言います。ただしこの仕事には実質的な主役のユニットが居て、ノクチルレベルの新人はまともにカメラもつかないだろうと言っています。あんまりいい仕事と言えるほどのものではないようですね。
 しかし、「天塵」での花火大会の時もそうでしたが、本当に何でもないようにみんな「やる」と言います。「なんとなくみんなやりたくないからやらない」のとまったく同じノリで「なんとなくみんなやりたいからやる」のです、こいつらは。非常にノクチルらしい点です。

画像197

 「将来を見据えて考えて動け」と言っていたはずのシャニPですが、随分と適当なノリで仕事を受けたノクチルのことを嬉しがりつつ、そのノリに乗じてシャニPの方から仕事を受けるための条件を付けます。その条件とは「仕事を受けるなら騎馬戦で優勝しろ、出来ないなら受けない」ということでした。
 は???いきなりどうした?ノクチルの扱いが難し過ぎてシャニPとうとう狂ったんか?と思える発言です。シャニPらしからぬ無茶苦茶な言葉ですが、それでも彼女たちはその条件をいつものノリでだいぶあっさり飲んだようで、小糸は条件を達成できるのか不安そうです。
 円香はこの条件について、「シャニPは私たちを努力しろとか考えて行動しろとか説教したいがために設定したもの」と言います。実際この「海へ出るつもりじゃなかったし」では説教されるポイントが多いですが、それでもその思考はひねくれ過ぎだお前樋口お前!とはいえ意味不明な難しすぎる条件であることは否めません。まさかノクチルが異常に騎馬戦が上手いなんてことはないだろうし…。
 そんなことを言いつつも騎馬戦の布陣を考えますが、上に乗るのは小糸ということは一瞬で決まりました。まあ一番軽いので妥当ですよね。また小糸の活躍が見れそうで震えます。俺の娘…。

画像212

 家までの帰り道で円香は「優勝するなんて簡単に言いやがって」と愚痴ります。透は「もしかして出たくなかったのか?」と問いますが、透は適当に答えを誤魔化して、逆に同じ質問を返してきた円香に対し「暇だったし、なんかいいじゃん」と答えました。透は特に明確な理由もなく走り出しまています。
 「もうたらたら歩いていられない」という透に対し、円香は「優勝しろと言うならする」という決意を見せます。明確な意味が無くても走り出してしまえばどんどん前に進もうとする透と、どれだけの理不尽をぶつけられても誰かに期待されてしまえばそれには応えようとしてしまう円香の姿勢が見て取れます。今までもさんざん見えていましたが、こういう円香の部分を考えるとシャニPもなかなか酷なことするなと思います。円香…。
 こうして4人はなんともなくひとつの仕事に向けて動き出します。これが「風」です。誰がいつの間にどうやって吹いたか、「風を呼ぶ口笛」はいつの間にか吹かれていたのです。実は口笛を吹くのは彼女たちにとってはとても簡単なことで、「なんとなくみんなやりたがる」というただそれだけなのです。彼女たちはその方法を知らないようで実はずっと昔から知っていたはずです。それをシャニPは呼び起こして見せました。すげぇ…。

画像250

 さて、第6話「あけの星にくちづけ」では4人が騎馬戦の作戦会議と練習をしています。小糸は上として、雛菜が前で上級生二人が後ろです。慣れていないのかふらふらしていたりでちょっと不安です。
 ここで条件を飲んだ時の回想がありますが、シャニPは仕事について「優勝できなければ受ける価値のない仕事だと思う」「優勝できなかったらと言ってどうこうしない」「でも優勝したら見えるものが変わると思う」と話した結果、全員はその条件を飲むことにしたようです。かなりフワッとした話ですが、シャニPもノクチルの扱いの難しさで気が狂ってとんでもない条件を課したわけではなさそうですね。
 「見えるものが変わる」というのは第2話での浅倉ポエムでの「ほんとの世界になる」という部分とリンクするものであり、とりわけ透を動かすには最高のモチベーションとなったのでしょう。結局のところ、シャニPとしても多分一番彼女たちに伝えたかったのはその部分です。

画像223

 このノクチルへの仕事への臨ませ方とでもいうべきシャニP取った態度は一体どういうことなのでしょう。少し考えてみます。
 これを考える時に大切なのは【かっ飛ばし党の逆襲】でも述べた「手段と目的の倒錯」です。透によく見られる「手段と目的の倒錯」といえる部分はノクチルの「アイドルは目的ではなくみんなで一緒に居るための手段」という風な状況とリンクするということも当該部分でも述べましたが、今回のシャニPの態度はこのノクチルの一種の倒錯したアイドルとしての在り方に対し対応してきた形と取れます。
 こういうシチュエーションの場合、「優勝して芸能界に爪痕を残すために仕事を受ける」といった、「良い結果を残すこと」を目的としてアプローチするのがアイドル的には王道なのですが、このノクチル相手にそのアプローチは通用しません。「天塵」でも全く同じような感じでしたが、「みんなで一緒に何かすること」が目的の彼女たちにとっては、自分たちが「みんな一緒にアイドルをしている」という時点でアイドルとしての目的を既に達成しており、アイドルとしての目標らしい目標がないからです。
 それをどこか理解しているシャニPは、本来なら目的であるはずの「優勝」の方を「仕事を受けるための条件」としました。これは本来ならアイドル的には良い結果を残すための「手段」であるはずの「みんなで仕事をすること」、つまり「みんなで一緒に何かすること」の方を目的として提示してきたと言えます。
 このことはシャニPが「別にアイドルがみんなで一緒にいるための手段でもいい」という風なスタンスを取ったことを意味します。このストーリーの前半の方でもノクチルに対して「しっかりアイドルとしての将来を考えて動け」という説教までした真面目なシャニPにしては妥協したかのように思える態度ですが、ノクチル相手には変にそれらしい目標を設定して綺麗事で背中を押したりするよりもこういう形にした方が良いとどこかで理解したのでしょう。そうして「優勝する」という難しい謎の条件を飲みこませました。この男天才か?

画像198

 そして透は騎馬戦の練習で走り回っている時に、物理的にもでしょうが、「風」、そして「風がくる予感」を感じています。
 厳しすぎる条件、わざわざやるほどでも無い仕事、騎馬戦。ひとりの少女がアイドルになって、ステージで歌って踊って、光って、輝いて、人生変わったなんていう分かりやすいアイドルの文脈からはあまりにも程遠い仕事と、そのための練習の中で、彼女たちの海賊船の後ろからは確かに「風」が吹き始めました。「オキロ!ノロマ!グズグズスルナ」。怠惰で小さな海賊団の船は出航間近です。

画像214

 さて、場面は切り替わり3人で透の部屋に集まっていますが、透は学校で居残り宿題のようです。雛菜はオウムと話していますが、オウムは「ア~」とか「ン~」しか言わなくなっています。だってもうノロマたちは起きたし、スペイン銀貨を探しに海へ出る準備も完了したからね。それがあんまり面白く無いのか雛菜は「シャケ」という言葉を教えようとしています。
 おそらく「ア~」みたいな言葉は透から学習したものと思われますが、透は相手の言葉をそのままオウム返しすることが結構あるのでそういった意味合いでのオウムというモチーフでもあると思います。
 一方で透は第1話でオウムが「なつかない、言葉は覚えてくれない」という風な発言もしていますが実際には透から言葉を学習してしまっているので、透が思考のアウトプットの上手くいかない内に自覚なく周囲に影響を与えてしまうという透の難しい立ち位置を表しているようにも思います。

画像215

 また、ここで透の部屋にあった本を円香と小糸が読んでいますが、どうやらその本は元ネタとなっているArthur Ransomeの「海へ出るつもりじゃなかった」のようです。この作品は4人の兄弟が田舎の湖でキャンプをして船乗りごっこしながら海賊と戦うふりなんかをしているうちに海へ出ないという約束を破って海へ出てしまうという冒険物語です。
 その兄弟4人の「湖での船乗りごっこ」を円香は「私たちも同じ、自分たちのいるのは湖なのに」と言いました。これは「自分たちのアイドルなんてせいぜい真似事レベル」という意味合いで言った後ろ向きな発言ですが、透が「天塵」で花火大会の仕事を決める際に発した「でもさ、行こうよ。海だって、これ」という発言を思い出し、「だけど海を知らないわけじゃない」と加えて言いました。
 これは円香はあのしょぼい花火大会のステージを「全然悪くなかった」という風に感じていたことからなのか、透がもうすでに走り出してしまっていることに追いつこうとするから来るのか、もしくはその両方かといったところの発言ですが、ノクチルの中でも特に腰の重い円香も前に進む覚悟を決めています。たとえ「ごっこ遊び」でも海に出ることは可能ですからね。

画像192

 さあ、またもここで深読みし過ぎの余談タイムです。この第6話では雛菜がオウムに「シャケ」という言葉を教え込んでいたシーンがありました。この「シャケ」の意味を考えます。
 そんなとこまで考えなきゃダメ?と思いますよね。私もそう思います。でもこれはアイドルマスターシャイニーカラーズです。異様なまでの作り込みのキャラクターとストーリーをぶつけてきやがるため色んな部分に意味を求めてしまうのです。シャニマス読解症候群です。助けてくれ。
 さて、「シャケ」というのは当然我らが日本の食卓での強い味方、鮭の事です。美味しいですよね、鮭。そんな鮭といえば、生態上に有名な特徴がありますよね。ご存知かと思いますが、産卵のために海から川を遡上する生き物です。このことから、鮭は海水でも生きることのできる淡水魚ということで、川で生まれて海で育つ生き物であると言えます。
 ここでさらにひとつキーワードを加えます。「汽水域」というものです。「汽水」というのは「淡水と海水の混じり合った水」のことで、そういった特殊な環境からか栄養分も生物相も豊富な状況になるようです。ところで、どこかで「汽水域」という単語を目にしなかったでしょうか?
 見返してみると、第4話のタイトルが「汽水域にて」となっています。第4話の内容はシャニPとノクチルの4人が「アイドルバトル」の仕事を断ったことで特にすることもなくなって休暇を満喫したり、いつものように仕事や勉強をしつつも、みんな頭の片隅にそのことが残っていて少し思うところがあるというような内容でした。これは言い換えてみれば、みんなが「あの時あの仕事を受けていてもよかったのでは?」と感じていたという風に解釈できます。
 お察しできたかと思いますが、5人はこの時「やってみた方がよかった」という海水「やらなくてもよかった」という淡水の混じり合った「汽水域にて」日々を過ごしていました。
 透の記事の中で良く触れている内容として、「透は外に向かいたい気持ちと日常に引っ張られる間で揺れている」ということを良く書いてきましたが、私はシャニPまで含めて、ノクチルという存在は2つの間で揺れる部分がかなり多いという風に考えています。
 円香は「求められるような存在でいること」と「自分が求めらるような存在だと思えないこと」、小糸は「理想の自分」と「そうなれない不甲斐ない自分」、雛菜は「しあわせな今」と「それがいつか終わるという無常」、シャニPは「ノクチルの人間的に未成熟な部分を残すこと」と「監察官として社会常識に従わせて真っ当に道を歩かせること」といったような葛藤の狭間でみんな揺れているように思えます。きっとみんな汽水域にいるんですね。
 その汽水域を乗り越え、川と海を行き来できる魚、それが「シャケ」です。シャニPとノクチル、5匹の魚たちは鮭となり、汽水域に止まることをやめ、海へと飛び出さなければならない、そういう意味での「シャケ」だと思います。なんだこのゲームは?どこまで深読みできるんだよ?フロムソフトウェアのゲームみたいだなお前な。そうさね。(冒頭語り婆)

画像198

画像199

 さあ帆を上げろ!とうとう騎馬戦本番当日です。
 控室では他のアイドルユニット同士が交流を図っていますが、それらは当然単純に仲がいいというだけではなく、関係を作っておくことでアイドルとして将来的な立ち位置を作る意味合いもあると思います。なので新曲なんかを他のユニットに渡しているアイドルもいます。芸能界だけに限らずですが、横にも縦にも繋がりがある方が強いものです。
 一方我らがノクチル、お判りでしょうが全く馴染めていません。が、特にそれで萎縮したりもしません。実質的な番組の主役が挨拶に来ても透はあくびをしています。自分たちが邪魔だと判断した円香によって全員で控室を出てリハーサルに向かいました。他者との協調性、絶無!!さすが~。

画像200

 外にはシャニPがいますが、そこにはあの善村記者もいます。偶然にも取材に来ていたようです。そこでシャニPは時間があるならノクチルのことも見て言ってやって欲しいと言って、「きっと時間を無駄にするようなことにはならないはず」と言って見せました。シャニPもまた、確かに「風」を感じています。

画像201

 リハの方では、雛菜が綺麗にしていた自分のネイルを完全に落としていることに気づいてみんなちょっと驚いています。ノクチルの中で一番マイペースで協調性が無いように見えてしまうことも多い雛菜ですが、今までの記事の中でも見てきたように、周りが見えていないような子ではないし、必要とあらば自分を犠牲にすることは厭いません。
 、そうそうしているうちにリハーサルが始まり、彼女たちは作戦通りに動いて見せます。そんな彼女たちの作戦とは…?

①ガン逃げ
②透と円香が周囲索敵、雛菜に伝達
③挟まれそうになったら他の戦いに巻き込む
④小糸は防御に全振り

というものでした。ガン逃げゴラァ!!!
 この番組は実質的な主役がいて、そのユニットがメインになることは間違いないのですが、そのユニットに向かうなどすれば映像に抜かれて爪痕を残せるかもしれません。しかし彼女たちは「優勝する」必要があるのでこの作戦です。バトルロワイヤル形式のゲームなんかをやったことがある人はわかるかと思いますが、ただ生き残るだけならガン逃げは最良の選択肢となることは多いです。

画像202

 しかしリハーサルでは周りの攻撃が激しく作戦は失敗します。小糸は申し訳なさそうに反省していますが、控室では「これがリハーサルだから知り合いは狙わずに自分たちを狙ってきた、でも本番ならみんなカメラが来る方に行くだろう」という分析を雛菜がしています。鋭い。諸葛亮孔明かよ。
 そして更なる作戦の改良により、「カメラを避ける」という形になります。オープニングで神社に来ていた生中継カメラに悪戯で映ろうとしていたこととは真反対です。このための対比だったんですね。
 それを受けた円香は「自分たちは何しに来たんだ」と自嘲しますが、そこはかとなく満足気です。それでいいぞ…!彼女たちはただ、「暇だったから優勝しに来た」だけなんだから。

 ところで、ここまでのノクチルのやり取りや姿勢、面白くないですか?彼女たちはどうしてこのような綿密な作戦を立て、練習を重ね、雛菜なんかはネイルを落とすなんてまでしたのでしょう?
 それは前述の通り「優勝するため」です。これは言い換えれば「優勝が目的だから」です。あれ?いつの間にこうなった?確か「優勝する」というのは仕事を受けるためのただの条件でしたよね。これがノクチルのとても面白いところであり、シャニPのやり方が成功した結果です。
 彼女たちは仕事を受けるための条件として、実際に優勝するかどうかという結果を差し置いて「優勝する」と宣言した時点で「みんなでやる仕事を受ける」という目的を達成してしまっています。これは「みんなでアイドルをしている時点で『みんなで一緒に居る』という目的を達成している」というノクチルの基本的な在り方に乗っかったシャニPが作った形であるということは確認しました。
 そうして残されたのは「優勝する」という条件だけ。しかもその条件を満たさなくても「お咎め無し」です。つまりこの条件はもう満たす意味がありませんし、シャニP自身も善村記者に対し「優勝しても特に美味しいところは無い」と言っています。「優勝しろ」というのはやはりただの方便でした。
 しかし彼女たちはいつの間にかその残された意味のない条件である「優勝」を目的化し、そのために協力・努力・反省・再挑戦を行いました。これってとってもアイドルらしい、つまり「アイドルの文脈的だ」と思えませんか?このことから見ても、彼女たちはアイドルの文脈を外す価値観の持ち主でありながらもアイドルの文脈自体を否定する存在であるとは言えません。むしろそんな価値観でもアイドルの文脈的な輝きを見つけることができるということの可能性を感じます。きっとこれがシャニPの求めているノクチルの輝きなんじゃないでしょうか。
 とはいえ相当に扱いの難しい連中のはずなのですがですが、シャニPの素晴らしい誘導によりなんとなく「仕事」という海に出てしまった彼女たちには「風」が吹き始め、その海ではもう無価値なはずの「優勝」という条件はいつの間にか、たどり着きたい光り輝く財宝になっていました。シャニPはここまで見越していたのか…?なんだこの男?有能なんて言葉では軽過ぎるほどの有能です。

画像203

 さあ収録本番です。ノクチル海賊団出撃!!!
 雛菜の読み通り、誰もノクチルを狙いません。じっとしてると怪しいからとふらふらと端っこの方で時間を潰しています。しかしどうやら4人はそれが楽しいようです。だってみんな一緒だから。結局のところ、汽水域を飛び出して海へ行ったとしても、彼女たちにとってはそれだけで楽しいのです。
 訪れた危機もなんとか回避しながら、なんとノクチルは残り3騎まで残ります。が、ここで作戦の練り直しが必要です。
 騎馬戦ではよくあることかと思いますが、残り3騎の状況で孤立するのは得策ではありません。こうなると1対2の状況になりがちで、つまり1騎でも日和ってしまえばその1騎が袋叩きになります。そのため3すくみの状況になってしまいますが、ここでノクチルは作戦会議でそのことを確認します。その上で小糸は「自分は小さくてリーチもないから普通に戦ったら負ける」と言いますが、じゃあどうするという話になります。そこで小糸は…。

画像204

 泣いた。いや泣くとこじゃないのかもしれないけど。私は小糸にクソデカ感情ですから仕方ありません。あの優等生で頭が良くて、でも社会常識に縛られて劣等感ばかり募って、怖がって前に出られなかった福丸小糸が「めちゃくちゃに暴れるしかない!」と言ったんです。こんな時まで優等生じゃいられない、どうせ逃げられないのならめちゃくちゃやってやるという姿勢をあの小糸が示してくれました。【しかえし優等生】とも重なりますね。エモ丸小糸〜!
 さてお判りかもですが、他の不良3人組はそういう中身の無い作戦が大好きです。作戦と言えるようなものじゃないのにすっかり乗り気で、透は更に「ジャンプしよう」という提案をします。リーチを伸ばしたいのかなんなのか、騎馬戦的に考えても意味が分からないですがもう何でもありです。なんせこいつらは常識なんかじゃ縛れない海賊アイドル、ノクチルです。
 向かってくる他ユニットに合わせて彼女たちは飛び立つ準備をします。特別でも何でもない日、理由もなく晴れ渡る空の下、どれほど頑張ったって大した見返りもないこの海で、今この瞬間が彼女たちの「0時0分00000秒」です!

画像205

昨日よりもっと輝け!!届け明日へ!!
せーの!!!!

画像206

飛べ!!!!ノクチル!!!!!!!!

―――起きてるよ、鳥
それで、帆を上げる
ピース・オブ・エイト
思い出した
あの 鳴き声は
小さな湖で
大海賊に 挑んだ少年たちが
手に入れた鳥
ピース・オブ・エイト
それは 世界を
手にする者たちの 言葉
死か 栄光か
ドンと轟く 砲弾の音
波間にひしめく 荒くれ者たちの声
ひるがえる 海賊旗
その海は、ぼくらの手に落ちる

「海へ出るつもりじゃなかったし」
エンディング「うみを盗んだやつら」より

画像207

 戦いは終わったようです。シャニPは事務所で一人笑っています。大丈夫か?どうやら最後の戦いを思い出しているようです。
 ノクチルはどうやら最後、みんなでジャンプしてバラバラになって負けたようです。それは確かに絵面的には面白いな!大事な時にミスって爆散オチなんて昔のアニメや漫画の小悪党みたいですけど、なんか「らしいな」って思えます。「挨拶だけはバラバラだけど、それがあなたたちらしい」、感謝祭編のトレーナーさんもそういっていましたよね。
 でもあの時彼女たちは間違いなく汽水域を飛び出して海へ飛び込みました。その結果はどうあれ、そこで見えたものは紛れもなく「ほんとの世界」だったはずです。シャニPの言う通り、「優勝」なんてどうでも良いんです。優勝できなかったとしても「優勝しようとしてみんなでアクションを起こした」ということが何よりも大事で、それによってノクチルは「ほんとの世界」の片鱗を見ることができたのです。
 「ほんとの世界」を見るためには勇気をもって飛び出してみるということが大切だということで、そういうテーマは今までのノクチルの物語の中でも見えていたものです。ノクチルという幼馴染という関係に固着してしまって一歩踏み出せない4人組が前に進むためには、なんでもいいからまず一歩踏み出さなくてはならなかったんですね。

画像208

 少し話は戻りますが、今回の仕事でのシャニPと善村記者との会話の中で、「やりたいわけでもやりたくないわけでもない、みんながやりたそうならやるなんてのが通るほどアイドルの世界は甘くない」「でもノクチルを見てるとそんなことどうでも良いと思える時がある」という話をしています。
そしてそのノクチルの感じ方を大事にしつつも、協調性もない常識から外れたやり方で、例え何の見返りも無くても「何かする」ということの楽しさも恐さも知って欲しいのだということを言います。
 シャニPの立場はやはり社会契約論的に言えば「監察官」ですが、アイドル世界の甘くない部分、つまり「社会常識に従わなければ成功しない」という部分を「どうでもいいと感じている」ということを鑑みれば、シャニPもまたノクチルのような「未熟な不良」の部分もあると思えます。はづきさんから頼まれた掃除を適当に切り上げたことはこのことを表していたんでしょうね。
 それを聞いた善村記者は「優勝しろ」という無茶ぶりをしたシャニPのスタンスを、「『いっぱい生きろ』ということを伝えたいのですね」とまとめます。これもう全俺が頷き過ぎて地球に地殻変動が起きたと思います。本当にこれ!流石敏腕記者です。物事を言語化する能力が異常に高い。
 シャニPも、プレイヤーである私も、彼女たちに「優勝」なんて求めていません。でも彼女たちが「優勝」という目標に向かって、努力や反省をして、失敗したり成功したりしながら未知の世界で精一杯前に進んでいく。それは彼女たちにとっては大変ながらも楽しいことだし、そういう部分こそが何よりも美しく輝くものなんだということがこの仕事で見えました。それが「いっぱい生きる」ということなんです。
 そして何よりその「いっぱい生きる」ということこそがオタクを感動させる「アイドルの文脈」なんだと私たちは知っていたはずです。ただ栄光を掴むだけがアイドルなんじゃないですよね。アイドルは「生き様」です。やはりノクチルは「アイドルの文脈を外しながらアイドルしてる」と言えます。やっぱすげぇよシャニマス君は!

画像241

 さて4人の方はというと、戦いを終えて帰路についています。いつものように他愛のない会話をしています。誰もシャニPの提示した条件を達成できなかったことで大きく落ち込んだりはしていません。いつの間にか「優勝」を目的に据えていた彼女たちですが、シャニPにとっても彼女たちにとっても本当は最初から優勝なんてどうでもいいものではあったはずですから後腐れは無いのです。
 とはいえ小糸としては「優勝したら見え方が変わる」というシャニPの言葉の意味が気になるようで、円香や雛菜に「勝ってないから見えてない」と言われて少ししょげますが、それでも「もしそういうのがあるなら見たい」と言います。実際にはこの仕事の中で彼女たちは一歩踏み出して「海へ出てしまった」はずですが、彼女たち自身にその自覚はあまりないようです。やはりノクチルの歩みはゆっくりですね。

画像209

 透をはじめとして他のメンバーは「正月が終わった」「今年が始まる」という話をしていますが、これは「天塵」での透の「長い夏休みが終わった」というものと同じ感覚です。彼女たちの時間はゆっくりと、それでも確実に前に進んでいます。そのことを彼女たちは今回の仕事を通して感じました。
 そして今回の仕事を通して得られた感覚のことを透は「海へ出て風を探してる夢に似てる」という風に感じています。第3話の冒頭の夢の事ですね。
そうして透は口笛を吹いて風を呼ぼうとします。小糸は「本当に来たら凄い!」と目を輝かせ、雛菜も同じく口笛を吹き、円香は「うるさい、来ないけど」なんて言いながらも一緒に口笛を吹きます。そうして風は吹きました。このシーン何か思い出しませんか?
 これは「天塵」の冒頭で幼い頃の4人が「みんなで海に行くための車を買おう」という部分での流れと同じですよね。この通り、彼女たちはずっと昔から一緒で、ずっと昔から風を呼ぶ方法を知っていました。しかし怠惰な日常の中で、いつの間にかその方法を忘れてしまっていたのです。
 でも今は、透がアイドルになって、みんなそれに付いてきて、なんとなく海に出ちゃった彼女たちは風の呼び方をこの仕事を通して思い出しました。それはただ、「みんなで同じ道を歩いて、みんな同じ気持ちで、みんなで同じことをする」というだけです。それは幼い頃から一緒に生きてきた彼女たちにとってはあまりに簡単なことです。それを思い出した4人の海賊たちにはもう怖いものはありません。こうして彼女たちの船は汽水域から大きな海へと船を出しました。Bon Voyage!ノクチルの未来は明るい!!多分!!

画像210

 「天塵」から6ヶ月ほど経って実装されたこのストーリーは、その間の期間を考えると短いものの、「天塵」と同じように、あまりに特殊な形のユニットであるノクチルがアイドルとしてどうスタートを切るのかという部分が大きいものだったと思います。
 しかし、「天塵」と決定的に違うのは「透視点での語りがある」という点です。「天塵」ではそれが全くありませんでした。「天塵」は浅倉透という絶対的なノクチルの中心人物が走り出したことからみんな走り出すことになってしまい、そこで新たな世界を切り開いたという話でした。
 しかしこの「海へ出るつもりじゃなかったし」は、「天塵」の後になって見えてきた透の「退屈な日常からの脱却への渇望」という部分を示しつつ、それを打ち破る方法を仲間と共に見つけるというストーリーだったように思います。
 確かに透はノクチルの絶対的な中心ですが、それは決して透が圧倒的なカリスマ性とリーダー性を持っていて、明確な目標に向けてガンガン前に進むことができるからというわけではありません。周りが勝手にそういう風に見ているだけです。そういう現状に際して透は透なりにいろいろ悩んでいて、現状を変えるための方法を半分諦めながらも探し続けてふらふらしていたように思います。
 そしてその現状を変えるためにアイドルになるという選択肢を取って幼馴染の3人を振り回してしまったわけですが、「天塵」で3人が透に導かれて新たな世界を切り開いたように、透の新たな世界を切り開くために必要だったのは「幼い頃からの大切な仲間の3人と一緒に風を呼ぼうと口笛を吹く」ということでした。そういう意味で、やはりこの4人は「幼馴染アイドルユニット」なのです。誰がどう欠けてもダメ。4人で居ることが何よりも大切です。
 「天塵」以降のカードコミュなんかで、幼馴染ユニットなんていう割に結構歪な関係してるじゃねえか…と私に何度も思わせたノクチルですが、ここにきて「幼馴染であるからこそ」という部分を見せつけてきたこの「海へ出るつもりじゃなかったし」というストーリーは非常に大切です。
 彼女たちはまだまだスタート地点から少し進んだだけですが、それでも大きな海に飛び出したのは間違いありません。その大きな海の中で別にトップになんてならなくたっていい、ただ「いっぱい生きろ」というその気持ちは今でもノクチルを見るうえで大切なものです。今まで誰も見つけることのできなかった輝き、それは確実にそこにあるんだと、そう思わせてくれるストーリーでした。
 しかしながら新年1発目、「0時0分00000秒」から公開されたこの内容。本当にシャニマスは凄いです。圧倒的な物語性に私の脳はボロボロですが、それでも追いかける価値があると思わせます。お前たちは俺にとっての「ピース・オブ・エイト」だ!ありがとう、俺に出会ってくれて!

2021.1.1
 【がんばれ!ノロマ号】浅倉透、実装

画像211

 イベント報酬のsSSRです。実際この4人が船に乗るなんてシーンはどこにも存在しませんが、もうそんなことどうでも良いですよね。アイマス世界では当然のように心象世界や見れる訳の無い過去がカードイラストになるのです。どのブランドでも大体そうです。
 とはいえ、「海へ出るつもりじゃなかったし」のストーリーを見ればこの4人の配置は十分に納得のいくものですね。エモ。

画像216

 さて、最初のコミュでは何やら大掃除の時にたくさんの服が出てきたようで、それを4人でより分けて処分しているようです。ここで透が子供の頃よく着てた「変なクマの服」というものが登場していますが、雛菜が今あのクマのキャラクタ―が好きな理由になにか関係があるのかもしれません。とはいえその服のクマは口のところが収納になっているらしいのですが、雛菜はそれが「なんかこわい」と言いました。
 そこでいきなり部屋のオウムが「イガイ」と発言しました。「ダーカーラー」「イケタライクネ」とも言うようです。この辺の言葉はおそらく最初から覚えていたのでしょうが意味はよくわからないですね。取り敢えず無視して選別を続けます。
 しかし小糸が子供っぽい服を必要ないと言ったり、円香が可愛いリボン付きの服を欲しいというと「イガイ」なんて言います。なんだこいつ。妙な雰囲気になりつつも無視して続行していると透が「全部500円で良いよ」と言いました。いや、金取るんか~い。イガイ。
 とまあそんな感じのほんわかコミュですが、ノクチルの連中というのは初見時の印象からはかけ離れたものを今までたくさん浴びせてきたので、そういうなんとなくの外見の印象からでは判断できないという意味で「意外」という言葉は説得力があります。物事を表面的に判断してはいけないのはノクチルに限らずシャニマスのアイドル全体、ひいては世の中の全てに言えることですけどね。

画像217

 2番目のコミュでは騎馬戦の後のようで、テレビに映るかもということを誰かに言ったかという話をしながらその放映を見ながら打ち上げをしているようです。透はなぜかそのことをクラスで隣の席のあまり話さない男子にそれを言ったようです。透の隣の男子、許せねェーーーッ!!俺と変われ!!!とまあ雑談もそこそこに放映が始まります。
 そこでは実質的な主役だけがいる控室での作戦会議がドラマチックに編集されています。この部分でのその主役ユニットのやり取りはびっくりするくらい「アイドルの文脈的」ですが、それを見たノクチルはの面々はその主役たちを応援し始めます。お前たちその場でそいつらの敵だったでしょうに。
 すっかりその主役たちに感情移入してしまっていた4人は自分たちが映っていたかどうかも確認しないまま番組を見終わりましたが、とりあえず透はグラスを掲げ「完敗」と言いました。誤字じゃないです。
 おそらくノクチルの4人はほとんど映っていませんでした。カメラを避けるなんてことをしていたし最後は自爆して負けたのでまあそれはそうでしょう。そして分かりやすく演出された「アイドル」に自分たちも目を奪われてしまいました。
 その意味ではノクチルは「完敗」していますが、勝つために綿密な作戦を立てたことや、そのための練習を重ねてきたこと、最後3騎まで残れたこと、負けちゃったけどその先で4人の絆が大きく深まったことという点でノクチルもその主役ユニットと同じくらい「アイドル的」であったはずです。
 ただ結局のところ、カメラに抜かれてうまい具合に編集されるかどうかというところで彼女たちは全く主役にはなれませんでした。彼女たちはやはりまだ花火のように分かりやすいものではない、未だ誰も見つけることのできていない夜光虫の小さな輝きですが、それでも彼女たちは海に飛び出してみたということが大事なのです。完敗こそしたものの、これからの未来を信じて、乾杯!

画像218

 最後のコミュでは透がまたやかましいオウムに起こされている、と思いきやオウムはもう帰ってしまったようです。
 回想に入り、透はオウムを連れて外で3人とお別れ会をしていたようです。オウムって外出させられるんですか…?知らなかったです。雛菜と小糸はシャケだのウメだの教えたりしています。円香は二人とオウムのやり取りが上手く嚙み合っていないのを見て「素直じゃない」と言ったら「イガイ!」と返されています。わろた。オウムに煽られてるぞ円香!
 どうやらこの翌日にオウムは帰ってしまうようですが、オウムと暮らしていた日々のことを思い返して透は「こいつが来てから昔のことを良く夢に見る」「夢の内容はあまり覚えていないけど昔読んだ本に似ている」と言いました。これは当然「海へ出るつもりじゃなかったし」で透の部屋にあったあおそらくArthur Ransomeの「海へ出るつもりじゃなかった」と思われる本の事でしょう。
 透は幼い頃に読んだその少年少女の冒険譚の内容を明確には覚えていませんが、その内容が今に続く「日常からの脱却への渇望」という部分のルーツのひとつであることが感じられます。しかしそれをぼんやりと思い出すことで「風」を感じることができていて、それはあの騎馬戦の後の帰り道で感じた「風」とおんなじだという風に思っています。やはり透は風の呼び方をぼんやりながらも感じています。

画像219

 さて、みんなはめいめいにオウムに別れを告げています。やかましいやつでしたが居なくなれば寂しいもんです。みんな思い思いに言葉を伝えますが、最後は「アー」「ンー」しか言いませんでした。透は「ダメだこりゃ」と言いますが、この「アー」とか「ンー」としか言わないのは透の振る舞いの表象なので皮肉な描写です。彼女は風の呼び方を思い出しましたが、まだまだ未熟ですね。

画像220

 最後に透は「ピース・オブ・エイトが何なのか鳥に聞きそびれた」として、その意味について3人に聞いたことが回想されましたが、3人はそもそもオウムが「ピース・オブ・エイト」なんて言ってるのを聞いたことが無いと言います。えっ?こわ。と思いましたが、確かにみんなが揃っている時に「ピース・オブ・エイト」とオウムが言っている描写はありませんし、なんなら透が夢から覚めて寝ぼけてそうな時にしかこの文言は出てきていないので、もしかしたらそもそも浅倉家に居たオウムは「ピース・オブ・エイト」なんて言っていなかったのかもしれません。
 じゃあその言葉はいったいどこからという話になりますが、当然それは透の心の中、古い記憶の中からです。オウムという海賊の肩に乗っている鳥の存在がこの言葉を無意識のうちに想起させていたのでしょう。このことは重ねて透の奥底にある物語の記憶が今の透の「日常からの脱却」へ繋がっていることを感じさせます。しかし透はそのことを思い出せませんし、この最後のコミュの名前は「いつか忘れること」です。
 アイドルを始めて、汽水域から大きな海に飛び出してしまった透にとって、そのモチベーションの根源が何であったか、「ピース・オブ・エイト」が何を意味する言葉なのかということはもうどうでもいいことです。しかし、この最後のコミュでは、前に進んでいく過程で過去の記憶が薄れていく、つまり昔の思い出を忘れてしまっていくという部分を示してきました。切ねえ…。しかしもう彼女たちは戻れません。開催告知画像に書いてあるように、時は「巻き戻るということはない」のです。
 この描写では海に出てしまった彼女たちが「得るばかりではなく、失うものもあるんだよ」という部分を感じます。これがシャニマスです。本当に丁寧なストーリー作りで怖くなりますね。ノクチルの冒険はまだ始まったばかりです。何が待ち受けているのか、これから楽しくも恐くもありますね。

2021.1.1
 糸・吉ガシャにて【おみくじ結びますか】福丸小糸、実装

画像156

 新年ガシャについてはは開催イベントがノクチルであったため、おそらく小糸になるだろうと思われていましたがその通り小糸の実装となりました。マジでイラストが綺麗すぎる。俺の娘がこんな綺麗になっちまってよぉ…(感涙)。小糸に無限のお年玉くれてやりたい、そんな気持ちでガシャを回す羽目になりました。いきなり新年早々ガシャとかいう悪い文明に触れさせやがってシャニマスこの野郎…!!でも小糸が美しくて良いありがとう!!ぐあー!!(精神分裂)

画像157

 さて、新年早々だというのに小糸は走り込みをしています。どこまでも偉い。どうやら学校でマラソン大会があるようでその対策として行っているようです。アイドルのためじゃないんか!文武両道過ぎるだろこのちんちくりんめ!飴あげる!
 そこで川から事務所まで走ろうとしているとシャニPに曲がり角でぶつかってしまいます。シャニPは私が思っていたことをそのまんま伝えるが如く小糸の事を褒めてくれます。それを受けた小糸はいつものように「こんなの普通だ」と強がりますが、「透も円香も雛菜も学校のみんなもこんなことしなくても普通にこれくらいできる」とぽろりと弱音を漏らします。やはり小糸の努力は「己を高める」というよりかは「周りに置いて行かれたくない」という思いが極めて強く、相変わらず劣等感に苛まれてしまっています。
 そんな凹んでしまっている小糸を見たシャニPは「事務所まで一緒に走ろう」と提案します。小糸はシャニPが走るための格好じゃないことを心配して遠慮しますが、シャニPは聞きません。「自分の言うことちゃんと聞いてるか」という小糸の言葉に「ちゃんと聞いてるよ」と答え、二人で走り出します。小糸の気遣いを無視してでも背中を押してあげるのです。
 本当に小糸のコミュに出てくるシャニPはかっこいいです。劣等感によって縮こまってしまう小糸の背中を多少無理やりでも押してあげることで、彼女の努力を認めてあげようとします。学年でもトップの学力を持ち、学校行事に積極的で、それでいてアイドルも両立させているというのに自己嫌悪してしまうというのはあまりにも拗れ過ぎているのですが、シャニPならきっと何とかしてくれるとそう思います。頼んだぞ…俺たちのシャニP…。

画像158

 さて、どうやら小糸は受けたオーディションに合格したようです。それを聞いた小糸は嬉しそうですが、シャニPの歯切れは悪いです。小糸が合格したオーディションというのは神社で行う着物のモデルの仕事だったのですが、なんと小糸に来た仕事は「小中学生向けの子供用着物のモデル」でした。
 これは小糸の幼い見た目によって取れた仕事であることを意味しますが、それは大人っぽくないと言われたようなもので、自分が周りに対して劣っているという感覚が強い小糸にとってはやはり残念な部分があったのかシュンとしてしまいます。しかし小糸は、「やるに決まってる」「自分が選ばれるなら光栄」「自分で取った仕事なんだからやりたいに決まってる」と精一杯に絞り出すように言います。思うようにいかないと感じてしまう気持ちはあっても小糸は前に進むことに必死です。
 その様子を見たシャニPは「求められる小糸で居るのも大事、だけど一番大事なのは小糸がどうしたいかだ」と言います。ほんとイケメン。その言葉に小糸は何かを感じつつも「見えてる目標が欲しい」と言って仕事を受ける意思は固いことを表明し、シャニPはじゃあ一緒にその目標まで走ろうといいました。前のコミュでの出来事と被りますね。小糸は今まで周りの人間に対して感じるコンプレックスから一人で必死に走ってきましたが、今はシャニPという強すぎるほどの味方がいます。頑張れ小糸!!

画像159

 さて、撮影の仕事が始まったようです。子供用とは言いつつも、イラストで分かるように豪奢で綺麗な着物に小糸は楽しそうです。良かったねぇ…。
この仕事はもう一人一緒にやるモデルさんがいるようで、その子はどうやら中学生なのに大人向けの着物を着るようです。そのことでまた少しコンプレックスを感じてしまっているうちに撮影が始まります。
 その撮影の中で、小糸はその中学生モデルさんに対し「羨ましい」という言葉をこぼしてしまいます。それを聞いたその子は怒ってしまい「見た目だけじゃなくて中身まで子供っぽいのか、撮影中に話しかけるな」と言ってきます。は?んだコイツ???俺の娘に向けて何言うとんねん!!
 当然小糸は悪気はなくて、むしろ褒めたようなつもりだったと思いますが、その言葉を引きずってしてしまいます。なんでシャニに出てくるモブは普通にアイドルにキツい言葉を浴びせるんだ…。
 そのことを聞いたシャニPは、その中学生モデルさんが実は「元は子役として活躍していたが、背が伸び過ぎてしまいモデルに転向せざるを得なかった」という事情を話します。小糸はその事実に驚いていて、そんなことは考えもせずにその子のことを羨んでしまったことを後悔しています。
 その中で小糸は「いつも自分だけが足りてない」という風に感じていたけども、「どうしてそんな風に思ってたんだろう」と言いました。この気づきは大きな意味を持ちます。小糸は周りに追いつくことに必死過ぎて周りが全く見えていないという状況に陥ってしまっていましたが、このことを通して「自分だけが足りないわけじゃないのでは」という風に思えました。言葉はキツいものでしたが、そのやり取りは小糸にとって大きな意味をもたらしていました。

画像160

 その気づきを得た小糸は、事務所の倉庫でその中学生モデルさんが載っている雑誌のバックナンバーを探していました。シャニPが話を聞いてみるとどうやら子役時代のドラマなんかも見たようです。自分のしたことへの向き合い方があまりにも真摯過ぎる…素晴らしい。
 小糸はシャニPの「求められる小糸で居るのも大事、だけど一番大事なのは小糸がどうしたいかだ」という言葉をその中学生モデルさんにも当てはめて考えていて、その子がどういう気持ちで、どういう未来を求めていたのかということに思いを馳せつつ「芸能界の人も学校で楽しそうにしてる人たちもみんな別世界の人だと思って勝手に羨んでいた」「でもきっとみんな自分はどこか足りないって思う部分がある」という気づきがあったことを話します。
 それを聞いたシャニPは「やっぱり小糸にこの仕事をやってもらってよかった」と言い、小糸の頑張りとその気づきを認めてあげました。小糸は「もしアイドルになってなかったずっと気付けなかったかもしれない」と言ってシャニPにお礼を言いました。こっちこそアイドルになってくれてありがとうじゃい!!泣かせやがって…。

画像161

 Trueコミュでは小糸とシャニPが一緒に撮影をした神社に行こうとしているようです。シャニPは階段を上るのにへばってしまっていますが小糸は元気に登って行ってシャニPを引っ張ります。そのことを褒められた小糸は誇らしそうです。1つ目のコミュとは反対と言ってもいい反応になっているのが印象的ですね。
 神社についたシャニPは小糸の写真も載っているパンフレットを小糸に見せてあげます。そこにはあの中学生モデルさんの言葉も載せられていて、そこには「モデルをやりながら演技のレッスンも頑張っている、目標は世代を代表する女優になること」「そのために小さな目標をこなしていっている、大女優になることもそのうち小さな目標になるから神様にお願いする必要なんてない」という風に書かれています。
 これを聞いた小糸はどこか安堵し「やっぱり凄いな」と言います。この言葉は中学生にしては本当に強い決意のようなものを感じさせますが、「高身長になってしまったことで子役を諦めざるを得なかったというコンプレックスを乗り越えていくために日々小さな目標に向けて努力し続ける」というのは小糸のアイドルへの姿勢と何ら変わりません。小糸が思いを馳せていたその子の気持ちはきっと小糸と同じようなもので、ともすれば小糸以上に強い気持ちを持っていたということを小糸は知ることができました。
 そしてシャニPはせっかく神社へ来たということでお願いをしようという話をしますが、小糸は「世界中のみんなに元気を上げられるようなアイドルになりたい」と言いました。泣いた。大きなことを言ってしまって恥ずかしそうにしている小糸にシャニPは「物凄い大きな目標だけど、それは神様に願う必要はないかもな」と言いました。最高。涙止まらんわ。
 かつて劣等感に押しつぶされながら必死に生きてきた小糸がアイドルを始めて「自分のような人たちの居場所になれるようなアイドルになりたい」と願い、ファンからの暖かい手紙を受けて「アイドル福丸小糸としての居場所」を見つけ、そしてこの時「自分だけじゃなくてみんなが『足りない』と感じているなら、自分は世界中を元気にしてやりたい」とまで言い放ちました。ここまで実装からせいぜい9ヶ月そこらです。いや…可能性の塊が可愛い服着て歌って踊っとんのかい!!!
 そんなボディビルダーに対する掛け声みたいなものをぶちかましたくなるほど福丸小糸の成長は止まることを知りませんし、私の涙腺から落ちる涙も止まりません。やっぱり小糸はアイドルに向いてます。小糸の成長とともにその確信がより強くなっていく、そんなコミュでした。

2021.1.1
 ゲーム内に樋口円香のソロ曲「夢見鳥」、実装

 かねてより各キャラのソロ曲の制作が発表されており、続々とそれらが実装されていましたが、ここにきてとうとうノクチルメンバーの中では最初となる円香のソロ曲「夢見鳥」が実装となりました。
 なんとなくこういう曲が来そうという感じがしていたものがそのまま来たなという感じでしたが、そのアンニュイでアコースティックな雰囲気のせいで「樋口円香シンガーソングライター概念」が爆誕してしまいました。まあ正直言いたいことはわかる。
 「夢見鳥」というのはを意味する言葉でありますが、「夢」という言葉と「蝶」という言葉が並ぶとやはり荘子の「胡蝶の夢」が思い出されます。「春の暖かい陽だまりのうたた寝の中、自身が蝶になる夢から覚め、果たして今のは現実であったか夢であったか、いやどちらも現実でもあり夢でもあるのだ」ということを荘子が詠んだ漢詩です。
 夢と現実の狭間で揺れる感覚を美しく描いた詩でありますが、これは「天塵」での花火大会でのステージ上で円香が「現実感の無いステージに立つのは全然悪い感じじゃなかった」と感じていたことと重なっているように思えます。円香が現実とアイドルの狭間で揺れ動き、アンビバレンツな状況で言動不一致を起こしているように感じられるところは沢山ありましたね。樋口…。
 ソロ曲でも相変わらずいろいろと拗れてる部分を感じさせてくるそんな円香の「夢見鳥」が収録された「COLORFUL FE@THES-Stella-」は現在好評発売&配信中!!ぜひフルバージョンも聞こうね!!そして一緒にバカデカ感情になろう!!樋口…………。

2021.1.2
 4コマ漫画「着こなし」、公開

 【おみくじ結びますか】福丸小糸と合わせた4コマ漫画です。雛菜ァ!!うちの娘をセクシー路線に行かせるなァ!!止めてくれてありがとう円香…。実際イラストの方見るといつもより十分大人びて見えるんですけどそれはあまりにも【ポシェットの中には】のイラストが幼く見えすぎるから相対的にそう感じるのかな…。そうだったらごめんよ小糸。

2020.1.13
 4コマ漫画「聞いてしまった」、公開

 基本的にシャニマス4コマ漫画はユニット単位で描かれていますが、時たまいきなりユニット越境4コマ漫画が登場します。しかしせっかくノクチルのメンバーとして小糸が越境したのにこれ!!なんでこうなる!?より小糸と周りの溝が深まってないか?
 自分よりずいぶん背の高い小学生とゴリゴリのギャルみたいな雰囲気のJKがお酒飲んでたなんてなったら小糸はもう恐怖で話しかけられなくなりそう…。何とかこの後誤解が解けているといいんですけど…。小糸…。

2021.1.19
 ゲーム内に福丸小糸のソロ曲「わたしの主人公はわたしだから!」、実装

 円香のソロ曲実装に続き、2番手は小糸のソロ曲「わたしの主人公はわたしだから!」です。ノクチルの中で小糸は一人だけTeam.Lunaに属しています。Lunaは全体的に落ち着いたクール系の曲で来るだろうという気がしていたし実際そうだったのですが、小糸だけが全くノリが違います。さらに、上記のTwitterの画像でのジャケット絵を見ると小糸だけちょっと離れた位置に一人で居ます。その二つを考えてみると、こんなとこでまで小糸が馴染めてない表現するのか…シャニマスくんさあ…という気持ちになってしまいますがもう慣れた(鉄の心)。
 曲のほうはというと、どっちかというとキャラソンよりのコールぶち込み曲で、このチームの中ではむしろ一番アイドルらしいと言えるような曲です。今まで自分と周りを比較してばかりで自分というものを見失ってしまっていた小糸が「自分が主人公だ!」と高らかに歌い、それでいて結局は「だからもっと頑張ろう!」というド王道アイドル感MAXの詞です。今はまだできないですが、いつかこの曲を現地で聞いて「頑張れ!」と喉から血の味がするほどコールしたいと思っています。小糸ー!!
 そんな小さくも強いアイドル小糸の「わたしの主人公はわたしだから!」が収録された「COLORFUL FE@THES-Luna-」は現在好評発売&配信中!!みんなでコールの練習をしておこう!がーーんばれ!せいいーーーーっぱい!

2021.2.10
 コラボフェスにて【Feb.】樋口円香、実装

画像162

 【閑話】に引き続き2枚目となる円香のsSRです。何気に冬仕様の制服姿が出てきたのはこれが初出なのではないでしょうか。吐く息が白いのがなんとも冬らしいですね。
 円香の誕生日の項で円香の誕生日は「テディベア・デー」であるということを書きましたが、そこからの着想なのか大きな熊の人形を持っているイラストです。しかし小糸が目の前にいますが、街中でこんな大きなテディベアを抱えているというのはどういうシチュエーションなんだ…?円香の趣味なのかそれとも小糸へのプレゼントか果たして…。

画像163

 一つ目のコミュでは、帰宅のバスに乗り遅れそうな円香と小糸が急いでバス停に向かっているようです。小糸が円香を急かしていますが、どうやら樋口家では夕飯がすき焼きらしくそれで円香は早く帰ろうとしていたことを知っていて急かしているようです。しかし円香は諦め気味で若干面倒くさそうです。早く帰りたかったんだろ?すき焼き好きなの?あんな尖り散らかしているくせに結構そういうところ普通の若者っぽいですよね円香。
 さて小糸の気遣いもあってか二人はバスに間に合います。良かったね。そこで二人の足元には何かのぬいぐるみが付いたストラップの落し物が転がっていてそれを拾います。それを見た円香は小糸が小学生の頃ランドセルに似たようなストラップをつけていたことを思い出し、そのことを話しますが小糸はなぜか円香に謝罪します。
 小糸はそのストラップを中学生の時に無くしてしまったらしいのですが、どうやらそのストラップは円香からもらったものであったようで、そのことをずっと謝りたかったようです。しかし当の円香は自分があげたということすら覚えていなくて「いらないと思ったやつをあげただけじゃなかったか」と言います。しかし小糸としてはやはりもらったものをなくしてしまったことが苦しいようでとても申し訳なさげです。
 そんな小糸を見た円香は何やら通販で買い物をしたようですが…。

画像164

 円香は小糸が無くしてしまったと思しきキャラのストラップを買おうとして間違って大きなテディベアを買ってしまいました。通販でのあるあるミスですが、買う際に高すぎる値段に気づいていたものの、それを特に疑うこともなく小糸のためにすぐ買ってしまったことによるミスです。小糸のためを思えば金に糸目はつけずにすぐ行動する円香、あまりにも優しい。
 コンビニ受け取りだったため、それを仕方なく抱えて歩いていると都合よく小糸が現れます。流石に小糸も若干の困惑を見せていますが、円香の失敗したというところを見てちょっと親近感みたいなものを感じているようです。
 円香は「これ小糸がランドセルにつけてたストラップのキャラでしょ」と言ってもし欲しいならあげると言います。しかし、小糸が言うにはそのストラップのキャラというのは「パンダだった」らしく、全く違います。そういう部分すらも円香は覚えていません。
 それを知った円香は返品するかフリマに出すと言いますが、小糸は欲しいと言います。当然小糸は円香がそのテディベアを自分のためを思って買ってくれたものだということはしっかりわかっているでしょう。円香の思いをしっかりと受け止めた小糸は「これならもう無くさない」と嬉し気です。二人ともよかったねえ…。
 これは妄想ですが、きっと幼少の頃に円香が小糸にストラップをあげたときも今回のように弱ってしまっている小糸を元気づけてあげようとして咄嗟に自分の持っていたストラップを渡したんじゃないかと思います。そして同じようにその円香の気持ちが小糸にとっては大切なものだったんだと思います。そして今高校生になった二人はまた同じような状況になり、同じような形で、むしろ二人が大きくなったことからお互いを思う気持ちも大きくなったかのように、随分と大きくなったストラップを通して二人の絆を感じさせました。
 一方で円香はこの思い出の細かい部分をかなり失念してしまっています。実際人間はどんどん記憶が薄れていってしまうもので、どれだけ美しい思い出でもあやふやになっていくことも多々あるだろうと思いますが、特に過去から続く幼馴染の日常に縛られ続けられている円香が、過去の思い出についてあやふやになってしまっている部分があるということが見えたのはなかなか残酷なコミュでもあるなと思います。これは「海へ出るつもりじゃなかったし」の報酬sSSR【がんばれ!ノロマ号】での最後のコミュでの透と重なるものも感じます。樋口…。

2021.2.12
 ゲーム内に市川雛菜のソロ曲「あおぞらサイダー」、実装

死んだ
というか溶けた

 ノクチルソロ3番手として雛菜の「あおぞらサイダー」が実装されました。この曲は相当な驚きでした。「あおぞらサイダー」という曲名からこの曲調を想像できていた人はどれほどいたでしょうか?雛菜はいつもびっくりさせやがりますね。
 ゆったりとしたお洒落でとろけそうでどこかフレンチポップなような曲調、アンニュイな夏の気だるいけどちょっと心地良いような午後を思わせます。そこに雛菜の可愛らしい声とウィスパーボイスが重ねられた極上のマリアージュにより、私はすっかり耳からサイダーを流し込まれてしまい脳はドロドロになりました。これは病院の何科にかかればいいんですか?
 しかしそんなお洒落な曲でありながらも、詞を聞いてみればどこか儚げです。「いつか楽しいことは終わってしまう」という雛菜の根底にある不安な部分を消えゆく炭酸の泡に重ね合わせ、それでもいつかあのサイダーみたいに青い空を飛んでみたい、泡がはじけてしまう前と、ただ甘いだけに終始させないその歌詞によって脳のドロドロは第二宇宙速度まで加速し重力は完全に消え失せます。聴く電子ドラッグ。好きすぎて何回も聞いちゃう。誰か助けてくれ~!
 ゲーム内実装時から大量の中毒者を続出させ、今となっては国際的に「あおぞらサイダーは一日177回まで!」と注意喚起されている雛菜の「あおぞらサイダー」が収録された「COLORFUL FE@THES-Sol-」は現在好評発売&配信中!!みんな一緒にぱっぱっどぅわっぱしよう!!

2020.2.16
 ゲーム内に浅倉透のソロ曲「statice」、実装

 ノクチルメンバーのソロ曲として最後に公開されたのは浅倉透の「statice」です。
 初夏を思わせるような暖かく優しい曲調で、どこか安心するような気持ちになります。スターチスは花の名前ですが、円香のソロ曲が蝶を意味するというのはなんかもう…おお…みたいな呻きが出ますよね。
 スターチスという花は園芸用の花としては一般的で、美しい紫色や水色、ピンク色をした花のようです。花言葉は「変わらぬ心」「永久不変」だそうで、これはスターチスがドライフラワーにしても色あせないことが由来なのかもしれません。
 「変わらぬ心」というのは透の未来へと向かう気持ちが変わらないということも感じさせますが、一方で同じく透とともに走っていこうとするシャニPが、ノクチル全体が幼少のころから繋いできた関係から来る輝きを失わせたくない、つまり「変えたくない」「きっとそれは変わらない」という風に思っていることを示しているように思います。このあたりや「懐かしい声」といったような歌詞の内容を考えるとこの曲は【途方もない午後】をかなり踏襲しているように思います。
 透が変化を求めて走り出してしまったことによって彼女たちの環境は一変してしまいましたが、その一番最初に走り出した透が今回のソロシリーズにおいて持ってきたソロ曲が「変わらないもの」というのを感じさせるのは、なんていうかこう、エモい(語彙死)。
 透の未来に走り出そうという意思と、そのことでもし環境が大きく変わったとしてもその先にはどこまでも変わらない美しい関係がある、そんなエモさを感じさせる透の「statice」が収録された「COLORFUL FE@THES-Luna-」は現在好評発売&配信中!!さよなら、風、もう行くよ、飛べるかわからないけど。

2020.2.19
 You are Bearガシャにて【♡LOG】市川雛菜、実装

画像166

 「あおぞらサイダー」に脳を溶かされて間もなくノクチル2週目の最後に雛菜のpSSRが実装されました。とうとうあの雛菜の着ているカーディガンにもあしらわれている謎のキャラクターが出てきました。コミュの中で名前が出てきますが「ユアクマ」というキャラらしいです。「You are 熊」なのか「Your 熊」なのか…ガシャの名前は前者ですが。よくわかりませんがなかなかゆるくて可愛らしいキャラではありますね。
 このカードイラストでの雛菜の衣装も大変可愛いものですが、なによりこのカードはガシャアニメーションがとっても可愛いです。【菜・菜・輪・舞】幽谷霧子と似たようなアニメーションが挿入され、あまりの可愛さに初見時は「オォッホホww」みたいな変な鳴き声が出ました。オタクがよ。

画像167

 さて、コミュの方では雛菜とシャニPがどうやら事務所内を歩いて紹介していく生配信を始めるようです。以前の配信で「ルームツアーして欲しい」というコメントを受けての突発の思い付き企画だったようですがしっかりと視聴者はついているみたいですね。
 雛菜は相変わらずの雰囲気でゆるゆるとリビングのソファで寝てる~とかキッチンで料理してる人がいたりする~という感じで紹介していきます。そこに次々とコメントが付いていくのですが、どうにもファン感謝祭でも見られたように雛菜はそれらのコメントをかなり選んで読んでいます。自分にあまり関係なさそうな質問・コメントを完全に無視し、「いっぱい質問したのに全然拾ってもらえなかった~泣」というコメントすらついていますが当然それも無視です。まあこういうコメントを本人の目につくところに書くタイプの奴もどうかと思いますが…。
 その後配信は終了し、シャニPは「今度はコメントでリクエストが来てた雛菜の部屋のルームツアーをやるのか?」と聞きますが雛菜は「やらない」とバッサリです。雛菜はリクエストに応えたいと言っていたのに拾うコメントやリクエストを取捨選択していたことにシャニPは驚いています。
 そして雛菜は「やりたいことをやるのと同じくらいやりたくないことをやらないのも大事」と言い放ちました。THE・雛菜節~~~!なんにも言えない!!本当に15歳かよこいつ…。流石のシャニPもこれには若干思うところがありそうですが取り敢えず肯定します。シャニPとしては「いっぱい生きろ」というスタンスなのですが、この市川雛菜の圧倒的なしあわせ理論武装は簡単には崩せません。
 シャニPはその雛菜の頭の回転の速さを褒めてはいますが、雛菜によれば「そういうことをするのは当たり前」らしいです。また「せっかく何かするなら全部楽しいにしないと、もったいないよ」とも言っています。ぐえー!!これが雛菜のしあわせ理論です。しかしながら、これはやはりここまで見えてきた「ふしあわせを半自動的に避ける」「いつか楽しいことは終わるという無常観」にかなり基づいているように感じられます。今までにも感じられた、その柔らかい雰囲気からは想像もできないほどの雛菜の強固でありながらもどこか危うい部分を見せてきたように思います。

画像168

 続くコミュではシャニPが雛菜に二つ仕事取ってきたのですが、それらの日程が被ってしまっていてどちらかにしなければならないという相談に来たようです。
 雛菜はその資料を渡され、シャニPはよく考えて欲しいと言いますが雛菜は「ユアクマカフェの仕事」のほうに即決します。シャニPは思わず「ちゃんと考えたのか?」と聞いてしまいますが、「時間をかけないとちゃんと考えたことにならないのか?」と返してきます。うぐぅ…(沈黙)。雛菜強い…。シャニPとしてはもう一方の仕事も同じくらい魅力的だということを伝えたかったようで、どちらかに決めたことで雛菜が後悔するようなことになって欲しくなかったみたいですが、雛菜の意志は固く、「自分がしあわせになれる方を選ぶ、(どっちがしあわせかなんて)そんなのすぐにわかる」という風に言います。ここでの雛菜はどこか悲壮な決意のようなものすら感じさせます。雛菜はどうしてここまで「しあわせ」に固執するのでしょうか…。
 しかし、もう一つの仕事について説明しようとしたシャニPに「そっちを受けて欲しかったならそう言えばいいのに」と言ったり、自分がユアクマカフェの仕事に決めたことについて「シャニPはそれでいいのか?」と聞いたりしています。雛菜は「自分がしあわせになる選択肢なんてすぐにわかる、それだけ選ぶ、自分は変わらない」というような発言をしたにも関わらずシャニPの考えに対して意志を曲げようとする姿勢があることが感じられます。これまでにも感じられる部分はありましたが、雛菜は自分の選択肢が絶対的に正しいと思えるほど強くない、あるいは頭が悪くありません。雛菜はとても聡明だし、なによりまだ15歳です。雛菜のスタンスはやはり危ういものと感じます。

画像169

 さてユアクマちゃんのポップアップカフェのお仕事当日、自身の好きなキャラを宣伝できる機会が得られた雛菜はとっても嬉しそうでやる気です。「こういう楽しいことをたくさんやらせてもらえる時、283プロに入ってよかったって思う」と雛菜は言っており、それを聞いたシャニPも同じように良いことだと同調しています。雛菜としてはアイドルになったことで世界が広がったことは楽しくしあわせなことのようですね。
 このコミュではユアクマというキャラクターが「癖のあるキャラクターで最初の頃は人気が出なかった、試行錯誤の末になんとか今人気が出てきた」という話が雛菜から語られます。また、このコミュではシャニPが「ユアクマと雛菜は似ている感じがする」「最初は自分も良くわからないが可愛さが分かってきたように思う」という風に発言しているところもあります。この辺は相当深い意味を持つと思います。
 実際市川雛菜という人格は掴み所が無く、とても年齢相応とは思えない行動原理で動いている部分にシャニPも最初の頃は苦労していたのがW.I.N.G.編でも分かります。
 そのことを表しているようでもある一方、メタ的な読み取り方をすることにはなりますが、この記事でも述べたように市川雛菜というアイドルは実装当初には「怖い」というような評価が多くされていました。そのことが果たして制作側の意図したものかそうでなかったかは分かりませんが、ここまでのノクチルの歩みの中で市川雛菜というキャラクターの様々な部分が見えて、その魅力がプレイヤーにも伝わり始めたことをそのユアクマというキャラクターの来歴に重ねて、「雛菜って本当はこんなにも可愛いんだよ」という風なメッセージを送ってきたように感じます。ま、俺は最初からそんなこと知ってたけどね(強がり)。

画像171

 また、これは完全妄想混じりの憶測なんですが、「雛菜とユアクマが似ている」という部分にはもう一つ思うことがあります。上掲の画像でユアクマというキャラクターのデザインを見てみましょう。このキャラは熊のキャラではなく、熊の着ぐるみみたいなものをかぶった人?みたいなデザインです。
 この国には「猫をかぶる」という言葉があります。本当に自分を隠して大人しそうに振る舞うことを指す言葉ですね。ではもし、「熊をかぶる」という言葉があったとしたらどういう意味合いになるでしょう?「己を強そうに見せる」、そんな意味になりそうだと思います。
 私は正直なところ、雛菜のしあわせ理論武装は円香の刺々しい立ち振る舞いと同じように、強がって己の弱い部分を隠すものとして使われるものだと思うことが多々あります。どうにもこのユアクマのデザインはそのことをも表しているように思えてなりません。
 たかだかマスコットキャラクターに深読みし過ぎだろと言われるとそれまでなんですが、「流れ星が消えるまでのジャーニー」であのデビ太郎が悪魔モチーフだったことにそれなりの意味を見出してしまったことがある私としてはちょっと看過できないものがあります。だって限界オタクだから…。

画像172

 最後のコミュでは雛菜がお弁当を電子レンジで温めていたところ、中に入っていたミニトマトの存在に気づかず爆発させてしまったというとことから始まります。そのお弁当は雛菜ママが作ったユアクマのキャラ弁らしいです。キャラ弁はちょっとぐちゃぐちゃになってしまいました。
 その音を聞いて心配してシャニPがやってきて、会話もそこそこにシャニPがこの前に言ったユアクマカフェとの仕事と日程が被ってしまっていた方の仕事の交渉が上手くいって受けられることになったという話をされます。それを聞いた雛菜はしっかりそっちの仕事のことも覚えていて、相変わらずの即決で受けることを決め結果的にいろいろ上手くいきました。とはいえその仕事は料理関係の仕事で、雛菜は実は特に料理したことが無いということを言ってシャニPを不安にさせつつもせっかく取れた仕事だから頑張ろうという話でほっこりと終わりました。
 …などという風には私は全く思っていません。シャニマスのコミュの読み込みに慣れている方はこのコミュは相当不安になりませんでしたか?私は変な汗が出ました。料理ができるどうこうではなく、注目するべきなのは「雛菜はユアクマに似ている」というコミュの後に「(キャラ弁の中の)ユアクマが(ミニトマトの破裂によって)血みどろ(みたいに)になった」ということです。周りをよく見ている用意周到な雛菜らしくない凡ミスであるという点も含めて、あまりにも不穏過ぎます。シャニマスにしてはひねりが無さすぎるほどに嫌な予感をぶつけてきます。
 これが何を意味するか現段階では何も分かりません。ただの私の杞憂かもしれません。しかしこれを読み解こうとすると「雛菜が血に濡れる」という意味以外には取れません。そしてそれが雛菜の流した「血」なのか、それとも誰かを傷つけてしまったことで生じた「返り血」なのかもわかりません。とにもかくにも恐ろしいです。雛菜がつらい目に合うの見たくないよ~ただの限界オタクの限界妄想であってくれ~!!!頼む…。

画像173

 Trueコミュでは雛菜が自身のユアクマグッズを事務所のソファに集めて何かしているようです。シャニPはそれを注意していますが、誰も来ないことを確認してからやってるという雛菜の言葉に黙らされています。うーん、雛菜。
 どうやら雛菜は配信のリクエストで「雛菜のユアクマコレクションが見たい」というものが来ていたのに応えてコレクションを集めて撮影かなにかをしていたようです。ここで雛菜は「自分の『すき』を発信して、それを受け取ってしあわせになってくれる人がいる」ということが凄いと述べ、シャニPは「雛菜にはそれができる力がある」という風に言いました。その言葉を雛菜は深く嚙み締めています。
 そうして雛菜は「今度ツイスタにシャニPも出る?」と言います。シャニPは当然断りますが、「これは雛菜のすきなものを載せる場所だからシャニPも載せたかったのに」と言って残念そうです。なんだこれ告白か?俺もシャニPすき~~~(告白)!!とはいえ、この部分はファン感謝祭雛菜編でも見られた「雛菜がなぜシャニPのことがすき~なのか」という部分と同様で、実は雛菜が結構後ろ向きで無常観からくる悲観的な気持ちになってしまう部分をシャニPが拭ってくれることを表しているように思います。流石俺たちのシャニPだぜ!
 このカードコミュでは全体的に雛菜のキャラクター性やスタンスを確認しながらも、雛菜がアイドルをすることで色んな可能性が広がっていることを示す一方で、今まで以上に雛菜の危うい部分が見え隠れしたコミュだったように思います。ユアクマがそうであったように、雛菜の理解は少しずつゆっくりと広がりを見せていますが、私としてはどうにもこれからの展開に不安になる気持ちのほうが大きくなる内容でした。雛菜も…俺が守護らねばならぬ…!

画像174

2020.2.19
 You are Bearガシャにて【faaaar】浅倉透、実装

画像175

 雛菜と同時に透のsSRも実装されていました。みんな冬服仕様のイラストです。犬と戯れているようです。あとみんな鯛焼きを持っています。美味しそ~!また、カードのタイトルが【pooool】と同じで「a」が四つになっていて、やはりこれはノクチルの4人組を表しているのではないかと思わせます。みんなはいつも一緒です。
 ところで左側で見切れているのが誰か当然皆さん分かりますよね。どう考えても円香以外にはあり得ません。しかしながら、もしこれをノクチルのことを何も知らない人が見たって絶対に分かりません。普通のキャラゲーはこんなイラストにはせず全員の顔が映るようにしますが、シャニマスは我々プレイヤー側に対する信頼からか普通では絶対有り得ない構図のイラストを出してきます。なので何も言われずとも左側にいるのが当然円香だろうと思えたあなた、あなたはちゃんとノクチルのことを理解しています。偉い!!余り散らかしてる秘密のメモ帳あげる(ゴミ処理)。

画像176

 どうやら透は家の鍵を家の中に忘れてしまったようです。透ママは同窓会、透パパは仕事か何かで遅くなるようで、透は中に入ることができません。しかしこういう時こその幼馴染たち!取り敢えずお隣さんの円香に助けを求めます。が、どうやら円香は入浴中で透が呼んでいることに気付きません。ちょうどいいのか悪いのかってタイミングで入浴中ってしずかちゃんみたいだな円香。透は円香がいないものだと思ってチェインにて「ヘルプミー」と助けを求めますが、小糸は図書館で勉強中、雛菜はショッピング中で誰も気づいてくれません。いざ助けを求めると誰も来ないというのは透が理解を求めても、誰も理解しようとしてくていないと透が感じていたであろう部分と重なります。
 誰も助けに来てくれない透はふらふらと夕方になるまで歩き回っていたようで、諦めてネカフェに行こうとしていたところ謎の犬が絡んできます。透はその犬に向かって「ひとり?おまえも」と話しかけています。「海へ出るつもりじゃなかったし」でもそうでしたがなぜか透は動物に対して「おまえ」と言います。透は動物も一つの人格として接する部分があるのかもしれません。

画像177

 その中で透は「さびしいかも」「さびしくて、気持ちいいかも」と感じています。さあ来ました浅倉節。いきなりどうした?という感じですが、ひとりぼっちでふらついていたところにひとりぼっちそうな犬が来て戯れる中で透はひとりで居ることに何か快感じみたものを感じているようです。しかしここで今までのコミュを思い返してみると、浅倉家が幼馴染間では半分出入り自由みたいになっていて、ほとんどの場合透の部屋にみんなが集まっていましたし、円香なんて寝る直前までいたりもしていました。
 そう考えると、透が本当に一人になれるという時間や空間というものは限りなく少ないのです。「退屈な日常から脱却したい」と思っている透にとってはこの「ひとり」という状況は一つの珍しい体験として感じられるのかもしれません。
 その一方でそれを「さびしい」という風に感じるというのも透らしくて、【ハウ・アー・UFO】での「重力」と同じようにみんなと一緒に居る日常がそれはそれで賑やかで楽しいものであるという風に感じている部分も確かにあるのだろうと思わせます。
 そうこうしていると犬の飼い主が追いかけてきて犬を連れて去っていきます。ひとりぼっちではありませんでした。それとほぼ同時に幼馴染の3人が透の助けを求めるチェインに気づき、メッセージを送ってきました。透もまたひとりぼっちではありません。それが嬉しいようでもあり、またどこかさびしげで、透は「ヘルプミー」と独り言ちます。

画像178

 2番目のコミュでは前のコミュと打って変わり、いつもの4人組で女子高生らしく楽しそうに戯れながら鯛焼きを買い食いしていくことにしています。
そこで買った鯛焼きの包み紙には「天然」と書いてあるようで、そのことを気にしています。鯛焼きにおける天然というのは、一匹ずつ焼くような鋳型で焼いたのが「天然」で、一度に大量に焼いたのが「養殖」と言われたりするようです。ここで透は「目に勢いがない」から自分のは養殖かもしれないなどと言います。鯛焼きの目の勢いが見れる人間を初めて目にしました。おもしれー女。
 そうこうしているうちに何やらまた謎の犬が絡んできます。みんな驚いていますが、透はもしかしたら前のコミュで出会った犬ではないかと思い、声をかけつつ撫でてやろうとすると飼い主が現れ、「うなぎちゃん」と呼ばれて去っていきました。前のコミュの犬の名前は「マロンちゃん」だったので違う犬です。犬違いですね。同じ犬種だったのか透の認識が適当なのか…。

画像179

 その犬が「うなぎ」という名前であるということを知った小糸は「天然ものかな」と発言し周りはちょっと驚いています。珍しい小糸の小ボケ。しかしその元気そうだった様子を見て「目に勢いがあった」と雛菜は言い、透も「天然ものだね」と言いました。
 このやり取りの中で透はみんなの顔を見ながら「さびしいというのは、ひとりぼっちだということとは、関係がない」という風に思い、最後には「さびしいことと仲良くなれるしね」と付け加えています。さあ、またも浅倉節でこちらの脳は限界まで負荷がかかります。私の脳の内蔵メモリはスーパーファミコンくらいなのでもう動作はガックガクです。
 この透の言葉は前のコミュでの「さびしいが気持ちいい」ということと関わるものですが、透は「さびしい」から「ひとりぼっち」なわけではないのです。これまででも透が周りに理解してもらえていないことを悩んでしまっているような描写はありますが、それは「古くからの友人たちに囲まれているのに自身の価値観が理解してもらえていない」、つまり「さびしくはないけどひとりぼっち」ということになります。そして透がその「さびしい」と仲良くなれると言うのは、前のコミュでの「さびしいが気持ちいい」という部分につながり、ある一種の「遠心力」となる「さびしさ」というものへ対する肯定、もしくは願望のようなものを感じさせます。
 【ハウ・アー・UFO】【pooool】で見られた自身の思考と周囲との隔絶、そうありながらも絶対に切り離せない周囲との日常との間で揺れる透の再確認と言えるコミュだと感じる内容でした。相も変わらず透の立ち位置というのは難しいのですが、その透の思いはきっと「目に勢いのある」孤独な「天然もの」であって、ひとりぼっちでも前に進もう、未知の世界へ飛び込んでみようという意思を感じさせます。この先どうなるかなんてわからないけど、取り敢えず飛び込んで進んでみよう!いけ~鯛焼き~~!!!どぼん。

まいにち まいにち ぼくらはてっぱんの
うえで やかれて いやになっちゃうよ
あるあさ ぼくは みせのおじさんと
けんかして うみに にげこんだのさ

はじめて およいだ うみのそこ
とっても きもちが いいもんだ
おなかの あんこが おもいけど
うみは ひろいぜ こころがはずむ
ももいろ サンゴが てをふって
ぼくの およぎを ながめていたよ

まいにち まいにち たのしいことばかり
なんぱせんが ぼくのすみかさ
ときどき サメに いじめられるけど
そんなときゃ そうさ にげるのさ

いちにち およげば はらぺこさ
めだまも くるくる まわっちゃう
たまには エビでも くわなけりゃ
しおみず ばかりじゃ ふやけてしまう
いわばの かげから くいつけば
それは ちいさな つりばりだった

どんなに どんなに もがいても
ハリが のどから とれないよ
はまべで みしらぬ おじさんが
ぼくを つりあげ びっくりしてた

やっぱり ぼくは たいやきさ
すこし こげある たいやきさ
おじさん つばを のみこんで
ぼくを うまそうに たべたのさ

「およげたいやきくん」子門真人(1976)

2021.2.20
 4コマ漫画「店員権限」、公開

 【♡LOG】市川雛菜に合わせて公開された4コマ漫画です。「コラボカフェの商品はめちゃくちゃ割高」なんてのを普通にネタにするのが本当にシャニマスらしいです。シャニマス君もコラボカフェ開催して、なかなかいいお値段のロゴが付いてるだけのトースト1枚とか出してましたよね?まあいいんですけど。そういう商売だってのはオタクなら文句言わずに受け入れてなんぼでしょ。悪い文明がよ。
 ところで、ここいらでノクチルのシャニマス4コマの最初の方を見返してみてください。初期の頃は透はかなり美人顔に描かれています。その上で4コマ目の吹き出しについている透の顔を見てください。なんだその気の抜けきった顔は?でもこっちの雰囲気の透の方がみんな好きでしょ?透の魅力はこういうところですよね。好き。

2021.2.21
 4コマ漫画「たいやき診断」、公開

 【faaaar】浅倉透に合わせて公開された4コマ漫画です。鯛焼きをどこから食べるかで性格診断をしているようです。とはいえあんまり当てはまっていないようですね。
 実際この手の性格診断なんてのは、血液型による性格診断と同じように、全く根拠がないのに適当にそれっぽいことを書いてるだけなのが普通ですが、案外そのことが一般的に浸透したりしています。
 しかしこの4コマ漫画を見れば、包装の関係上取り敢えず上から食べる小糸に対して「負けず嫌い」という言葉が出てきたということを考えると、完全に無意味ではないかもしれません。
 背びれから食べるのはどうなんだと問う円香に対しても「神経質で涙もろい」なんて言葉が出てきて、「それは当たらない」なんて言っているのも円香らしいです。きっと円香は背びれから食べるんでしょうけど、W.I.N.G編で「私は泣かない」なんて言っていた円香にはその診断は認められないでしょう。本当にそうかなあ?「神経質」の部分は当たってるしなあ。円香は言動不一致があまりにも多いしなあ。

2021.3.17
 市川雛菜、誕生日

 ノクチルのメンバーの中で最後の誕生日となる雛菜の誕生日となりました。こうして考えてみると、ノクチルの順番というか、透円香小糸雛菜という並びは単純に誕生日順であるようにも感じられます。変な意味を持たず、ただ生まれた順番というのが逆に幼馴染らしい彼女たち独特の雰囲気を醸し出します。
 さて、雛菜の誕生日である3/17という日付の記念日なんかを調べてもあまり雛菜らしい要素は見つけられませんでした。一応豊臣秀吉の誕生日らしく、雛菜のある意味で世渡り上手な部分を考えるとそれはある意味納得です。また、「日本初の旅客飛行が成功した日」でもあるらしく、「あおぞらサイダー」の詞を考えるとちょっと関連を感じます。
 ここでちょっと気になるのは誕生日に「17」という数字が入ることです。これは「ひなな」と読めるので雛菜の名前の由来になったと感じられます。加えてさらに面白いのが、閏年の場合この3/17という日付は年始から77日目、つまりこれをこじつければ1月77日となって、これもまた「ひなな」と読めます。雛菜を含むノクチルが発表された年は2020年で閏年となるのですが、もしかするとそういうことかもしれません。流石に深読みし過ぎか?実際はわからんけど偶然にしては面白いものですよね。

2021.3.20
 シャニマス2ndライブ1日目、開催

2ndLIVE開催決定!

 クソウイルスのせいでお流れになっていた2ndライブが開催されました。ここから大した間もなく3rdライブがあるという超過密スケジュールですが、それでも2ndライブをやろうとしてくれたその姿勢は本当にありがたいことです。
 この現状ではアイマスのライブではお馴染みのコールや怒号みたいな歓声は送れないのですが、それでも現地に人を入れるという形での開催となりました。私は現地には行けていませんが、このライブという形でそこにしっかり観客がいるという形まで持って行けたというのは嬉しい限りです。ライブというのは「生もの」で、その場にいることでしか味わえないものがあります。例え自分がその場にいられなくても、そのライブを「生もの」として味わった人がいるというのは大事なことです。現地オタクたち、俺の代わりにライブをその身に刻み付けてくれ…!
 さてライブの方では、ノクチルはまだ2曲しか持ち歌が無いため、当然「いつだって僕らは」「あの花のように」の2曲を披露してステージを終えましたが、その間にあるMCにおいて、周りの3人が小糸役の田嶌紗蘭さんに「何か言いたいことあるんじゃないの?」と煽って、田嶌さんはこのステージができたことに対する感謝を述べました。
 いやこれ感謝祭編かよ!完全にそういう流れじゃん!当然そういう風にしようという演出としてしたものかもしれないとは思いますが、ノクチルに死ぬほど重い感情を抱いている私は分かり切っていてもそれだけで泣いてしまいます。こちらこそありがとうなんだよ…。
 ステージでは、MUSIC DAWNの時とは違って観客席に生身の人間たちが居て、思い思いに青いペンライトを振っていました。その会場の様はまるで揺らめく夜光虫の輝く夜の海のようで、彼女たちのライブはもう「誰にも見えていない」ようなものではないと思わせました。エモすぎる。確かにノクチルの輝きはこのライブで届けられたんじゃないかと思います。泣いた。

 これはノクチルにあまり関係のない話ですが、これを見ていた方はみんな知っているか通り、このライブの途中で大きめの地震が東北地方を襲います。その余波によってライブの中断が余儀なくされました。多少の変更は仕方なかったと思いますが、このライブはしっかりと最後まで走り切りました。偉い。ありがとう…。

2021.3.21
 シャニマス2ndライブ2日目、開催

2ndLIVE開催決定!

 さあ2日目です。今回は地震はありませんでした。地震を起こした地球Pは出禁なので当然ですね。
 大体公演の最終日では大きな情報が解禁されがちですが、今回は新ユニット追加、しかもはづきさんの妹が所属するユニットだったことで大きな話題を呼びました。今これを書いていてもドキドキしてます。堪りませんね。

 さて、この公演の最後のあいさつで、浅倉透役の和久井優さんは「必死に頑張っているけど、それで変わっていくのが怖いと思う気持ちもある」「でも私たちは私たちなりに頑張ればそれでいいじゃん」と言いました。
 いやノクチルかよ。ノクチルだったわ。中の人たちもまたノクチルの在り方を理解していると思わせました。ノクチルの面白さは加速するばかりです。最高!!
 ともあれ、ライブは成功に終わりました。このライブの開催日からも分かるように、ノクチルはぎりぎりその誕生から1年を迎える前に周年のライブに参加できました。実際にMCの中でも翌日がノクチル1周年であるということも言及がありましたね。
 この世界の苦しい現状の中、制限を余儀なくされてパフォーマンスの場を奪われてきたノクチルが、ここにきてしっかりと人が見ている中で結果を残したのはとても嬉しいことです。ありがとう、2ndを有人で開催してくれて!それだけで意味があるんです。このノクチルは特に!!

2021.3.22
 ノクチル発表から1年!

 とうとうノクチルが世に発表されてから1年が経ちました。おめでとうございます!この日に合わせてこのクソデカ怪文書も公開しました。
 正直ここまでたった365日しか経っていないのかと感じてしまうくらい描かれたノクチルの物語は大きくて濃密でした。そりゃこんなクソ長い怪文書も出てくるわな!!ガハハ!!(責任甜花)
 ここまで読んでいる人間がいるとは思えませんが、とりあえずここまでがノクチルの紡いできた最初1年の物語(と俺の巨大感情)です。そして、彼女たちがどういう物語を作り上げていくのか、まだまだこれからが楽しみです!やは~~~!!!

まとめ

 くぅ~疲れましたwこれにてこの怪文書は完結です!いや本当になんだこれは?あまりにもノクチルに感情が大きくなり過ぎた結果こんなものを書いてしまいましたが、たぶん誰もここまで到達していないでしょう。
 さて、ここまでのノクチルの描いてきた物語を考えてみて、一言でいうならそれは「挑戦的」だと思います。
 何度も記事中で書いていますが、ノクチルというアイドルの在り方は従来の「アイドル的な文脈」を大きく外しています。2次元アイドルコンテンツの先駆けとして15年も最前線を走り続けてきた、ある意味では「アイドルの文脈を作り続けてきた」とも言えてしまう「アイドルマスター」の名を冠するゲームで、このノクチルの在り方を描いて行こうというのは相当に難しいことを始めたなと思います。
 ただでさえメンバーそれぞれが強烈な個性を持っているノクチルなので、ともすれば安易にアイドルの文脈に走らせて陳腐な感動路線に持ち込むことになるかもしれないし、逆にその反逆性を変に強調してディティールの伴わない濃い味付けでなんとなく人気を維持することだってできるでしょう。
 そういう風な危惧が今もないわけではありませんが、少なくともこの1年間はそれを限りなく丁寧な作り込みで良い方向に裏切ってきてくれました。そこはシャイニーカラーズの本当に良いところです。きっとこれからも彼女たちの物語を丁寧に描いてくれるんじゃないかなと思います。そうだよな高山?頼んだぞ高山…!


 そして何より私は、このノクチルが示してきた「透明だった僕たち」に「さよなら」を告げたこと、つまり「本当はずっとそこにあったけど誰にも見えていなかった輝きをアイドルを通して見出す」ということの行きつく先が見たいと思っています。
 やはりこういった所謂「アイドルもの」の作品では、「アイドルになる」というダイナミックな人生の環境の変化から来る大きな揺れ動きと、それに伴って成長しながら上を目指していく様をドラマとして楽しむ側面が大きいですし、それはそれで心から楽しめるものです。
 しかしノクチルの見せようとしている輝きはそんな従来の分かりやすいものではなく、何なら「アイドルなんかやらなくたって元からそこにあった」ようなものの美しさを見せようとしています。そういう意味では「幼馴染アイドル」という今までアイドルマスターに無かった形を取ってきたということの意味が理解できます。アイドルをやる上で、アイドルになる前から一緒だったということこそが彼女たちの弱みでもあり、最大の強さでもあるということはこの1年で大きく感じることができました。
 その「元からあった」という部分を見せたい、というのは結局のところ4人の関係の「不変性」みたいなものがテーマだという風に言えるかと思います。「『アイドルになる』という激動の中で4人は成長して変わっていく部分もあるけど、それでも根底にあるものは何も変わらない、今まで誰も気づいていなかったけどこの4人が昔から繋いできた関係性こそが何よりも美しく輝いているんだよ」ということを見せようとしているのがノクチルなんだと思います。
 これってなんかもう死ぬほどエモいじゃないですか(突発性語彙死)。彼女たちの最初の曲の「いつだって僕らは」というタイトルの持つ意味があまりにも強く鋭く突き刺さりませんか?エモくない?
 これは単純に私の趣味とか価値観の問題ではあるのでしょうが、このテーマは本当に美しいなと思ったんです。世界の絶景なんかも当然良いもので、それに憧れて冒険するというのもいいですが、春の日差しの中で道端に咲いている一輪のタンポポが世界で一番美しく感じることだってあるじゃないですか?ないです?ないのかな…。でも彼女たちの輝きってそういうものなんだと思います。

 彼女たちはアイドルになったことで環境が大きく激変し、その中で社会常識みたいなものや業界のルールみたいなものにぶつかってしまい、ある意味で「大人になる」ことを求められる環境に身を置いてしまったという風に言えます。それは幼い頃からの関係に閉じこもっていた彼女たちにとって難しい環境です。
 我々の世界で「大人になる」というと、あまりいい意味ではないことも多いですよね。なんとなく年を重ねて、社会常識に適応して、そういう在り方を基準として物事を見てしまうようになったという風な意味合いで取られることも多いと思います。そのことを考えると、ずっと閉じた関係に閉じこもっていた彼女たちに誰も「大人になること」を求めない、もしくは誰も求められなかったのでしょうが、彼女たちはひょんなことからいずれ訪れるはずだった「大人になること」を求められる世界に知ってか知らずか大人になる前に自ら飛び込んでしまいました。
 そこで待ち受けていたのはやはり「天塵」でのような理不尽や、「海へ出るつもりじゃなかったし」のようなやる意味があるかどうかわからない仕事をやらなけらばならない「社会」でした。まだ若い彼女たちにとってはやはりそれにいきなり適応するのは簡単ではありません。
 しかし彼女たちはそれをなんだかんだで乗り切っています。その結果がアイドルとして望むべきような、アイドルとして望まれたような形でないにしても。じゃあどうやってそれらを乗り切ってきたか?それはただ「みんなで手を取り合って進む」というただそれだけでしたよね。結局のところ、彼女たちは「大人になること」を乗り切るために「大人でなかったころから繋いできた絆」を用いています。
 それはやっぱり、「大人になることで失うものがある」からといって「昔からの関係や思い出、価値観を捨てなければならない」ということにはなっていませんよね。このことは、もし彼女たちがアイドルとして成功しようがしまいが、「そのことだけは変わらない」と思わせますし、シャニPもそれこそがノクチルの輝きだと思っているということはこの記事内でも何回も述べました。彼女たちの輝きはアイドルになる前からずっと「そこにあった」んです。でもそれは「透明」で、誰にも、なんなら本人たちにも見えていませんでした。
 その輝きを怠惰な日常に埋もれさせようとしていたノクチルは、「アイドルになる」という激動の手段を通してその輝きを再認識する・させるような物語を紡いできたと言えます。そういう意味でもやはりノクチルにとっては「アイドルは手段」であると言えます。でもそれでもいいんです。それが例えただの手段だったとしても、そのことが彼女たちの持っていたものを今一度あの夜の海に輝かせさえすればそれでいいんだって、少なくとも私はそう思いました。

 まとめとか言っておきながら取り留めもなくなってきたのでそろそろ終わります。実際には語りたいことはまだまだあるんですけど、もう時間も体力も保ちません。もっと早くからこれ書いてればよかったなあ。
 いきなりですが最後に、私の好きなアメリカの写真家であるSaul Leiterのお話をしたいと思います。私も割と最近になって知った存在ではあるのであまり深いことは語れませんが、Saul Leiterという人物は今となっては偉大な写真家と言われています。しかし実際にはSaul Leiter自身が80歳を超えるまでその存在は見つけられていませんでした。
 そんな彼の人生をここで全て語るわけにはいきませんが、彼は「父」という存在に起因する絶対的な「社会的・宗教的規範上における成功」というものに抑圧されながらも、「ストリートスナップ」という身近なものを捉える手法でなんでもない日常に潜む美しさを模索し続けました。そしてそれは何十年も経ってから評価されることとなります。
 やはり私はそのSaul Leiterの価値観がとても魅力的に感じます。社会に抑圧されながらも、「美しいもの」なんて本当はどこにでも転がっているということ、そしてそれが人の心を動かすことを示してくれました。

 でもなんでか「大人になってしまった」私たちにはそれがどこか遠くにあるものだって感じてしまうし、そういう思いが所謂今のオタクたちがよく使う「尊い」っていう感覚に繋がるんだと思います。そしてそれを客観的に感情移入して見出すには、「並みの人間には乗り越えられないような遥か高い壁を協力と努力で乗り越えようとすること」を美しいドラマとする「アイドルの文脈」というものはかなり適したものだと言えると思います。
 そんな中でノクチルは自分たちの関係を永遠不変の最高の武器としながら、あくまでアイドルを一つの手段として「その輝きは最初から身近な所にあった」ということを示そうとしています。彼女たちの関係の「不変性」はそのまま「普遍性」に繋がります。クソエモい(死亡)。
 そういう意味での彼女たちの「普遍性」は、シャニPが透の「とーるくん」と呼ばれていたころの在り方を「懐かしい」という風に感じていたように、かつて我々も「大人じゃなかった」頃にそういう輝きを持っていて、それは最も美しいものだったんだと思わせてくれます。
 そしてその姿勢を「不変」のままアイドルであろうとするノクチルはこれからもきっと何より美しい普遍的な輝きを見せてくれると思わせます。ただ分かりやすい高みを目指していくことだけが全てではなくて、意外と近い場所にも心震わす素晴らしいものはあるんだと証明するかのように。そしてそれこそがアイドル的だと言わんばかりに。
 もしかしたら彼女たちはこれから大きな世界に飛び出すかもしれないし、そうでもなく終わるかもしれないけど、結局帰ってくるところは「馴染み深い場所」、つまり「いつも通りの私たち」なんじゃないかなと思えます。
 彼女たちは「透明だった僕たち」に「さよなら」を告げ、これから多彩な色に染まるかもしれません。それでもそこには、小さくても「透明だった僕たち」の頃からの輝きが永久に残り続けるでしょう。彼女たちの在り方のそんな美しい未来を私は信じたいです。
 最後にSaul Leiterの言葉を載せておきます。こういう価値観こそがもしかしたら後世に渡って人々の心に響くものなのかもしれないという思いを込めて、ノクチルの在り方に重ねたいと思います。

「私が写真を撮るのは自宅の周囲だ。神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。何も、世界の裏側まで行く必要はないんだ。」

I talk photographs in my neighborhood. I think that mysterious things happen in familiar places. We don’t always need to run to the other end of he world.

Saul Leiter(1923~2013)

 さて、長々と語ってしまいましたが、結局何が言いたいかというと、

ノクチル1周年おめでとう!!
そしてこれからもよろしく!!!

というただそれだけです。なんにしても気持ちの整理を付けたくてこんな取り留めもない恥ずかしい記事を書いてしまいましたが、もしここまで読んでいる方がいるなら貴方もありがとう!!でも人生の貴重な時間をこんな乱筆乱文を読むことで無駄にしないでね!!!
 取り敢えず私はこの1年のノクチルには大満足でした。そしてその大きくもこんがらがった物語で感じたことをこうして吐き出せただけでもかなりスッキリしましたし、ここから来るであろう更なるノクチルの物語に備えることもできました。
 彼女たちがこれからどうなっていくかなんて分かりませんが、それでも彼女たちの行きつく先を見たいと風に強く思えます。もしこの記事を読んで、同じくそう思えた人が一人でもいるならば嬉しいなと思います。

 なんにしても、ありがとうノクチル!ちょうど1年前に透を見た時に「ティンときた」のはやっぱり間違いじゃなかった!これからもよろしく!終わり!!全人類シャニマスをやれ!!!以上!!!!ご精読ありがとうございました!!!!ぴゃ~~~~!!!!!!!!(爆発)


(ところで、ノクチルだけじゃなくてこういう風にそのユニットやアイドルの歩みをまとめて書いてくれる人はいたりしないでしょうか…私としてはとってもそういうのが読みたいんですが…そこのあなた、どうです?怪文書を書いてみないですか?)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?