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【書評】サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル

<本の概要>

サブスク関連の記事を寄せ集め、加筆を加えて1つにまとめられた本。既に撤退しているものを含め実在する(実在した)24のサブスク型サービスを事例に、商材内容やサービス提供者のインタビューなどを抜粋。各ケーススタディを通して「成功するサブスク事業の要因」についての意見が言及されている。

<この本を読んだきっかけ>

シェアリング業界について学ぼうと思って。知人がおもちゃのレンタル事業で新しく起業し、話を聞いている中でレンタル・サブスク事業に興味を持った。今後ますます市場希望が大きくなるであろうこのビジネスモデルの実態を知りたいと思い本書を手にとった。

<読書後の感想>

・単純に読み物として面白い。こんなサービスあったんだという新しい知識が多数あった。特に興味深かったのは高級時計レンタル「KARITOKE」と、キリンビールのサーバーレンタル「ホームタップ」。今ってこんなものまでサブスクになるんだとびっくりする。

・基本的にはモノのサブスクがメインで取り上げられており、無形商材については言及が少ない。現状成功しているサブスクの多くは音楽や映画といった形のない商材が中心だったりするので、業界全体の踏み込んだ考察をする上では少し物足りなさがあるかもしれない。

<本を読んでの学び>

・継続率が担保できなければサブスクで利益を上げることは難しい。そして継続率を高めるには、顧客から得られる圧倒的な量のデータを分析し、ニーズに合わせてサービスを改修していく必要があること。裏を返せばデータ分析を出来る体制が無いのであれば、サブスクなんてやる意味がないと感じた。

・有形サービスのサブスクで利益を上げているモデルは現状ほとんどないんだろうなということ。著書内のインタビューからも読み取れるが、注目を集めているサブスクの多くがサービス設計初期の想定よりも、大幅に価格を下げてリリースしていることは興味深い。値下げすれば当然顧客にとって魅力的ではあるが、それだけ利益化も遠のくことにはなる。サブスク事業単体のリアルな利益率が気になるところ。

・特にメーカーが直で立ち上げているサブスクについては、自社サービスとのカニバリゼーション問題もあるので、相当厳しいのではないかと感じた。個人的な意見として「品揃えの豊富さ」はサブスクモデルでは外せない要素だと考えている。そのため、単一メーカーの商材だけを扱ったサブスクが成功するイメージがあまり持てず、最終的にはプラットフォーム型で複数の出品者を束ねるタイプのサブスクが残るのではないかという印象を受けた。

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