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【書評】永守流 経営とお金の原則

<本の概要>

日本電産の永守さんが、次世代の経営者に向けて書き下ろした本。資本の集め方や金融機関・VCとの向き合い方など、財務周りを中心に経営者として念頭に置くべき考え方について、日本電産での実例を交えながら記載されている。創業期〜売上1兆円を超えるまでの全フェーズにおいて様々な持論が展開されており、会社規模を問わず幅広い経営者層に役立つような情報が満載である。

<この本を読んだきっかけ>

日本トップの経営者の思考を知りたいと思った。GAFAやBATなど海外の大企業に関しては本を何冊か読んだことがあったが、国内に限るとこれまでほとんど機会がなかった。楠木建さんの「国内にも最強クラスの経営者はたくさんいる」という発言を思い出し、その一人として名前が上がっていた永守さんの本を読んでみたかった。

<読書後の感想>

自伝(これまでの経営史)的な内容なのかと期待していたが、それよりも具体的なメソッドについての記載が多く、より実用書に近いタイプであると感じた。最適なバランスシートや金融機関から融資を受ける際の注意事項など、かなり経営者を意識した内容ではあるが、考え方についてはビジネスパーソンにとっても役立つ情報が満載であった。

「人は長期で育てる意識を持ち、簡単には辞めさせない」「プライベートを犠牲にしてでも仕事の時間を最大限増やす」など、昭和的な考え方が一部あることも含めて、ある種日本の大企業らしい(従来のイメージに近い)部分もあると感じた。

本を読むだけで永守さんの仕事に対しての情熱をひしひしと感じることができ、具体的な知識を得る事ができる一方で、「もっと頑張らないと」というモチベーションが湧いてくる本でもあった。

<本を読んでの学び>

本書の中で一番印象的だったのは下記の部分だ。

私は今でも仕事上、多くの取引先を訪問するが、一流企業と呼ばれる会社に行くと、社内の行き届いた清掃や整理整頓の素晴らしさに驚く。
Qは Quality の頭文字で、3Qは「良い社員」「良い会社」「良い製品」を指す。6Sは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「作法」「しつけ」である。6Sを徹底して3Qを目指すという「3Q6S」は我が社の基本理念だ。

これまでの経験を振り返っても、仕事ができる人は総じて整理整頓や挨拶と言った当たり前のことがきちんと出来ているのは間違いないと思う。ごく稀に「モラルは低いが仕事だけできる」人も見るが、「モラルは高いのに仕事ができない」人はほとんど見たことがない。勿論、最初は仕事が出来ないこともあるが、そういう人は必ず成長して優秀なビジネスパーソンになっている。

自分自身の最近を振り返ると、忙しいと言い訳ばかりして「3Q6S」をおざなりにしてた事を痛感して大いに反省した。画期的な裏技など存在せず、当たり前のことを愚直にできる人が成功するのだ、ということを改めて学ぶ事ができた。

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