見出し画像

植月大輔 / 木工


「毎日使うものだからこそ、信頼できるものが良い。」

以前、とあるお店で店主の方が仰っていた言葉。
カトラリーはその言葉にあたるものではなかろうか。
お料理と自分自身をつなぐその架け橋は、毎日の食卓における必需品だ。

だからこそ、お箸でもスプーンでも、自分自身が大切にできるものを選ぶ。

植月大輔さんは岡山を拠点に、木工の作品を手掛けている。テーブルや椅子などのファニチャーのほか、フォークやナイフ、スプーンのカトラリーなど、ひとつひとつ生活に寄り添った作品が多い。

硬さが特徴的な黒檀という木材や、滑らかで優しい木肌のメープルなどを使用している。それぞれに、品のある美しさを感じることができる。

生まれたての作品であっても、まるで、遥か昔の時代から受け継がれたような、時を重ねる美しさがそこには宿っている。


なめらかなフォルム
ねじねじ柄尻


かれこれ2年近く、植月さんのスプーンを食卓で愛用している。
スープもカレーも、ヨーグルトでさえお似合いなこの一本。
スプーンの先は、上品でなめらかなラインが特徴的。
浅くても、たっぷりすくいあげてくれる頼もしさがある。

個人的に好きな部分といえば、スプーンの柄尻。
くるりくるりとした形状は、まるでジャックと豆の木のツルのような可愛らしいロマンを感じる。

木材といえば、ぬくもりのあるイメージを抱いていたが、
植月さんが寄り添うこと生まれた作品は、ぬくもりだけではない洗練された凛々しい表情を見せる。まるで一本の木の生涯をカトラリーひとつで表現しているかのようだ。

姿勢の良いスプーン。
人間に例えるとそのような言葉が似合う。
だからきっと、道具としても信頼ができるのかもしれない。

一筋の光をすくいあげたような、木材の明るい表情にも注目


お料理に馴染むことはもちろん、手に持っているだけでも横から見ると、シーソーのようで可愛い。

毎日使っていくうちに、木の質感や色合いの変化などに愛着が湧いていく。
そのカトラリーは、食卓に木漏れ日を届けてくれる一本の木なのかもしれない。

まだスプーンだけしか手元にないけれど、フォークやナイフも食卓に並ぶことで、きっとお料理を心地よく美味しく味わうことができるだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?