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COVID-19 Quarterly Report 22 W49 ワールドカップのコロナへの影響について

W杯も全日程が終了した。前回の投稿でその国の新型コロナの感染具合からベスト4から優勝までのチームを予測した。結果は、準々決勝はクロアチアとアルゼンチンは当てたが、ポルトガルとイングランドは外した。準決勝はアルゼンチンは当てた。決勝の対戦相手は違ったがアルゼンチンの優勝も当った。今回は、新型コロナの勢いとW杯の勢いが重なっている点を見てみようと思う。

A. W杯の拡大効果は約150万人


A1. コロナの勢いの強い国の勝率は70%強

前回の予想は以下の通り。( )内は48週のトレンドレベルと伸び率である。太字のチームが勝つと予想した。◎ は当たり、× ははずれ、ー は予想せず。

準々決勝
クロアチア(橙、+15%)ーブラジル(橙、+16%)
◎ オランダ(青、−40%)ーアルゼンチン(赤、+340%)
× モロッコ(橙、−19%)ーポルトガル(緑、+7%)
× イングランド(橙、+20%)ーフランス(橙、+8%)

準決勝
アルゼンチンークロアチア 
ー ポルトガルーイングランド 

3位決定戦
ー ポルトガルークロアチア

決勝
アルゼンチンーイングランド 


3位決定戦の予測はしなかったが、当時のデータなら、どこが対戦相手であってもクロアチアの勝利を予測していた。決勝もどこが相手でもアルゼンチンの勝利を予測していた。もし、モロッコとフランスが勝つと予想していたら、正答率は100%だったので惜しかった。

モロッコーポルトガルが外れたところから、試合の勝敗にはトレンドレベルの方が影響が強い、つまり、コロナの勢いの強い国の方がサッカーも強いことが確認された。また、イングランドの統計で用いたデータは Worldometer のものではなかった。 Worldometer のデータはイングランドのものではなく、ウェールズも含めた連合王国全体のものなので使用しなかったのだが、イングランドが大多数を占めているので、それを用いていれば、イングランドのトレンドレベルは橙ではなく黄色となり、フランスの勝利よ予測していただろう。なので、データは同じところのものを使う方がより正確な判断が下せることがわかる。

予測が外れた試合や予測をしなかった試合の結果も含めると、W杯ではトレンドレベルの高い国の31勝12敗10引き分けになった。勝率にすれば72%になる。またトレンドレベルが同じ時、直前の週の伸び率が高い国の8勝3敗でこちらも勝率72%になる。もし感染していた場合、発症前のPCR検査で陽性となる確率は理論上60%なので、新型コロナの勢いでワールドカップの勝敗を予想するのは、PCR検査での診断よりは正確であると言える。

A2. サッカー人気の高い地域で新規陽性数が急増

下のグラフは22年4期(10月1日~)の世界の感染図である。

ワールドカップは22年11月20日(47週)から12月18日(50週)に組まれている。この間の新規陽性数は増加中で、ペースも上がっている。新規陽性数は8月(30週)以降減少傾向だったが、45週から再び増加となった。

下のグラフは大陸別の4期の新規陽性数の推移である。

アフリカとカリブ海では新規陽性数が少なく、アジア東やヨーロッパ西に比べるとほぼ0なので、拡大図を添えた。ピンクの部分がワールドカップ開催期間である。ほとんどの地域でワールドカップが始まってから新規陽性数が増加していることがわかる。特にヨーロッパ西では大きく減少中だったにもかかわらず増加になった。アメリカ北でも新規陽性数の増加が止まっていたが増加に転じた。アフリカ南、アジア東、アメリカ南、オセアニアでは4期に入ってからもともと増加中だったが、ワールドカップでさらに増加が進んだ。サッカーは世界的な人気がある。次の地図(https://ja.wikipedia.org/wiki/サッカー#/media/ファイル:Football_world_popularity.png)は2001年の世界のサッカーの人気度を表している。

これによれば、南米とヨーロッパで非常に人気があり、アフリカや中東でも人気が高いことがわかる。そして、これらの地域で新規陽性数が急増した。北米、アジア東、オセアニアでは人気が低いが、20年以上前の当時の話で、今は人気があるようである(https://www.nielsen.com/wp-content/uploads/sites/2/2019/04/world-football-report-2018.pdf)。そして、これらの地域でも、新規陽性数が増加した。

A3. ワールドカップ出場国で世界の新規陽性数の3分の2を占める

次のグラフはW杯出場国(青)と非出場国(灰色)の4期の新規陽性数の推移である。

ワールドカップに出場するしないにせよ、44週までは新規陽性数は減少傾向だった。ところが、44週以降は出場国は増加が続き、ペースも上がっている。非出場国でも減少が止まった。11月に入ってから、ワールドカップの話題が増え、バーなどでワイワイと盛り上がるする機会が増えたのが拡大の原因であると思われる。非出場国では熱心なサッカーファンが盛り上がるだけだが、出場国ではそうでない人たちも加わってさらに盛り上がるので、出場国では新規陽性者数が増加したと考えられる

ワールドカップが始まった47週の時点での出場国での新規陽性数は206万0290人だったが、非出場国では74万0391人と約3分の1だった。次のグラフはW杯出場国(桃色)と非出場国(灰色)の22年47週の新規陽性数の割合(外側)と人口の割合(内側)である。

人口で世界の20%しかない32の出場国で、世界の74%の新規陽性数が発生した。この割合は48週、49週とワールドカップの日程が進むにつれ上昇している。したがって、勝ち進むにつれ新規陽性数が増えていくことになる。

次のグラフはW杯開始前3週間と開始後3週間の人口100万人当たりの1日平均の新規陽性数を出場国(桃色)とそうでない国(灰色)とで比較したものである。


ワールドカップ開始前は出場国は非出場国より8倍感染しやすかったが、開始後は約12倍に広がった。

次のグラフは開始直前(W46、下)、開始時(W47、中)、開始後(W49、上)のトレンドレベルの分布を出場国(WC 32、32国)と非出場国(non-WC、200国領土)で比べたものである。

開始直前では出場国の40%、非出場国の44%でレベルが黄色以上だった。W杯が始まると、出場国ではレベル赤が減少したものの、橙が大きく増え、黄色以上は50%に増えた。一方、非出場国でも茶赤が減り橙が増えたが、黄色以上は44%のまま変わらなかった。このことから、出場するしないにせよ伸びは下がったが、出場国では新規陽性数が増加した国が増えた。

ノックアウトステージへの出場が決まると、非出場国ではレベル赤が増え、黄色以上が47%と少し増えた。一方、出場国では赤も橙も黄色も全て増え、黄色以上の割合は78%となった。したがって、出場国ではそうでない国に比べ感染が拡大したことがわかる。

次の表は開催国カタールと隣国での感染状況である。

カタールでは新規陽性数はW杯の前と比べ約4%増え、トレンドレベルもW杯開始直前の46週は青だったが49週は橙と悪化した。隣国のサウジアラビアでは新規陽性数は減少したが、トレンドレベルは薄青から黄色に、海をへだてた隣国のイランも減少したが、青から黄色にレベルが上がった。W杯以前は減少が続いていらたが、ワールドカップでそれが止まり、むしろ増加となった。サウジアラビアが優勝国のアルゼンチンを破ったという世紀の大番狂わせがあったから仕方がないのかもしれない。一方、W杯に出場しなかったアラブ首長国連邦やバーレーンでは新規陽性数は大きく減少し、レベルも変わらないか下がった。ここでも出場国はそうでない国に比べ感染が拡大していることが示される。

A4. 出場国では勝っても負けてもコロナの勢いが強くなる

次のグラフは出場32国のW杯開始前3週間(青)と開始後3週間(桃色)の人口100万人当たりの1日平均の新規陽性数である。イングランドとウェールズは連合王国としての数値である。

イングランドとウェールズを一つの国と数え、出場31国中20国で人47~49週の100万人当たりの1日平均の新規陽性数が100人以上となった。フランス、オーストラリア、日本、韓国は1000人以上である。フランスとオーストラリアは開始前は1000人以下だったが開始後に1000人以上となった。また、ウルグアイは開始前は100人未満だったが、開始後に100人以上に増えた。

エクアドル、カタール、アメリカアルゼンチン、メキシコ、フランスオーストラリア、デンマーク、日本モロッコクロアチア、ベルギー、ブラジル韓国、ウルグアイの15国で増えた(太字はノックアウトステージに進んだ国、下線はベスト8)。イングランドオランダ、イラン、ウェールズ、ポーランド、サウジアラビア、ドイツ、セルビア、セネガル、コスタリカの10国は減少はしたが、トレンドは赤、橙、黄色で増加中、つまり、4期に入って一旦減少していたが、ワールドカップを機に、再び増加となったというわけである。実に出場32国中25国(78%)で新型コロナの指標が悪化した、つまり、コロナの勢いが強くなったという計算になる。そして、新型コロナの勢いが強くなった国の方が勝ち進んだということにもなる。

トレンドレベルが緑以下で人口100万人当たりの1日平均の新規陽性数も下がったのは、チュニジア、スペイン、カナダ、スイス、カメルーン、ポルトガル、ガーナの7国だった。

次のグラフは、49週のトレンドレベルの分布をノックアウトステージに進んだ16国とそうでない国と比べたものである。

レベル赤および橙の割合ノックアウトステージに進んだ国の方が高いが、黄色も含めると大差ない。準々決勝まで進んだ国の割合もほぼ同じになる。要は、勝っても負けても新規陽性数が増えた。おそらく、勝てば喜びを表すために街に繰り出しワイワイ騒ぎ、負けたら負けたで、うさを晴らすために街へ出て暴れる。実際、勝っても負けても暴動が起こった。これらの国ではほぼ新型コロナの規制が緩和されているので、当然のことながら、マスクもしなければ、集近閉も守らない。したがって、感染が拡大するのは必然といえよう。

A5. ワールドカップで150万人が余計に感染した

次のグラフは21年4期の出場国と非出場国の新規陽性数の推移の比較である。


21年4期は出場国と非出場国とで新規陽性数は同じくらいだった。(出場国の方が人口が少ないので、感染しやすいが22年ほどではない。ところが、出場国では44週(10月29日~11月5日)から増加が始まり49週(12月4日~10日)からはその勢いが強くなった。一方、非出場国でも21年は42週から増加が始まり47週で一旦減少に転じる。実は21年45~46週にヨーロッパでW杯予選の最終節が行われていたので、その影響があったといえるだろう。出場国やプレーオフに望みを託した国では、予選終了後も盛り上がりが続き、新規陽性数は増えた可能性が高い。また、この時点で出場の望みをたたれた国では、平静を取り戻して新規陽性数が減少したと考えられる。50週以降はオミクロン株による流行で出場国でも非出場国でも新規陽性数が急増する。

したがって、W杯とその予選がなければ、出場国でも新規陽性者数が増加しなかった可能性が高い。実際、ワールドカップに出場しなかった国領土では22年の新規陽性数は減少しているし、出場国も、ワールドカップが始まる1ヶ月以上前までは新規陽性数の減少が続いていた。

21年は出場国では49週まで平均して毎週6%増加、非出場国領土では1%の増加だった。今年は出場国は3%増加、非出場国領土は4%の減少だった。非出場国領土のW杯による新規陽性数の影響を0と考えて計算すると、ワールドカップがなかった場合、出場国の40週から49週までの合計新規陽性者数は約1840万人と推測される。実際は1990万人強おり、約150万人がW杯が原因となる感染者であると計算される。

A6. 新たな世界的感染の兆候?


次のグラフは20年(点線)、21年(破線)、22年(実線)の4期の新規陽性数の推移である。

20年は4期が始まった40週から増加傾向になった。ヨーロッパ西とアメリカ北を中心とするアルファ株の感染である。51~52週は一旦減少するが、ピークは21年第2週だった。21年は42週から増加が始まった。オミクロン株によるもので、ピークは22年4週である。今年は44週から増加が始まった。

奇妙なことに、毎年4期なると新しい変異株が出現して感染が拡大する。始まりの時期は2週間遅れ、ピークも2週間ずれる。したがって、今年の増加もワールドカップに関係なく、増加した可能性も考えられる。だとすると、今回もこれから急増し、23年1月末頃をピークとする新しい株による感染が発生するのではないだろうか。

A7. W杯で新規陽性数が増えたのはワクチンに効果がないから

11月18日のリポートでも紹介した忽那賢志氏の指摘(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220717-00305856)によれば、21年12月頃から再感染者が多くなったのは、アルファ株やデルタ株の抗体を持っている人でもオミクロン株には感染しやすかったからとのことである。これは、その当時使われていたワクチンはオミクロン株に対する予防効果があまりなかったことを意味する。なぜなら、ワクチンはアルファ株やデルタ株から開発されているからである。しかし、ワクチンはアルファ株やデルタ株には予防効果があったことから、当時は未知だったオミクロン株にも効果があると考えられれ、ワクチン接種とブースターが推奨された。21年12月中に約130億回の接種が行われた。そのうちの30億回がブースターだった。しかし、前述の通り、このワクチンはオミクロン株に対してはさしたる予防効果がなかったので、ワクチンを接種したのでもう感染しないと勘違い人たちによって、過去最大のオミクロン株による大感染を引き起こされた。

オミクロン株による感染には地域差があり、特に発生源と言われているアフリカではそれほど流行しなかった。21年当時のアフリカでのワクチン接種は全世界の1%未満だったことを考えると当然と言えよう。

今年はオミクロン株対応ワクチンの接種が増えている。しかし、今流行している株にm=このワクチンが効果があるかどうかは未知である。したがって、昨年の二の舞になる可能性もある。

B. 今感染すると治るまでに3ヶ月かかる

22年49週(11月25日ー12月2日)の世界の新規陽性数は、350万2955人だった。前週比で5%の増加となった。これで2週連続の増加であるが、今週は伸び率は下がった。49週の死者数は1万1358人だった。前週比20%増で2週連続の増加で、伸び率も拡大中である。次のグラフは世界の感染図である。


49週の世界の治療者数は、1361万3028人で前週比9%増だった。同じく重症者数は3万7409人で、前週比1%増だった。治療者数も重症者数も4週連続増加中で、伸び率も高くなっている。回復者数は200万3740人で、前週比2%減だった。これで6週連続の減少であるが、減少率は低くなってきている。次のグラフは世界の治療者数と回復者数の推移である。

新規陽性数の増加が続いているが、回復者数は減少が続いている。つまり、今、新型コロナに感染すると以前より治りにくいと言える。

B1. 南米、中国で感染拡大中

49週はセントビンセントグレナディーンで3ヶ月ぶりに新規陽性が確認された、2000人以上と数が多いので、過去数週間分の新規陽性数も含んでいる可能性もあるが、アメリカのサンクスギビング休暇に大量に訪れた人たちがもたらした可能性もある。ジャマイカでは2ヶ月ぶり、シントマルテンでも1ヶ月ぶりの新規陽性が確認された。いずれもカリブ海の島国である。また、バングラデシュでは2ヶ月以上続いた、新規陽性数の減少が止まった。来週以降増加が続く可能性が高い。

世界の22年4期の新規陽性数は2937万6349人で、ペースは3期から45%減少している。累計では6億5299万4082人で、感染率は8.2%だった。

次の表は49週の新規陽性数のランキングである。

上位国でレベルが緑以下なのは、ワールドカップに出られなかったイタリアだけである。表には出ていないが、ワールドカップ優勝のアルゼンチンが先週の43位から21位に急上昇した。来週は確実に20位以内にランクインするであろう。メキシコも先週の28位から16位にランクインした。

次の表は49週の人口100万人あたりの1日平均の新規陽性数のランキングである。

次の地図は49週の新規陽性数のトレンドレベルである。

B2. 死者数もその伸び率も増加している

49週はジャマイカでは2ヶ月ぶりの死者が出た。ジャマイカでは新規陽性者数も今週急増したばかりで、もし、これらの新規感染者が中から死者が出たのならば、致死率は13%と非常に高くなる。また、ジャマイカでは、5万人近い治療中の患者がいるが、ここ1ヶ月ほど回復者数が0でなので、長い治療からの解放が死を意味する、と言っても良いかもしれない。また、ボツワナでも8週間ぶり、ジンバブエでは7週間ぶりの死者があった。アイスランドでも1ヶ月ぶりの死者が出た。

世界の22年4期の死者数は9万3045人で、3期に比べて28%ペースが下がっている。致死率は0.36%だった。累計の死者数は664万5259人で致死率は1.02%である。

次の表は49週の死者数のランキングである。

次の表は49週の人口100万人あたりの1日平均の死者数のランキングである。

次の表は49週の致死率のランキングである。

B3. 陽性率は日本がトップ

49週はトルコでも治療者数の公表をやめた。19国目である。2ヶ月ぶりの新規陽性者が出たジャマイカでは、当然のことながら2ヶ月ぶりに治療数が増加になった。オマーンでも1ヶ月ぶりに治療者数が増えた。また、ボリビアとルーマニアでは48週に約4ヶ月ぶりに治療者数が増加し、今週も増加が続いている。

次の表は49週の治療者数のランキングである.

陽性率は治療者数の人口に対する割合である。次の表は49週の陽性率のランキングである。

4期の新規陽性数が10万人以上いる国領土で、最も陽性率が高いのは日本である。日本国民の4%弱が新型コロナに感染して治療中である。

B4. 感染者の13%以上が5ヶ月かけてもまだ回復しない

49週時点で世界35国領土で少なくとも166万8086人が感染してから5ヶ月半以上経っても回復していない。長期化率は11%だった。感染してから11ヶ月以上たっても回復しない患者も11国に少なくとも12万0647人いる。次の表は22年7月1日以前に感染したが、12月9日現在で治療中の者が多い国領土のランキングである。

ここにランクされていないからといって、長期治療者数が0であるとは限らない。

B5. 重症者数はアメリカと日本で大きく増えている

49週の重症者数は3万7409人(前週比1%増)。これで4週連続で増加となった。感染者数に対する重症者数の割合は、前週より0.02ポイント減り、0.23%となった。次の表は49週の重症者数がのランキングである。

B6. 95%回復週数は16週から28週に伸びた。

3ヶ月ぶりに新規陽性者の確認があったセントビンセントグレナディーンで8ヶ月ぶりの回復者がでた。同時に治療者数は4ヶ月間356人のままだったが、今週は11人に減少した。少なくとも345人が3ヶ月以上治療を続けて、ようやく治ったということになる。ジンバブエでも7週間ぶり、北マケドニア、シントマルテンでは1ヶ月ぶりに回復者が出た。

次の表は49週の回復者数のランキングである。

次の表は49週の人口100万人あたりの1日平均の回復者数のランキングである。

回復率は10.3%で先週より1ポイント減少した。これで、6週連続の減少である。95%回復週数は、治療者数が49週の5%未満になるまでかかる週数で、49週の回復率を r とした時の指数方程式

$$(1-r)^w < 0.05$$

の解 w の値である。49週の世界の回復率は10.3%なので、r = 0.103 をとして式を解くと w=27.7 になる。したがって、回復率が今のペースで続けば、95%の人たちが回復するまでに約28週間、つまり、6ヶ月以上かかる計算になる。半分の期間の14週で77%が回復し、4分の1の期間の7週で52%が回復する。ただし、95%回復週数は個人が感染してから回復するまでの期間ではない。

次のグラフは4期の95%回復週数の推移である。

W杯が始まる1ヶ月ほど前からだんだんと長くなっている。

次の表は95%回復週数のランキングである。

95%回復週数が最も多かったのはアルジェリアで1万0195週、つまり、196年かかる。アルジェリアの49週の新規陽性数は40人で、26人が回復した。治療中のものが増えた。しかし、8万人以上の治療中の患者がいる。新規陽性数の方が回復者数よりも多いので、治療中の患者は増え続けている。ゆえに、この患者たちが治るまでに時間がかかるのである。まるで、借金のようでもある。

2番目に多いベトナムで2462週(47年)、3番目に多いイランで1148週(22年)かかる計算である。10年(520週)以上かかるのはこの3国のみ。1年(52週)以上かかるところも、日本を含め12国ある。

C. 接種を停止した国が増えている

22年49週は世界で1820万3400回の接種が行われた。アフリカを中心として48週の接種回数の修正があり、先週報告した分よりも1000万回以上増え、3157万7543回となったので、前週比42%減となった。ブースターは985万0427回実施された。前週比28%減で、ブースター回数が1000万回を切ったのは21年42週(10月16日ー22日)以来1年2ヶ月ぶりである。接種回数と違いブースター回数の修正幅は小さかった。ブースターの全接種回数に対する割合は54%である。次のグラフはワクチン(赤)とブースター(茶)の接種回数の推移である。


49週はジャマイカ、クック諸島、サモアで約1ヶ月ぶりの接種が行われた。ジャマイカでは49週にほぼ2ヶ月ぶりに約600人の新規陽性が確認され。79人が亡くなったので、ワクチン接種を再開したものと思われる。

49週にワクチンを接種したのは67国領土だけだった。しかし、前回発表時点では48週も79国領土しか接種が行われていなかったが、修正で104国領土に増えたので、来週以降の修正で、接種国数は100国前後になると思われる。

次のグラフはワクチン(赤)とブースター(茶)の接種国数の推移である。

ワクチン接種国数は22年3週の180国領土をピークに’徐々のその数を減らしている。ただし、46週から49週の間に少なくとも1回接種をしたところは135国領土になるので、2~3週間に一度接種(の報告)をするところが多いと考えられる。カリブ海では毎週接種回数を報告しているところは、アルーバ、キューバ、ドミニカ共和だけである。

次のグラフは46週から49週の間に少なくとも1回接種(の報告)をした国領土の数(赤)とこの間1回も接種種(の報告)をしていない国領土の数(水色)を大陸別に分類したものである。


ヨーロッパ東、カリブ海、オセアニアでは、半数以上の国領土で1ヶ月以上接種(の報告)がない。累計の接種回数で世界17位のイギリスは4期の接種回数が0で、どう26位のスペインもここ2ヶ月ほど接種(の報告)が止まっている。

また、接種はしているものの、多くの国でその回数を減らしている。累計接種回数上位20国で、4期の接種回数のペースが3期よりも高くなったところは、アメリカ、日本、バングラデシュ、メキシコ、ドイツ、イタリアだけである。

次の表は49週の接種回数のランキングである。

次の表は49週の人口100万人あたりの1日平均の接種回数のランキングである。

次の表は49週ブースター回数のランキングである。

世界の接種回数と新規陽性数のグラフを重ね合わせると、次のようなグラフになる。


接種回数は上下が激しいが、新規陽性数の増減とシンクロする。つまり、接種回数が増えれば新規陽性数が増え、接種回数が減れば、新規陽性数が減る。4期の接種回数の報告がないイギリスでは、最近の新規陽性数は減少している。累計の接種回数が26位だが、10月以降接種回数の更新がないスペインでも、新規陽性数の減少が続いている。イギリスとスペインの接種回数と新規陽性数の推移は下のグラフになる。

イギリスとスペインでワクチンを本当に接種していないならば、ワクチン接種の停止がコロナ撲滅の1番の近道であると思われる。

D. 日本でコロナに感染すると1年経っても治らない

日本の49週の感染状況

新規陽性数:79万3593人(前週比3%増)、8週連続増加中、6週連続世界1位死者数:1277人(前週比12%増)、5週連続増加中、世界2位
治療者数:495万6629人(前週比10%増)、11週連続増加中、7週連続世界1位重症者数:378人(前週比8%増)、7週連続増加中
回復者数:8万5476人(前週比13%増)、回復率:2%、回復週数:185週
接種回数:474万0873回(前週比14%減)、完了率82%
 3回目接種:47万2529回(前週比103%増)、
 4回目接種:159万2737回(前週比12%減)、
 5回目接種:357万6690回(前週比5%増)、真の過完了率:68%

下のグラフは日本の感染図、治療者数と回復者数の推移である。

下のグラフは日本(実線)と世界(点線)の回復率の推移である。

日本の回復率は4期に入ってから急激に減少した。3期までは世界の回復率よりも高かったが4期に入ってから逆転された。49週は2%に満たず、その結果、治療者数の増加が著しい。また、3期は95%回復週数は10週間以内だったが、今は3年以上に伸びた。22年9月に日本への入国規制が緩和されたことと関連があると考えられる。また、これだけ治らないのだから、今までの治療法が使えな句なった可能性も考えられる。だとすると、新種が持ち込まれた可能性が非常に高い。だとすると、オミクロン株対応のワクチンには予防効果はないと思われる。

下のグラフは日本の接種回数の推移である

下のグラフは日本のブースター回数の推移である。


日本の接種回数(赤)と新規陽性数(青)のグラフを重ね合わせると、次のようなグラフになる。

接種回数のピークと新規陽性数のピークとがほぼ一致する。2月(オミクロン株)では三回目接種、7月(BA.5型)では四回目接種、今回は五回目接種が感染拡大の引き金と言えなくもない。


人口、陽性数、死者数、治療者数、重症者数、回復者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数は Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。ランキングは特に表記のない限りアメリカ中部時間の12月12日22時時点で得られた最新の値を利用して作成し、上位20位までをリストした。それ以降に修正あるいは追加されたデータは含めないので、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。修正あるいは追加されたデータはも反映させているので、今号の統計とは異なる場合もある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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