遊ぶように、防災を学ぶ。

 今回、私たちは「社会課題解決にクリエイティブな力を使う」をモットーとし神戸を基盤に活動を続ける、KITTO/NPO法人プラス・アーツの永田宏和さんにお話を伺った。

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 西宮出身の永田さんだが、阪神・淡路大震災の当時、京都で仕事をしており関わりのあった西宮や神戸のために活動したかったのに何もできなかったと振り返る。しかし、その10年後。永田さんは防災の仕事に関わっていくこととなり、防災教育の第一人者といわれるまでになった。現在、様々な企業や国が永田さんが取り組む防災に注目。日々、多種多様な分野から声を掛けられている方だ。

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 お話を伺った数ある活動の中で、私たちが最も印象に残ったもの。それは防災プロジェクト「イザ!カエルキャラバン!」だ。この活動では、子どもたちやその保護者が防災について楽しみながら学ぶことができる。活動は国内外に広がっており、その地域に合わせたものに進化中。「カエルキャラバンはみんなでつくる地域のお祭り。そのために、自分たちはタネ(活動)を運ぶカゼ(企画プロデューサー)となる」。永田さんはこのようにおっしゃっていた。

 この言葉を表すように永田さんは地域の住人に対して、子どもからお年寄りまでもが協力して防災について学ぶことのできる仕組みを創っている。その際、永田さんがこだわっていることは、地域の方が参入し、オリジナリティなものに変換できるタネ(活動)、アイデアを運ぶこと。地域の方が、主体的にカエルキャラバンをヤモリキャラバンに変えていったり、新聞紙でつくるお皿をバナナの葉で作成したりしている。このように、カゼ(企画プロデューサー)の役割として、ただ伝えるだけでなく、地域に根付き普及するようにその土地、その地域の方が主役になる環境を形成することでタネ(活動)を広げている。だからこそ、この活動によって地域コミュニティが形成され、万が一の時に対応できる街になっていくのだと感じた。この街の人が介入してできあがる仕組みを創る背景には、様々な困難があったと話を聞いていて感じた。ある程度できあがった型を提供する方が簡単でラクではある。しかし、本当に街のこと、相手のことを想い考え行動してきたからこそ、今のカエルキャラバンがある。私自身も永田さんのように相手にとって必要なものを考え抜ける『カゼ』のような人になりたいと強く感じた。

(取材先:NPO法人 プラス・アーツ 理事長 永田宏和氏)
(取材者:芝光彩、谷口浩都、坪内壽音、横山拓也)

「イザ!カエルキャラバン!」とは:http://plus-arts.net/project/ikc/

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