「忘れた頃」に、備えを。

 東北の被災地で一瞬言葉を失った。現地で一緒に遊んだ小さな子どもが、ふとした瞬間に「お母さんを亡くした」と言った。被災者の方々がつらい表情で、当時の話を語ってくれた。私は正直どうすれば良いのかわからなかった。でも、この悲しみは二度と繰り返してはならない。それだけは肌で感じ取った。

 何が出来るのだろう。何度も何度も考えた。「ひとりでも多くの方々に災害対策をして欲しい」という願いにたどり着いた。でも災害対策なんて後回しになってしまうのが現状だ。毎日を生きることは簡単ではない。けれど残酷にも災害はいつも忘れた頃にやってきて、多くの人を悲しませる。

 だからもし、気持ちに余裕ができたとき、この記事を思い出してくれたら嬉しい。大切な人を守れるように。救えたはずの命があったと後悔しなくて済むように。何より、あなた自身を守れるように。

(文:横山拓也)

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