京都にて(3/3)伏見稲荷大社
4月下旬、京都を旅した。
日本の稲荷神社の総本宮、伏見稲荷大社にも行った。
このイギリス人による日本研究を読んだ時、素っ頓狂だと思って、何か東洋に対する先入観のようなものがあるのではと疑ってしまった。
逆に私が、西欧文化の洗礼を受け、一応合理的な思考をする習慣ができてからの日本で生まれ育ったから、とっぴだと考えたとも言える。
古事記には、スサノオのミコト(嵐の神)が宮殿に排泄し、女官のヴァギナをつむで刺したので、天照大神(太陽神)が怒り悲しみ岩戸にひきこもってしまい、大地が枯れ災いが続いた。
神々が集まって天照大神を説得できないかと話し合ったが、良い方法が思い浮かばない。そこへ、アマノウズメノミコトが踊りながら、着物を持ち上げてまんこを見せたところ、八百万の神が喝采し大騒ぎになり、一体全体何事かと天照大神が恐る恐る岩戸から出てきた。
こうして大地に豊かさが戻った。
そんなお話もあるくらいなので、古代の人々が女陰崇拝したのも嘘ではなさそうだ。
日本全国何処の神社へ行っても、聖なる女性器をくぐる時には、きちんとお辞儀して礼儀正しくお参りする人を多く見かける。
私はやったことがない。罰当たりもいいとこだろう。
舗装された石段を上がるのでそこまできつくは無いけど片道1時間半の登山だ。
まだ幼い子供も元気いっぱいでどんどん進む。
参道の鳥居がない道には、八百万の神様がひしめき合っている。
このような稲荷神社が山道のところどころにある。
商売繁盛に始まり、学業成就、縁結び、身代わり地蔵、子宝祈願。
あらゆる神様が祀られている。
なんと眼力の神様と足腰を強くしてくれる神様も鎮座していた。
もし肩こりを治す神様がいらしたら、ドラッグストアだ。
「眼精疲労に足腰とは目の付け所がいいよなあ、ごりやく、ごりやく」夫が言う。
私は眼力玉という御守りを買った。
“買った”ではなくて、別の表現の仕方がおそらくあるだろう。
頂上に着いて、私以外の二人はソフトクリームを買って食べた。私は冷やし抹茶をいただいた。
下りは別の道を行く。
稲荷神社には油揚げをお供えすると最近知ったうちの子が、どのお稲荷さんにも油揚げが無く不思議がっていた。
先月からジョギングを再開した夫と股関節が発達してきた子供は、降り坂でもどんどん進む。
私は降り坂で二人から離れた。怪我しそうで怖いから速く歩けないのである。
「お母さーん、ゆっくりでいいよー」
子供の声がした。
四十過ぎると、走れなくなる。悲しいのが、小さな子供を追いかけている時にそれに気付くことだ。
足腰の御守りも買っとけばよかった。
戯れに我が子を追いかけそのあまり
速きに泣きて稲荷信仰
(終わり)
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