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ネタバレ有『クロイツェル・ソナタ』のあらすじ

トルストイ著『クロイツェル・ソナタ 』


あらすじ

[私]は、列車で偶然乗り合わせた若白髪の紳士から、ある告白を聞く。
 
紳士は元は田舎の貴族で、ポズヌイシェフと名乗った。「妻を殺した」過去があるという。
 
そして彼は、[私]にそのいきさつを、語り始める。
 
ポズヌイシェフは、33歳のときに19歳だった妻と出会い、妻の姿態に強く惹かれ結婚した。彼は既に、15歳の時に兄とその仲間で「いいやつ」などと呼ばれている悪い仲間の誘いに乗り、買春していた。
婚約中にその件を書いた昔の日記を妻に見せると、妻はショックを受け顔面蒼白となった。ポズヌイシェフは「あのとき妻は婚約破棄すればよかったのに!」ともらす。

結婚生活は当初から険悪なものだった。毎日のように喧嘩し、和解する為に、ポズヌイシェフは妻と夜の夫婦生活に及ぶということを繰り返していた。

すぐに第一子が生まれ、立て続けに5人の子に恵まれる。妻は授乳をはじめ、育児で心も体も憔悴しきっていった。ヒステリー症になり、医師の診断を受けた妻は、避妊を推奨され実行する。妊娠からも授乳からも解放された妻は、32歳の健康的で魅力的な女性になる。
 
遠縁の独身の男が、妻のピアノ演奏に合わせバイオリンをひきに自宅を頻繁におとずれるようになると、ポズヌイシェフの嫉妬に火がつく。
 
大喧嘩をしたある日、嫉妬を妻に告白する。妻はきっぱり否定する。あなたが望むならバイオリンの男とは二度と顔を合わせない、ともいう。ポズヌイシェフは安心し、自分に嫉妬を許さないために、妻とバイオリンの男とのレッスンを許す。

ところがある晩餐会で、妻とバイオリン男がベートーベンのクロイツェル・ソナタの第一プレストを合奏するのを聴くと、その息のあった様子に耐えられなくなる。数日後、出張先で、妻が以前から浮気していて、子供たちの父親も自分ではなく、妻が下男と浮気していたのではと妄想に取りつかれる。
 
予定より早く帰宅したポズヌイシェフは、深夜に電気がともる妻の部屋に、バイオリンの男がいると門番から聞く。彼は門番に仕事を言いつけると、短刀を背中に隠して部屋のドアを開ける。二人は、ただ座って談笑しているだけだったが、ポズヌイシェフはそのまま妻を押さえつけ、短刀を彼女の脇腹に突き刺す。バイオリン男は逃げ出す。

ポズヌイシェフは短刀を抜き、自室に戻り、銃を取り出すが、自殺しない。

悲鳴を聞いた使用人たちが医者を呼ぶが、妻は苦しみながら翌日昼に亡くなる。

『なぜ、こんなことをしたの?なぜ?』
『赦してくれ』私は言いました。 『赦せ、ですって?くだらない、そんなこと!……ただ死にたくない!……』
妻は叫んで、半身を起こすと、熱病のように光に燃える目を私に注ぎました。『そうね、さぞ本望でしょうよ!……あなたが憎い!……ああ! ああ!』明らかにうわごとらしく、何かにおびえたように彼女は叫びだしました。『さあ、殺すがいい、私は怖くない……どうせならみんな殺すのよ、みんな、あの人も。逃げるなんて、逃げるなんて!』
新潮文庫  クロイツェルソナタ  原卓也訳p171

ポズヌイシェフは警察へ移送される。

ここまで語り終えると「いや失礼しました…」と言い、反対側を向き、肩がけに身を包んで横になった。[私]は翌朝自分の降りる駅でポズヌイシェフに別れをつげる 。彼は「どうも失礼しました…」と語り終えた時と同じ言葉を言った。

以上あらすじ終わり

感想は別で書きます。

(終わり)


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