怖がりの百物語


昔からホラー映画や心霊番組が大の苦手だ。
ポンキッキーズの中で放送されていたトイレの花子さんも苦手だった。あのトラウマで小学校のトイレが苦手だった程だ。

しかし、怖い話が載っている本はよく読む。ネットの怪異記事やネットの掲示板に載っている不思議な話のスレッドなんかも読んでいる。最近はインスタグラムによく掲載されている怖い体験談を漫画にしたものも好んで読んでいる。他にも『新怪談耳袋』という本を図書館から借り、全て読み切ったこともある。この本は怪談話が1巻につき100話収録されていて、それが10巻あるのだ。怖い話を合計1,000話も読むなんて好んでいる証拠といえよう。

ホラー映画や心霊番組は本とどう違うの?とよく聞かれるが両者の違いは明らかだ。

前者はホラー映画の貞子のようにテレビを見ている最中に画面から怖い何かが出てくるかもしれない。

だから無理なのだ、怖くて見れない。



これを言うと、
『何を言ってるの、本の中からも出てくるかもしれないじゃん』と返されるのだが、本の中にあるのは文字だ。出てくるとしたら、文字なのだ。文字は出てきてもいいのだ!
文字が出てきても怖くないし、もし漫画だと出てくるのは絵だ。絵が抜け出てきても(その絵のテイストにもよるが)何とかなる気がする。


昔、会社で世間話をしていたところこの話になった。するとある先輩が

『それわかるぞ!俺もホラー系ダメだ!』

『だって拳が通じないじゃん⁈』

みんな、何言ってるんですか、と返したのだが、

『霊って拳、通じないじゃん?』

確かに。拳は霊をすり抜けるだろう。

『何でダメなのかもう一度考えてみて!』







「拳が通じないから、、、?」

『ほら、そうでしょ!さくらいさん、拳が通じないものがダメなんだよ!』

先輩は私が納得したのを確認し、ふふん、と満足気に去っていった。拳が通じないものがダメな仲間が増えて嬉しそうにも見えた。納得してしまった私を見て、周りの人達は大爆笑していた。

こうして私は『拳が通じないものがダメ』な人認定されたのだった。


年齢を重ねるにつれ、少しは感覚が鈍くなったかと思いきや、相変わらずホラー映画や心霊番組はダメなままだ。
私が1,000話読み切った新怪談耳袋は、1巻につき100話収録されているはずなのだが、目次上は99話となっている。実際には100話収録されているらしいのだが、なんらかのカラクリがあり目次上は99話になるようにしているらしい。これは1日に怪談を100話語り終えると怪奇現象が起こるとされている百物語を避けるため、とのことだ。私は念のため、耳袋を読む時は1冊を1日で読み切らないように必ず数日に分けて読み切っていた。

99話と100話のカラクリがどういったものなのか、noteでこの話題を書くに当たり検索してみた。が、『新耳袋』とGoogle検索すると、文字だけでなく怖い画像も一緒にたくさんひっぱられてきてしまった。iPhoneの画面から怖い何かが出てきそうで怖くなり、調べるのをやめた。結局カラクリは分からずじまいだった。

仕方ない、怖いのだから。

学校トイレのトラウマを植え付けたトイレの花子さんだが、子供の頃は花子さんシリーズ本を2、3冊持っていた。確か表紙に特殊な加工がされていて、暗闇だと表紙に描かれている花子さんが光るやつだった。これが怖くて、夜寝る前は必ず表紙を裏返しにしてから電気を消していた。

そんなに怖がりならそんな本を買わなきゃいいのに。。。

今はネットやインスタグラムで怖い話を読んでいる。

怖くないといったら嘘になる。

でも読まずにはいられないのだ。

どうやら私は一生怖がりながら怖い本を読む羽目になりそうだ。。。




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