920km先に引越ししてみたら
30年暮らした地元から引越し先までの距離、920km。
自動車で移動すると20時間、新幹線だと6時間、飛行機だと4時間。いずれの手段を取ってもいつでもすぐ帰れる距離ではない。
自分で望んだ転勤とはいえ、いざ現実になると怖気いてしまう。
お前なんぞ他の土地ではやっていけるわけなかろう。
そんな遠いところに行って本当に大丈夫?
私も若い時県外で働いていたけど、やっぱり地元以外考えられないよ!
外野から飛んでくる野次。
子泣き爺を背負ってしまったかのように心がどんどん重くなる。
大丈夫かどうかなんてこっちが聞きたいよ。
家中の荷物を必死に段ボール詰めして、それを大型トラックに積んで。ようやく新居に到着したら詰めた段ボールを開封して、それぞれの場所に収納して取り急ぎ生活できるようにする。
慣れない土地での育児、引っ越したばかりでまだ使い勝手の悪い部屋での家事、知らない人ばかりの中での仕事。。。目の前にあるものを必死にこなしていたらいつの間にか半年経っていた。
ようやく余裕ができた休日。
せっかくだからと日本最大の湖を見にいった。
デカい。深さはどれぐらいあるのだろう。
大昔、映画 君の名は 1シーンのように彗星が落ちて水が溜まったのだろうか。彗星だろうが、隕石だろうが、この大きさが空から降ってきたらもうどうしょうもないだろう。とこの湖の歴史に思いを馳せる。
住めば都。
色々言われたけれど、何とかなっているじゃないか。
それどころか1歩踏み出さなければ見えなかった風景、会うことがなかった人たち、その土地の食べ物に出会った。
この地のものを受け入れて、思う存分この地を巡ろう。
踏み出したのはまだ1歩。10歩、100歩の先にはどんな景色が待っているだろう。
背中の子泣き爺はもう、重くない。
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