Ep004:確信
さて、前回の続きを書いていくとしよう(きつい・・・)
私は怪しさいっぱいのiPhoneを手に取った。
LINEを開いて、もちろん一番上に表示されている相手・・・
知らない男だったが、分かったことがある。
「「今日、2人は夜に会う」」
何事もなかったかのようにiPhoneを元の位置に戻し、
お手洗いから戻ってくるのを待った。
それからもしきりに連絡を取り合っているようだったが、
そのままアッシーとしての任務を遂行した。
帰ってきたのは18時ごろだったと思う。
もちろん家に向かって運転していると、
「駅前で降ろして~」とお願いされた。
きたっ!と思った。何も知らない顔をして、『あれ?なんか買い物?』
と聞くと、「大学の○○ちゃんとご飯食べるから」と言われた。
(嘘だ・・・)
それでも『分かった。』と答えて駅に目的地を変更した。
どうやら約束の時間にギリギリなようでかなりイライラしている様子だった
『着いたよ』
1日、運転手アッシーを真っ当に務めたが、特にお礼もなく、
「冷蔵庫にあるもので適当に夜ご飯すましてね~」
そう言われた。
1週間のうち仕事を除いて、2日の休日の1日を、
こんな風に使われたとしても、私は怒ることさえもしなかった。
むしろ、1人で家で過ごせることに気楽ささえ感じていた。
完全にメンヘラに精神は壊されていたのかもしれない。
『待って。』
これからのディナーを楽しみに助手席から降りていく後ろ姿に言った。
『本当に○○ちゃんとご飯だよね?』
「なに?疑ってるの?w」
最後に一度だけ・・・
一度だけ引き留めよう・・・
『・・・本当に、、本当に行くんだね?』
なにも返事は無く、
止めた手を乱暴に振り払い、人混みの中に消えていった。
そして、朝まで帰ってくることはなかった。
私は確信した。
ようやく夕方ごろに帰ってきたメンヘラを問いただした。
私の確信の答え合わせの始まり。
知らない男と過ごしていた24時間分の 嘘 がメンヘラの口からこぼれだす
「○○ちゃんと夜ご飯食べて~」
「△△ちゃんと合流してみんなでカラオケ行って~」
「でも○○ちゃん、つぶれちゃったからタクシーで家まで送って~」
「そのまま3人で○○ちゃん家で寝てたらこんな時間になった~」
何を言ってるんだこいつは、と思った。
耐え切れず、iPhoneを見たことを正直に言った。
全部、嘘なのは分かっているから本当のことを話してほしいと。
「趣味わるw」
そう言って笑っていた。
「男とご飯行ったって、朝帰りしたっていいでしょ?
なにが悪いのかわからないんだけどw」
いろんな気持ちが私の中で渦を巻いていた。
怒り、後悔、悲しみ、苦しみ。
でも怒ることが出来なかった。
なにより嫌われたくなかった。離れたくなかった。
メンヘラはそれからも、ずっとその男との関係を続けていた。
見えないように、見ないようにしながら、
隣でずっと笑っていた。何の感情も湧かなくなるまでに。
今まで通りの2人の楽しい時間が過ごしたくて、
いろんなところに出かけた。思い出の場所なんかも行った。
だけど、その1件があってからメンヘラは私を無視するようになった。
何を話しかけても、何を聞いても返事はなかった。
大好きなはずのカラオケに行っても、何も歌わない。
食事をしに行っても会話はゼロ。
金曜日、仕事が終わって、そのままメンヘラ宅に向かい、
土曜、日曜、月曜の早朝までそばにいて、
メンヘラ宅から2時間かけて職場に向かう。
何度も何度も同じ生活を繰り返していたが、私は既に限界だった。
そんな時、珍しく誰かに相談したいと思った。
一番最初に、浮かんだ人、それが今も思いを寄せる彼女だった。
以前、SNS上で繋がっている「友達の友達」程度の関係と書いたが、
一度だけ会ったことがある。
メンヘラと付き合いだして、Wデートをしたことがあるからだ。
付き合っていることを他人に自分の口から話した初めての人だった。
そしてWデートをしたのも初めてだった。
相談しようと思い立った瞬間、LINEから彼女を探していた。
まだ好きの感情もなく、一度会った程度の相手だが、
相談するなら彼女しかいないと思うほど、安心感があった。
そこまで親しくないのと、物覚えが悪いのも相まって、
彼女の名字を覚えておらず、LINEの友達リストから探しだすのに
一苦労したのを今でも鮮明に覚えている。
『あ、あった!』
少しでも気持ちを楽にしたくて、
このどうしようもない生活を、愚痴を聞いてほしくて、
彼女にアドバイスしてほしくて、
藁をもすがる思いで連絡した。
『久しぶり。浮気されたよ。』
この連絡が最愛の彼女との始まりだった。
2020/07/29 恋煩
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