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世界で最も綺麗な日の出を目にする仕事

こんにちは。
自転車で日本一周している19歳のイケダです。


「何してんだっぺ?そんなとこで」

ようやく福島県のいわき市に入り、
お腹が空いて疲れ果てた僕は
仕事終わりの漁師さんが声をかけてくれた。

「相馬市に向かってるんですけど、
 お腹空いて動けなかったんです。」
と答えると、

「ほーか。言っとくけど、
 いわき市から相馬市は原発で自転車侵入禁止やぞ。
 それとカミさんが、今日カレー作り過ぎた言うてたから
 うちに来な。食べて元気出せ。」

3世帯でまあまあな大家族だったが、
僕を快く受け入れてくれた。

長男のカイセイもよく懐いてくれた。
カレーとさっき獲った魚たちをたらふく食べて、
カイセイに日本中の素晴らしい風景やそこでの出会い
美味しかった料理などいっぱい話すと、
カイセイは、目を輝かせながら聞いてくれた。

その後は、使ってないベッドで寝させてくれた。

ぐっすり眠っていたのだが、
眠りについて2時間後
23時過ぎに突如起こされた。

「ヒラメ獲りに行くっぺ」


「へ?」

訳がわからなかったが、
漁師カッパとレインブーツを渡されて、
深夜0時、船に乗り込んだ。

岸が見えなくなるところまで船を走らせ、
すでに仕掛けていた網を回収して新しい網を撒き、
岸に魚を下ろす。

その1クール2時間を3回繰り返して、
夕方にもう1回するのが毎日らしい。

漁師のおいちゃんは
360度、海とそこに浮かぶ太陽しかない船の上で

"漁師という仕事は、
世界で最も美しい日の出を目にできる仕事の1つなんだ"

と教えてくれた。

そこには黄金のような朝日があった。
結局その日の出をまた見たくて
3日ほど手伝わせてもらった。

もちろん未経験の僕は網は触らせてもらえず、
力仕事くらいしか役に立てなかったが
それでも餞別だと言って給料も出してくれた。

お別れの際も、自転車禁止の区間を
トラックに僕と自転車を乗っけて送ってくれた。
本当に感謝しかない。

ありがとう。遠藤さん。

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