命火

高校生の杉山孝雄は生きることに失望していた。連日、テレビで流れる悲惨な事件。親が乳児を虐待し死に至らしめる。父親に性的被害を受ける娘。いじめを苦に自殺する生徒。
孝雄は「こんな世界終わってしまえばいいのに」とつぶやく。
 そんなある日、孝雄の前に神と名乗る男がが現れた。男は「お前の願いを叶えてやりにきた」という。男がパチリと指を鳴らすと孝雄の頭の中で声がした。
「神様です。神様怒ってます。自分勝手なあなたたちに罰を与えます。この世界はあと一週間で滅びます。お疲れ様でした」
 頭の中に響く声は、それから様々な説明をしたのち最後にこう締めくくった。
「でも、最後に杉山孝雄君に課題を与えます。彼がその課題をクリアできたら、許してあげます。死にたくなければ彼の課題を応援するように」
 その声が聞こえなくなった瞬間、孝雄の携帯が烈火のごとくなりだした。声を聞いたのは孝雄だけではなかったのだ。
 神と名乗る男の出した課題はこうだった。
「一週間以内にあなたの大切な人を十人殺しなさい。ただし、この課題の内容を他人に話してはいけません」
 男はそれだけ言って姿を消した。この話が本当であることの証拠を残して……。
 孝雄の目には常に孝雄がこれまで大事だと思っていた知人の顔が映し出された。学校の友達もいれば、兄、父もいる。そして、見たこともない顔が一人。孝雄の本当の母親だった。
 課題は孝雄を苦しめる。終わればいいと思っていた世界と大切な人を天秤にかける中で、孝雄は「死とはなんなのか?」という問いにぶつかる。
 そして、最終的に孝雄は産みの親である母を前にする。果たして孝雄は母を殺して人類の存続を守ることができるのか?

【注釈】これは未発表のただのアイデアです。作品になるかもしれないし、ならないかもしれません。