すねに傷
中井久夫という、国民栄誉賞をうけた精神科医にして、京大精神科と甲南大学文学部の教授を務めた方の本を読んでいる。
Amazonでの評で、崇められすぎの感はあるが、もっともとんがった、そう状態で書かれたのではなどと言われている「治療文化論」を10数年前に読んで以来、縁が切れない。
1個の臨床医である人間にしては、偉大な足跡がわかる。
その、80歳を超えたかどうかの車いすの写真を見たら、
「なんだ、根性の入ってそうなじいさんだな」くらいに思ったが、なんだか静かにサラリーマンになって本を趣味に読む人生を送りたいと言った20代の頃の写真を見ると、なんと平成生まれの若者にも居そうなかわいい顔。
幼い頃、神経症になった友達が、遠くのきしみに心配するたびに訪れて、夏休みが終わるころ友人は治ってしまったという逸話を自分の臨床の原点かもしれないと書いた人が、最近の若者に似ている。
眼に涙がたまるほど、胸が高ぶった。
やさしく、治療的でさえある若者はいつの時代でもいる・・・
これをみて安心したことを書きたいと思った。
河出書房新社のムック、「中井久夫」ー精神科医のことばと作法ーのp28、中段である。
私は精神科医に憧れたが、医学部の卒業ができなかった。
統合失調症の女性と付き合い、毎日メールしている。
姉はマッチ箱のような家でしあわせに暮らしたいと言ったが、私もそれに倣いそうである。
中井先生は自分を訳アリの中年転向希望者と書いている。
ぼくもそうだ。
大きく羽ばたきたい。
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