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「よく馬を走らせられるものだ」J1第10節 FC東京vs名古屋

昼は友人とあまり降りたことのない西新宿五丁目駅から「らぁ麺や 嶋」へ。鶏のだしと醤油が効いて美味しかった。友人が食べていたつけ麺は麺がだしの中に浮いていてそれも美味しそうだったな。ましてやこの炎天下の中だとなおさら。

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渋谷のライブハウスへ向かった友人と別れてからは、時間があったので京王線の鈍行に揺られながらDAZNで前節の名古屋-浦和戦を観て予習する。京王線は各駅停車で座っていると、思っていた以上に通過待ちなどで時間がかかるものでいい時間つぶしになる気づき。

安定してつなげて守備も安定しているCBとボランチの4枚。攻守に勤勉な両サイドバック。収まる金崎。間受けしたり仕掛けられるシャビエルとマテウス、飛び出してくる前田。恐ろしくゴールを決めた試合を観ていながら発表されたスタメンが、浦和戦と同じだった。東京の守備は耐えられるだろうかという恐怖に、静かな京王線の車内で震えていた。

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スターティングポジションはこんな感じ。名古屋は前述したように変わらず、東京は前節のセレッソ大阪戦と同じく4-1-4-1(今季の開幕からトライしてきた「4-3-3」というよりこの表現のほうが近いだろう)で、CFの永井謙佑と右サイドのディエゴ・オリヴェイラの位置を変えてきた。

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東京がボールを持たれたときのイメージ。

大外のサイドバックはウイングの2人に任せる。ときには6バック気味になってもOK。そこからまた前のボールホルダーに寄せに行く役割はウイングではなくてインサイドハーフで、ウイングはサイドバックについたまま。

これによって、DFラインが無防備に晒されることはなくなり、マークする相手がはっきりすることになった。中盤も場所を埋めながらも人についてズレることができていて名古屋の中盤も苦労していた。後半からは2トップに変えようとしたものの、高い位置で起点になる選手が作れずに試合終了を迎えた。

ディエゴもレアンドロもサイドバックを必ず見ろという守備は単純でやりやすいし、そして何よりこの2人にしっかり戻らせるのが長谷川健太監督である。普通のチームではエース2人にこんな役回りできない。

永井を前残しにしつつ、俊足でしっかり相手を押し戻しつつもそれだけではなかなか攻めきれない。そんな中でも、ディエゴが自陣深くから1人で2人を剥がしてチャンスにつなげていく仕事をやってのけることには改めて驚く。結果、一瞬のスキをついたレアンドロが決勝点を決めて守りきった。


FWに3人のブラジル人での4-3-3からスタートした今季は(いやもっと言うと鳥栖戦くらいまでは)4-4-2スタートで後ろをしっかり埋めるやり方から、後ろが多少曖昧になろうとも前に残った選手で点を獲ってお釣りをもらうやり方になるものだと思っていた。

そこから緊急日程の酷暑を迎え、橋本拳人の移籍に、東慶悟の長期離脱(そしてこの日が最後の室屋成だって抜ける…!)と昨年までのハードワークを支えた選手がいなくなる事態を経ると、まさか前残りさせていた選手たちに、去年以上に「後ろを消す」役回りをこなさせる手に出た。

これでまずは相手の勢いを殺してからの、長い距離のヨーイドンの馬力で差し勝つ。「馬力のある馬を前に残しておく」から、「馬力があるんだから後ろからスタートさせて走らせちゃおう」と変えたわけだ。お釣りの作り方を変えた。

僕が馬だったら、そんなに走りたくはない。対面のサイドバックの選手だって速いしスタミナもあるし、そもそも走るのは勝負所だけにしたい。それを走らせてしまうのが長谷川健太イズムだということなのだろう。部活上がりの日本人ならともかく、ブラジル人選手にもそれをさせるのは凄いと思う。

というわけで、いったんはバランスを見出したように見える東京も、室屋の離脱でのサイドバックや、ハードな気遣いが求められる中盤3センターのバックアップ不足など、課題はまだまだある。現時点でどう考えても最強の川崎の背中にどれだけ追いつけるだろうか。

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