【エッセイ】タトゥー

いつも同じ場所に絆創膏を貼っている人がいて
どうしたの？怪我したの？
と訊ねると、「昔、いれたんだよね」
と返ってくることがあるから迂闊に聞けない。
土地柄なのかな。

刺青。
刺青と書くと物々しいけど
タトゥーと書くと、どことなくポップだ。

星、蝶々、ハート、彫る形はさまざまで、アンダーシャツをめくって上腕一杯に彫られた刺青を見せてもらったときは一瞬言葉を失った。

（なんかちょっと怖い）

私の中にそのような先入観が
まだあることの方に驚いた。
ごりごりの和彫りではなかったんだけど。

手首、耳の後ろ、指先、お尻、
色々な箇所に
職場には言えない秘密を持った人びとがいる。

その人たちから彼らの
秘密を教えてもらうとき
すこしどきりとする。
私に教えていいの？と緊張する。
秘密の共有を重く感じる時もある。

彼、彼女らは反社会勢力の
団体に加入していないようだけど、
それぞれに持つタトゥーを
隠すことで社会生活をつつがなく送っている。

ジムや温泉、プールなどにも入れないと聞くのになぜあえて痛い思いをしてまで彫るのか。

永遠の愛を誓うため？
若気の至り？
おしゃれの延長？

ネットでタトゥーの画像検索をすると、
まだ彫りたてなのか赤く腫れていて痛そうな
画像が多い。
タトゥー入れるのは痛いのかな。
どれくらいの痛みだろう。
麻酔かけたらそこまで痛くないのかな。

日本ではまだ全面的には刺青をおしゃれの延長として受け入れていない気もするけれど、
東京オリンピックに向けて受け入れる体制になるのかな。

そうしたら私も彫ってみるか。
ちいさい蝶々とか耳の裏とかお尻に彫るの
可愛いだろうな。

例えば私のうなじに夫のなまえ。

……いや、やめよう。
黒歴史みたいに突然わー！となっても消せない
それがタトゥー。

根性のない、一貫性のない私は

せいぜいタトゥーシールでお願いします。

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