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さよならブサイク

中学1年生のとき、後ろの席に座っていた男の子に毎日ブサイクブサイクと後方座席から言われていた。

ある日、おいブサイク消しゴム貸してくれよと言われたので、一回一回貸すのめんどくさいなと思い、カッターで消しゴムを半分に切ってこれあげると言って彼に押し付けた。

その日を境に彼からのブサイク扱いは撤回された。
ある日は英語のノート写させろよと言われ、渋々渡すとこれ全然あってねーじゃねえかバカかよと馬鹿にされた。

私は確かに文法を理解できない馬鹿だった。

2月に入り、
俺チョコが好きなんだよ、俺のうち知ってるだろ?ひとりでチョコ持って来いよ、絶対にひとりで来いよ。

と命令され、当時仲のよかった女友達と2人で彼のうちへ行った。
満面の笑みでドアを開けた彼は、私たちを見ると硬直し、真顔でチョコを受け取るとすぐにドアを閉めた。
同時に彼の心のドアも固く閉ざされ、その後ブサイクとすら呼んでもらえなくなった。

バレンタインデーが近づくたび、
ビターな思い出が蘇る。

本当は真意を知っていたはずだけれど、真っ向から受け止められなかった。
もしこれが本当に好きな人に言われたら一人で届けに行っていたと思う。
断ることもせず、頼まれたからといって友人と一緒に向かったのはやり方が汚いなと思う。

いつか偶然彼に会ったときに、
なんか太ったなブサイクと呼んでもらえたらいいけれど、
現実にはそんな日は来ない。
そんな日はきっと来ない。

#エッセイ #バレンタインデー

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