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3/29 銀の才能、金の願望


メイプル超合金のカズレーザーの金髪を見るたびに、ブリーチしすぎて痛んだりしないのだろうか、と他人ながら心配になる。

毎回染めるのが大変だろうから、有り余る富の中から金髪のウィッグを新調して被ればどうだろう。オフの時に金のウィッグを外して黒髪が現れたら一般人に自然に溶け込めそうだし。

そういえば私にもウィッグを常用していた頃がある。
20代半ば、髪をベリーショートにしてみたはいいものの、ちっとも似合わなかったので、上野のABABでボブのウィッグを購入した。

ナイロン製のウィッグを被ると思った以上に頭皮が蒸れて熱い。
人毛ではない安物だから不自然にテカテカ光るし、専用のブラシでの手入れも面倒だった。

それでも手持ちのワンピースにはベリーショートが絶望的に似合わないから背に腹は変えられなかった。
いまならマニッシュ路線に変更するかもしれないけれど、当時はガーリー路線を通したかったのだ。
ピーコの言う通りおしゃれは我慢なのだ。
そう言い聞かせてヅラを被った。

同世代の子たちと白髪問題について話す機会が増えた。
40代になり、さすがに若白髪とは言えなくなったきらつく銀髪と向き合う時期がそれぞれに来ているのだ。

20代、30代とはまた違った悩みと向き合うことが増えてきた気がする。
これから先、対峙するだけでなく抗ったり、受け入れたり、諦めていくことが増えていくのだろうなと推測する。外見も中身も。

10代の頃、白髪がきらり光ると「才能の種だね」と言ってくれた子がいたことを思い出す。

40代の私は、開花しなかった「才能の種」を黒いどろりとした液体で塗りつぶしている。
しれっと「初めからこんな色でしたよ」みたいな顔で過ごしている。

いつかおばあちゃんになったら、ショートの白髪を思いっきり金髪に染めると決めている。
そして和装を決め込んで下町を闊歩するのだ。

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